約束の宇宙(そら)のレビュー・感想・評価
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規律を破ってまでも約束を守る女性宇宙飛行士に疑問
女性宇宙飛行士の過酷な訓練に絶句!(エヴァ・グリーンのヌードはストーリーに必要なし)
母娘の心と関係性の変化が面白い作品
エヴァ・グリーンは2017年の映画「告白小説、その結末」で初めて見て、ずいぶん綺麗な女性が出てきたなと思った。ミステリアスな役だったので、余計にそう見えたところもあったと思う。 本作品の撮影時は39歳くらいだと思うが、相変わらずの美貌である。エヴァ・グリーンが母親となると娘はかなり可愛くなければならないが、娘のステラを演じた子役は、かなりどころか驚くほど可愛くて、整った顔立ちにフランス人形のような眼をしていた。 美人の母娘が登場すると、物語は当然ふたりの関係性の変化が中心となる。母親は宇宙飛行士だ。映画は、仲のいい娘と母親が物理的に離れなければならない状況になったとき、ふたりがそれぞれどのように感じて何を思うのかを表現する。製作者は子供のいる女性の宇宙飛行士の存在に着想を得たようだ。なるほど母親が宇宙に行くのであれば流石に娘は連れていけない。 母親のサラは自己実現と娘への愛情のはざまで苦悩する。もし父親であればそんなに悩まないだろう。映画は、子育ては母親がやるものだという意識が先進国にあっても未だに残っていることを描く。そして同時に、父親だけでも娘はきちんと育つことも描く。やや共依存の傾向があった母娘の関係が、母親の訓練で離れているうちに娘は人格的に独立して、出発する母親を気遣うことができるようになる。あるいは母親のほうが依存している面があったのかもしれない。 エヴァ・グリーンは本作品の母親役には美人すぎるところもあったが、数ヶ国語を操り専門知識も持つスペシャリストの役を上手に演じていたと思う。娘の成長に気づいて自分の精神性を抑制しようとするところもインテリらしい。母娘の心と関係性の変化が面白い作品である。
とても痛々しく観ていた・・・けどあの行動は・・・
娘を想う母、母を想う娘の切ない愛情を描いた物語。 胸が張り裂けそうな気持でずっと観ていました。 母親と宇宙飛行士を演じるエバ・グリーンの 心の揺れの動きが観ていてとても痛々しかった。 マット・ディロンはいかにもアメリカ人宇宙飛行士らしい妙役でしたが、 フランス人とアメリカ人の間をロシア人がとりなすチームバランスが 不思議な感じで面白かったです。 でも、宇宙飛行士として主人公のあのラストの行動は残念でした・・・ あのシーンで点数がマイナス0.5になっちゃいました。 あと、音楽が坂本龍一だったのでちょっぴり日本人として嬉しかった。
これでよいのか…?
女性宇宙飛行士をたたえ、親子の絆を描きたいのはわかるけど…感情論だけで娘を応援し、あげくの果ては規律を破って自分の感情を優先させちゃうなんて…宇宙飛行士ってそんなに軽いものなのか。マットディロンも半端なキャラクターやらされててかわいそうだったな。
久しぶりによかった内容。今週(16日)迷ったらお勧め。
今年56本目(合計122本目)。 タイトルからわかるように宇宙もの。天体ものというより、女性の宇宙飛行士を描く作品です。 内容的に若干、地学(天文)、物理(力学)に関する字幕がわかりにくいのですが、そこはまぁ許容範囲かなと思えます(それよりもまずい点が…。下記評価参照)。 「女性の」宇宙飛行士と言えば、サッカーなどスポーツやそれこそ映画のアクションを演じる人たち(「スタンドウーマン」でも描かれていた)に比べて、それほど過酷でもない印象は受けます。むしろ、多国籍で挑むことが多いので、最低限の練習に耐えられる体力以上に、言語にたけているなどの知識のほうが求められるようには一見すると思えます。 ※ この意味で、「多言語をマスターする」という点では女性のほうが長けているといわれるようです。 しかし子育て中の女性という立場ではまた事情は違ってきて、子供の面倒をどうするの?