劇場公開日 2021年3月26日

ノマドランドのレビュー・感想・評価

全424件中、81~100件目を表示

3.0またどこかの旅先で

2021年11月26日
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鑑賞方法:VOD

ロードムービーは四季があって、天候があって、
旅先の出会いがあって
自然が人生を見せてくれるから好きだ。

まさに本作も人生を見せてくれたけど、苦行という言葉が
真っ先に浮かんだ。

車中泊、キャンピングカーが流行ってると思うのだけど、
社会の仕組みから外れて自由に生きる人たちの映画かと
思いきや、
言葉では自らがこの生活を選んだ、
この生活を愛していると言ってるけど、
自己暗示のようにも聞こえた。
この生活しかないんだ。愛するしかないじゃないか!
と言う心の叫びが透けてるように思えた。

人生何があるか分からない。
自分の力ではどうしようもないリーマンショックなんかも
起こるだろうし、
国中を回って美しい物を見て、旅先で新しい仲間と出会う
のもまた人生。

だけど、やっぱり自分のベッドで足伸ばして寝たい。

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奥嶋ひろまさ

4.0See you down the road

2021年11月22日
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鑑賞方法:VOD

もう少し社会風刺テイストかと思っていたが、もっと、今の自分の生活、その将来の振り返りのような、自分に近いところに感じられる素敵な映画だった。

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WALLE

5.0マクドーマンドは、渋柿女優(褒め言葉)

2021年11月19日
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一言「劇場で観ればよかった!」

その理由は、全体的に暗い夜の場面・遮るもののない荒野の場面が多く。
家だと外の光(朝に観た)や、TVの大きさがねえ・・・。

本題。
採掘場の閉鎖で、「郵便番号すら消えた」町・エンパイヤ。
そこから仕事を求めて、キャンピングカーで移動する主人公・ファーンが。
「ホームレスじゃないの、ハウスレスなのよ」と。
放浪の民=ノマド、として暮らす話です。

淡々とした話ではあるのだけど。
行く先々で出会う、同じノマド仲間や職場の人。
ハウスレスでも、お互い助け合う社会が描かれているのが、好感度大。

印象的なシーンを一つ。
ファーンは、親(か祖父母)にもらった皿を大切にしてたけど。
途中で他人の不注意で、割れてしまう所。
短いシーンだったけど、「形あるもの、いつかなくなる」って感じで。
個人的には、ノマド生活を続ける腹を括った気がしました。

主演のフランシス・マクドーマンド。相変わらず渋柿テイスト満載(褒めてる)。
この役は、彼女だったからこそ成り立ったでしょう。

エンドロールで初めて、出演者たちがノマドの人だったことを知り。
でもでもしっかり演じていたのにも拍手です。

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ゆき@おうちの中の人

3.5ドライブ旅行が好きでカナダやアメリカを旅するとなんとキャンピングカ...

2021年11月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

難しい

ドライブ旅行が好きでカナダやアメリカを旅するとなんとキャンピングカーと出会うことが多いか。
夏のバカンスを楽しむ当たり前のアメリカ流のレジャーとばかり思っていた。
いつかはキャンピングカーでアメリカ、カナダの自然の中を旅したいなあと思っていた。
がこの作品を見てハウスレスという存在を知った。
そこには一人一人が違う事情を抱え渡り鳥のような生活をしていて寄り添っては離れていく。
映画は自然の中のアメリカらしい綺麗な風景の連続でまた旅したくなる。

初めて聞いたノマドという存在。根無し草なのだろうか?
「一緒に住もうと」と云われて安住の地を得れたのに、その夜はベッドで眠れずに車に戻って夜明けを待つ主人公。夜明けとともに出て行く。
その先の不安はなかったのだろうか?

