クー!キン・ザ・ザ

劇場公開日:2021年5月14日

クー!キン・ザ・ザ

解説・あらすじ

ソビエト連邦時代のジョージア(グルジア)で1986年に製作され世界中でカルト的人気を集めたSFコメディ「不思議惑星キン・ザ・ザ」を、ゲオルギー・ダネリア監督が自らの手でアニメ映画化。社会主義体制の中で製作された実写版を、レトロ感が漂いつつも未来を感じさせるアニメに再構築。大きな変革の波にある現代ロシアを戯画化して描き出す。有名チェリストのチジョフとDJ志望の青年トリクは、雪に覆われたモスクワの大通りでパジャマ姿の異星人と遭遇し、キン・ザ・ザ星雲の惑星プリュクにワープしてしまう。そこは見渡す限りの砂漠が広がり、身に着けるズボンの色によって階級が分かれる場所だった。「クー!」という言葉で会話する異星人たちを相手に、地球に帰るべく奮闘を続ける2人だったが……。2019年に逝去したダネリア監督の遺作となった。

2013年製作/92分/ロシア
原題または英題:Ku! Kin-dza-dza
配給:パンドラ
劇場公開日:2021年5月14日

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(C)CTB Film Company、Ugra-Film Company、PKTRM Rhythm

映画レビュー

4.5 内心に自由がない、クー! だけで伝わってしまう世界

2025年9月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

今作の公開は2013年。実写映画の27年後ということになる。
ソビエト連邦末期の空気感が漂っていた原作に比べて、今作はアニメということもあるが、より普遍的な物語になっているように感じた。

まず、主人公の一人が、プロのチェロ奏者に置き換えられていることが大きい。
アーチストは、その国の体制いかんに関わらず、興味のある人にとっては神のような存在だが、興味のない人にとっては、ただの人だ。そのこと自体が、映画の中で描かれている謎のペジェ様崇拝と相似形になっているし、DJ志望の甥が奏でる「聞くに絶えない」音の方が、世界的なチェリストの演奏よりも評価を受ける部分は、ポピュラー音楽とクラッシック音楽の関係のようでもある。
原作から変わらない、何の変哲もないマッチ棒が貴重な「カツェ」として価値を持ったり、人種やズボンの色によって厳然とした階級が決まっていたりという点も、ソビエト連邦やその後のロシアに対する皮肉というより、世界各地で起こり続けているカルチャーギャップや人種差別に近く感じられた。

ただ、自分にとって、一番印象が違ったのは、「拝金主義」的な傾向についてだった。
実写映画では、そういう眼差しで観ていたせいもあってか、「平等を建前にする国だからこその不正な金のやり取り」の風刺だと思っていたが、今作では、人を蹴落としてでも上に登りたいという「資本の奪い合い」のようにみえて、ここを普遍的に感じたのだ。
かつて資本主義は、民主主義と車の両輪と思われていたが、「実は中国の共産党一党独裁などでもそこそこ結果を出せることがわかり、離婚の危機が訪れている」といったことを、社会学者の大澤真幸がラジオで語っていた。
今作が制作されたタイミングも、一旦は民主化されたロシアが、プーチンの絶対的な権力のもと、民主主義が骨抜きにされた状況下でのことだし、今、アメリカをはじめ世界中が、権威主義的なトランプの我が者顔の振る舞いに翻弄されつつ、目先の儲けに血道をあげざるを得ない状況にある部分が、映画の中の世界と通じるように思えて仕方がなかった。

そういった個人的な感想は抜きにしても、アニメの造形的な面白さや、時折響きわたるチェロの美しい響き等で、最後まで楽しく、心地よく観られる作品。
紹介では、子供向け/コメディとなっているが、なかなかの大人向けだと思う。

余談だが、一番初めに、間違って地球に来訪してしまう宇宙人役の顔つきが、どうしてもサイモン・ペッグに見えて笑ってしまった。

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sow_miya

3.0 キュー!

2025年8月8日
PCから投稿

実写版の良かったところが無くなってしまっている…

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みる

3.0 バック・イン・ザ・Kin-dza-dza. すっきりとシェイプアップされ、良くも悪くもアクが弱まったか。

2025年3月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

幸せ

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たなかなかなか

3.5 キュー!

2024年10月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

実写映画「不思議惑星キン・ザ・ザ」は割と好きだ。
ソビエト連邦を皮肉った風刺、チープなセット、わけのわからない物語に、わけのわからないキャラクター、これらはクセになる珍味として私に刺さった。

そして本作である。
基本的なプロットは同じ。であるが、風刺する先がソビエト連邦からロシアに移って、個人的には、よくわからなくなってしまった。
まあ、そんなことが分からなくとも楽しめたろう作品が「不思議惑星キン・ザ・ザ」であったのだから、本作「クー!キン・ザ・ザ」も楽しめるはずなのだが…

実写からアニメーションになって、チープさみすぼらしさ、汚さなどが失われてしまった。
星の名前は忘れたが、舞台になる星の住人が地球人とは若干違って見た目からして宇宙人なのだ。実写版ではただの汚いオッサンだったのが良かったのに。
ある意味で、アニメーションになったことで綺麗になりすぎてしまったのだ。
頭に付けた回転灯や、黄色ステテコ、乗り物や建物、全てが普通に見えてしまって、汚くバカバカしい「笑い」を喪失したのだ。

風刺もチープさも失ってしまったキン・ザ・ザは、ただの子ども向けアドベンチャーに見えなくもない。少々残念な気がした。

とは言っても、序盤からかなり罵倒語は連発されていた。実写版ではあまり言わなかった「キュー!」である。
実写版にはいなかった、アニメーションならではのキャラクターである小さなロボットがかなり連呼する。
キューの意味を事前に知っていたので、そこだけは何か良かったように思えた。

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つとみ