ノマドランドのレビュー・感想・評価
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これは傑作だった。激しく感動した。
高齢の車上生活者たちの存在を知った。
彼彼女たちの生き様を知った。
孤独、過酷な季節労働、死と隣り合わせにある恐怖、、、序盤、チキンな自分はそんなことを考えていたような。
そういったレベルの話ではなかった。
自分のチンケな価値観が恥ずかしくなった。
キャンピングカーで生活する現代のノマド(遊牧民)。
自らが望んだ生き方だった。
すべてが腑に落ちた。
凄い説得力だった。
アメリカの広大な土地、雄大な自然、、、35光年離れた星の光りを見たとき宇宙とつながった。映画のマジックが在った。
生の再獲得をこそ撮る新味。支持。
まさかまさかの肩すかし
かなり期待して観たんですけど、巷で言われているほどの作品ではなかったです。フランシス・マクドーマンドの存在感は圧倒的で、アカデミーの主演女優賞は確実。でも一本の映画としての完成度はそれほど高くない。フィクションとドキュメンタリーの間隙を突くような視点は評価するとしても「現代のノマド」を通して写しだそうとしている映像に、思いの外魅力がないし、伝えようとしているものも底が浅く感じられました。「荒涼とした風景」なんてありふれたもので、例えば日本中の国道沿いにあるコンビニとドラッグストアの光景だって、ゾッとするくらい「荒涼と」しています。この映画の中の風景の方が、よりフォトジェニックじゃないかと言われればその通りですけど、それ以上でもそれ以下でもない出来映え。何かすごく甘えた印象をもちました。
ドキュメンタリーでもあり、フィクションでもあるノマドランド
家がない。常に漂流しているノマド。
非正規社員として、不定期にその都度、その都度お金を稼ぐために働く。
リーマンショックの影響で、企業が倒産してしまう、城下町が全てなくなってしまう。
その状況に巻き込まれて、家や家族や地域のコミュニティ全てを失ってしまい、思い描いていた老後とは、全く違った世界で暮らすことになってしまった人たち。
キャンピングカーで生活するというホームレスではないけど、ハウスレスな暮らしは、ノマドという遊牧民的なのどかな暮らしとは程遠いものだと思う。
ある部分、過酷で孤独だと思う。
社会としての問題を感じるところも多い。
ただ、その部分を超えて、自分の最期は自分で選ぶという、突き抜けた自由さを感じるのは、楽観的に見すぎているのだろうか?
ギリギリの生活をしながらも、生きながらえていくノマドという生き方は、
この映画で見る以上に過酷だと思うが、その中で出会う人たちとのふれ合いは、家に閉じこもっていても出会えないもののように思う。
老後に豊かであるということを金銭的なことを基準にみれば、豊かではないんだけど、
それが不幸なのかというと、そう決めつけて見ることも違うのかもしれない。
人間て、どこで最期幸せだったと感じるんだろう。と、ちょっと考えさせられる映画だった。
『喪失』のその先へ。 ロードムービーとして最高級だと思う。
ロードムービーが子どもの頃から好きだ。
筋金入りだと自認する。
そのロードムービーの大傑作だと思った。
素晴らしかった。
『喪失』をどう埋めて、生き直すのか。
埋まるわけがない。失ったものは、そのままは決して帰ってこない。
『喪失』も『欠落』もパズルのピースがはまるようなことはありっこない。
痛いおもいを俺なりにして、俺なりに学んだ。
世界は広いということ。
自分は欠けているということ。
世界は待っているということ。
好奇心だけを持って、外に出るということ。
旅の途中ならば、また会えるかもしれないという。
その通りだ。
地球というフィールドで、宇宙というフィールドで、旅を続けるだけでいいんだ。
切ないなって見える場面でも、なんだか主人公は生きる喜びが全身からあふれていた。
そりゃあ悲しいに決まってる。
でも旅の途中なんだ、人生っていうグレートジャーニーの途中なんだ。
まだ見ぬ世界があるんだ。
仏教的な映画なのかもしれない。
まぁそんなことは今はどうでもいい。
迷いながら、さ迷いながら生きる旅人たちに勇気と感謝を学ばせてくれる映画。
すんばらしい!