収入源となるアマゾンの配送物の梱包や公園のスタッフなど結構バイト口はあるんやなあと思ったけれどお金に困るシーンもあり現実を突きつけられる。

人生について色々考えさせられる映画だった。

ところで「プリウスに乗ってる」っていってたノマドさんがいたが自分もあのプリウスに乗ってたけれどキッチンはついていないし狭いのでは?
まあ、燃費が良いので移動には最適かも・・・

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♪エルトン シン

3.5自由ゆえに責任が伴うノマドという生き方

2021年11月9日
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各国の映画祭で数々の賞を受賞しているノマドランドを鑑賞させて頂きました。

とても素晴らしい映像美で、主人公が長年住んでたエンパイアから必要最低限の荷物を車に積んでノマドとなるところから始まるのですが、平原の道をただ車が進んでいるシーンを後ろから撮影しているのが、本来ならば無機質な車が進んでいるだけのはずなのに、映像美も音楽でなんだか切なさや、儚さや強さを感じます。

物語の後半にも同じようなシーンがあるのですが、不思議なものでそこにはまた違う感情も感じます。

それはきっと登場された方々の暮らしぶりや言葉に重みがフランシスマクドーマンドさんの演技がプラスされてるからなんだろうなぁ。

エンターテイメントな作品ではないですが、
現代のノマドの方々の話しや暮らしぶりを観ていると胸に迫るものがありオススメです。

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Francice

4.0人間も自然の一部

2021年11月7日
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悲しい

知的

難しい

人生100年でどんな歳の取り方をしていいかわからない今、これも老い方の一つなんだろうなぁ。それぞれ皆事情があるにせよ、余程の覚悟がないとこんな生き方はできないと思う。狭いキャンピングカーの中だけでは窒息してしまう、だから彼らには自然界が家そのものなのだ。同じノマドの仲間と再会して、楽しい時間を満喫したらまた再び自分一人の人生に戻る。自由と孤独そのもの。人は人に支えられてしか生きられないとこの映画はいっている。
この映画に出てくる人達は、悲しみや苦しみを胸にそっとしまって生きている。若さなど足元にも及ばない、人間的な魅力がぎっしりとつまっている。

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ウチレオ

2.0大平原の小さな存在

2021年11月7日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

ドキュメントよりで作り込んだ感じのしない所が良いのかは人それぞれ、この生き方に共感できるかできないかで味わいが天と地程の差になる作品。

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ケセラッセーラ

4.5自分の中のB面

2021年11月4日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

自分の心の中にA面とB面があるとすると、これはB面の極端な理想と思える。なにかがあって、一旦ひっくり返ってしまうとA面などあったことを忘れて、違う姿で生きていく自分を想像してしまう。干渉が多く、国土の狭い日本ではなし得ないことなのかもしれないけれど。

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にこにこどり

3.5遊牧民

2021年11月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

2011年、アメリカのある街が企業の撤退で消えて無くなり、大久の労働者が漂流することに。
主人公(フランシス・マクドーマンド)はこの影響で、職を失い、家も手放し、車で職を求めて移動することに。
劇映画の形をとっているが、ドキュメンタリーよりも強く、今の社会の問題を浮き上がらせている。

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いやよセブン

1.0えっ、おもんな、、、

2021年11月2日
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おばちゃんがバン乗って生活するだけのおもんない映画。
なんか最近のアカデミー賞はこんなんばっかり。
社会派気取りはいいけど娯楽性ゼロの映画は楽しめません🙅‍♀️

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りう

2.0眠くなってしまった

2021年10月30日
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Disney+で配信されたので視聴。

前半から中盤にかけて、ノマドの暮らし、フェーンの苦しみや孤独や意地、死の身近さがじわじわとひしひしと伝わってきた。
しかし、私の感性や理解力が足りないのか、後半でも同じようなことしか感じられず、眠くなってきて、いつのまにか終わってしまった…

高評価ばかり目立つが、私は合わなかった

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うりー

2.0寝てしまった…

2021年10月28日
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鑑賞方法:映画館

難しい

生き方は選べばいいのでしょうけども、車上生活を肯定するために感傷的な理屈をわざわざこじつけるのは必要ないのでは。
そりゃあんな広い大自然があったらいろんな土地を放浪して生活したい人もいるかもしれない。しかしまだ年老いた体の厳しさはわからないので結局保険をかけねばと思ってしまいます。

