「グオルにとっての走る意味」戦火のランナー J24さんの映画レビュー(感想・評価)
グオルにとっての走る意味
ドキュメンタリー映画ではあるがグオルのこれまでの生涯が描かれた作品。通常の映画作品と遜色ないグオルの物語が描かれておりとても魅力ある作品であった。
南スーダンで生まれ、生まれた時から常に戦争下で育てってきた。グオルの村も攻撃を受け子供は見つかり次第奪われてしまう現状から8歳の時に親と離れて暮らす事となる。離れるといってもどこか身寄りがあるわけではない。8歳で独り立ちを強いられる環境である。この辺りをアニメーションで彼の過去が描かれている。
それから叔母などと合流し高校生の歳になってアメリカへ難民として移住。アメリカの高校に入学し彼の人生が大きく変わる。ここで出会った先生たちに長期離ランナーの資質を見抜かれサポートされここからランナーとして生きる事となる。
ロンドンでは国なき者として個人参加で五輪出場を果たす。
そしてリオでは南スーダンの参加がIOCに認められ南スーダン国代表として五輪出場は果たす。
生まれてアメリカに渡るまでは殺される事から逃げ生き延びる為に走り続けた。
渡米後の当初は死んだ兄弟達、そして離れ離れになった両親のために走り続けた。そしてロンドン五輪出場を果たし両親とも再開した。
そして次なるリオまでは国のため、次世代の若者そして世界中の難民の為に夢と希望、そして目標を持てるよう走り続けた。
この作品を通してグオルが背負う、そして彼が走る強い意味が時が経つにつれて大きくなりその都度プレッシャーとも戦いながら走る姿が非常に魅力的に描かれている。グオルとはもちろん大きく異なる環境にいる僕だが作中で何度も勇気を貰い心打たれる事あった。
五輪開催、そして五輪の存在意義がこのコロナ禍で色々と議論される事が増える事となったがグオルの姿を見ると改めて五輪の素晴らしさを再認識させられる。