ミナリのレビュー・感想・評価
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そこまで…
1980年のアメリカ アーカンソー州を舞台に韓国から移民してきた一家の夢と現実の狭間を描く。
映画の流れは急激なものはほとんどなく、基本はのどかだが時には岩にぶつかる濁流のようなものは見受けられるものの、結末に至るまでは正直いって地味だ。
田舎特有ののどかでゆったりとした空気感は感じられ、主演のスティーブユアンの喜怒哀楽の表情やエモーショナルさは見事な演技力だと思うし上手く行かないが家族を引っ張っていこうとする無骨な父親像は役柄にピッタリだし演じきったのはすごい。
ミナリとは韓国語で「セリ」を意味する言葉であり、どんな土地でも丈夫に育つ植物だ。それと1家とを重ね合わせて描いているのはわかるがいい意味でも悪い意味でも「そのまま」なので中だるみを感じざるを得ない。
もう少しエモーショナルなシーンは欲しかったけどありのままを描きたかったのだろうと思う。
やはり野に置けミナリ(セリ)みたいな話ではなかったんですね
〝今〟だからこそ必要とされる普遍的な要素のある映画として評価されているのかもしれませんが、個人的には、時代に抜かれてしまった感が強く残る映画という印象です。
自分の感性に、〝アンマッチな映画〟を読み解くのが最近は、なんだかとてもしんどくなった、という面もあるかもしれません。
勿論、受け手側それぞれの感性の問題なので、十分メッセージを受け取った、という方もたくさんいらっしゃると思います。
以前なら、
どうした自分❗️何か大事なものを見落としてるんじゃないか?
と、もう少し時間をかけて考えていたと思うのですが、なんだか駄目でした。
唯一、分かりやすかったのは、高齢者が感じるであろう悲哀がそれほど遠くない将来の自分にも訪れる時がくるかもしれない、という不安。
ついさっきまで、生活に追われる夫婦の代わりに孫二人、特に持病を抱える弟の良き相棒として、人生の先輩としての余裕すら感じさせる(たぶん、計算ずくの)大人げない振る舞いで、頼られ必要とされていたのに、脳卒中をきっかけに一転して家族の〝お荷物〟になってしまったと自分で自分を追い込んでしまう状況にしてしまう。
これは、高齢者に限らず、生活習慣病のリスクを感じている方、或いは健康に自信のある方にとっても、ちょっとリアルな恐怖だと思います。
今、リアルタイムで起きている世の中の自然災害や原発事故の影響を受け続ける方々の存在、各種ハラスメントの被害者などさまざまな事象の当事者にとっては、数えきれないほどの理不尽があるので、
『理不尽な運命に翻弄されながらもたくましく生きる姿』
というキャッチコピーが、ほとんど響いてきませんでした。映画の内容からしても、自分たちの選択に自分たちで責任を取るのは当たり前で、寧ろ問題は、真面目で働き者の人間が、家族を巻き込むほどのリスクを負わないと、生活苦から抜け出せない世の中の仕組みなのだと思います。
(なんか誰でも思ってる当たり前のことを偉そうに言ってるみたいになってしまいました。申し訳ありません)
生き残るためにどんな苦境も耐え抜いて頑張ることを『逞しく生きる素晴らしい家族愛』として賞賛して終わり。
ということにはしたくないなと思ってます。
十字架
人は重い十字架を背負って、地道に歩くのみ。十字架の重みに耐えかねて歩みを止めたらそこで人生は終わりなんだ。
物静かに淡々と進む作品のため、ただの普通の家族映画だとか、退屈だとかいろいろレビューされることは想像に難くない。
確かにエンターテイメント性に欠ける面もあるけど人の一生なんてそんものだろう。私なんかは逆にここ迄我ん慢強く生きる韓国一家に好感を覚えた。アカデミー賞云々は兎も角、いい映画であることは間違いない。
やっぱりお祖母ちゃんは最高で最強!「ミナリ」がセリ(芹)のことだとわかるとグッと親近感が増します。