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スベスベマンジュウガニ

4.5現代の社会問題の先にある普遍的な思想。

2021年10月24日
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鑑賞方法:映画館

Nomad. Workamperの実態をノンフィクション作品を元に映画化されている。監督はクロエ・ジャオこの作品でアジア人初のゴールデングローブ賞監督賞を受賞、アカデミー賞で作品賞、また、非白人として初めて監督賞を受賞。原作はジェシカ・ブルーダー著 ノマド: 漂流する高齢労働者たち
この映画を知るまでこのようなアメリカの現状を知る事が無かった。現代のnomadと言われる人達の中心は1950年台〜70年代にかけてのビート族、ヒッピーと同じような生活を送っている高齢者達。ある人はウーバーによってタクシー運転手の仕事がなくなり、映画の主人公はリーマンショックによる工場の閉鎖に伴いネバダ州のエンパイアがゴーストタウン化して職を失ったのをきっかけにバンに住みながら生活するハウスレス生活を送る事になり、荒野に作られたアマゾンの巨大工場で働いたり季節によって複数の日雇い労働で日銭を稼ぎがら車上生活を送ることになる。
仕事がなくなるきっかけも職に着く先も誰もが知っているグローバル企業の名前が出てくる。アメリカではウォルマートの巨大な資本力によって次々と街から商店街などの個人店がなくなり、結局、個人店で働いていた人は生活がままならない程の安い賃金でウォルマートに雇われるというのも事実として聞いた事がある。日本にはまだこのような高齢者は居ないにせよ資本主義社会の行く末として、この事実だけ切り取っても考えさせられるものがあるが、映画の魅力としてはここからで主人公のフランシス・マクドーマンド演じるファーンはただ孤独なだけではなく、人間力もあり人にも好かれるので、自分の姉やキャンプで出会った同世代のイケメンオヤジから一緒にすまないかと誘われる機会があるものの、それを拒み自ら何度も荒野に出ていく。in to the wildという映画があったが、ビート族やヒッピーから始まり20代男子なら一度は憧れる、社会の飼い犬になんてならずに快楽を求めて動物のように自然の中で生きていくという思想に60代の未亡人のおばちゃんや高齢者達が目覚めているという衝撃がまずある。もちろん実際にその生活を送ることは人を選ぶと思うがそれはおそらく年齢や性別に関係なくやってみたらもう家と限られたエリアだけで終える人生なんてつまらな過ぎるという目覚めがあるのだと思う。ただその一方で映画の画面は恐ろしいほどに美しい引き絵の広大な自然の中に小さく強く一人生きているおばちゃんを描いていて、その心情を写すBGMも切なく悲しみに満ちている。こんな孤独は耐えられないと感じざるを得ない撮り方をしているのだが、その生活を選択している本人達だけが、安心安全な生活を送っている人よりも、生きている事のダイナミズムを感じながら腹をくくって強く生きていて、どこかでそんな生き方に憧れてしまう感覚もある。正直なところ、少し間延び感を感じて少し集中が切れて時間を気にした時があったのだが、この映画に関しては必要な演出でありすぐに自己反省につながった。つまり、最近テレビを見ていても間延び感や展開が遅いと感じることがあるのだが、それはYOUTUBEやSNSがこれだけ発展する以前は無かった事だと思う。インスタントに展開や結論を求めてしまっていて、ゆったり感がなくなってしまっている事に改めて気付かされた。本来の人間らしい心地のよいリズムで生きているのか、巨大企業の産物であるインターネットやスマホによって便利になったがそれが幸せにつながっているか、という事にいみじくも気付かされた。俺も家族がいなくなり一人になった時に荒野に出ていけるのだろうか。翌日、家に帰ってしまいそうな気がする。

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bluecinema

4.0こういう生き方

2021年10月18日
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理解できなくても理解されなくても今この時の自分の生き方を選ぶ強さと選んでしまう弱さ。

