明日の食卓のレビュー・感想・評価
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子は鏡で見る親の姿
重たい話です。辛辣です。
子供は親のダメな部分を吸収して映し出していく「鏡」である、と。
実は躾(しつけ)なければならないのは、子供ではなく親自身なのではと、本作は突き付けてきます。
子どもは人格を持った存在で思い通りにはならない。
そして、親自身も完璧ではなく、感情コントロールなどできない未熟な存在である。
カッとなって子供を殺めてしまうなんて局面は、誰しもありえることで、特別なことではないという厳しい現実。
3人(+数人)の母親は、女性に対し「よくいる貴女自身ですよ」と語りかけているようでした。
同時に、「女性を苦しめるのは男がダメな場合がほとんどだ」というメッセージになっている気がしました。
出てくる男がどいつもこいつもダメ人間。
そんな親たちを、子供はよく見てるんですよ、と。
善人の仮面をかぶった悪人だったり、我儘で暴力的だったり、異様に気を遣って辛抱強かったり。
それは、親の姿そのものなのかもしれません。
タイトルなし(ネタバレ)
日本各地の三組の石橋母とユウの親子。
ひとつは神奈川県に住むフリーライター・石橋留美子(菅野美穂)。
かつては売れっ子の雑誌ライターだったが、いまは自身のブログを書く程度の、いわば元ライター。
彼女には10歳の長男ユウのほかに次男がいる。
カメラマンの夫(和田聰宏)は家事にも子育てにも非協力的。
ある日、留美子にかつての出版社から仕事の依頼が入る。
が、同時に、夫は連載写真の仕事をクビになってしまう・・・
つぎに静岡県に住む専業主婦・石橋あすみ(尾野真千子)。
裕福な夫(大東駿介)の実家の敷地内に夫婦の住宅を建て、優等生の息子ユウと三人暮らし。
夫は毎日、東京までの遠距離通勤。
母屋に暮らす義母とは、育ちが違うせいか、なんとなく反りが合わない。
そんなある日、ユウがイジメをしていると、被害者の母親から電話がかかってくる・・・
さいごは大阪郊外に暮らすのシングルマザー・石橋加奈(高畑充希)。
みるからに・・・の貧乏所帯、長屋暮らし。
借金を抱えながら、コンビニとクリーニング工場の仕事を掛け持ちして凌いでいる。
そんな中、経営不振を理由に工場をリストラされてしまい、追い打ちをかけるように定職に就かない弟(藤原季節)が事態を悪化させてしまう・・・
といった物語で、書いたところまでで、映画は中盤を過ぎています。
つまり、前半は、事ここに至るまでの様子を丹念に描写していて、「早く事件が起こらないかしらん・・・」と普通のサスペンス映画を期待しているとイライラするかもしれません。
ま、サスペンス映画?というような先入観を抱かせるのは、「息子を殺したのは、私ですか・・・?」というキャッチコピーのせいなんですが。
この惹句がなければ、リアルな三組の母子の物語、と観、そして、そのとおりに作られているのですが、この惹句がことで、映画にある種の謎(隠された真実、と言い換えてもいい)が沸き上がり、隠された真実が終盤、一気にあらわになってきます。
その仕掛けとして用いられているのが、三人の子ども・ユウのモノローグで、冒頭からモノローグが用いられているにもかかわらず、「母親の物語」として映画は語られ、観客も「母→子の物語」として観ることなります。
が、それぞれの母子のハナシにある種の違和感を中盤以降感じるようになり、子どもたりのモノローグにより、物語の視点が「子→母」へと転換します。
転換することで、隠された真実があらわになる・・・
なかなか上手い脚本と演出です。
出演陣では、母親役いずれも好演。
個人的には、大阪ネイティヴの高畑充希が、30歳をこえたばかりの大阪の若いおばちゃんになっていて、ビックリでした。
男優陣は、いやもう、ゲスばかりで・・・って、俳優さんたちが悪いわけではないんですが、現在の家族関係においては男性はまったく機能していない(というか役立たず、むしろ害悪)と描かれており、同性として居心地の悪いこと悪いこと。
あらすじには書きませんでしたが、山田真歩、烏丸せつこ、真行寺君枝、大島優子の女優陣も好演です。
男優陣では、静岡在住の石橋あすみの実父役・菅田俊がいい男性役を演じていました。
高畑充希の肝っ玉母ちゃん感が良い
同じユウという名前の子供を持つ3人の立場も住む場所も階級も違う母親たちを描く話。
