Swallow スワロウのレビュー・感想・評価
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重いテーマをカラフルな映像で描いた作品
かなり重い。というよりかなりキツいと言うべきか。観ていて正直、胃酸過多になってしまったかと思うほど、胃がもたれた。
でも、完成度は高く良い作品だと思う。テーマも十分考えさせられるものだったし、映像もかなり良い。いたるシーンにおいて常にカラフルさが入っていて、スローな展開なのに目が離せない。重いシーンながらも赤・青・黄・緑・紫等々効果的使われ、観ている方としては結果的に救われたかなという印象。
本作で初めてへイリー・ベネットを意識したが、個人的には相当のカリスマ性を感じた。
本作は誰にでもお薦めとは言い切れないが、かなり印象に残る良作というのは間違いない。
異物食の問題を取り上げた映画ということだったのですが…
その実は「女性の自立」ということを真正面から取り上げた作品だったのですね。彼女がどういう動機で夫と家庭を持つことに決めたかについては、明確な描写はなかったかと思いますが、こういう境遇におかれたなら(それについて彼女にも帰責的な点があったとしても結論として)彼女が異物食に追い込んでしまったととは、容易に合点が行くように思います。
もし、彼女にも経済的に自立して生活できるだけの方途があったら、こういう事態に立ち至ったでしょうか。
そう考えると、この作品も、その本質としては、女性の(経済的な)自立の問題を描いた一本だったのてはないかと思われました。観終わって。評論子には。
居場所がない
富裕層の退廃までいかないが、ぼんやりとした虚無感、こういう設定よく見かけるようになりましたね。反出生主義も近年のブームでしょうか。映像が美しくて、自宅豪邸の静けさはなんかホスピス感があってそれも殺気とチルの裏表の関係が見えてよかった。
異食をするシーンが美しくて、そこばかり頭に残る
2022.80本目
妊婦さんに異食症の症状がでる人が多いことを知って、驚いた!異食をするシーンが不思議と、美しく神聖な儀式のようにみえる。
夫が、見るからに悪い夫という感じはなくて表面的には良い夫に見えるのに、どことなく違和感がある感じがリアルだった。
夫からの解放、というより「妻」からの解放って感じで、しっかりメッセージがあって良かった。
けど、オチやストーリーが弱かった感じはあって、異食をするシーンばかりが頭の中に残った。
小川洋子作「妊娠カレンダー」に通じるテーマ。
ふっくらしたヘイリーベネットもいいな。
金持ちの夫と何不自由なく生活しているように見えるが、満たされない孤独(何か)を抱えている。
それが妊娠を期に、
異物を飲んで排泄する事にハマり、
時に下血、救急車で搬送される。
それでも「スワロウ(飲み込む)」が止められない。
キャッチ意味不明だな。
欲望じゃない。
胎児を「異物」と感じ、
出したいという擬似行為だ。
それは出生の秘密に繋がる。
「ホラー」とあったし、
押し付けがましい姑や周りで「ローズマリーの赤ちゃん」っぽい話かと思った。
けど小川洋子せんせの「妊娠カレンダー」だな。
全ての女性が、
妊娠を望んでいる訳じゃない。
良作
きめ細やかで官能的な印象を受ける洗練された絵作り
整った美しい世界の中だからか、作中の”異物”がより実在感を持って感じられる
痛みを伴って快楽を感じ、自己の不在を埋める。
刹那的な悦びに堕ちていきながら苦悶の中で恍惚の表情を浮かべる主人公に、背徳感と美しさを覚えます。
一見するとメンヘラにイライラするだけのただの「キワモノスリラー映画」のように見えるが、それだけで終わらなかったのは
相方の夫をただのモラハラ野郎として安く描き切らない部分が大きかったと思う
時折見せる夫の良心がドラマとして見応えを確実に増した。
ストーリーとしても、最終的にアイデンティティ肯定の始発点を描くラストになってるのが良い
タイトで洗練された良作
痛みはあるが何故かグロテスクさはない
好きです
なんか勉強になった
知らない症状で調べたら自分も子供の頃やたら氷を食べてたし妹は茹でてないパスタを食べてたのを思い出した
人間って複雑だけど愛が有ればそれで良いのかもしれない
でも自分はシンプルにこれからもdo all things with love精神で行こうと思った
わたしは幸せ…?
彼も義理の両親も良くしてくれるけど
…しあわせは見せ掛け?