ロードムービー、マイオールタイムでも最高級だと思う。
特別な事とは思わなかった
ネバダ州エンパイアで暮らしていた還暦を過ぎた女性・ファーンは、リーマンショックによる企業倒産で、長年住み慣れた家を離れワンボックスを改造した車で暮らす選択をした。ノマド(遊牧民)として、季節労働の現場を渡り歩き車中泊生活をしながら、旅先で出会うノマドたちと交流を重ねていく話。
自分も長期連休には車中泊しながら旅をし、山登りや城巡りをしているので、車で寝る事は特別な事とは思えない。また、日本でも、リタイアした人がキャンピングカーで、春は桜前線を追って北上し、夏は北海道、秋から南下し、冬は奄美へと車中泊生活されてる人も居るし、ごく普通の事としか見えなかった。住所が無い所だけは違うだろうけど。
アメリカ西部の大自然は美しかったし、持ち物を車に入る物だけに出来たら究極の断捨離だなぁ、とは思ったがそれだけだった。
人によって感じ方は違うと思うし、あくまで個人的な感想です。
自分の人生を振り返り、先を考える
日本人にはちょっとわからないかも
アメリカの田舎を車中泊で暮らす人達の話だけど、日本人にはちょっと理解できないのかもしれません。
私の父もリタイア後は、愛犬と一緒に車中泊で全国を旅するのが趣味でした家に帰ってきては、ハイエースを改造して楽しんでいました。
日本全国の道の駅で色々な人と出会い、特に北海道で出会った方々とは毎年のように道の駅で再開していたようです。
そんな父も、自宅で心不全で急死して、この後も全国の色々な方が父の携帯に安否確認の連絡を頂き、思い出話をされるので、良い人生だったのだと思っています。
ただ、、、この映画とは似て非なる話だと思います。
アメリカにはこういう生活をされている方々がいるのですね。ただ、ホームレスではない幸せな生活なのかも知れません。
アメリカの社会と、大自然の風景は憧れさえいだきますが、日本人の自分には理解はできないかもしれないかと。へぇー、、とは思うけど、感動とは違います。
さよならのない旅
虚偽と偽計に満ちたアカデミー賞❓‼️
生き方、人生を考えさせられた作品
ノマドはアメリカの現代の遊牧民の事はこの映画のチラシを見て初めて知った。ロードムービーで一瞬ドキュメントかと思いきやしっかり映画の形になっているのも脱帽だし、何よりフランシス・マクドーマンドをはじめ主演俳優が数少なく、実際アメリカでノマド生活している数多くのエキストラを起用している事にまたびっくり。ノマドとの交流を通じてファーンは自分の人生、生き方を考え生きる道とは、生きる場所とはをキャンピングカーに乗ってノマドらとの交流を通じて見つけていく。ロードドキュメントと思いきやしっかりと映画作品として成立しているのはやはり監督のグロエ・シャオ監督のアイデア、発想が見事だった。アカデミー賞作品賞有力候補なのも納得。マイナス点はないが、このようなストーリーは今の観客に受け入れられるかどうか不安に感じマイナス0.2にしたが満点に近い4.8点です。合格点を上げたい。現時点では個人的には今年のべスト作品候補。
終始地味な感じだったけど雰囲気のある作品で美しい風景が盛りだくさん。
予告編で暗い感じ作品だと思ってたけど、それ程でも無かった。
鉱山が閉鎖となり社宅を追い出され、車上生活者となった60才を過ぎたファーンの生活を表現した文字通りのロードムービー。
お金が無くなれば働ける場所に移動してお金を稼ぐの繰り返し。
まさに遊牧民(ノマド)の生活。
ノマド達の仲間意識が高くて、物々交換をしたり、困った時の助け合う姿が印象的。
パンク修理のやり方や車内のトイレで使うバケツのレクチャーが面白い。