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最初に1人のユウという名前の子供が母親に殺されることが提示されてから、3人それぞれの描写が始まる。生活の苦しいシングルマザーに、裕福そうな家庭の専業主婦に、共働きし始める中流階級の母親。
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全く立場が違う3人でも、誰が1番大変で誰が1番幸せそうかという優劣を全くつけない描き方で、この映画の終着点「自分の子供を殺した彼女は自分だったかもしれない」へと向かっていくのが良い。
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そして、一見良い奴に見える2人の旦那と1人の弟の3人の母の周りの男たちは、何か問題が起きるとたちまちダメになる。比較的男の人の方がダメージを受けやすく、肝心な時に全く頼りにならないというのが頷ける。
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男たちをダメ人間に描く一方で、3人の母以外にもあすみの姑さん、加奈のお母さん、加奈にコンビニで絡んでくるクラスメイトのお母さんなどそれぞれの母親にも目配せが行き届いているのが暖かい。
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母の抱えるもの・・☆
2時間を超える映画なので、長く感じるかな・・と思って行ったが、
場面展開が絶妙で全く長さを感じなかった。
菅野美穂、尾野真千子、高畑充希がとにかく上手い。
個人的には、高畑充希のエピソードが好きだが他の二人のものもとても良かった。
この物語は、三者ともそれぞれに共感する人(特に女性は)多いのではないか・・
母となって、子供を愛してもそれ故に振り回されて自分の存在さえも
脅かされていく。
子育ては綺麗ごとではなく、闘いの連続。
それに、夫やその他の家族が絡むので 余計に複雑になっていく。
少しの救いのメッセージはラストに示されるものも解決されるわけではない。
闘いは続く。。でも、自分のため、子供のため母は闘いつづける。
菅野美穂、高畑充希、尾野真千子の三者三様の家族模様
タイトルなし
私に子供はいないけど、うまくいかない日常の苦しさはわかる
人と関わることは綺麗だけではいられないし、好きだけでもいられない
愛してるけど憎らしい
苛立ちは募るしやるせない、怖いし面倒だし
でも何よりも大事
誰かに対しての両極端な感情は同時に存在するものだと思う
いつも天秤の上にいて、毎日毎秒いったりきたりして振り切ってしまった大島優子は子供を殺してしまったんだろう
でもその振り切ったのと同じ分量で愛しいと思ってたんだと思う
人間はままならないし、ましてや子供なんて思春期なんて、自分を形成してってる過程だし、だからって何もわからないわけではなくむしろよく大人を見てるし空気も読める、だから一人で苦しんでる
子供の頃はよく、大人は何もわかってないと思ってた
必死なんだよなと思う、抱えすぎて見きれないのだと思う
だけど3人のユウくんはただ、自分達を見てもらいたかっただけなんだと思う
余裕のない親達に、自分の気持ちを汲んでもらえないまま孤独が募って他人を実験したり、我慢しすぎたり、父親のマネみたいに弟に暴力ふるったり
「聞きたいことあるの、実験やってみてどうだった?」ってセリフがよかった
初めて本当にユウのことを見たんだなって伝わった
彼は苦しかっただろうな、祖母が認知症なのも家族が破綻してることにも一人で気づいてて
自分が嘘のいい子でいることを両親が1ミリも気づかず、上手くいってるって思ってるのを見るほど、自分をほめるほど、孤独を感じただろうな
誰も自分をちゃんと見てないことを突きつけられるのと同じだから
だから優しい子のはずよね?とか正直に生きろとか言われるより、本当のユウが今どう思ってるか聞いてもらえてうれしかっただろうな
一番大切なのは、完璧で失敗なくあることじゃなくて間違えたりどうしようもなくなった相手をそのまま受けとめて引き受けて一緒に同じ方向を見ること、そしてあなたが大切だよって伝え続けること
難しいよね、現実でもなんでそんなことするの?ってことされまくったら殺意わくし、そんなことをした相手の心情を察してあげ続けるなんて本当に根気がいる作業だと思う
親はすごい
