Swallow スワロウのレビュー・感想・評価
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尖ったピン
衝動の原因は分かるが、行為そのものが理解困難で、何らかのメタファーなのかとその謎解きに頭がいってしまって集中力を欠く。異物として家庭から出され、再び上流家庭に異物として飲みこまれる。
最初は属することを望み、しかし人として尊厳が与えられず、最後はシリア人に同情されるまでの地獄から這い出る。上流家庭だとかクソ旦那というお決まりの構図が、理解を困難にしているようにも思う。最後のシーンの通り、それぞれが様々な個であり、属する属しないの拘りを捨てて自由になる。しかし、それがどのような環境であってもそうなわけで...
自由に生きられればそれで済む世の中でもないわけであるが。思い返せば、同僚の妻にハグしたがる狂った男を抱きしめ、浮かべたときの表情に彼女の個の幸福論があったように思える。
ヘイリー・べネットの美しさに見惚れる
レイプによって生まれ、周囲との決定的な違和感を常に持ち続けてきた主人公。異物を飲み込み、違和感を自らのうちに取り込むことで、内と外のバランスが得られ、多幸感を得ることを知った主人公の行動はエスカレートしていく。しかしそれゆえ、周囲との違和は決定的となる。
そうした環境からの脱出を試みた主人公はレイプ犯である父親のもとを訪れ、決別する。さらに違和のシンボルとしての胎児を堕し、新たな自分を獲得していく。
極力BGMを使わず、固く冷たい家具に囲まれた生活空間はいつも主人公を拒否し、静けさと原色と主人公の美しさで緊張感ある映像が続く。瞬時も目が離せない映画だ。
難しい…
ストレス性の病気は難しい。本人も周りの家族にとっても不幸。結婚し、周囲が羨むほど、裕福で何不自由ない生活、夫、夫の両親とも幸せに暮すのだが、彼女にとってはそれがストレスを生む、きちんとしなければならないという強迫観念を感じながら、苦しんでいた。異型物を食すことで、それが忘れられる。普通なら妊娠したのに、母体を危険に晒すような、そんなことしない、理解できないのであるが、これは病気なのだ。彼女にとっては夫や義理親、自分の親含めて、相談できる人がおらず、孤独だった。レイプ犯が父親というトラウマから来るものなのか、何が原因なのか分からない。映画ではその父親に会い、どこか自分が犯罪者の子供という劣等感、生まれてきてはいけないと思っていたことと訣別し、その後結局は中絶したのだろうか、これからどう生きていくのか分からないが、どこか吹っ切れた表情をしていたのが印象的だった。病気は恐ろしく、一人では治療できないし、本人、夫や家族にとってもこの結末は良かったのかもしれない。
懐かしのビー玉
夫は将来のCEOを約束されるほどビジネスで成功したエリート。郊外の邸宅で何不自由なく暮らせるはずだった妻ハンターだったが、妊娠してから孤独感が高まり、ついつい異物を飲み込むようになってしまう。
夫が留守の間、暇があるとついスマホのゲームをしてしまうハンター。俺だったらビー玉で遊んじゃうけどな・・・などと考えつつ、驚きのビー玉飲み込みもフロイトの言う口唇期だとか赤ちゃん返りなんじゃないかと思ってしまったけど、異食症という病気があるんですね!知らなかった。氷食症からはじまったり、妊娠期における鉄欠乏症が原因の摂食障害の一種だとか。
精神科医に診せたり住み込み看護師をつけたり、夫の愛情だって薄いわけじゃなく、たまたま自己中心的な対応だったりしただけ。のちに彼女の深層心理にある出自を聞かされたのはショックだったろうし、もう妻への対応ができない状況に・・・
女性の自立がテーマでもあるようだし、宗教的保守による妊娠中絶禁止という問題も提示している。レイプされて妊娠しても中絶できない!などといったアメリカを分断するかのような政治的争点。そうしたレイプの悲劇がハンターのトラウマともなっていたが、終盤にはその実父と対峙。これで吹っ切れるかと思ったら、最後は予想外の方向に行ったので、映画ってあなどれないよなぁ~としみじみ。
シリア出身の看護師が言う「生き抜くことばかりで考える暇なんてない」ことも一つの解決策なんだろうけど、夫の同僚でハグ魔の男も解決策の一つだったのかも・・・
