「宝物」クライ・マッチョ 大吉さんの映画レビュー(感想・評価)
宝物
ソフトが発売されたら愛蔵版を買って大事な宝物として飾っておきたい作品であるには違いないが、なんだろう、評価難しい作品ですね。
贔屓目に観て(贔屓目にしか観られないか)、感動だけど、客観的に観ると(客観的に観てはいけないのだろうね)、登場人物あまり魅力的じゃないし、そんな都合良くいかないだろうというシーンの連続。
いや、これはただクリント・イーストウッドに感謝して有り難くいただく作品です。
昔、米国の西海岸で暮らしていた時、イーストウッドはカーメルの市長だった。レーガンみたいになるのかなとの予想を裏切り、一期で政界を引退してスクリーンに戻ってきてからのキャリアのすごいこと。俳優としても、監督としても。
マカロニウェスタン、ダーティーハリーのスターって言うよりも、名匠だものね。
硫黄島の時は日本政府から勲章贈ってもよかったんじゃないかな。
最後の作品と思って涙した「グラントリノ」からも、まだまだ頑張っている。
イーストウッドの活躍に驚異、感謝しつつ、ジェームス・ディーンやスティーブ・マックウィーンが長生きしてたらどんな作品残してたかな、と想像してしまう。
長生きするって大事だね。
長生きするって大事…ホントそうですね。夭逝のスターたちに思いを馳せてしまう気持ち、解ります。
イーストウッドが市長になったのは、当時副業でアイスクリームスタンドを経営していて、町中にゴミが出ることを理由に当時の市長が規制をかけたので、その条令を変えるためだった…と、記憶しています。
選挙戦で現職市長(確か女性だった)が「神を相手に戦うようなものだ」と語ったのを覚えています。
本当に最後はそれに行き着くと思います。上記に加え、ロビンウィリアムズやリバーフェニックスの死は本当に残念でなりませんでした。もちろん作品の評価と混同してはならないとは思いますが、名優達の作品を観れる喜びを味わいたいと思います。
私の持論ですが、イーストウッド監督が映画を作り続ける原動力のひとつとして、〝仕事に真摯で誠実に取り組む人たちへのリスペクト〟があると思ってます。なので政界を引退した(そのこと自体知りませんでした、教えていただきありがとうございます)のは、政治の世界では、真摯で誠実に振る舞うことが報われることが極めて少ない、という落胆があったのかもしれないですね。