という問題がついて回ります。これは逃れられないのです。サッカー等では拘束時間はせいぜい3時間~5時間ですが、宇宙飛行士ともなると、拘束時間は数か月から下手をすれば何年単位というところになるからです。 とはいえ、それが理由で女性が特定の分野に入っていくのが遅れたり、事実上の壁が存在してなれなかったりするのであれば、男女同権という考え方は成り立ちませんし、男性だけで物事が進んでいく、ある意味「ひずんだ」状況になってしまいます。 子育てという考え方では、どうしても子供との面会(分別がわかる子ならまだしも、5~6歳らしき子に教えても難しい)は欠かせないので、そこは(この作品自体も架空の物語のようですが)常識的な範囲での面会はあるべきだし、子は親を選べないので、親である女性が宇宙飛行士を目指すという、子供にとってコントロールが効かない部分で子供が親と数か月~何年も会えないというのは子供に何ら責任がない事情なので、そこは(衛生面や、情報漏洩などをしっかりとした上で)認められるべきだし、それは本作品それ自体は架空の物語だけれども、「子は親を選べない」「女性の社会進出はどんどん進む」「男女同権は当たり前」なこのセットで考えると、「多少のルール違反は仕方なし」とも思えました。 最後に、実際に女性飛行士になった方々が紹介されますが、実に少ないです(日本人女性もいますね)。それだけ今でも女性の進出が遅れている分野で、その理由の一つに「体力的な問題」以前に、「子供との面会の問題」があるのであれば、将来のある子どもに帰責性がない以上、そこは何らかいわゆる「合理的配慮」がなされるべき…というのが訴えたかったのではないか…というのが私の見方です。 評価ですが、下記0.2で4.8を5.0まで切り上げています。ただ、結構「傷」は大きいです。 -------------------------------------------------------- (減点0.2) この映画、実はフランス映画です。ただ、上記通り、多国籍プロジェクトなので、ロシア語、英語(イギリス英語)、ドイツ語が出てきます(他にも出てくる?)。ただ、8割はフランス語です。訳はついているのですが、施設(訓練施設)の看板や注意書きまで訳がついておらず、しかもその訳の省略ぶりが結構多いので、何がどうなっているかわかりにくいところが多いです(ここが、「面会禁止」の核心の部分に係ってくる)。 「(この先)立ち入り禁止」を意味するフランス語の entrée interdite という表現は字幕での説明がないんですよね…。これ、かなり難しいです(フランス語における性数一致の論点まで書くと書ききれないので省略)。 一般的に見に行く層では英語の知識をフル活用するしかないですが、この単語、つまり「禁止」を意味する「似た語」を知っている方は少ないのではないか…と思えます。英語では interdict 「禁止する」で、フランス語から来た語です(フランス語:interdire「禁止する」 の形容詞、過去分詞が interdit で、性・数一致で-eがつく)。 ただ、フランス語にある程度でも教養がある方は少ないでしょうし、英語からこの訳されていない語を推測するには interdict を知らないと無理で、これこそ30,000語レベルの語彙です。なんでそこまで難しい表現に訳を入れないんだろう…。 ※ dict には「言葉」を意味する語で(→dictionary「辞書」もここから)、実はこの流れをくむのですが「言葉」という意味から「禁止する」を連想するのは、かなり難しい。 --------------------------------------------------------
【チャレンジを続ける女性と家族(※最後に、この日見かけた変な客情報あり😁)】