時間が止まらないなら、止まらないまま感じ、自分の悲しみごとそこにいたいときもある。

ゆっくりと自分と向き合える、もしくは向き合いたい人は観ることをお勧めします。

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大粒 まろん

4.0現代の西部劇であり「イージーライダー」の続編でもあり

2021年9月1日
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鑑賞方法:VOD

今年の冬に公開予定のマーベル映画「エターナルズ」の監督作品ということ、またアカデミー監督賞作品でもあるということで興味を持ちAmazonレンタルで視聴。「ザ・ライダー」は未見。

今年3月公開ということで、ある程度の内容や事情は把握して見たんだけど、最初に思ったのは「映画館で観るべきだった」という後悔。
物語というよりはセミドキュメント的。
登場人物も主人公のファーンを演じるフランシス・マクドーマンドとファーンに、思いを寄せるデイブを演じるデヴィッド・ストラザーン以外は本当のノマドの人たちが登場する本作は、言葉や物語よりも映像で語るタイプの作品であり、彼ら、彼女らの後ろに映る雄大な自然もまた重要なファクターで、ぶっちゃけ36インチテレビの画面では本作の魅力がかなり目減りするのは間違いない。

本作に登場するノマドの人たちは総じて高齢者であり、日本で言えば団塊の世代。
つまり、美しい理想の世界と自由を求めたヒッピー(フラワーチルドレン)世代なんじゃないかと思う。
しかしながら、夢破れて社会の一部に収まった彼ら彼女らが、老年を迎えた今、再び社会から放り出され幌馬車のようなRV車で仕事をしながら国中を放浪するとは、何とも皮肉な話だと思わずにいられないし、僕くらいの年齢になるとそれは近い未来の自分の姿かもしれないと思ってしまう。他人事だとは割り切れない。
なので劇中、自由を謳歌するノマドたちの裏に横たわる「自己責任」という名の不安に、どうしても目が行ってしまうんだよね。
原作は未読だけど、内容的にはこうしたノマドを安く使って搾取するアメリカの大企業に対して問題提起をしているノンフィクションだと聞いているけど、本作はそんな原作とは趣が違って、ファーンの目を通して見たノマドの人たちの誇り高き暮らしぶりを、壮大な自然と共に(その厳しさも含め)抒情的に描いているように見えた。

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青空ぷらす

4.0美しい景色と複雑な感情の重なりあい

2021年8月22日
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泣ける

夫の死、想い出が詰まった街の取り壊しと
自分の人生がリスタートされるタイミングで
ノマド生活を始めるフランシス・マクドーマンド演じる主人公。
人生100年時代と言われている通り
生きているなかで様々なことが起こり
その時立ち止まって、自分の生き方を見直すことは
誰にでも必要となることなのではないかと思いました。

本当に景色が綺麗で、素敵♡
心の中にシーンと響きました。

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はるみ

4.0エンドロールまで観ると

2021年8月22日
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鑑賞方法:映画館

エンドロールまで観ると、本作の凄さが増します。

役者さんの出演はわずか数名なんだと気付かされるからです。

本物のノマドワーカーが多く出演し、オスカー女優と共演しているという構成。

主役のフランシス•マクドーマンドさんは、素人相手に、どうやって演技プランを練ったのだろう❓2度のオスカーを受賞するだけあります。

ルポ的原作を映画化しており、観る側の解釈に委ねられている余白が多く、それが賛否分かれる要因にもなっている。

そして映像が本当に綺麗。
広大な自然、光の使い方。大きなスクリーンで鑑賞して良かった。
大人の映画です。

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まさ

2.5共感するのは難しい

2021年8月11日
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なかなか難しい。いかにも賛否両論ありそうな作品。
ノマドな生き方を自由と捉えるか、空虚で危険な生活と捉えるか。人によってはっきりと分かれるだろう。

