Swallow スワロウのレビュー・感想・評価
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おっとりした若奥様の内面は・・・無限地獄!
とてもユニーク。とても複雑。そして唯一無二の独創性。
パステルカラーで描き上げた作品は、驚きと衝撃を秘めていました。
2019年(アメリカ/フランス合作)監督:カーロ・ミラベラ=ディヴィス
お金持ちの玉の輿に乗った若奥さまのハンター(ヘイリー・ベネット)は、
ハドソン川沿いの美邸で何不自由なく優雅に暮らしていました。
従順で理想的な妻を演じるうちに心は徐々に蝕まれていたのだろうか?
ある日、ビー玉を食べたい欲求を抑えきれずに、飲み込むのだった。
その行為が、なんともハンターには甘美な瞬間で充実感を覚え、
なんとも言えない解放感を味合うのだった。
→ビー玉→画鋲→虫ピン→小さなドライバー、
次々と呑み込むのをやめられない・・・
異食症と診断されるハンター。
(はじめて聞く言葉です。)
異食症とは、栄養の無いものを食べたくなる症候(紙・土・粘土・氷など、)
子供と妊婦に多く見られる。
ハンターはそう妊娠もしています。
本当に思いつかないユニークさ・・・ですが、後半、更に更に予想外の展開をして行きます。
本当に、監督・脚本のカーロ監督(女性です)
女性ならではの発想とそして発展と展開・・・凄い才能です。
後半は、ハンターの「出生の秘密」
ハンターはなんとも数奇な運命のもとに生まれたていたのです。
ハンターが背負いきれなかった「出生の秘密」
しかし彼女は、真正面から向き合い、戦いを挑み、運命をこじ開ける道を選びます。
見た目には、なんとも個性の薄いヘイリー・ベネット。
優しくふんわりした容姿から想像の付かない、パワフルで実力のある演技でした。
彼女あっての「SWALLOW/スワロウ」
女性なら共感できる優れた作品でした。
奇行の背景に仄見える有りうべき格差婚の姿とは・・・
とてつもない問題作では
美しいからこその痛々しさ
病
孤独からの異食症の発症。
初めはビー玉からどんどんエスカレートしていく。
子どもができても止まらない。
周りに異食症がバレて治療が始まるも止められない。
セレブな暮らしをしていても旦那や義両親といて楽しくなければ孤独を感じ、自分だけが浮いた存在になっていく。居場所がなくなって、どんどん窮屈になっていく。
家族が治療してくれるのも厄介者の自分をどうにかコントロールしたいからなのではないだろうか。
いい奥さんのフリができる奥さんに戻ってほしいから優しい言葉をかける。
カウンセラーを信じて話していたのに、その話は旦那に伝わってしまう。
消えてしまいたい。悪循環が止まらない。
自分の孤独は結婚後生まれたものだけではなく、生い立ちからくるものもあった。
今の生活から逃げようと実家に帰ろうとするも自分には実の父がそこにはいない。母がレイプされて授かった子が自分である。母が犠牲になってできた子。自分は愛されていたのだろうか。実家には頼りたかったけれど頼れなかった。
実の父親の居場所はわかる。
そこでは別の家庭をもった父親が子どものバースデイパーティを開いていた。
父親と接触し、話をした。孤独の始まりであり自分の始まりの場所。
話すことで、解放された。やっと進むことができた。
死に近い人間でもその人が動いてなにか行動すれば、変わることもできる。
もしかしたら悪い方にいってたかもしれないし、変われないかもしれない。
心は難しい。
本当のことを言うことは必要なのだろうか。
思ってないことを言うことは必要なのだろうか。
社会の思惑に流されて
女性の解放にばかり目を向けると失われる命への想いが軽んじられてしまう
Swallowは名詞ならツバメだけど、
動詞では飲み込むという意味です
英語が苦手なんで調べたんですが、普通の人は知っている事かな
恥ずかしい
押しピンとか危ない物を飲んだら、内蔵を傷つけるし、どっかに引っかかって出てこないかもしれない