実は…ハンターは少しも幸せに
感じていない
ビー玉を飲み込んで快感を感じて
止められなくなってしまった
あらゆる金属片を口に最後は土まで
ストレスなのかそれとも
…妊娠したから
ボードピンなど飲み込んだ時は
怖かった
彼女の出生が彼女を苦しめていた
生まれてきてよかったのか
いろいろと悩みながら生きてきた
確かめたいことが…あった
そして本当の父に会い
父とは違うと言った
…その後
自分自信を取り戻せることが
できたのか…いまひとつ解らない作品
孤独な彼女が逃げたのは異食による自傷であった
2021年の年始に公開された本作。映画ファンの中ではかなり話題性の高い作品でした。
ざっくりしたストーリーは知っている状態でしたが、イマイチ私の好みとは違う気がしたのでなかなか見る決心がつかずにいました。アマゾンプライムで無料配信されていたこの機会に、重い腰を上げてようやく鑑賞です。
結論ですが、凄く面白かったです。
独特の色合いの絵作りであったり絶妙な人間関係であったり、そういう部分が非常に楽しめました。異食症ばかりがフィーチャーされて説明されがちな本作ですが、それ以上に家族間の人間関係が本作の面白さの軸になっていると感じます。
夫や義両親から疎外感を感じていた彼女が、最後に頼った相手が……。
色々と考えさせられる作品でしたね。
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若くして大企業の役員となった優秀な夫を持つハンター(ヘイリー・ベネット)。裕福な義両親から新居をプレゼントされ、地位も収入も高くルックスも良い夫に愛され、赤ちゃんを身ごもり……。傍から見れば幸せいっぱいの彼女であったが、彼女自身は完璧な夫の家族に対して本心で接することができず、疎外感を感じていた。ある日、彼女はビー玉を手に取った時に、それを食べたいという衝動に駆られ、飲み込んでしまう。それ以来彼女は、様々なものを食べてしまう「異食症」の症状に苛まれることになる。
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異食症は本作に登場するハンターのような妊婦に多いそうです。
妊娠中は鉄分などの栄養素が不足してしまうため、土や石などを食べたいという衝動に駆られるとのこと。通常は体に害のない小石や土や髪の毛を口にすることが多いらしいですが、ハンターは体を傷つけてしまうようなものまで食べてしまっているので、なかなか症状は深刻に感じられます。
異食症の治療方法としては、鉄分などの栄養補給や家族を含めた生活習慣指導などがあるそうです。なので、義母のジュース療法は治療法としては決して間違ってないですね。義両親は彼女の症状を受け入れて理解しようとする様子が伺えますが、肝心の夫は彼女の行動を激しく非難し、怒号を飛ばします。過度なストレスからか、異食症の症状が治まることのないハンターがどんどん追い詰められていくような描写が観ていて辛い。
そして最後のあの展開。ハウスキーパーの男性の協力で家から逃げ出したハンターが、最後に助けを求めたのは顔と名前しか知らない実の父親。父親とのシーンは個人的にはかなり感動しました。
色々と考えさせられる作品でした。異食症という刺激の強い部分のある映画ではありますが、多くの人に観てほしい作品です。オススメです!!
異食症患者はみていて痛ましい
グロ系にかなり耐性はあったが、異物を飲み込むシーンはかなりきつかった。
シーン自体はグロくはないのだが、見ているだけで喉がつまるように感じた。
サスペンスやミステリーカテゴリに分類されていたが、そのような要素はなく
周囲のストレスによって異食症を発症した主人公という感じだった。
まさに魅入るよう
喪失から異食症という病を絡め、自分自身を取り戻す物語。ヘイリー・ベネットの芝居がすごく、まさに魅入るよう。
特に、その表情がすごいですよね。
製作総指揮に彼女がクレジットされているのも、この作品にかける想いがわかります。
家庭内での行き場の無い、鬱屈とした毎日。
限界から抜け出し、そこからルーツを知り、本当の内の声を知る。
良いか悪いかは別にして、すごい前向きな最後を感じました。
できたら劇場で観たかった作品です。
飲み込むストレスマネジメント。
金あってイケメンの夫に玉の輿に乗ったけど、専業主婦生活がなんか満たされなくて、異物飲み込んだら生きてる実感得てしまった話。
主人公のような人は実際にあるらしい。異食症という名がついている。
画鋲飲み込んだときみたく、実生活が身体の奥からジリジリと痛めつけられてる。
そして、ストレスを抑えるように乾電池を飲み込む。
この女性にとっては、異物を飲み込み体内に異常をきたすことで、生きてるって実感を得ている。いえばリスカみたいなことかなと思った。