①アメリカのど田舎に新天地を求めて移住した韓国人の若夫婦の生活を、オネショの癖が抜けず心臓に疾患をもつ下の息子(ディヴィット)の目を通して描いていく。②パパは信仰や民間伝承にすがるのが好きでなく何でも自分(の知恵や努力)で切り開いて行きたいタイプ。自立心も強い。ただ自分の夢を追う余り、家族のためにやっていることの筈が、それが家族との間にすきま風を吹かしていることになかなか気づけない。ママは信仰深く子供たちのことを第一に考えている。やや自分勝手なパパについていけないところを感じながらも夫唱婦随なスタンスを守っているところは韓国の儒教思想がまだ体のどこかに残っている世代からかな。しっかり者のお姉ちゃんはその分影が薄いのは可哀想なところ。③始まってそうそうモーレツな夫婦喧嘩が始まるのには驚かせれる。だが、子供たちが早速「ケンカしないで」と書かれた紙飛行機を作り出すところを見れば日常茶飯事なのだろう。その夫婦喧嘩の結果、韓国からママのママであるグランマ(お祖母ちゃん)を呼び寄せることになる。④戦争未亡人で女手一つで娘を育て上げたであろうグランマは何せ明るく逞しい。遠いアメリカに来ても気後れせず花札(恥ずかしながら韓国に花札あること初めて知りました)もすればプロレスに興奮する。このグランマと孫のディヴィットとの交流がこの映画の一つのハイライトである。⑤男の子は元々シャイなものであるが、アメリカで生まれ育ったディヴィットも初めはなかなかグランマになつかない。韓国臭い(?)し、イヤな黒い汁を飲まされるし。グランマに自分のオシッコを飲ませるイタズラの顛末が笑わせる。タンスの引き出しを脚に落とした怪我を手当てしてもらっ時にディヴィットは“strog”と言ってもらって一気に心の距離が縮まる。その時にディヴィットがグランマに決まり悪いような面白がるような顔で「オシッコどんな味だった?」と訊いて逃げるシーンが微笑ましい。また、ある日グランマはディヴィットを連れて行ってはいけないとされている先にある小川の処までつれて行き日当たりのよい斜面にミナリ(芹)を植える。『ミナリは水があって日当たりのよい場所ならどこでも育つ。食品にもハーブにも薬にもなるんだ。』このミナリ(芹)が映画の一つのモチーフとなる。そして感動のラストへの布石とも…⑥しかし、良いことばかりは続かない。肝心のお祖母ちゃんは脳卒中で倒れちゃうし、パパは当てにしていた買い付け先からけんもほろろに一方的にキャンセルされる。疲れきったママはカリフォルニアに戻ることを決意する。パパは引き続きこの地で頑張るという。家族が離ればなれになるのも仕方ない様子。⑦でも悪いことがあれば、良いことも有るのが人生。カリフォルニアに戻る前にディヴィットの診察を受けに行ったら心臓の疾患は治癒に向かっているという嬉しい診断結果、ここの水がディヴィットの身体に合っているようだから現在の生活を変えないようにと医師にアドバイスされる皮肉さ。パパも野菜を買ってくれる先がやっと見つかった。⑧でも、良いことが続いたのにママの顔は晴れない。家族よりも仕事(野菜を売り込む)を優先させるパパの姿勢にほとほと愛想が尽きたからだ。そして野菜の商売が決まった直後、夫婦の間に決定的な溝ができてしまう(様に思える)。⑨一方、留守番していたグランマは不自由な身体でごみ焼きをしているうちに近くの枯れ草に延焼させてしまう。この時点では「グランマ、何しとんね!」という印象。帰ってきたパパは野菜貯蔵庫に延焼しているのを見つけ少しでも野菜を運びだそうとする。その後をママも追いかけ一緒に野菜を運びだそうとするが、煙に巻かれてしまう。そしてパパは野菜を置いておいてママを救い出す。野菜貯蔵庫は野菜ごとあえなく全焼。しかし、炎と煙のなかで二人で助け合ったこと、野菜より何よりママを救ったことで夫婦の絆は戻った様。グランマに悪気ははなかったとは言え何てことしてくれたとおもったが、結局夫婦の絆を復活する吉祥となった。やっぱりグランマは一家にとって天使だったのかも知れない。自分が起こしたことにショックを受け且つ罪悪感で家を去ろうとするグランマに最初はあれほど懐かなかった(走らない方が良い)ディヴィットが走って行く手を塞ぐシーンなややベタながら涙が出る名シーン。⑩