どうしようもなくなった時、それでも大切なものはなんだろう?って向き合える勇気が必要なんだと思った
現実から目を反らしたくなっても、今を受けとめること、もし本当に失くしたら自分は生きてけるのかを自分に問うこと
それが出来たら生きていけそうだと思った
難しい題材を描こうとする姿勢は良かった
難しい題材を描こうとする姿勢は良かった
が、3人の女性主人公のストーリーはそれぞれ独立していて全くリンクしていない
3人+1人の子供の名前が同じだからリンクしてると言われても無理がある
人間って同姓同名の人間だけに興味を持って生きてるわけではないからだ
だから、別の話3つをただカットバックで見せられているだけで、そのカットバックのタイミングはすべて監督のご都合だ
キャラクターがアクションを移したから必然的に場面転換するわけではない
そして、主人公それぞれの子供たちの心情や葛藤はほとんどが描けていない
大事なポイントはモノローグで語らせるし、最後は何がキッカケで心変わりしたのか、子供側のカタルシスはなぜ氷解したのかが分からないまま終わった
まぁ、3人も主人公がいればさらに子供側の心情まで丁寧に描く時間が無いのは分かるし、だとしたら主人公を1人に絞ってくれたら良かったと思いました
厳しい指摘もしましたが、この難しい題材を描こうとする心意気、作家の視点には拍手を贈りたくなる映画で間違いないです
尾野真千子さんも単独主演だからといって茜色の宣伝だけするじゃなくて、こっちの映画を世間に知ってもらった方がよいかなと
普通の人だった。私と同じ。どこにでもいる、普通のお母さんだった。
三人の"石橋ゆう"と、それぞれの母親。その三組の母子のごくありふれた日常。十人十色と言わんばかりに、三組三様の家族環境。子への接し方も様々。でも、子を思う母の気持ちは一様に愛にあふれている。痛いほど、その子のために生きている母親。三人の演技がそれぞれいい。尾野真千子は「茜色に焼かれて」とは違った母親を見事に演じていた。菅野美穂の苛立ちはまるで自分にも心当たりのあるものだった。特に高畑充希が追いかけて抱きしめた時、こっちまでぎゅっと抱きしめられた気分だった。そんな、あふれんばかりの愛がありながらも、当たり前だと思ってた日常がささいなことから転げ落ちていこうとする怖さ。それがどこにでもありそうで、自分にもありそうで、それゆえ感じる背筋の寒さ。
予告でいう「息子を殺したのは私ですか?」にはオチがある。(映画ニュースなどは目にすると、見当がついてしまうので見ないほうがいい。)その言葉が気になって、観賞中、それは誰だ?、という犯人捜しの目線になってしまうのは、良し悪し。ミステリーとして見たければ良し、三人を思いやりたい気持ちで応援したいなら悪し。
時間に追われる。
貧乏から抜け出せない。
周りを気にしておろおろする。・・・
精神的に追い詰められ、そのことで忘れてしまう、一番大事なもの。
子を持つ親なら、ああこれあの時の私だ、あああれはあの時の俺だ、という疼きが必ずある。あって当たり前。もし全然ないというのなら、それはそうとう稀な幸せな家族なのか、そうそうお気楽な危機察知能力の欠けた家族だろう。
そうか瀬々監督か。監督の撮る作品は多彩だけど、中でも社会派がいい。「楽園」「64」「友罪」、特に「悪党」がひりひりしてたまらないなあ。
結婚して子供がいたら幸せなんて、誰が決めたのか?
菅野美穂に感情移入して最後まで観ました。
職場の人には「いいお母さんだもんね」と言われますが、鬼のように怒りまくって、脅しのように威嚇して、子供の態度に感情爆発すればコントロールもできません。
育児書のようにはいかないのが子育て。
逃げ出したくても、逃げられない。
投げ出したくても、投げ出せない。
そんな想いを抱えながら、みんな必死に子育てしている。
私も石橋ゆうくんたちの母親と何ら変わりない。
自分だけが辛い想いをしているんじゃないかと思うときもあるけど、それぞれがそれぞれの環境で辛い想いも優しい気持ちも抱えながら生きている。
今日は帰ったら、子供たちに笑顔で抱きしめることができるように。
案外、帰るといつも通りになる気もしますが…💦
速水輝也の助けが必要
ワンデーフリーパスポート最後は「明日の食卓」です。
特段期待している訳でもなくて、かといって期待していない理由もない。なんとなーくで見よっかな〜と思ってたので鑑賞。
いやいや、面白いじゃないですか。
かなり見応えもあって考えさせられる。