エンディングでも明らかなように、女性宇宙飛行士たちと、支える家族に対するオマージュだ。 考えてみると、男性は家族があっても宇宙飛行士を目指すという夢に違和感はないのに、これが女性になった途端、家族をどうするのかとか、様々な葛藤がのしかかると云うのは、仕事と家庭を両立させようとする女性へのプレッシャーと同じで、僕達の社会が考え続けなくてはならない課題でもあると想う。 (以下ネタバレ) サラの場合は、シングルマザーで、娘のステラは、失読症と計算が困難という発達障害を抱え、その負担は更に大きい。 しかし、同乗クルーも差別などなく、サラに対し協力的で見守るような寛容な姿勢を示している。 「完璧な宇宙飛行士なんていない」 「大変なのは帰還してからだ。自分たちのいない生活が当たり前になっているのだから」 ステラが思いがけず算数で優を取ったと云う報告がある。 自分が付きっきりじゃなくても、ステラは成長するのだ。 クルー達からは、励ましつつも、更にその先の普通の人間としての将来を見据えなくてはならないという人間らしいアドバイスも示される。 宇宙飛行士といえど普通の人間なのだ。 ただ、宇宙飛行士は、危険を伴うが、夢も膨らむ。 サラが母国語以外に、英語もロシア語も流暢に話しているのを聞くと、専門知識以外の不断の努力も尋常じゃないのだろうと、宇宙飛行士、特に、女性宇宙飛行士には改めて頭が下がる思いだ。 生理を止めないのであれば、パーソナルな持ち物を減らして、生理用品を詰め込まなくてはならないというのも初めて知って驚いた。 宇宙飛行士をテーマにした作品には、過度なスペクタクルを求めがちなのだけれど、淡々と日常にある葛藤を描いていたのも良かったと思った。 ※ (備忘録)TOHOシネマズシャンテ 17日(土)朝イチの上映 近くに座った男性が、本編開始後すぐ、靴を脱ぎ始めたと思ったら、更に靴下も脱いで、両方のの足を交互にシートに立てるようにしたり、他の足に組んで上にしたり。 見ると、足の指の(たぶん)間を手の指でいじっている。 更に彼の身なりを見ると、シャツのボタンを全部外し、シャツの下に着ているTシャツ(黒とかネイビーの濃い色)を胸の下までたくし上げ、肌を露出してヘソは丸出し。きったねえ腹😁 そして、足をいじった手(指)を、しばし、マスクを顎にずらした上で、口の回りを触りまくっている😁 実は、これは、足を触った手(指)の匂いを👃嗅いでいるのではないかと推察される😁 ちょっとだけ、肌の露出したお腹はポッコリしてるけど、決してジジイとかいうような年齢でない。 あー、映画に集中しずらかったー‼️😁 これってさ、マスクをずっと外してるわけじゃないから、TOHOシネマズは注意出来ないんだよね⁉️😁
歯痒いラブストーリー
愛する子供とのラブストーリー。 一番盛り上がってる時の会えない苦しみに似ていて、お互いの気持ちがコントロール出来ない感じは典型的な恋愛模様。歯痒くて見ていられなかった。 完璧に仕上げられている身体と集中力、サラの訓練の様子は見応えがあるし、築き上げられていく仲間たちとのチームワークも見どころだ。 しかし、女性の宇宙飛行士をメインにしたかったという作風の割に、子供の事で心揺れまくりなのが逆効果に感じた。
楽しみにしていた宇宙映画をようやく鑑賞してきた! 一体どんな映画な...
楽しみにしていた宇宙映画をようやく鑑賞してきた!
一体どんな映画なんだろうかと、ワクワクしていたが、ハリウッド映画みたいなロケットを飛ばしたり(本作でも飛び立つんだけど)、宇宙に行って様々なトラブルに巻き込まれるといったCG満載の派手な作りではなく、宇宙飛行士として一時的(もしかしたら永遠)に家族と離れるリスクを負ってまで夢を叶える強い意志を描いた映画だと思った。
主人公のサラには娘のステラがいて、夫とは離婚している。不思議と夫との仲は悪いわけでもなく、3人で食事をしたりする。サラは子供の頃からの夢である宇宙飛行士に選ばれた。
この映画で、宇宙飛行士のこれまで余り描かれてこなかった事柄を知ることが出来た。
1つは宇宙飛行士はフランスでも宇宙飛行士は皆のヒーローであることだ。それは日本でもアメリカでも同じ訳だが。