半々…
良かったといえば良かった。フツーと言えばフツー。
A24とPLAN B だし、ぽいっちゃ、ぽい。
グリーンブック見た時みたいな感じ。
ムーンライトはアート感を感じたけど、今回はシンプル。
ヒヨコのオスのくだりとか、ミナリ(セリ)の意味とか、いろいろ考えさせられるトピックはありました。
キーパーソンはハイモニ〜。あと、韓国語わからなくても、観賞後はアイゴ〜って言ってみたくなる。
キネマ旬報高得点。「評論家受け」必至の、実は普通の映画。厳しさ、力強さを感じる映画。理屈では無い。
1980年代にアメリカのど田舎、アーカンソー州のトレーラーハウスにやってきた韓国移民一家
夫婦と子供二人、後から母方のバァちゃんがやってきて、最初は何も無いところから畑を耕し、収入はヒヨコの仕分け場のアルバイトに収入を頼る生活。
姉、弟の子供2人も弟が心臓の病気なこともあって、見込みの立たない農業に突き進む夫についてけない妻。
口の悪いばあちゃんも脳卒中かなんかで倒れて、すっかり弱気に。
まぁアメリカの自由さと裏腹の移民が生きてく厳しさを描いている。
ハプニングはあるが全体的に穏やか。話の筋は100%違うが、「北の国から」ほんの少し被った。ただ正確にいうなら「北の国から」をより一層現実的にして、感涙場面を一切排除したのがこの作品と言って良い。と言っても悪い映画じゃ無い。見どころもある。
しかし
感動する場面はほぼ無い。ただし、異国に生きる厳しさ、力強さを感じる映画。最後のスタッフロールで、制作総指揮にブラット・ピットが出てきてビックリ。手広くやってんだねぇ。いずれにせよ家族をリアルに描いて、なかなかの佳作ではある。それほど長くは感じない。ただなんか「キネマ旬報」で評論家の評価がやたらといい映画の典型ではある。後、多分来週公開の「ノマドランド」とトレーラーハウスと実際の動く車の違いこそあれなんか被る
地味なリアル
すごくリアルに韓国からの移民の家族を描いてるんだけど、全体的に地味。
あまりにリアルすぎて、伏線回収とかキャラ立ちとか映像美といった映画としての面白みか薄い。
でも役者さんが皆うまくて、特に子役もうまくてリアル感を後押ししている。
米国の保守的な片田舎でのキリスト教信仰の実際というのも、リアルにあんな感じなのかもしれない。
全体的に地味なんだけど、見た後にジワジワと良い作品見たなという充実感はある。
家族 × 夢 × 是枝さん?ポスト・パラサイトという新たな時代の地平線を描く感動のドラマ!
【garden】歳月の流れを丹念に丹念に積み上げていく。ある家族のポートレートに親近感を覚え、心痛む --- そして深い感動。スティーヴン・ユァン × ハン・イェリの熱演に心掴まれる。何においても考え方が違い、対立する、何かと喧嘩ばかりの主人公夫婦。自分のプライドや夢、自己実現に固執するジェイコブと、家族のために地道に堅実にタグ生きていきたいモニカ。撮影も音楽もすごくよかった。ユーモアのセンスも抜群。子供への演出・距離感や、樹木希林さんが演じるのを想像できるようなクセのあるファンキーなおばあちゃんなど、是枝監督を彷彿とさせるものがあった。それほどまでに皆魅力的で印象的なキャラクターたち。特に、アカデミー助演女優賞も期待できるおばあちゃんと、ウィル・パットン演じるポールがいい。素晴らしい。おばあちゃんに関しては、本編の途中である変化が訪れてからの演技もすごく、その振り幅に引き込まれてしまう。『フェアウェル』とはまた違う形で、おばあちゃんという存在に想いを馳せる作品。
《信仰》現実の壁に敗れ、今まで存在を信じてこなかった不思議なものに頼るという心境の変化。自分ではどうしようもないことを祈ること(ex. 天候、水源、病気)。人に頼っても、運に頼っても、神に祈ってもいい。ヒナのオスの廃棄というのも主人公ジェイコブにとって、どこか示唆的。農業での成功を夢見ているというキャラクター設定ではあるものも、誰のどんな夢にも落とし込めそうな普遍性は、まさしく映画としてのあるべき姿。ミナリ〜ミナリ〜ワンダフル♪視点人物的立ち位置の長男デビッドは、ペニスがブロークン、ディンドンがブロークン?露の水ことマウンテンデューはそりゃ美味しい。雑魚寝、冒頭の方の草原カット、そして水調査という差異を伴う反復からの、時の流れを感じるタイトルに帰着するラストシーン。そしてエンド始まった瞬間に鳥肌。しっかりと生活があった。何気ないどの瞬間も愛しくて、最後には骨の髄、魂の芯の琴線まで沁み入るような。何週間たっても、何ヶ月たっても、きっと思い出してしまうだろう。