この映画、結構好きですよ。
同じ学年で同じ石橋ゆうという名の男の子を持つ3人のお母さん。1人目の石橋ゆうのお母さん(菅野美穂)は、出版社で働きながら鬼ママと題してブログを書いている。2人目の石橋ゆうのお母さん(尾野真千子)は、姑の家の隣に家を建て専業主婦をしている。3人目の石橋ゆうのお母さん(高畑充希)は、シングルマザーとして朝から晩まであらゆる仕事をこなしている。
3人の話をひとつの映画にするのは難しい。
偏りがあったり、浅くなってしまったり、3人それぞれの終え方が難しかったりと結構大変。
だがこの映画は、3人均等に話が組み込まれており、その上でかなり考えさせられるほど深い脚本で、終え方もなかなか上出来。「糸」の監督とは思えないほど構成がしっかりとしていて驚き。
中だるみを懸念していだが、大丈夫だった。
凄くのめり込めて、あっという間にエンドロール。
結構ビックリした。この手の映画で「あっという間」という感想を抱くとは思わなかった。
しかも見応えがかなりある。
誰にもぶつけられない子育ての大変さ。子どもは想像以上に気を使っていて隠し事も沢山しているし、親が知らない部分も持っている。3人の家族を通して色々なことが考えさせられ、胸を打たれ、かなり沁みた。
また、役者全員輝いている。
菅野美穂の仕事は出来るがあたりの強い鬼ママ、尾野真千子の思いを口に出せない冷静沈着な母、高畑充希の息子の為に最善を尽くす優しいオカン、そしてその息子たちである「石橋ゆう」役の子役、夫や職場仲間、友人など全員印象に残る素晴らしい演技をしている。特に菅野美穂の叫びは恐ろしさと共に悔しさが垣間見えて、彼女の演技力の高さに驚かされる。個人的には高畑充希の関西弁母ちゃんがスゴく好きでした。役幅広っ!
ただ、ラストはどうかなと。
結構呆気ない終わり方で、菅野美穂一家単体の締め方はすごく良かったのだが、そっからが蛇足っぽくて何だかなと言う感じ。無理して繋げる必要あったのかな。繋げるにしてももっと綺麗なやり方があったのでは?
あと、予告とポスターが悪い。
確かにこれは動員少ないだろうなと思う宣伝。
予告は大袈裟で、ポスターはなんの映画か分かんない。非常に勿体ないなと感じた。
他にも尾野真千子の家族に疑問が残ったままだったが、全体的に見ればなかなかよく出来た映画だなと思った。不意の当たりはやっぱいいですね笑
あ、余談ですけどタイトルの速水輝也ってのは「騙し絵の牙」という小説・映画の主人公です。
見える子供、見透かされる大人
優、悠宇、勇とそれぞれ字は違う「石橋ゆう」という小学5年生の息子を持つ母親3人の子育てと家族の話。
ブログがどうちゃら程度のすれ違いはあるけれど、基本絡みのない3つの話のオムニバスを同時進行でみせていく。
優等生の息子を持ち波風立てず面倒な事から目を背ける母親、良い子過ぎて溜め込む息子に知らず知らず頼る母親、わんぱく小僧だけど彼なりに考えていることに気づけない母親等、勿論映画なので極論に近い話ではあるのだけれど、現実にもあり得る流れで、噛み合わなくなっていく姿が、恐ろしくもあり悲しくもあり胸が痛い。
あっ、あとダンナはことごとく…w
4人目をフリにも出来るし、他のケースでいくらでも続編つくれそうだけど、あまり楽しんで観る作品じゃないしもういいかな…。
我が家も!
共働きで財布も別、高1・中1の男の子がいる!
毎日子供達はお菓子を食べ、コミニケーションの
時間も少なく凄く気にしていた。
去年のロックダウン時に仕事も少なくなり
自営業だったが仕事を辞めて主夫になった!
生活費は以前と変わらず、
言われた額を渡している。
嫁は何年も前から不誠実で、
毎年の運動会も昼食になれば
自分だけコンビニ弁当を買いに行ってた
何年も会話すらまともに出来ずにいる!
昨日の鍋は嫁が作ったが、食べるのがほとんどなく
子供の前で「もう別れようか!」って
ボソッと言ってしまった・・・
重い空気の食卓で子供達は黙っていた。
予備知識なく映画を見て、
菅野美穂の夫婦と正に同じで、胸が苦しい!
今から家に帰り夕食の準備をする。
子供達を思い、自分の事を思うと
この「試練」がどうしても辛すぎる!
映画の中もそうだが親と子には愛がある
それがせめてもの「救い」!
反出生主義
とても良いストーリー
母子のそれぞれの模様が描かれているさくひんだったが、役者さん、演出...
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