誰も自分のことなんて気にしていない。興味あるのは子宮の中の子供や結婚という飾りだけ。辛い生い立ちもあって、自分の存在価値に対して劣等感がある。
そんな彼女一人で生きる決意をした物語。
生肉や調味料のドアップ、遠目のカット、主人公のいないトイレなど洋画ならではの描写が多い。映画で胃カメラのシーンは初めて見た笑
「他者の」欲望を飲みこんでいく
予告編でもポスターでも画鋲を飲んでいるシーンがあったのでおっかなびっくり鑑賞したが思いの外引き込まれた。
夫婦間のコミュニケーションになにかしら問題を感じている人が見ると共感する部分があるかと思う。
主人公の女性が"異物"を飲み込む原因は分かりやすく、「自分ではない誰か」を求められた時にその衝動が起こり、飲み込んだ後にそれを成し遂げた達成感を感じるのだろう。
しかしそれは越えるべき壁を越えたわけでもなく、他者からの「こうあって欲しい」を叶えただけ。
女性だから、と限定しきれないけれど、女性が抱えがちな問題ではある。
なぜ主人公がそこまでして他者に合わせるのか、その原因として遠い過去の出来事が描かれる。
分かりやすく"これが問題"と言えるような過去は現実ではそんなにあり得ることでは無いけれど、それと対峙する姿を描くことが重要だったのだろう。
最後の終わり方は主人公としてはスッキリしたのかもしれないが、あまり後味の良いものではない。
しかし、トイレの中で身繕いする何人もの女性の姿を見ていると、内面がどうであれ、外の世界と戦う為に皆生きているのだなあ、と言う力強さをなんとなく感じる。全体的に面白い描き方だなあ、と思った。
個人的には夫が悪いと言うよりは階級的、性格的なミスマッチかと思った。家事に文句つけるくらいならお金もあるんだし家政婦をとっとと雇えばいい。
いろいろ責任転嫁してきてうるさい夫だが、もっと我が強い奥さんだったら壊れずに済んだだろう。
しかし、自分の言うこと聞きそうな相手として主人公をパートナーに選んだ感は否めず、やはりこの映画の中で起こる問題はありがちな事なのかなあ、とも思った。
ジョー・ライトが製作総指揮なだけある
個人評価:4.2
とても個人的な物語。
1人の女性の内面をとても丁寧に描き、そして寄り添っている。
本作は異物を飲み込む描写ばかり宣伝され、正しい紹介をされていないのが残念。ジョー・ライトが製作総指揮になっている点で、この映画の本質を感じとってほしい。
キリスト教の教えと、1人の女性の生き方を対比させ、生き方や価値観の多様性を示唆している。
素晴らしい作品だった。
おっとりした若奥様の内面は・・・無限地獄!
とてもユニーク。とても複雑。そして唯一無二の独創性。
パステルカラーで描き上げた作品は、驚きと衝撃を秘めていました。
2019年(アメリカ/フランス合作)監督:カーロ・ミラベラ=ディヴィス
お金持ちの玉の輿に乗った若奥さまのハンター(ヘイリー・ベネット)は、
ハドソン川沿いの美邸で何不自由なく優雅に暮らしていました。
従順で理想的な妻を演じるうちに心は徐々に蝕まれていたのだろうか?
ある日、ビー玉を食べたい欲求を抑えきれずに、飲み込むのだった。
その行為が、なんともハンターには甘美な瞬間で充実感を覚え、
なんとも言えない解放感を味合うのだった。
→ビー玉→画鋲→虫ピン→小さなドライバー、
次々と呑み込むのをやめられない・・・
異食症と診断されるハンター。
(はじめて聞く言葉です。)
異食症とは、栄養の無いものを食べたくなる症候(紙・土・粘土・氷など、)
子供と妊婦に多く見られる。
ハンターはそう妊娠もしています。
本当に思いつかないユニークさ・・・ですが、後半、更に更に予想外の展開をして行きます。
本当に、監督・脚本のカーロ監督(女性です)
女性ならではの発想とそして発展と展開・・・凄い才能です。
後半は、ハンターの「出生の秘密」
ハンターはなんとも数奇な運命のもとに生まれたていたのです。
ハンターが背負いきれなかった「出生の秘密」
しかし彼女は、真正面から向き合い、戦いを挑み、運命をこじ開ける道を選びます。
見た目には、なんとも個性の薄いヘイリー・ベネット。
優しくふんわりした容姿から想像の付かない、パワフルで実力のある演技でした。
彼女あっての「SWALLOW/スワロウ」
女性なら共感できる優れた作品でした。
奇行の背景に仄見える有りうべき格差婚の姿とは・・・
孤独と劣等感に苛まれる新妻が"異食"にのめり込むスリラー映画。
表層的には主演のヘイリー=ベネットが異食に耽溺していく幻想的な演出と演技で楽しませながら、その裏でお互いへのリスペクト無き格差婚の崩壊して様をドライに描いている秀作です。
ラストシーンで毅然とカメラの枠外へ歩いて行った主人公がどうか強く生きて行ってくれますように...。
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