ポスト・パラサイトと言えそうな新たな時代の到来を実感する地平線を描く。毎年賞レースに絡むA24 × PLAN B = 『ムーンライト』最強タッグ再び!! 本作で製作総指揮も務めるスティーヴン・ユァンは、"『ウォーキング・デッド』の人"から映画俳優、それも作家性強く本当に意味のある素晴らしく実のある作品に相次いで出演する実力派に華麗に変身を遂げた。今年度の賞レースを賑わせている2本柱、本作と『ノマドランド』共にアジア人監督が描くアメリカ。だから、仮定の話をしても仕方がないって分かっているのだけど、考えずにはいられない。『万引き家族』がもし今だったら?…と。違う結果になっていたのでは、と。それだけ『パラサイト』が映画史的にも重要なランドマークになり得る一大事件として風穴を開けるに相応しい突破口として凄かったということに尽きるのだろうが。この監督が撮る実写『君の名は』ならオリジナルより見てみたい。
邦画を観てるようだった。。
韓国映画、20年ほど好きで観てるけど。。
こんなに、穏やかで淡々と、それでいて愛情深い作品は少なかったように思う。。
少年の理想とする、おばあちゃんではないけれど、大切な家族になっていく様が愛しい。
ラスト、大切なものを失わずに良かった。。な。
アカデミー賞最有力ではないよ
韓国映画がパラサイトでアカデミー賞取ったからって、これもアカデミー賞最有力ではないよ。いくらなんでもハードル上げすぎ。
予想していたような映画ではなく、普通の家族の話。亡くなった自分の祖母を思い出した。花札と賭け事が大好きで、働き者だったなぁ。戦争中はいろいろ大変だったみたい。ホンワカした。。、
ありがとう、おばぁちゃん。
私は日本人なので、日本人だったら、、、と思ってしまう。
英語と韓国語が混在するところが、ひとつの重要な意味があるんだけど、字幕にしたら同じ日本語だ。
韓国人が見ると、母国語と英語が混じるので、見え方が違うんだろうな
もっと差別や事件が起きると期待してしまった。
なんたってアカデミー賞最有力候補だし。
と、思わず観てしまったのでキャッチコピーとしては優秀。
観賞後、親子や夫婦愛の事がジワジワと込み上げて来る感じ。
韓国移民の家族がアメリカの田舎に土地を買って農園を営んで行くストーリー。
父ジェイコブの強引な決断に家族がついていく展開。
物語にはイベント的な要素も無く、淡々と進む感じ。
だけど所々で笑えるシーンもあって作品に引き込まれてしまった印象。
音楽も美しいんだけど全く邪魔にならなくて映像に溶け込んでる感じがとても良い。
本作のタイトル「ミナリ」の意味を観賞中に把握。
野生で成長するミナリを家族の成長に比喩したタイトルと勝手に理解。
とても良いタイトルと自己満足(笑)
観賞中、何故か自分の母の事を思い出したんだけどラストのメッセージで納得。
自分と同じ世代の人は共感出来る作品かもしれません。
韓国の方が喋る英語がとても聞き取りやすい(笑)
そこだけは字幕を見ないでもOK( ´∀`)
アメリカだから絶大な評価をされたであろう作品
アメリカに移住してきた韓国人家族の日常や苦悩、奮闘を描いた監督の半自伝的作品なので、よく言えばリアル、悪く言えば淡々とストーリーが進んでいく映画。困難に直面する家族のストーリーや、その中でもなかり濃いキャラのおばあちゃんなど個人的にはいい作品だと思ったが、これは共感出来る人が多いアメリカだからめちゃくちゃ評価されているのであって、アメリカ人が「北の国から」を観て感動していい評価をするのか…?と言えばしないだろうし、日本ではそんなにウケないと思う
ただ退屈..
