天外者(てんがらもん)

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劇場公開日:

解説

三浦春馬が主演を務め、近代日本経済の基礎を構築し希代の“天外者(てんがらもん)=すさまじい才能の持ち主”と称された偉人・五代友厚の人生を描いた歴史群像劇。「利休にたずねよ」「海難 1890」の脚本・小松江里子と監督・田中光敏がタッグを組み、オリジナルストーリーで描き出す。江戸末期、ペリー来航に衝撃を受ける日本。新たな時代の到来を察知した青年武士・五代才助(後の友厚)は、攘夷か開国かの内輪揉めには目もくれず、世界に目を向けていた。そんな中、遊女はるとの出会いから「自由な夢を見たい」との思いに駆られた彼は、誰もが夢見ることのできる国をつくるため、坂本龍馬、岩崎弥太郎、伊藤博文らと志を共にする。五代の盟友・坂本龍馬を三浦翔平、後に三菱財閥を築く岩崎弥太郎を西川貴教、初代内閣総理大臣となる伊藤博文の若かりし頃を森永悠希、遊女はるを森川葵がそれぞれ演じる。

2020年製作/109分/G/日本
配給:ギグリーボックス
劇場公開日:2020年12月11日

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(C)2020「五代友厚」製作委員会

映画レビュー

4.0そんな時代があったのだと、語るを聞いた次第です。

2021年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

採点のマイナス1は、龍馬暗殺のシーンが見る人の知識に頼っていること、アクション映画のようなシーンが必要だったのかという違和感、ぐらいでしょうか。昔は昔、今は今。特に今の世に当てこすって話を考えたくはないのですが、骨太い人々の力強さに感じ入るのもまた、今の世と今の自分と比べてしまうからでしょうね。あんな風に未来に希望して生きていけたら良いのですが。あと、映画館でご視聴の際、もしお時間があるならば、エンドロール終了まで席を立たない方がよろしいかと思います。オマケ付きでした。そして主演の三浦春馬様、合わせて彼が演じた五代友厚様に心からのご冥福をお祈りします。でも正直、こんなエンディングの被り方は真っ平御免ですね。

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猿田猿太郎

3.5努力に裏打ちされた輝き 三浦春馬をしのぶ

2020年12月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 三浦春馬の所作は美しい。
 以前WOWOWドラマ「ダイイング・アイ」を見た時、バーテンダーを演じる彼のシェイキングなど一連の動きの美しさと無駄のなさに驚いた。知人のバーテンダーに習ったり、バーに通ったりしてかなり練習したのだという。肩幅があってすらりと背の高い彼が指先まで神経の行き届いた所作を行なう様は、何とも言えずクールかつ上品な華やかさがあった。
 本作でも、五代友厚が身につけていたであろうと言われる示現流の殺陣のシーンで同じ印象を持った。鞘を付けたままで相手を切らないが、彼が構えた時の緊張感からは美しさだけでなく、一の太刀に勝負をかける鋭い斬撃で知られる示現流の迫力が伝わってきた。これもきっと時間をかけて練習したのだろう。彼の所作の美しさは努力が結晶した美しさだ。
 物語そのものは、2時間で五代の一生をさらっているためか正直端折りがちなところもあって比較的淡々と進む印象を受けた。三浦春馬が命を絶ったため、序盤で五代がはるに「命を粗末にするな」と言うシーンなど、どうしても気持ちがどこか現実に返ってしまう場面があった。もちろんこれは作品そのものの問題ではなく、私の姿勢の問題だ。
 ひとつだけどうも受け付けなかったのは、大阪の吉村知事と松井市長がカメオ出演したことだ。事前に知ってはいたが、言われなければ分からないような登場の仕方だろうと思っていたら、結構なハイライトシーンで蓮佛美沙子を二人で挟んで立っているのが大写しになってぎょっとした(物語には全く絡まない)。撮影自体は昨年のうちに終わっているが、彼らにとって何とも微妙な時期に公開されたものだなあと思う。個人的に政治家がプロパガンダ映画でもないのにこういう首の出し方をすることは嫌いなので星が一つ減った。
 ただ、それを差し引いても五代の魅力を観客に伝えるには十二分な作品だ。彼に関する史実の細かい部分はよく知らなかったが、とても興味がわいた。それはやはり三浦春馬が先駆的ヒーロー五代友厚としてスクリーンで生きているからだ。
 エンドロールが終わると自然と観客席から拍手がわいた。五代を顕彰する作品としても、名優三浦春馬の熱演を堪能する遺作としてもその拍手にふさわしい作品だと思う。

