ホムンクルスのレビュー・感想・評価
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【"偽りの世界で生きる人々"「トレパネーション」施術後に"男”の左目から見えた虚構の世界で生きる人々の姿と、彼が全てを乗り越え、新たな世界へ踏み出す姿に魅入られた蠱惑的な作品。】
■N・・で、配信が決まっているのに、
"やっぱり映画は映画館で観たいよね!"と、人造人間キカイダーのメインテーマをハミングしながら、劇場へ・・。
- 記憶と感情を失くした名越(綾野剛)は、生きる屍の様に、ホームレスが暮らす公園沿いの車道に停めたミニクーパーの中で暮らす日々。そこに、大病院の跡取りボンボン伊藤(成田凌)が顔中ピアスのニヤケタ表情で現れ、"貴方の頭蓋骨に穴を開けさせてくれませんか?"と頼む所から、物語は始まる。-
■感想
・摩訶不思議な世界観に一気に引き込まれる、観る側に迫って来る手術用掘削ドリルの刃。
そして、伊藤の部屋の不気味な絵画の数々・・。
- 冒頭の掴みは良いぞ!-
・冒頭の名越が、赤ん坊の様に親指を口に入れ、身体を丸め車内で眠る姿。
- あ、このシーン、後半の展開を暗喩しているな・・-
・頭蓋骨に穴を開ける禁断の施術を、生きる目的を失っていた名越は、嫌々引き受けるが、その後、彼の左目は人間の形をした異様な人々が見える様になり・・。
それは、子供時代にある事故を起こした事に依り、心に傷を負ったヤクザ(内野聖陽)であったり、過干渉な母親との関係性や性に対する悩みを持つ女子高生(石井杏奈)であったり・・・
- この辺りのシーンの使い方が、実に勿体無い!清水監督!絵としては、良い。-
・徐々に、自分の過去を思い出した名越は、伊藤の病院である女(岸井ゆきの)に会い、"遂に自分の過去を思い出した"様に思ったが・・"
・伊藤にも実は、哀しき幼年期の過去があり・・・
- 水・・、金魚・・、父に愛されていない伊藤少年の哀しさ・・。それ故に狂気の世界に嵌まってしまったのだな・・ -
<狂気性や影を背負った役を演じたら、この二人の右に出る若手俳優さんは少ない、成田凌と綾野剛の"狂った世界"で生きる姿は、インパクトが凄い。
一番マトモなのは、ホームレスのおじさん達かもしれないな・・と思った作品。>
アレンジ・追加要素でもうグチャグチャ
結論から言うと、近年まれにみるほどの酷い映画だった。
とにかく映画用にアレンジした内容にまとまりがない。
原作知らないと「?」の連続になること必至。
後半なんて間延びして「もういいわ終わってくれ」って心で何度か念じた程だ。
ちなみに私は原作はもちろんのこと、山本英夫の漫画は全て読了済み。
なのでこの惨劇は予想できた。何故なら映画「殺し屋1」も相当酷かったのだから。
(※「殺し屋1」も山本英夫原作、三池崇史監督で映画化。原作は大好き)
キャスティングに関して言うと、綾野剛の無駄使いだなあ…と感じた。
【内容に関して】
原作のほぼ全編に渡るエピソードを2時間程に無理矢理まとめた内容になっている。
以下で唯一わかりやすいと感じるのはヤクザ組長編のみだった。
・ヤクザ組長編
・女子高生編
・伊藤学編
・ななこ編
【女子高生編へのつっこみ】
女子高生は結局何のトラウマなのかよくわからない。原作だと親の異様さが丁寧に描かれているのでまだわかりやすい。しかし映画だと、何となく病んでいてリストカットしちゃっているんだなあ…とふわっとした印象にしかならないのだ。
それに車内で行為に及んだ下り。どうして表向きは拒否しつつも心ではひとつになろうとしているのか?映画だけだとわけがわからないと思う。
しかも何で彼女の母親がいきなりフラっとあらわれるのだろうか…?
【ななこ編へのつっこみ】
ななこ編も酷かった。酷すぎた。
ななこ(ちひろ)は元カノだと思っていたら別の人物だった。そして実は元カノ(なな子)を死なせてしまった人物でもある。しかもちひろは伊藤からトレパネーションを施されていたという衝撃の事実。
いや、もうわけわからん。どうしてこうなった感が凄い。
一応言っておくと、原作の設定を所々で踏襲していのは確か。
・なな子は元カノ
・別の女性を元カノだと勘違いする
・別の女性(原作だと「ななみ」という名前)もトレパネーションされる(原作だと名越に施される)
しかし、その各設定を一旦バラバラにして大雑把に組み直したという印象であった。
ちゃんとストーリーを練りなおしたのだろうか?とさえ思った。真面目にやってんのか…?
【伊藤編】
伊藤のトラウマもふわっとした描き方になっている。
父親の方が金魚を可愛がっていたというアレンジには驚いた。(原作だと逆で伊藤学がかわいがっていた)
しかも伊藤自身がトレパネーションを施すに至った心情は全く描かれておらず、やはり雑すぎる追加要素だと言わざるを得ない。(原作だとトレパネーションで気が狂うのは名越の方)
【CGのクオリティについて】
CGのクオリティもいまいちだと感じた。海外の名だたるCGプロダクションが生み出した超一流のCGに慣れてしまっているからだろうか。
・砂の女子高生
・伊藤の水人間
・街行くホムンクルス達
全てに違和感。すなわち、現実の世界に溶け込んでそこに存在しているような完成度は感じなかった。
ちなみに原作の解説については拙ブログにまとめているので、もし興味があればご覧頂きたい。
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