キル・チームのレビュー・感想・評価
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彼らは自ら“キル・チーム”を名乗った
本作を監督したダン・クラウスは短編ドキュメンタリーから出発した人で、アカデミー賞短編部門に2作品がノミネート。初の長編ドキュメンタリーとなった2014年の「The Kill Team」では複数の映画賞を受賞している。さらに同じ題材で今度は劇映画の監督に初挑戦したのがこの「キル・チーム」だ(米では2019年公開)。 アフガニスタンでの「メイワンド地区殺人」は米国民に大きな衝撃を与えたという。イラク戦争時の米兵による捕虜の拷問や虐待は日本でも大きく報じられたが、より罪深い同事件については、この劇映画で初めて知る人が大半ではないか。アフガンで任務に就いている小隊の兵士らが、新たに着任した軍曹にそそのかされ、無実の住民を殺害していく(射殺した後で遺体に武器を持たせるなどのやり方で正当化する)。この小隊の連中は自ら“キル・チーム”を名乗っていたというから驚くやら呆れるやら。 主人公の若者は、上官や仲間に認められたい思いと良心の呵責との間で葛藤する。“密告屋”と疑われ、身の危険も感じる。彼の視点でストーリーを語り、追い詰められていく状況を観客に疑似体験させる点で、やはりドラマの表現力が勝るのだろう。派手さはないものの、確かな心理描写でじわじわと戦争の暗部をつきつけてくる力作だ。
ラストは、もう少し盛り上げて欲しかった
アフガニスタンで民間人虐殺事件に巻き込まれた新兵の苦悩を描く物語。 シリアスな人間ドラマです。 私ならどうしたでしょう。貴方ならどうしましたか?そんな問いかけをしたくなる映画です。 「戦争」、「隣り合わせの死」、「明らかな殺人」。 それを詭弁を弄して正当化する古参兵、それに同調する戦友、リンチ。 新兵の受けるプレッシャーがしっかりと描かれていて、好感が持てる映画です。 ラストは、やや簡単過ぎるように感じられたのが残念。実話をもとにしているので仕方ないのでしょうが、映画としてみた場合は面白味に欠けるように感じられとても勿体なく感じました。 私的評価は3.5にしました。
こんなことを軍隊がしてはいけません!
新しく来た軍曹は、敵の軍人ではなく、武器も持たないなんの罪もない一般人を襲う。不抵抗な人をゲーム感覚で部下に殺させる。反感を覚える主人公はほとんど仲間はずれ的なイジメを受ける。 結局は先にリンチを受けて病院送りになったメンバーに軍曹はじめチーム全員訴えられるんだが、もし、それがなかったら主人公も病院送りか殺されていたかも。 こんな人物が軍曹になってはいけないよな。
ちょっとしたホラーより怖い。
作品の主人公が、事件に気づいてからの緊張感が凄すぎて。 あんな状態の中、兵舎のベッドでなんか寝られないよ。 でも実際に起きた事件を映画化できるっていう事はすごい事だと思います。 なかなか難しい事だと思うけど。 日本では実話をそのまま映画化する事自体難しい事だと思うので。
大義が持つ怖さ。最前線で起きた、衝撃的な真実とは。
【賛否両論チェック】 賛:自分達の正義を追い求めるあまり、次第に人の道を踏み外していってしまう恐ろしさを、身を持って体感させられるよう。 否:ストーリーはかなり淡々と進むので、関心を惹かれないと眠くなってしまいそう。グロシーンもあり。 物語は非常に淡々と進んでいきますが、扱う事件の内容が衝撃的なので、観ていて思わず引き込まれてしまいます。 自らの正義に固執するあまり、次第に過激な行動へと傾倒していく怖さを、アンドリューの物語を通して追体験させられるようです。ディークスがアンドリューへ語る、 「“俺”が殺すんじゃない・・・“俺達”が殺すんだ。」 というセリフが、非常に恐ろしく感じられました。 急な戦闘シーンに驚かされたり、グロシーンもあったりしますが、決して目を逸らしてはいけない紛争の悲劇を、是非ご覧になってみて下さい。
正解と逃げ場がない戦場の中の戦場
力と数を手に入れるとその道が善悪関係なく巨大になっていき、その道を「是」とする流れが生まれていき、少数派は葛藤の中で巻き込まれていきます。 犯罪者が共犯者を生み、共犯者は新たな共犯者を。 これが事実というから恐ろしいです。 いや、もしかしたら裁かれた事案だったから明確になったからであり、もしかしたら氷山の一角なのかもしれません、、、考えたくありませんが。 負の連鎖、、、あくまで第三者視点では、、、当事者には然るべき連鎖であり、いつしかそれは満足感、充足感に変わっていく。 しかし、このような状況は戦場に限ったことではないのでしょう。声をあげられない、声を揉み消される少数派、多数派に入れるための精神的・体力的に追い詰められる少数派。そして、耐えきれず身を守るために苦渋の選択をし多数派に加わる。 数と力(暴力)はやはりどんな正論も打ち砕くのでしょう。 これはイジメもしかり、世界の国交しかり、普遍的なことのような気がします。 哀しいけど。 我々はこの正解のない社会をどのように生きていけばよいのか? 少なくとも、行動した者が馬鹿を見ない世界であり続けて欲しいと思うし、本件のアメリカの対応は希望を見出せるものだったと願いたい。 しかし、このアメリカ、、、武器売ってるんだよな。 なんだかな。 正解と逃げ場がない世界を僕達は生きていくんですね。
こういうのあるんだろうね。
軍隊ってこういうのあるんだろうね、というオンパレード。 訓練じゃなくて実際の戦場だけにストレス半端ないと思われる。 「皆で一緒に赤信号渡ろう。」 みたいな圧力には逆らえないだろうなと思った。
正義とは?