男性に観て欲しい
この映画を観た男性は、何を思うだろうか。
一見幸せな生活を送っているが、本当は孤独でさまざまなことを抱え込むハンター。彼女を取り巻く様々な人や環境が、彼女の孤独とこの映画が伝えたいことをより一層際立たせていたように思う。
夫や義父母は、一生懸命理解しようと必死だったが、やはり感情的に、自己中心的に考え、行動してしまっていた。異食をやめさせようと必死にあらゆる策を講じているようでは、ハンターは変わらないし、どんどん悪い方へいってしまうのに...。映画を観ながら憤りを覚えた。しかし、これが人間世界で生きていくことの難しさだとも感じる。
育ってきた環境が違えば、考え方や価値観が異なるのは当然のこと。だからこそ、互いに歩み寄ることが大切であると、改めて考えさせられる作品であった。
ジェンダーとかマイノリティとか、様々なことに溢れている現代だからこそ、多くの人へ届けられるべき映画なのではないだろうか。
演技だとはいえ、主人公の女性の怪演っぷりには圧倒された。観る人の感情を操る演技だった。
想像していた様なグロいものではなかった
警告‼️最低の映画です‼️
自分は退屈を飲み込んだ
話としては表面上幸せな女が、ストレスから異食症となりそこから全てを捨てて心の自立を図る
みたいな感じか。
旦那も愛情を履き違えてる感じだし、女も繊細すぎるというか、メンヘラ気質なのでいい家に住んで充実した生活という幸せはいらんらしい。
自分はご飯が食べられて毎日普通に日常が過ごせてる事だけで幸せだと思う人間なのでいまいち女に共感はできないなぁ
介護のおっさんが戦争中はそんな事も考えてる余裕はないとかいってたけどまさにそれ。
女は綺麗でしたが、スマホのゲームしてたりあまり一緒にいて楽しい女ではないタイプなので、なんでかどちらかといえば旦那の方に感情移入してしまった
ラストも薬で中絶は色々と日本では見せたくないシーンだね、アホな女にそういうのがあると認識させてしまう。
まーそーゆー女はまずこの映画を見ないか
自分の人生を取り戻す勇気
不快なASMR映画
ASMRはそもそも快感そのものの意味なので
ジャンルとして捉えたうえで不快とさせてもらう。
飲み込む際の咀嚼音が丁寧で気持ち悪い。
それが、この映画の不愉快な質感を際立たせているが
咀嚼音自体が不快と感じる自分には相当つらいシーンが多かった。
映画としては、その方が効果的なのだろうとも思う。
そして、この映画。
主人公の女性が美人すぎるところが全てだと思う。
とにかく、この女性をキレイに美しく見せることに全集中をしているかのような
演出が、ほかの登場人物にとって不公平。
旦那の両親も素晴らしい人物のはずだし
旦那も素晴らしい努力家で人格者のはず。
しかし、この映画は終始 主人公を美しく描くことで
その他の登場人物を一段下に持ってきている。
うまさがある映画だ。
しかし、そんなにも厳しい嫁入りを強いるのであれば
事前に身辺調査位すればいいのにと思う。
それだけが、気になる点で、あとは面白かった。
Swallowスワロウ
最終決断も女性次第!
昨年話題になった「透明人間」と同じような
ホラーかと思ったら人間ドラマだった系の秀作!!
その、異物を口にすることの緊張感!
最初の氷やビー玉程度なら、あるかな?と思えるのだけど
そこが押しピンとか、尖ったモノになると
もう、見てるのが辛い。
それでも女性の解放が主題なのでぜひご覧くださいませ。
で、月に8回ほど映画館に通う中途半端な映画好きとしては
超金持ち夫との生活に違和感を感じる妻!
旦那の親たち、舅と姑は主人公が名家出身でも
頭の切れるキャリア女子でもない普通の娘なので
息子の嫁として大事にしているのではなく
孫を生んでくれる大人しい「子生み女」的扱いで
話もまともに聴いてくれない様な自己中家族。
その中で主人公はだんだんと自分の存在や尊厳を見失ってゆく。
私だと、そこはそれ、お金はお金!なんて
割り切って生きてしまいそうですが
実際姑はそんな風に生きてゆくのが幸せなのよ~
と主人公を諭すシーンもあるけど、
今作の主人公はある意味、真剣に生きてるよね。
衝撃的な主題から、
決して簡単では生き方を選ぶ主人公だけど
自分の生き方は自分で決める!