子供を育てつつ日々仕事に立ち向かう日本のサラリーマンとしては、これは絶対に陥ってはいけない状態だと思うほかなく、共感は出来なかった。

病気、資金、治安、衛生....心配事満載のリスクだらけの生活である。自由と引き換えに失うものが多過ぎる。
共感出来る出来ないは、映画の本質ではないし、作品の出来不出来とも別の話だが、劇中そればかりが気になってしまった。

散文的な各シーンの雰囲気は悪くないが、これがアカデミー作品賞かと納得するのは難しい。

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Yuk

4.0日本では感じ得ない空気感と、孤独と繋がり。

2021年8月6日
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アカデミー賞を取った作品と言う事で、映画館では観れなかったものの、配信レンタルで鑑賞しました。
しかし改めて、アカデミー賞を取った映画はとりあえず映画館で観るべき!と再認識しました。
本作に於いては、広大なアメリカの広さ、空の大きさ、夕暮れなどがとても美しく描かれていて、それが主人公や周りの人物の心象とリンクしているので、あぁもっと大きな画面で観たら壮大だったろうなぁ、と時折思いました。
キャンピングカーやもっと小さなバンを寝床として、仕事を探しながら場所を転々として生活する。日本人にはあまり馴染みの無い風景だが、それもまたアメリカのリアルを感じる。
ある時代であればヒッピーという言葉で片付けられてしまったかも知れないが、これは現代の、それも普通の暮らしを求めるが、どうしても何か上手く馴染めない、そんな社会からほんの少しだけ逸れてしまった人達の情景を、本当に美しく描き出している。
そして登場するたくさんの人物は、もはやどこまでが役者でどこまでが素人か分からない。そんな強烈な個性があるというのも、アメリカという土地や複雑な状況が生んだ物なのかも知れない。
私もこの映画はあまり前情報無く観ましたが、結果、心に深く残る、何か不思議な感覚があり、気が付いたらとても良かった、と人に勧めている映画です。
深い夜にゆったりと観るには最高の映画だと思います。

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MOON

4.0用意された台詞では表現できない至極の2時間

2021年8月4日
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近年日本でも、特定のオフィスを持たずあらゆる場所で仕事をしたり、都市部を離れて地方に移住してリモートで仕事をする新しい価値観や"ノマドワーカー"が注目されているが、ここで描かれているノマド(遊牧民、放浪者)はそんな前向きでカッコいいものじゃない。
かつての家や定職を失い、旅を続けながら季節労働に従事する高齢労働者たち。
深刻化する格差社会、高齢化社会のなか、アメリカの広大な大地と美しい自然を背景に、貧しいながらも人生の思い出とささやかな希望の中に生きる車上生活者たちは、それぞれとの交流を育みながらも孤独に不器用に必死に生きている。

中国系アメリカ人女性監督として、とんでもない才能を見せつけたクロエ・ジャオと、実際にノマド生活を体験して演技に生かしたプロデューサーでもあり主演の名女優F・マクドーマンド。
二人の女性が作り上げた世界観に吸い込まれるように没入し、人生観や価値観を激しく揺すぶられた。
マクドーマンドとD・ストラザーン以外は、実際のノマドである素人の演者たち。だからこそ演技ではない本当の言葉と人生がそこには満ち溢れていて、フィクションとノンフィクションの見事なまでの融合が生まれている。
キャンピングカーで暮らす片腕を怪我した気難しい老婆スワンキーが、ノマド生活のノウハウをファーンに伝授するのだが、彼女がひたすら自分の言葉でこれまでの人生と病気のこと、そして夢について語る場面。
クライマックスでも何でもない、作品のまだ前半の場面だが、なぜか胸が熱くなり涙が溢れた。
人生の豊かさ、幸せって本当は何だろうか。
これから年老いていく自分に照らしながら、なるべくポジティブに、深く考えてみようと思った。

スペクタクルなことなど何も起こらないドキュメンタリーのようなロードムービーなので、退屈に感じる人もいるだろう。しかし用意された台詞では表現できない、自然と生活の音、静寂に包まれながら、至極の2時間を味わった。

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SG