漁港の肉子ちゃん

劇場公開日:

漁港の肉子ちゃん

解説

明石家さんまの企画・プロデュースで、直木賞作家・西加奈子の同名ベストセラー小説をアニメ映画化。漁港で暮らす食いしん坊で脳天気な肉子ちゃんは、情に厚くて惚れっぽく、すぐ男に騙されてしまう。しっかり者でクールな11歳の娘キクコは、そんな母のことが少し恥ずかしい。やがて母娘の秘密が明らかになり、2人に最高の奇跡が訪れる。底抜けに明るくパワフルな主人公・肉子ちゃんの声を大竹しのぶが担当。木村拓哉と工藤静香の長女でモデルのCocomiがキクコ役で声優に初挑戦し、「鬼滅の刃」の花江夏樹らが共演する。「海獣の子供」が高い評価を受けた渡辺歩監督とSTUDIO4℃が手がけ、スタジオジブリ出身の小西賢一がキャラクターデザイン・総作画監督、「サヨナラまでの30分」の大島里美が脚本を担当。

2021年製作/97分/G/日本
配給:アスミック・エース
劇場公開日:2021年6月11日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第45回 日本アカデミー賞(2022年)

ノミネート

最優秀アニメーション作品賞  
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(C)2021「漁港の肉子ちゃん」製作委員会

映画レビュー

5.0驚くべきアニメの芝居の力

2021年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

すごい。芝居でこれだけ魅せられるアニメはなかなかない。総作監の小西賢一氏がいればこその超絶作画芝居なのだが、高畑勲から受け継いだ人間をアニメで描くスピリットの真髄がここにある。
肉子ちゃんと他のキャラクターのキャラクターデザインはまるで異なっているのも面白い。複数のトーンの異なる絵柄が共存させるのは作品のリアリティラインを混乱させることもあるのでなかなかできることではないのだが、作品世界の統一感を破綻させることなく、全体が見事にコントロールされている。
肉子ちゃんのキャラクターは、もしかしたら生身の人間が演じたらかなり嫌味で危ういキャラクターになるかもしれない、キャラデザを他のこの作品の他のキャラのようにしていても、同様だったかもしれない。あのキャラデザでなくては描けない人間像というのがあった。かなり戯画化されているが、そうでなくては描けない人間の本質があるのだと思う。正直感服した。

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杉本穂高

4.5明石家さんまがプロデュースしたのは、笑いでなく、「リアルジブリ」の世界観。

2021年6月11日
PCから投稿

まず本作はタイトルから不思議な感じですが、ちょっとファンタジー感のある、漁港の「船で暮らしている」という親子の物語がベースにあります。
スタジオジブリ1期生だった小西賢一がキャラクターデザイン・総作画監督を担当していて、作画の雰囲気が古き良きジブリ感を醸し出しています。
また、美術監督が名作「鉄コン筋クリート」の木村真二で、こちらも風情のある古き良き伝統的なジブリ感を醸し出しているのです。
そして監督は、名作「ドラえもん のび太の恐竜2006」で初の長編作品監督を務めた渡辺歩で、メインの肉子ちゃんは「ドラえもんっぽさ」も醸し出しています。
明石家さんまがプロデュースしたということで、笑いを重視した作品になっていそうですが、あくまで原作の、訳ありの親子関係に関心を持ったのが最大の理由のようで、軸の太さは後半になると、より明確化していきます。
ジブリ作品の場合はファンタジー要素が多いイメージがあります。一方、本作は、人間関係等もとことんリアルになっていて、「リアルジブリ」というイメージです。
また、本作は、ジブリ作品のように、食事の描写にもこだわりを持っていて、本当に美味しそうなのです。
もちろん、ジブリ作品の後継を狙ったわけでもなく、才能あるスタッフが集結した結果として本作が生まれたのだと思います。
そして、明石家さんまが2年間アニメーション制作に向かい合った作品なので、他の映画とは違った形で小ネタを入れてもいて、ここは好みが分かれる部分なのかもしれません。
声優陣のプロデュースは流石で、娘・キクコの声を声優初挑戦のCocomiが務めています。これは細田守監督の「時をかける少女」で見事に主演の声優を演じ切った仲里依紗のような上手さがありました。
また、「鬼滅の刃」の花江夏樹と下野紘も参加していて、花江夏樹は二宮という重要な役どころを担当していて、竈門炭治郎との違いに驚きました。下野紘は我妻善逸でのバリエーションの如く、トカゲ、ヤモリ、松本を巧みに演じ分けています。
肉子ちゃんの大竹しのぶも、特に1時間を過ぎた辺りのナレーションの時に、より上手さが発揮され、起用の理由がよく分かりました。
このように本作は肉子ちゃんのキャラクターデザインだけは強烈なものがありますが、最後まで見ると、きちんとリアルな人間関係を描き出し、心を揺さぶるアニメーション映画であることが分かります。

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細野真宏

5.0原作小説を軽やかにアニメ化、肉子ちゃんの変幻自在なビジュアルと声の芝居を堪能

2021年6月10日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

肉子ちゃん役の大竹しのぶ氏のパワフルで芸達者な芝居、キクコ役のCocomi氏のはまり具合が素晴らしく、本作を見てから原作小説を読むと2人の声が聴こえてくるようでした。
肝っ玉母さん風の肉子ちゃんはアニメならではの誇張表現で変幻自在に動きまくり、精緻な画面構成と西洋絵画のような背景美術も見ごたえたっぷり。クオリティの塊のようだった「海獣の子供」を手がけた渡辺歩監督、キャラクターデザイン・総作画監督の小西賢一氏、美術監督の木村真二氏らの仕事を堪能できます。「となりのトトロ」オマージュふくめ、制作陣が楽しみながら軽やかに原作をアニメ化したように感じました。
肉子ちゃんたちの自宅を漁港内の小型船に変更するなど、ファンタジー要素を交えたポップな作劇になっていますが、原作の芯の部分はしっかりと描かれ、明石家さんま氏の名言「生きてるだけで丸儲け」を体現したような人間賛歌のドラマが貫かれています。

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五所光太郎(アニメハック編集部)

3.5吉本新喜劇の人情噺。

2024年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

泣ける

笑える

幸せ

さんまがコード進行を取った豪華メンバーによるアニメセッション。関西弁と新潟弁の親和性には角栄前の大阪新潟ルートの懐かしさが散りばめられている。原作では佐渡が舞台らしいがアニメで話されている新潟弁は北寄りの40年代まで使われていた新潟弁。明らかに佐渡弁ではなく佐渡の風情はない。物語の根幹には今も関西人が大好きな吉本新喜劇の脚本に通じるキャラ設定と物語設定。肉子ちゃんのキャラ設定は全国的な汎用性には欠けるものの一部の関西経験者には強く刺さるものがあるのではないか?アニメとしての仕上りの高さもさすがである。

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mark108hello