茜色に焼かれるのレビュー・感想・評価
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関係スタッフの気合いは感じました。
上映時間はやや長めですが、石井裕也監督の気合が凄く見応えはありました。
コロナ禍で苦しんでいる現代に向けて力の入ったオリジナル脚本で真正面から勝負しています。
尾野真千子演じるシングルマザーの不器用な生き様と熱演に感動できました。
ただお金に不器用過ぎて後半になればなるほど辛い環境に陥ってしまうのは見てて辛かったです。
救いは真面目な息子とのやり取りですがいじめ問題も絡みこちらも一筋縄には解決せず。
最後に親子に多少の救いはありますが爽快感は感じなかったです。最後に息子の成功した姿でも見たかったかも。
社会のルールを守る事が最低限の生き方という親子の姿に胸を打たれる人は多い気がしますが風俗で働く同僚のケイを演じる片山友希はかなり良い味を出してました。
とにかく石井裕也監督が脚本を書き作品を完成させて、一般公開するスピード感と労力は関係者は相当大変だったと思います。
渋谷が主な舞台でしたので渋谷ユーロスペースで見たのもとても良かったです。
辛いシーンが多いですが良心的な作品です。
クソな社会で…
現代を生き抜くのに必要な強さとは。
「生きる理由がなくなる」「神様を探してる」そんな台詞があふれた。
観ているあいだ、自分の生きる理由はまだまだ長くもちそうなのか、そんなことを思ってみたりもした。
「まぁ、がんばりましょう」。こんな台詞も多かった。ヒロインが自分にも言い聞かせるようなこの言葉は大した社会じゃない、そんな簡単じゃない、でも生きたい、そんな風に聞こえた。
ありのままを見つめて、そこそこにきちんと生きて寿命をまっとうする。命を大切にして生きて、次の人たちに任せたい、できればささやかな何かを残したい、そんな素朴な自分の生きる理由をちょっぴり肯定してもらった気になった。
それにしても、この作品には弱みにつけこむ人間がわんさか登場する。そしてそのすべての人間にある意味そうなる正しい理由が存在する。
翻って自分をみれば、自分にもそんなところがある。
そして、ヒロインも最後、ちょっぴりズルくなる。
そんなもの、でもある。
面白かった。素晴らしい映画体験になった。
それにしても、尾野真千子がすごい。新しい今を生きる等身大のヒロイン役が新鮮だった。これまでの強さでない、孤独な現代に立ち続ける難しさと強さを、見せつけた。
そして片山友希、なんとキュートなことか。見た目の幼さが傷に見えて、切なくなった。
あの『セトウツミ』のキュートだった女優さんだという。出てきたね。
石井裕也作品、近年ではピカイチによかった気がする。
まぁ、頑張りましょう。
尾野真千子さんが公開前夜最速上映会で『命をかけてつくりました』と涙を流しながら伝えた コロナ禍に撮影された作品。
2019年世間を騒がせた東池袋自動車暴走死傷事故から着想を得たという石井裕也監督のオリジナル脚本、社会問題や理不尽さを絡めながら描いた人間ドラマ、ものすごく強いメッセージ性を感じ、個人的には今年一番の作品かもしれない。
観てるこっちからすると良子さんよ、どんだけお人好しなんだ?(そもそも最初に賠償金は受け取りなよ!)と突っ込みどころ満載なんだけど。
風俗店での同僚のケイちゃんの人生も壮絶なもので(けいちゃんがとてつもない存在感を放っていた)、本作には救いがほとんどない。これでもかと言うほどに徹底的に不幸やトラブルが描かれている。
しかし、どん底の中にも必ず希望があって、例えば息子 純平の成績がめちゃくちゃ良いとか、恋、そして良子にとっては息子が生き甲斐で、息子にとっても良子が自慢の母で。愛する人、守るべき人がいると強く生きられるんだよね。あと、本に囲まれた部屋、お金がなくても知と教養は財産だと感じた。
シングルマザー(ファーザー)、貧困世帯、風俗で働く人たち、コロナによって生活苦になった人たち…
今を生きる人々に“どうか希望を持って生きて欲しい”という監督の強い思い、評論にも書いてあったように“祈り”を感じる。所々笑いを入れるところもたまらなく好き。
長編作だけど全くだれること無く観ることができた。製作陣に竹内力さんの名前があったことにも少し驚き!
今、観ないとダメな作品
石井裕也の本気を観た、コロナ禍で黙殺される弱者の生き様を見よ
ジリジリと焦がれる様に傷を抉る世界。奇跡も逆転も叶わない。無情だ。その世界に何を叫ぶ?コロナ禍を落とし込んだ眩しい傑作。
暗く閉ざされた日々はマスクと共に覆われる。弱者に反撃の暇もない。懸命に生きること、尽くすことがこんなにもカッコいいとは。前半、息の詰まるような無情さに歯をただ食いしばる。息ができぬような閉塞感がひたすらに続く。貧乏ゆすりや体育座りで閉塞感を誤魔化す。しかし、観終わった今、不思議と光を感じている。決して快方に向かうような世界ではなかったはずだ。意識ひとつ、いや、生き方ひとつで変わるのかもしれない。変わらない事の方が多くとも。それが私の生きる道。そう言わんばかりに強く睨みつけた良子は、間違いなく無敵で強かった。
この作品は、尾野真千子と心中し、片山友希に光を預け、永瀬正敏に道を照らしてもらう。そこを和田庵は歩く。前半から片山友希が脱いでおり、そこから既に生ぬるい作品は作るつもりがないのだと確信した。他にも、目の覆いたくなるような理不尽ばかりで苦しいのだが、個々の叫びや生き様がスクリーンいっぱいに溢れるとき、翼のような強さが内在しているように見えた。
この作品が映画館の今のよう。圧力にただ潰されそうになる。でも抗えるんだ。生きているのだから。ルールがなんだ。ルールに殺されるなら、殺してやる。マスク越しに傑作を噛み締めて。
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