他所の国へ鉄砲持って乗り込んていけば、多少の差はあれ、こんなになるのかな。 アメリカの戦争、ずっとこれだもんね。 二等軍曹、彼の中には何があったのか? も少し見たかったかな。 派兵を決めた日本も遅かれ早かれ、こんな問題に直面するでしょう。 二次大戦までは教育のせいで、日本人は特に偉い事になってたから、多民族を殺すことのハードルは今よりずっと低かったと思うし、誰かがやらないと、っていう使命感も今よりはずっと強かったかと。 世界中、こんな未来が誰の身にも来ませんようにと、祈るだけです。
軍隊は構造的にいじめが起きる組織
本人がしたくないことを強要する事案は世の中に溢れている。悪いことばかりではない。飛び込み営業に行きたくない新人の営業マンを無理やり新規の会社の受付に押し出すといったことはよく行なわれているだろうし、それは新人の営業マンにとっての登竜門でもある。最初はしたくないことでも、そこを乗り越えてしまえば仕事として楽しくなったり、やりがいを持てたりするようになる。 しかし規範に反する行為を強要するのは、その行為自体が犯罪である。身近な事案で言えば、学校でのいじめがそうだ。いじめっ子にはリーダーがいる。リーダーが誰かを殴れと言えば、気が進まなくても殴らなければならない。そうしなければ次は自分がいじめられるからだ。そしてそれとそっくりな構図が世界中に蔓延している。 本作品もその例外ではない。特に軍隊という組織は特にいじめの構図が広がりやすい。国家の正義という後ろ盾があるから、正義を大義名分にすれば誰にでも難癖をつけることができる。加えて軍隊は究極のヒエラルキー組織だから上官の命令は絶対だ。上官がいじめっ子だったら部下に逃げ道はない。会社だったら辞めればいいし、学校だったら不登校になるか転校すればいいが、戦場にいる兵士はそうはいかない。軍隊という組織は構造的にいじめが起きやすい組織なのである。 それに他の組織と決定的に違うのが、軍隊は強力な武器を持っているということだ。スタンリー・キューブリック監督の映画「フルメタル・ジャケット」でも軍隊におけるいじめが扱われていて、徹底的ないじめを受けた新兵のひとりは上官を射殺したあと銃口を口にくわえてフルメタル・ジャケットの銃弾で自殺する。衝撃的なシーンだった。本作品を観て「フルメタル・ジャケット」を思い出した人もいると思う。 日本でも自衛隊内でいじめが多発していることは容易に想像できる。元自衛官がその戦闘能力を利用して交番を襲撃、拳銃を奪って人を殺す事件が複数件起きている。殺人以外でも元自衛官が起こす事件は多い。そのすべてがいじめのトラウマだとは言わないが、先程も述べたように軍隊という組織は構造的にいじめが起きやすい組織なのだ。 米軍は中東地域で反感を持たれている。そもそも2001年の9.11テロは、長期間に亘るアメリカの軍事介入に対する中東地域の人々の憎悪が凝集した事件でもある。もちろん肯定される行為ではないが、アメリカは中東地域における米軍の理不尽な介入がどれほどの怒りを生んでいるかを自覚していないフシがある。 戦場に赴任した兵士は、正義が自分たちにあると一方的に思い込み、自分たちに反抗する住民は不正義、つまり悪なのだと、単純に考える。赴任先の歴史など、必要な教育さえ受けていないのだ。本作品の軍曹の説教は、暴走族のカシラが新入りを説教するのとほぼ同じである。米軍にも暴走族にも哲学がなく、上っ面の間違った論理を振りかざす。 繰り返すが、軍隊は構造的にいじめが起きる組織である。いじめっ子の論理は虐殺の論理とほぼ同じである。軍隊は武器を持った巨大ないじめ集団なのだ。一刻も早くすべての軍隊を解体しなければならない。自衛隊も早く災害派遣隊などに組織変更して武器を取り上げたほうがいい。
正義がなければ、救われない
