「傀儡政府の罪」ホロコーストの罪人 MARさんの映画レビュー(感想・評価)
傀儡政府の罪
第二次世界大戦中、ホロコーストに加担したというノルウェーの秘密警察の手により離れ離れとなるユダヤ人の家族を描いた作品。
終始とにかく重い作品。ホロコーストについては、ナチスの重罪として当然知っていたが、ノルウェーがこういった形で関わっていたとは知らず。このテの作品は何度見ても、新しく哀しい発見がありますね。
実在したブラウデ一家に起こった悲劇を中心に描き、映画作品としてのエンタメ性等々は粗皆無。
幸せな日常が一転、罪もなくバラバラにされる家族。男達が連れていかれたのはベルグ収容所。
例の如く、ナチス兵に酷い目にあわされる毎日だが、家族一緒なのがせめてもの救い。収容所長の蛮行後、チャールズを囲み笑いあう家族。せめてもの救いですね…。
同じ頃、家に残った母親も財産差し押さえの目に遭い。。情けはあるって、どういう気持ちで観れば良いの?
収容所では急に2グループにされるユダヤ人達。お父さんの判断、最初は「何故?」とも思ったが、何となく予感がしてたのでしょうか。まぁいずれにせよバレちゃったらよりマズかっただろうし。。
直後のチャールズのせめてもの抵抗に少し胸がアツくなった。
そしてクライマックスは胸が締め付けられる。大切な人と共に、ってのが僅かな慰めかな。
全体を通し、テンポは悪くないものの、あまり起承転結というか起伏を感じさせない展開。映画を「楽しむ」という作品ではないのである意味当然ではありますが。
ホロコーストに加担したということであれば、確かにそれはノルウェーの罪ではあるけど、言うまでも無くそもそもの悪は別の所にありますからね。実際に、当時のノルウェー国家を操っていたのはナチスなんでしょうし。
終始悲しい作品ではあるが、その中でも助け合う家族の心強さに勇気づけられた作品だった。
2021年現在も各国で様々な事が起こっておりますが、武力や金をちらつかされて正義が屈するようなことがあってはなりませんね。
あと、これも事実に沿っているのかもしれませんが、ハリーに比べてイサクが何となく冷遇されているような…?