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ニコ

4.5ポジティブな偉人伝が遺作になったことがせめてもの救い

2020年12月24日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

楽しい

興奮

献花する気持ちで劇場鑑賞する方も多かろう。主演俳優が他界して半年もたたずして興行に臨まねばならない関係者たちの辛さを考えてしまうが、大ヒットスタートと報じられたのは喜ばしい。

幕末維新の激動期に活躍した五代友厚の人生を描く本作。五代の存在は、朝ドラ「あさが来た」でのディーン・フジオカの好演で歴史に明るくない層にも広く知られるようになったが、映画の企画自体はドラマよりも早く2013年に市民有志によって立ち上げられたという。当然、予算面など制約もあっただろうが、主演の三浦春馬をはじめ人気の若手から演技派の中堅まで、大手配給作品と比べても遜色ないキャストが配された。三浦のはつらつとした表情、熱のこもった弁舌に心を揺さぶられると同時に、素晴らしい才能が失われてしまったことを改めて痛感。やや駆け足気味の物語構成ではあるが、ポジティブな偉人伝かつ青春群像劇であることに救われる思いがする。

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高森 郁哉

4.0三浦春馬さんの最後の主演映画となった作品。主人公の熱い想いは、今もなお生き続けている。

2020年12月8日
PCから投稿

三浦春馬さんの最後の主演映画となった作品。
物語の規模は大きいですが、有志で作ったような作品であるため、そこまでのクオリティーを求めるのは酷なのかもしれません。
とは言え、「利休にたずねよ」や「海難 1890」といった硬派な作品を作ってきた田中光敏監督作品のため、本作もキチンと映画として成立していました。
舞台は幕末から明治初期で、現在の日本経済のベースがどのように作られていったのか等が描かれています。ただ、本来の史実はかなり入り組んでいるので、分かりやすい形で描かれるオリジナルストーリーとなっています。
主な登場人物は、坂本龍馬、(初代内閣総理大臣で、お札でも有名な)伊藤博文、三菱財閥を築いた岩崎弥太郎、そして、大阪経済を発展させ日本経済のベースを作った三浦春馬さんが演じる五代友厚です。
まず、坂本龍馬を三浦翔平が演じていることに最初は違和感のようなものを持ちましたが、
「坂本龍馬→武田鉄矢がリスペクト→武田鉄矢の物まねが得意な三浦翔平」
といった変換で納得しました。
また、映画では西川貴教をほとんど見たことがなかったので、「お笑い要員?」と思っていたら最初のシーンは不発で「あれ?」と思っていましたが、ラスト辺りで別の意味での良さが出てきます。
伊藤博文は(「ちはやふる」の机くんの)森永悠希で、こちらは自然に見ることができました。
そして、何と言っても希代の“天外者(てんがらもん)”【鹿児島弁で「すさまじい才能の持ち主」という意味】である五代友厚を演じた三浦春馬さんの役柄のフィット感は見事としか言うことがなかったですし、本編を見れば分かりますが、ある種の「運命的なもの」さえも感じる役柄でした。
私が本作を見て思い出したのは、三浦春馬さんが1月下旬に書いた以下の名言です。

「明るみになる事が清いのか、明るみにならない事が清いのか…どの業界、職種でも、叩くだけ叩き、本人達の気力を奪っていく。(中略)
国力を高めるために、少しだけ戒める為に憤りだけじゃなく、立ち直る言葉を国民全員で紡ぎ出せないのか…」

これは当時一部の人から「国力とか意味が分からない」等、批判もされていましたが、本作を見れば、この発言の真意が、より分かるようになると思います。この言葉は、これからどんな時代になっても、私たちが肝に銘じておきたい名言だと思います。
ちなみに、終盤は大阪が舞台となるのでクライマックスとなる演説会場には、群衆の中に現在の大阪府知事や大阪市長の姿もモブでいるので気になる人はチェックしてみてください。
100年先をも洞察する映像表現等は独自性があり、本作の見どころの一つで、私は気に入っています。

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細野真宏

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