仲間が家で生活するように勧めるんだけどノマドに拘るファーンは無くなった旦那の事を思い意地になってる感じ。
とにかく美しい風景が盛りだくさんで、ロケハンにはかなり力を入れている印象。
ラストに昔、ファーンが住んでいた社宅のシーンが何だか泣ける。
Amazonのピッキング現場がメッチャでかくて驚きました( ´∀`)
居場所の喪失
私も日常の繰り返しに嫌気がさして、衝動的にふらっと放浪生活をおくりたくなる時がありますが、資金の事を考えるといつも躊躇してしまいます。しかし、ひとつ言えるのは、私の憧れる放浪生活と本作の放浪生活は全くの別物だということです。
本作に出てくるノマドは、生きる為に最低限な生活、ジャンクで粗末な食事をしてガラクタに囲まれた生活をしています。銃社会で治安が悪いアメリカでは、女性高齢者であればあるほど、この様な生き方はリスキーな生き方になります。本人達は、このノマドを自発的に選んだと言っていましたが、恐らく社会によって自発的に選ばさられただけなのでしょう。それは、企業閉鎖による貧困かもしれませんし、精神の病かもしれませんし、人間の尊厳の喪失かもしれません。
ファーンは『ホームレスではなくハウスレスよ』と言っていましたが、それは彼女自身に残った最後の尊厳なのです。この様な生活を選ばさられたと思うよりは自ら進んで選んだと思う方が、人間の尊厳が傷つかないのです。ノマドランドは、何も持たない人達の最後の拠り所であり、唯一尊厳を傷つけられない場所です。
格差が拡がり続けるアメリカ社会によって、尊厳を傷つけられた人達、居場所を奪われた人達という意味では、根本的には狂信的にトランプを支持していた人達も本作のノマドも同じだと思います。
これからの時代は、テクノロジーが更に加速して、企業はDX化しないと生き残れない時代です。本作はリーマンショック数年後のアメリカを舞台としていたので、低賃金であれ、Amazon倉庫では人が働いていました。今や受注はシステムが行い、発送はロボットが行い、輸送はドローンや自動運転車が行うといった未来が見えてきています。
ホワイトカラーであれブルーカラーであれ、仕事や居場所がテクノロジーに取って変わられ、巨大企業と株主だけがひたすら膨張していく社会。そんな近い将来に、私も含めて人類の居場所は果たして残されているのだろうかということを示唆しているようでした。
正直、共感は出来なかった
いつかまた会える
また この道の何処かで。
老いて行く実感。明確に意識せざるを得ない死。世間の同情で思い知らされる自らのまずしさ。疎遠になった家族。社会からの疎外感。愛する者を喪った哀しみと消えない愛おしさ。雪も積もらない砂漠の冬。バンのルーフから染み落ちて来る冷気。
何かから逃れて放浪している人々。その人々と一所で過ごす時間の暖かさ。友情を口にしてくれる人が目の前にいる幸せ。姉夫婦の前や、招かれた家で感じるのは居心地の悪い暖かさ。自分の脚で立っていたいと言う欲求。
そこから眺める人生。
また、この道のどこかで、ふたたび会えるから、サヨウナラは言わなくても良いのだと。
その言葉は、もう、「生」が長くは残されていない事の寂しさや不安を忘れさせてくれる。
たとえ。
そこに見えているものが、素晴らしいとは言い難かった人生の歴史(過去)と、冬枯れの砂漠(未来)だけだとしても。
てな感じの、現代文学作品。
今年は、これがオスカー総なめかも知れませんね。少なくとも、ミナリよりは好き。
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