2つ目は宇宙飛行士は出発までの2日間を無菌にするため隔離生活をすることだ。なので、娘のステラとは隔離生活に入るまでに会う必要があるんだけど、ステラが飛行機に乗れず会えなかった。周りの宇宙飛行士は家族などと抱きしめ合う中、サラは一人ぼっちだ。かわいそうだなぁと思っていると、遅れてやってきた娘とガラス越しに再会して、会えるんじゃん!と、切ない気持ちが消え去った。
3つ目は訓練内容だ。水中で模擬をすることはよく聞くし、実際に訓練の映像はあった。面白いなと思ったのは重力への耐久訓練だ。サラは時計の針のように部屋の中をグルグルと回る乗り物に乗って、8G,9Gを体感する。9Gの時に肋骨に気をつけろとか、これ以上は危険だとかのセリフから結構キツい訓練のようだ。サラも降車後に吐いていた。
4つ目は、宇宙飛行士がロケットに乗る時に沢山の人が集まっていること。宇宙飛行士がロケットへバスで移動するが、バスを見送る家族達やマスコミが沢山いたし、ロケットの所に到着してバスから降車しても沢山の人がいた。中には十字架を持った神父までいて、ロケット打ち上げが国中を上げた一大イベントなのだと思った。
残念に思ったのは、サラが宇宙への出発当日の深夜に隔離された部屋から抜け出して娘を連れ出してロケットを見に行ったことだ。この行為に疑問がある。なぜならプロフェッショナルではないからだ。なんのために隔離しているのか、ミッション失敗したに繋がったら?、と思うとサラの行動に共感できなかった。プロはプロであるべきだと思う。
良かった点は、ロケットの映像がリアルだったこと。飛び立つロケットも実際の映像なのかな?ロケットの後ろ姿は迫力があった。
あと、エヴァグリーンのおっぱいが3回見れた事笑。
最後、ロケットの打ち上げ成功は観客も祈ったのでないだろうか?無事に成功した時には映画の登場人物達と一緒に拍手したい気持ちになった。
迷う
76本目。 始まりの製作会社を見て、フランス映画と知る。 ちょっと意外。 俺だったら行かないかな、子供といたいと思う。 んー、でも大人になった時、自分のせいで宇宙に行かなかったと思われるの嫌だなぁ。 でも迷う、夢を取るか現実を取るかと、独身なのに悩んでる。
【"自らの夢の実現と、愛する娘との暫しの別れの二律背反" 全ての働く母親は偉大であると言う事を再認識した作品。】
■感想<心に残ったシーンなど>
ー 女性宇宙飛行士サラを演じたエヴァ・グリーンの蠱惑的な大きな眼が、印象的である。
幾つかのエヴァ・グリーンの作品を観賞した際の彼女の眼は冷酷で、妖艶であったが、今作品では、悩める母親の揺れ動く感情を、あの大きな吸い込まれるような眼で見事に表現している・・。ー
・サラの七歳の娘、ステラ(ゼリー・ブーラン・レメル)の、母親を想う、時に憂い、時に約束を反故にされて怒り、時に喜びを満面に表した表情が、実に愛らしい。
・ステラは、一時的に引き取られた元夫トマスの家に移るが、”学校に馴染めない・・”とサラに電話を掛けてくるシーン。
ー 自分の夢を叶えるために、娘に辛い思いをさせてしまっている・・、という想いを吹っ切るように、過酷な訓練を自分に課すサラの姿。
何となく、全世界の働く母親の事が、ふと心を過る・・。ー
・チームリーダーのマイク(マット・ディロン)や、同じクルーであるアントンの、サラを何気なく気遣う姿も、良い。
ー マット・ディロン、どんな役でも出来る職人の域に達している気がする。ー
・エンドロールで流れた数々の女性宇宙飛行士とその家族の姿も、良い。
特に"アンナ・フィッシャー"さん。
・ステラとの約束を果たす為に、規則を破ってサラが打上前のロケットを二人で観るシーン。そして、サラが乗り込んだロケット発射の瞬間を母親と何度も暗唱したカウントダウンのセリフを呟きながら、観るシーン。
ー それまで、愛娘との約束を果たせなかったサラが、決意し娘を自分が乗るロケットを朝日の中、二人で見る。良いシーンである。ー
<無事に宇宙に向かって飛び立つロケットを誇らしげな表情で父親と観る姿が、印象的な作品である。
サラは、ステラや、別れた夫トマスの協力により、多くの葛藤を克服し、幼き頃からの夢を叶えたのだ。>
ライカちゃん萌っ!!