アフガニスタン戦争は、2001年10月7日から今も続いている戦争です。 もう20年間も続いている戦争です。 主人公のアンドリューの視点で観せる映画です。 私たちと同じように、戦争を知らない一人のアンドリューが 軍に志願し、退役軍人でもある父親に「正しいことをした」 と言われて、アフガニスタンに派遣されます。 アフガニスタンの風景は、ここで戦争をやっているのかという 美しい風景です。 アンドリューの上官は、アフガニスタンの民間人との友好を大切にする人です。 携帯電話を使用し、起爆された地雷の爆発により、この上官は爆殺されてしまします。 観客は、戦場での死の危険を感じさせて、最後まで戦場の死の危険にさらされる ところが良くできています。 後任の上官であるディークス軍曹は、アンドリュー達を率いて、 爆弾魔を捜索します。 アンドリューは、戦争では常に死と隣り合わせだという認識を徐々に 深めていきます。 アンドリューは、敵を倒すために人を殺すことは理解できても、 民間人を敵であると偽装し、殺してでも、戦果をあげることは理解できません。 映画を観ている人達やアンドリューは、危険を冒してでも内部告発すべきか、 民間人を敵であると偽装し、殺してでも、戦果をあげるべきなのかという 葛藤に悩まされることになります。 日本の社会でも同じようなことは起きます。 パワハラ、セクハラ、いじめで自殺する人はいます。 パワハラ、セクハラ、いじめを受けることを覚悟して、内部告発しますか? パワハラ、セクハラ、いじめを見逃して、加担し、自殺に追い込みますか? 菅義偉官房長官は「私どもは選挙で選ばれているから、何をやるという方向を 決定したのに、反対するのであれば、異動してもらう」と言いました。 異動を覚悟で菅首相が決定した何をやるという方向の反対しますか? 間違いを正すことをせずに菅首相が決定した何をやるという方向に従いますか? 菅首相に反対する人はいなくなりました。 賛成する人に囲まれた菅首相は、ただの「裸の首相」です。 菅首相は、日本を救いようが無い国へと導くでしょう。
主人公は何を夢見て前線に出たのか?
主人公が上官の悪事に気づき、葛藤する話。 罪のない民間人に罪をでっち上げ殺害。 でも、でっち上げなのか?上官が”爆弾の在り処を知らないのに、爆弾を避けて歩けるのか”というようなこと言っていたが、まさにその通り。 知っているから避けてた=爆弾の仲間=敵=だから殺す ”殺す”までの過程が問題。 証拠集めてる暇があったら、さっさっと処分しちゃお。 サイコパスな軍曹は効率重視なのね。 そもそも前線に出て活躍すると言うことは、多かれ少なかれそうゆうことなのだ。
大義なき戦争
戦争は武器と命を消費するマーケットでしかない。取って付けた「正義」を掲げ、ひたすら消費と消耗に尽きる。人も単なる道具であり、コストであり、先進国から遠く離れた第三世界において、事を無理矢理成立させる。「暇だから人を殺す。」「刺激が欲しくて人を殺す。」アメリカを始めとした多国籍軍の害でしかない行動に対して、アフガン人やISは怨恨と復讐の行動を示す。双方のトラブルの規模が大きくなればなるだけ、マーケットは拡大する。資本主義の欠陥がまさに、ここに現れている。戦争は無くならない。資本主義から離れて、あらたな社会形態を作り出さない限りは…
与えられない選択肢
優しく正義感の強い主人公アンドリュー二等兵が、アフガニスタンで民間人相手にも冷酷に容赦しない軍曹やチームの中で悩み葛藤し、ついに…という物語。 う~ん、非常に悩ましい映画だった。 我々の通常の仕事においても、上司や同僚との意見の食い違いはたまにあるし、自分が正しいと思っていても、それを通せないことは当然ある。 それでも、効率や結果に多少の差異はあれど、基本的にはそれなりの成果に結びつくことが多いでしょう。 しかしこれが人の命がかかった戦場での話だったらどうなるかというと。。 面白半分に相手をいたぶり殺害するのは言語道断だが、そんな心理になる軍人もまた戦争の被害者なのであろうか…。 アンドリュー側、軍曹側のどちらを擁護するつもりはないが、確かに正義感だけで乗り切れる戦争はないですよね。。辛いけど。 さらに、民間人のように見えて、急に自爆で巻き込むなんてことをしでかすかもわからない地域だし。 じゃあアンドリューはどうすりゃ良いのよ!? と、終始思いながら鑑賞した作品だった。 この結末は、果たしてグッドかバッドか。見る人によって解釈が変わりそうです。 ただ最後、軍にもこういうのが機能しているんだなと知れて少し安心した。 その他、特に印象的だったのは、中盤あたり、アンドリューとは正反対の同僚(友人!?)のレイバーンとの会話。 空砲ね…。決して良い話ではないけど、成程と感心してしまった自分がいた。恐ろしい。
