ビューティフルドリーマー

劇場公開日:2020年11月6日

ビューティフルドリーマー

解説・あらすじ

「踊る大捜査線」シリーズや「サマータイムタイムマシン・ブルース」の本広克行監督が、押井守原案のストーリー「夢みる人」を映画化。本広、押井、小中和哉、上田慎一郎による実写映画レーベル「Cinema Lab(シネマラボ)」の第1弾作品。文化祭の準備に追われる熱気あふれる先勝美術大学の校内で、映画を撮ったことがない映画研究会の部室だけはいつものようなまったりとした時間が流れていた。「教室の片隅に何かある」という不思議な夢を見たサラは、本当に古いダンボールを見つけてしまう。箱の中に入っていたのは、古い脚本と演出ノート、そして1本の16ミリフィルムだった。しかし、それは「撮ろうとすると必ず何か恐ろしいことが起こる」という、映研に代々伝わるいわくつきの台本だった。「イノセント15」「聖なるもの」などで主演を務め、自身も映画監督として活躍する小川紗良が主人公のサラ役を演じる。

2020年製作/75分/G/日本
配給:エイベックス・ピクチャーズ
劇場公開日:2020年11月6日

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映画レビュー

4.0 押井守監督×本広克行監督により、あの伝説的なアニメーション映画がこんな形で生まれ変わるとは。

2020年11月5日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

押井守監督といえば「攻殻機動隊」というイメージが強いのかもしれませんが、世の中に知られるようになったのは、本作の原案である「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」でしょう。
それが今回、制作費を抑えながらどこまで良い映画を作れるのか、という「Cinema Lab」といった枠組みの中で、「踊る大捜査線」シリーズの本広克行監督が実写映画として作ったのが本作です。
ただ、完全なる実写化とかではなく、あくまで本作のために押井守監督に「夢みる人」という原案を書き下ろしてもらっています。そして、その脚本(原案)をベースに(登場人物の)「大学の映画研究会の部員たち」が実写映画として作っていく、という物語です。
作風としては、本広克行監督の「サマータイムタイムマシン・ブルース」あたりに近いのかもしれません。

「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」は名作と言われ続けていて私自身も見たはずなのですが、だいぶ前のようで内容はぼんやりとしています。
ただ、そもそも「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」は夢の中のような不思議な世界を描いている作品だったので、本作を見ながらいろいろと思い出しました。
また、私は本広克行監督の「サマータイムタイムマシン・ブルース」や「曲がれ!スプーン」のようなユルい作風が好きなので、本作の世界観は良かったです。
そういう背景があったので本作にはかなり入り込むことができました。
公開館数は少ないのですが、気になったら見てみてください。俳優も無駄に豪華だったりするので決して損はないかと思います。

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細野真宏

3.5 強く印象に残る小川紗良の非凡さ

2020年10月24日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

本広克行監督の学園3部作の3本目とでも言いましょうか。
随所に映画愛に溢れたシーンがちりばめられていることもクスリとさせられる。
「サマータイムタイムマシン・ブルース」、「幕が上がる」、そして「ビューティフルドリーマー」。
初々しい才能をグン!と引き上げるのが上手で、ベテラン陣をまた巧妙なほど適材適所に配してくる。升毅にあんなことをさせてしまうなんて(汗)。
とにもかくにも、女優であり監督でもある小川紗良の好奇心に満ちた眼差し、製作サイドの意図を理解しきった面持ちが強く印象に残る。現時点で、女優・小川紗良という観点でいえば代表作といえるのではないだろうか。
「監督絶対主義」をコンセプトにしたレーベルの第1弾として、幸先の良いスタートを切って欲しいと願わずにはいられない。

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大塚史貴

3.0 元ネタ知ってたら嬉しくなる

2025年9月15日
iPhoneアプリから投稿

アニメ版『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を知っている人ならニヤリとできる、いわば“マニアックな楽しみ方”ができる映画だ。時間がループしていることに気づく流れや、温泉マークとさくら先生の喫茶店での会話、冒頭であたるが呆然と戦車の砲弾を見送る場面、ラスト間際の面堂・さくら先生・あたるのやりとりなど、アニメで印象的だった瞬間を実写にうまく落とし込んでいる。派手さはないが、その“手作り感”も含めて味わいがある。

一方で、元ネタを知らない観客には「なんじゃこりゃ?」と映るかもしれない。アニメを前提にした仕掛けが多いため、入り口は狭い。しかし、知っている人にとってはオマージュの積み重ねが嬉しく、懐かしさと新鮮さを同時に味わえるのが魅力だ。

ただこの映画は単なる実写化ではなく、“映画を作ること”そのものを描いた青春群像劇でもある。映画研究会の学生たちが“呪われた脚本”を手に自主制作に挑む姿は、文化祭前夜のような熱気に満ちており、資金集めや撮影準備に追われるリアルさが観る者を巻き込む。映画の中で映画を撮る、という入れ子構造も相まって、夢と現実の境界が曖昧になっていく感覚は、まさに“ビューティフルドリーマー”そのものだ。

呪いの正体や脚本の謎はあえて説明を避けており、観客に委ねられる部分が大きい。そのため物語の明快さを求める人には不満も残るだろうが、自分としてはこの曖昧さも含めて「映画そのものの夢を見せられた」と感じた。リメイクというより、“あの名作から派生したもうひとつの夢”に立ち会った感覚である。

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赤足

3.5 今スポットを当てた作りは実に新鮮

2024年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

大林監督に捧ぐとなってるけど、導入の文化祭から完全に押井守作品「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」でしたね。びっくりです。
螺旋構造・空から落ちる・上下白の制服(しかも剣術に「暗いの怖いよ」)など盛りだくさん。
そしてクランクインしたらもう劇中劇はもうそのまんまです。
秋元才加がまた上手く、温泉との会話の再現度が高かかった。
風鈴のシーンがまた素晴らしく、最近見たばかりなのにまた観返したくなりましたね。
全編に溢れるそのオマージュは本当に楽しかったのですが、着地が少し弱かったかな?
ただ今スポットを当てた作りは実に新鮮で、個人的にはとても楽しめました。

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白波