宇宙飛行士に選ばれた7歳の娘を持つフランス人シングルマザーの話。 仲の良い母娘に対し、父親は娘にあまり興味ない?と思わせる序盤。 勿論最初は環境が変化することに対する不安や恐れもあったけれど、娘は少しずつ対応していくし、父親もちゃんと順応していくし、そんな中でこの主人公…。 ミーティングの件でも疑問に感じたけれど、ストーリーの山場が他者を危険に巻き込む恐れもあるその決断を見せること? 欧米は個人主義な思想が強いとはいえ、これを是とする映画がつくられるぐらいだからねぇ…やっぱりコロナの蔓延状況然り、ルールやマナーを守る(人の割合が多い)日本人が特異なんですかね…。 山場を除いたらそれなりには良い話だけど、イマイチ自分にはハマらなかった。 どうでも良いことだけど…ロケットの打ち上げ時の点火はカウント「0」からではないですよ!!
主人公にイライラ
主人公のサラにイライラしっぱなし。シングルマザーだからっていって、規則を破っていいことにはならないんじゃない。子供をミーティングを同席させたあげく、ステラがいなくなったって大騒ぎ。ラスト近くでも自分勝手な行動するし、ほんとイライラする。 感情を制御できない人間は、宇宙飛行士になれないはずなんだけどな。 宇宙飛行士としてのシングルマザーの苦悩を描いておきながら、男性向けのサービスショットを盛り込むなんて、チグハグなんじゃない。どこを向いて制作されたのかよくわからない。 実際の施設を使った訓練シーンが見れたことだけが収穫だった。
壮大なレトリック
完璧な宇宙飛行士なんていない、完璧な母親(父親)がいないように。 『風の歌を聴け』(村上春樹さんのデビュー作)の冒頭の文章みたいな台詞が出てきます。 レトリックとか修辞とか、分かったようでいて実はよく分からないまま使ってしまう言葉がありますが、これは比較的わかりやすい好事例かもしれません。 レトリックとは、巧みな言い回しで効果的な表現、というようなことだと思うのですが、人によっては〝効果〟の中に、やや真実をはぐらかしたり、ごまかすような意味合いも込めて使っているケースがあると私は思ってます。 完璧な数式、とか完璧な正三角形というのは、(たぶん)存在すると思うのですが、完璧な宇宙飛行士とか完璧な母親なんてものは人それぞれのイメージによるわけで、客観的な基準などはそもそも存在しない。 それでも、聞いた人の多くが漠然とながら、あたかも完璧な姿があるように錯覚して、うんうん、そうだよな、と納得してしまうのですから、効果的な表現という意味では、〝完璧なレトリック⁈〟ではないでしょうか。 人間世界の面倒臭さと比べたら「完璧な物理法則」に基づく計算を積み重ねて〝ほぼ〟完璧な準備(ロケットや機体や各種装置や打ち上げ日の天候予測などのすべて)を整えたうえで打ち上げられる宇宙ロケット。 だけど、それをコントロールする人間たちには完璧な人などひとりもいない。 このこと自体が壮大なレトリックで、なにかのテーマを表現しているかのようにも思える、ある意味で実験的な映画のようにも思えます。 エヴァ・グリーンの美しさ。 私にとっては〝完璧〟でした。
人間ドラマが見どころの女性宇宙飛行士物語
宇宙飛行士ものではあるが、よくある宇宙空間でのハラハラドキドキ要素がメインではなく、宇宙飛行士の母と地球に残される幼い娘との親子の絆や、他の宇宙飛行士たちとの衝突や葛藤といった人間ドラマが見どころの映画。 悪徳警官顔のマット・ディロン演じる宇宙飛行士マイクの「女に宇宙飛行士が務まるのかよ」的な態度を「宇宙飛行士ってこんな時代遅れなの?」と思いながら観てたけど、主人公サラも娘のためとはいえルール違反を連発するので、悪徳警官顔の言うこともあながち間違いじゃないのかもと思えてきた。ただ、この男が単なるハラスメント野郎というわけでもなくて、それがわかるシーンが個人的には観ていて一番気持ち良かった。 実際に宇宙飛行士という職業と母親であることを両立させようとして起こるトラブルなんてそれこそ星の数ほどあるんだろうなと思いつつ、そこを掘り下げたこの作品に対して「女性監督独自の視点が…」みたいな表現を使うのもまた違うのかな、とか考えさせられるような映画だった。子育てとの両立や男女差別からくる女性宇宙飛行士の苦悩、それを知ってから観るエンドロールは感慨深いものがあった。きっとあの人も、ものすごい苦労したんだろうな…。
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