うちのバカ猫は消しゴムを丸呑みして手術したからね
これはストレスによる自傷行為といえます
なんとなく、やってはいけない事をやりたくなる気持ちもわかる
でも排泄の時に血だらけになるのは、さすがに見てられなかった
このへんは、リアルに想像できるからね
これは、体験したくないわ
ラストのトイレのシーンは
堕胎した胎児を排泄物として表現したのだろうか
出すものを出して、スッキリ新しい人生を歩いていく
胎児は可能性であって人格は無いと思っているんですが、この割り切り方はさすがにひきます
気にしない人は一生気にもならないんだろうけど
流された子供の事は、歳を取れば取るほど心に重くのしかかるようになる
ヘイリー・ベネットはマグニフィセント・セブンのヒロインだった時に記憶に残っていますが、なかなか面白い雰囲気をまとった女優さんですね
注目です
深過ぎる闇
美しい。
パッケージに惹かれ、レンタルで借りたのにwowowオンデマンドで見つけるという悲劇を経て鑑賞。ちゃんと確認するべきだった。
人には勧めづらい映画ですが、個人的には刺さりまくりです。世界観も着地点の分からないストーリーも音楽もすべて良かった。あとは主演のヘイリーベネットがとても魅力的。ラストシーンなんかは30代というのが信じられなかった。
異食症という聞いたことはあってもよくは知らない病気が題材となっているが、この世界観に違和感なく表現されているが、その辛さは痛いほど伝わってきた。結局は幼い頃の家庭環境と確固たる居場所を見出だせない結婚生活に苦しみ発症したとすぐに分かるような酷い環境。逃げ出せていなかったらどんなものを口にしていたのか想像もしたくない。施設で制限される以上、元の環境に戻ればリバウンドも激しいだろうな。
結局はラストも明るい雰囲気とは裏腹に望まない子を中絶し、一人で生きることを決意するなど、救われていないようなモヤッとしたものだけど、それがなんだか心地良い、不思議で魅惑的な映画でした。
『ハードコア』や『ガール・オン・ザ・トレイン』では感じなかったが
良かったね
枷でしかない結婚とレイプ犯である父親との関係はまあ清算できたのかな。でもあの母親電話の感じだとややこしいですね。これも何とかできるといいね。
夫と義父母のあまりにストレートな嫌な奴らぶりとか、ああいうご両親は結婚相手選びとかクビ突っ込んで来るんじゃないの?とか設定的にこまごま気になるところはあるけど、ちょっと幻想的な映像とヘイリー・ベネットの演技で緩和されました。声が小さくて自己評価の低い人丸出し、こういう人いるーって感じね。
プロ意識のかけらも無い看護師
プロット的に仕方がないことなのかも知れませんが、元訪問看護師としては難民出身の看護師の行動が何一つ理解出来ません。
・出会って早々に「戦場では精神を病んでる暇はない」つまりは「精神病は甘え」ととれる発言を主人公にする。
精神病の患者さんの看護にあたって精神病を否定する発言を行うことはありえません。
案の定、この発言を受けた主人公はストレスを感じて異食衝動に駆られています。
・主人公がトイレに行く際に、主人公のボディチェックのみを行いトイレ自体のチェックを怠っている。
自傷行為を行う可能性の高い患者さんに対して危険物のチェックが甘すぎます。
・錯乱状態の主人公がベッドの下に入り込んた際に、あろうことか一緒に寝いってしまう。
その隙をついて主人公はドライバーを飲み込んでしまいました。
・最後に何を考えているのか身を保護すべく精神病棟に向かう主人公の逃亡を手伝いました。
医療人としての責任放棄です。
精神病の主人公が自傷行為に走り、最後には胎児まで危害を及ぼしたことについて、主人公を責める気にはなれません。
病気とはそういうものです。
しかし、その主人公の看護を請け負った看護師には主人公と胎児を守る義務があります。
看護師が主人公の逃亡を幇助したせいで、胎児は誰にも守ってもらえずに死んだのです
なぜ看護師がそのような行為に及んだのか?