そんな希望が感じられるエンディングに女として泣けます。
この映画に共感してくれる男なら
結婚してもいいかもよ(笑)
真綿で首を絞めるような孤独
明らかに虐待されたり、罵倒されてる訳ではないがジワジワと首を絞めるように追い詰められる主人公。夫(は本性現したが)・義父母・そして母の言外に込められた見下しや嫌悪感が主人公の自己肯定感を阻害し異食症へと引き摺り込む。
その存在を肯定してくれたのが母親をレイプした男と言うのがなんとも皮肉だし、この男を「罪を猛省し過去の自分と決別して新たな人生を歩み始めた者」と見るか「女の人生を潰し(男が「俺の人生を壊す気か」と言った時はお前が言うなと心の中で叫んでしまった)不幸な子供を生み出したくせに自分は幸せな家庭を待ったクズ」とジャッジするかは難しいところなのだが、主人公を唯一肯定してくれた存在という事だけは事実なので見終わった後もずっと考えてしまう。
ゲテモノかと思いきや・・・
近所のミニシアターで鑑賞。ほとんど満員だった。
全体的に美しい画作り。次々に異物を飲み込む話だが、グロさもさほど強くない。
ゲテモノかと思いきや、型にはめられた主人公が夫の付属品としてではなくではなく自分の人生を歩むという話。
ぜひ女性に観ていただきたいが、男の私にとっても十分共感することができた。
手を洗った後は拭こうよ。
いかにもいかにもサンダンス的な、アメリカ的作家性を振りまいてる様なスタティックな脚本ですもん。隣のお爺ちゃん、寝落ちしてましたもんw
ヘイリー・ベネットの顔立ちって、日本人みたいで妙に親近感が湧いて来ます。でも呟く様なセリフの役どころって珍しくないですか?
異食症は妊婦に多い、って聞いた事があります。ハンターは隠蔽された自己承認欲求が満たされなくなる場面でストレスが高まり、異食に走り始めます。その発端は生誕の背景にあり、自分は間違えて産まれた"wrong person"だ、と言う自己への呪縛に因るもので。
率直に言ってしまうと、詰まらなかったです。100分に満たない映画なのに長く感じてしまいました。
サンダンスですからねぇ。ハマる人はハマるんでしょうねぇ。ワタシは、ハマらなかったです。
ダメだ合わない
飲み込んで出す
一日にひとつ、驚くような挑戦をしなさい。
観ているだけで喉の奥が鈍く詰まるような、鋭く痛むような、硬く突き刺さるような、そんな感覚になる映画だった。
ちょっとした塊を飲み込む快感、わりと共感できる。
喉に引っかかったものを頑張って飲み込んで、スルッと抜けた時のなんともいえない気持ち良さと達成感。氷とか飲み込んじゃうの、わかるでしょう。
でもちょっと異物が過ぎるよ、ハンター。
異食がエスカレートするごとに苦しくなる。
でも、飲み込むハンターの幸せそうな顔、満足そうな顔を見るとなんだか愛しく思えてる不思議な感覚。
止めてほしいのに、無理に止めなくても良いよと言いたくなる。
夫と義両親からのナチュラルな疎外と見下し、すれ違いがなんともしんどい。
彼らに明確な悪意やイジワルが無いから余計にタチ悪い。
あのような夫はたくさんいるだろうし、あの感じの人と全然上手くやっている妻もたくさんいるだろう。
育ちも価値観も何もかもが違って、求める幸せの形も違って、ただひたすらに分かり合えない辛さ。
ネクタイのシーン、すごく嫌だったな。
「良かれと思って」が真反対の結果になってしまった時の居心地の悪さ、身に覚えがありすぎて心臓をすごく抉られた。
なかなかストレスの元に気付いてくれないハンターがもどかしかった。
その出生から、実の家族からもさりげなく疎外されてきたんだろう。
きっとずっと孤独で、「誰かに愛されないと」「間違えてはいけない」と、知らず知らずのうちにプレッシャーを抱えてきたんだろう。
小さな傷を負うことに慣れたのか知らぬふりをしていたのか、わりと天然というか、心配に対する反応が若干ズレているのが興味深い。
口元だけでにっこり笑って見せる顔が可愛らしくも痛々しい。
引き寄せられるように自分の根本を辿り、やっと一つ断ち切れたとき、やっと彼女の人生が始まるのかなと思った。
ポップコーンつまむみたいに土を食べるシーンが好き。お家でスナック食べるとき、あんなかんじじゃない?
夫とその家族に対しての負の蓄積が特に晴れないことや、終盤の謎の駆け足感と尻切れトンボ感に少しモヤモヤは残るけど、面白い作品だった。
リアルな「イヤ」が多くダークな話なのに、描き方もビジュアルもポップな抜け感がある。
氷がきしむ音って好きだな。
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