良心と恐怖の葛藤
アフガニスタンで米軍が一般市民を殺害していたという事実に基づいた話。 誇らしい気持ちでアフガニスタンに向かったアンドリュー。上官が殺されたりする中で敵に対する憎しみも高まっていたところ、新しい上官と仲間が一般市民を殺害していることを知る。 あくまで良心に従って仲間たちを告発しようとするのか、裏切り者を探して服従させようとする上官たちになびいてしまうのか。良心と恐怖の間で葛藤する、一風変わった戦争映画でなかなか興味深い。 でも、そもそもアフガニスタンに米軍が出向いて何をするというのか。それが「正義」で誇らしい行動というそもそもの考え方に違和感を覚えた。その違和感を冒頭の軍曹殺害(爆破?)で吹き飛ばしてくる。中東での米軍はこんな理不尽なテロ行為を受けているんだという主張。武器や爆弾を隠し持っているかもしれないという疑心暗鬼な気持ちにさせる、なかなか巧妙な作り方だ。
【紛争、紛争の地】
こうした作品を観ていつも感じるのは無力感だ。 たとえ正義感に溢れていようが、支配や武力で優位に立っている場所では、こうした事件は起きる。 証拠がないにもかかわらず、さもあるかのように英米が中心になって始めたイラク戦争も思い出す。 戦争の原因はさまざまだと思うが、軍需産業を巻き込んだ政府と軍とのトライアングルが、自らの利益のために行動することも大きな要因であることは知って欲しい。 まもなく公開になるシャドーディールは、こうした産軍複合体を巡るドキュメンタリーだと思う。 アフガニスタンは、1978年の左翼政権の誕生から、翌年のソ連侵攻、1989年のソ連撤退後も、ソ連が支援する左翼政党とタリバーン・アルカイーダの間で内線・圧政が続いた。 2001年9月11日のアメリカでの大規模テロをきっかけに始まったアメリカのタリバーンへの攻撃による戦争状態は、アメリカなどが支援する政府誕生後も、反政府組織によるテロなどが頻発し、現在も継続中だ。 アレクサンダー大王が東征し、日本人にも馴染みの深いガンダーラがかつて存在、シルクロードの重要な中継地であり、カブールをはじめ美しい都市が多くあったアフガニスタンの人々に、長い間、安寧の日々は訪れていない。 このように書くと、共産主義国家だったソ連の侵攻が、現在も継続する紛争のきっかけだったように考えられがちだが、現代に続く紛争の大きなきっかけが、実は、イギリスの植民地支配だったことは間違いない。 アメリカは、こうした地域を植民地として治めたことはない。 しかし、ソ連のアフガニスタン侵攻に際し、反共の立場からタリバーンに繋がる反政府組織を支援し、ソ連を撤退に追い込んだ。 だが、ソ連撤退後の内戦では、タリバーンのイスラム原理主義的な考え方などへの反発もあり、支援を後退させていく。 そして、こうした支援打ち切りに加え、アメリカの中東政策への不信感が募り、911テロが醸成されていったのだ。 武器をでっち上げ、無実の人を殺害する行為は、数の大小に関わらず、虐殺だ。 こうした行為を許さないと、この作品にあるように裁判を開いて、ディークスのような人間を裁いたことは、ひとつの正義のあり方だと思う。 しかし、冒頭に書いたように、無力感しか残らない。 殺害された人はもとより、巻き込まれたアンドリューや家族も一生苦悩するに違いない。 それに、イラク戦争などは裁きの対象にはならないからだ。 戦争は一旦入ったら抜け出せないループのようだ。 世界の現状や分断を見るにつけ、世界から紛争がなくなることはないように感じてしまう。 アメリカ連邦議会での暴動を見ると、先進民主主義国家でさえ、こんな状態なのかと驚く。 だから、国のリーダーや、リードする政党には見識が求められるし、人々は政治を監視し、自らも律し、学ばなくてはならないのだ。
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