鑑賞する限りではその理由は読み取れませんでした。看護師が主人公と深く通じ合う描写もなかったように思います。
この看護師の医療従事者としてあるまじき行動の数々が、観賞後の私の喉のつかえとなってむず痒いです。
患者さんが診察の場で晒した秘密を勝手に家族にばらす精神科医もそうですが、
プロットの都合のためだけに用意されたようなプロ意識のかけらもない看護師の存在がこの作品からリアリティを消し去っています。
裕福な家庭に雇われているのです。
それだけ腕を見込まれているはずでしょう。
さらには難民出身ということで家族を養うために職を失うわけにもいかないはず。
なのに、何故そのような行動に出たのか?
説明が少なすぎて、やはりプロットのためだけに用意されたエセ看護師にしか思えません。
恍惚した表情にやられた。
強烈な映画だった。
倦怠夫婦モノとしては、ゴーンガール以来の衝撃ではないだろうか。
男性優位の社会における女性の生きづらさ。
義理の両親との歪んだ関係性。
一見すると自由に見えて、その実誰よりも抑圧された生活を強いられている様子が丁寧に描かれる。
それゆえ、見る人は"異食"という奇行に走る彼女に否応なしに感情移入してしまう。
何故ならそれが、彼女に唯一許された"自由"であるのだから。
異物を飲み込む時の痛みと快感は、見ているこっちも辛くなるほどのものだった。
そう言った意味では、そこらのスリラーやホラーよりも見るものに精神的苦痛を強いる映画ではあるだろう。
しかし本作を見終わった後に感じたのは"解放"だった。
どこか晴々とした気持ちでエンドロールを見ることができた。
不快な題材と映像表現であるにも関わらず、エンタメとして成立しているのは。
ひとえに本作の映像美ゆえだろう。
徹底的に練られた構図、ライティング、繊細なSE。
ここにヘイリー・ベネットの美しさと素晴らしい演技が乗ってくるから成立するのである。
これら一つでもバランスを欠いてしまったら、この映画は成立しなかったであろう。
どこまでも繊細かつ大胆な映画だ。
儚げなヘイリー・ベネットが異物を飲み込む時の恍惚とした表情には誰もが唸るだろう。
自宅で鑑賞する際にはヘッドフォン推奨。
喉を通る異物の音、痛みと快感の感じ方も倍増する事請け合いだ。
病気の背景にあるもの…。
「自分」の居場所を探して
異物を吞み込むことで感じた得体のしれない達成感。その正体が、「自分にしかできないこと」だと頭で感じた瞬間、そのつまらない子供じみた好奇心で行った行為に虚しさに、彼女は、画鋲を吞み込んだときに涙した。なんともいえない人間らしい儚いシーン。
(子どもが生まれたら、私に対する対応が何かが変わるかも)という期待は日々を積み重ねるにつれて崩れていき、子どもが愛されるようになるだけで「自分」に意識が向くことはないことを理解していく。
酒に酔っていた夫の仕事仲間にハグを求められ、「自分が必要とされた」と思ってハグをやり返すが、後日その男は女性なら誰でもよかったことを知り落胆する。
過去の秘密(すべて)を話し、「自分」を見てくれるカウンセラーにハグをした=心を許したのに、夫にその情報が筒抜けで、「自分」が尊重されておらず落胆する。
最後の最後、母親頼れない結果、レイプした父親しか残っておらず、消去法で父親のもとへ向かい、「自分」の存在はなんなのかと聞きに行く。「自分」がわからないまま彷徨い歩き、たどり着いた結果はとても酷な方法でだったが、やっと「自分」でいていいんだと救われる。
自らの決断で子どもを堕胎し、「これまでの自分」を捨てて、「自分」を生きていく決意をするトイレでのラストシーン。入れ替わり立ち代わり女性が出入りするトイレ内のシーンは、非日常に近い一人の物語がいったん終わり、多数の女性が出入りすることで「日常」が画面に現れる。
『そんな日常の中に生きているんだよ』と、誰がどんな思いで生きているかはわからないまま「日常」を生きているんだよと。
戦争を経験した看護師役の男性は、痛みがあふれる世界で生きてきたからこそ、ヒロインの痛みを敏感に感じ取っていた。戦地にいる必要はない、安全な場所はある。逃げなさい。といわんばかりに、やさしさに溢れていた。そんな気がする。
胸にグッとくる、良い映画でした。
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