冒頭から丁寧に描いてあり、画面に重厚感がある。役者の演技も秀逸。
好みとしては好きなジャンルの作品ではある。でも本作は、少なくともテーマはよくつかめなかった。そこに最後に出た「すべてのおばあちゃんに捧ぐ」は突然、どうした?という印象。
映画のエンターテイメント性は皆無。
話はいたって単調で、2時間足らずの映画が、長く感じた。
隣の席で泣いている人がいたので、感動する人もいるのだろう。
観終わってからジワジワ来る
アーカンソーの厳しく美しい自然の中で、韓国人家族のありのままの姿と家族の再生描いてみせた良作。
観終わってからジワジワ来る。
なんだろう、こんな風にジワジワ来る作品は記憶にないな。知り合いの韓国人家族が今どうしているのか想っているみたいな…
「ミナリ(セリ)」のエピソードも効いてて、後味も良い。
家族の自然な演技(子役がスゴい)もさることながら、ポール役のウィル・パットンの存在感がすばらしい。
韓国系アメリカ人の存在の証明となる作品
アカデミー賞作品賞にノミネートされましたね。
『対抗』という位置付けでしょうか。
舞台は1980年代のアメリカ南部はアーカンソー。カリフォルニアからこの地に引っ越してきた韓国系アメリカ人の家族を描いた。
父親は妻とともに働いて貯めたお金で荒れた土地と古びたトレーラーハウスを購入した。年間3万人という韓国からの移民をあてに、韓国の野菜を育て成功しようとするがままならない。
成功への強い思いが父親を迷わせた。家族を第一と考え堅実な生活を望む母親との距離が広がった。
韓国から呼び寄せたおばあちゃん(お母さんの母親)が救世主になるかと思いきや。
ラストの悲劇は呪縛からの解放でもあった。
おばあちゃんが植えたミナリ(せり)が川辺に生い茂った。そこに眩いばかりの太陽の光が降りそそいだ。やはりおばあちゃんは救世主だった。
これは監督のリー・アイザック・チョンや父親を演じたスティーブン・ユァンの子供の頃のお話し。多くの韓国系アメリカ人にとって存在の証明となる作品だろう。
淡々と流れる小川(又はその土手)のような佇まいの家族の姿
「ミナリ」とは韓国のセリ(水辺の野草)のこと。 タイトル「ミナリ」は、アメリカの田舎に新天地を求めて移り住む「家族」のメタファー?
そして、映画のストーリーは、まさに「水」が紡いでいきます。
田舎の中のさらに田舎に(「土」がいい土地を探し)移り住んで来る韓国人家族。(仕事はヒヨコの雄雌鑑別選り分け/舞台となった時代、韓国人が就ける下働きな仕事のひとつだったのか?)。
裕福ではない、でも貧しさに潰されていない4人家族の移ろいを描いていきます。
4人一家、一人ひとりの眼差しは、必見です!
父が井戸を掘る適地を小さな息子に問う「水はどこに集まる?」
移り住んだ家は雨漏りするトレーラーハウス。
不安に駆られた母は、唯一の肉親である母(おばあちゃん)を呼び寄せたことから、話が膨らみ、展開していきます。
曲者のおばあちゃんは、一家が住むトレーラーハウスからち離れたところにある小川を見つけて、韓国から持ってきた「ミナリの種」を蒔く。〈韓国人にとって「ミナリ」は、薬味であり、万能野菜であり、香料、体調安定の源!〉
野菜づくりのため井戸を掘るが、なかなか水は出てこない。野菜づくりもうまくいきません。
井戸掘りで疲れきった夫の頭を洗う妻。夫は頭をうなだれて、石けんを洗い流す水の中で、涙する。このシーンは、意味深く、圧巻。
場面場面、一家4人の、一人ひとりの表情、眼差し、素振り
素晴らしい!!です。
不便で、病気持ちの子育てに不安が募る妻は、都会に戻ることを心に決めるが、
息子の心臓の具合は、好転していた!(定期診察した医者は、その理由は「水」がいいからと)・・・移民の生活は、こんなふうに翻弄されたのだろう。これは、私たちの日常も同じか。
と、映画は進んでいきます。
が、作品は重くないです。
映像も暗くないです。
カットカットの映像が、印象的で、美しく、希望が膨らみます!
製作予算が限られた中でも、いい映画は、生まれる!
監督に、拍手👏です!
また一つ、韓国映画が名作を世に放ちました。
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