Summer of 85のレビュー・感想・評価
全72件中、61~72件目を表示
“愛”と“死”がテーマなのに爽やか
フランスノルマンディー地方のノスタルジックで風光明媚な風景とともに奏でられる美少年達の恋と失恋と死。
魅力的な舞台と美少年達の恋といえば、ティモシー・シャラメ主演で北イタリアを舞台にした『君の名前で僕を呼んで』に似ているかなと思ったけど、本作は“死”も描いているから、また違った瑞々しさとディープさが味わえる。
ダヴィドの束縛されたくない、自由にしたいといった気持ちも共感するし、一方のアレックスの片時も離れたくない、二人っきりの世界にどっぷり浸かりたいという重い気持ちも分かる。二人の関係を見ているとかつて自分も経験した10代の頃の恋愛を思い起こさせてくれる。
死体安置所での女装シーンや、墓の上で踊るシーンはコミカルかつシニカルでシュールでもある。
“愛する人の死”を乗り越え自分の物語を生きるというテーマが奇しくも同日公開された「ドライブ・マイ・カー」と同じ。
苦しみを乗り越えて自分の物語を生きるしかないのだ。それにしてもダヴィドのモテっぷり、守備範囲の広さに脱帽だわ(笑)
こんなに切ないオゾンのダンスシーンは初めて
個人的に近年のオゾン作品は不発が多かったのですが、本作品は青春の瑞々しさが繊細に描かれており、脇を固めるキャラクターも丁寧に描かれていてとても良かった。
中でも大音響のクラブでウォークマンで聞くロッド・スチュアートの『セイリング』はとても印象深く、オゾン映画の中ではベスト10に入る名シーンだったw
久しぶりのヘンテコダンスも健在…しかし、こんなに悲しく、切ないオゾンのダンスシーンは初めて、そこに円熟したオゾンを感じた。
BLブームの影響なのか?いつもの客層とはかなり違い若い女性が多かったけど、彼女達にオゾンの魅力が伝わると良いのですが。
友情のような男同士の熱ラブストーリー
時代は85年のフランス。今最もトレンドな80年代設定が何ともお洒落に映る。映像も正に'80s‼️
普通の少年がある日海で遊び慣れた彼に助けられた。
そこから友情のような恋愛が始まる。
観てて共感できる楽しい、愛に満ちた日々が一転、、、
男同士でも、女性側にたつと同じだなっと思った。
凄く理解できたし、辛さも分かった。
この映画は、流行りのタイのボーイズラブといった感じではなく、決してLGBTQの恋愛設定でもなく、フランスのお洒落な濃厚ラブストーリーって感じです!!
特に女性にお勧めします!
先ずは内容、次いでキャストの男子2人がとても綺麗で美しく映えます。
凄く良い映画でした。
80sらしい空気 × 監督らしい題材 = 一夏の青春映画
フランソワ・オゾンの描く死
どこから始めれば?死に興味がある。死体でなく"死"そのものに。正直、途中で予想だにしない部分もあったけど、監督の今までの作品や作家主義的なものを考えると頷ける。文才のある主人公といったら『危険なプロット』を思い出す。『彼は秘密の女ともだち』はじめ突然ふりかかる大切な人の死もついて回る(ex.『婚約者の友人』『ぼくを葬る』)。そんな影を落とす出来事と向き合うカミングオブエイジ/成長への船出。
彼から誘った。人を助けるのに理由が必要か?友達か?いいやつだと思った。友達だと思ってた。友達以上だろ?執着と束縛されたくない自由な魂。若さゆえの燃えるような恋と嫉妬の炎に身を焦がすような362万8800秒。スピードの彼方へと生き急ぎすぎて、もし死んだら墓の上で踊ってくれ。一人が先に死んだらそのときはもう一人が墓で踊る。ダヴィドは確かに男が惚れる男で格好良くセクシー、まさしく一瞬で永遠の輝き。近づく者をひきつけて焼いてしまうような。
一夏のできごと。80年代を舞台にしたピュアネス映画にザ・キュアー(インビトゥイーン・デイズ)あり!海辺に映画館そして遊園地、ロマンチックの粋を集めたような舞台設定とサントラ。最高すぎて嫉妬。こういう夏限定青春映画、あるいはヨーロッパ映画のサスペンスでよく見るような展開か…なんて思っていたらまさかの衝撃の展開。
Sailing/ロッド・スチュワート
↓以下ネタバレ↓
彼ともう一度また会うには自分が死ぬか、物語を書くかしかない。ならば君の物語を書け。自分自身の物語を書くことで一歩踏み出す。その先に何が待っているか分からないけど、まだ始まったばかり。彼の生きてる姿を思い出したい!カリプソってヨットで海に出ないか?にしても終盤、怒涛のように本作のメッセージを言葉で言っちゃうのは少し説教臭くて如何かなものかとも
男同士の恋愛だからこそ成立する、文学的な含蓄のある一本。
1985年のフランス🇫🇷を舞台に、16歳の少年アレックスが経験する初恋を描いたボーイズラブ・ストーリー。
監督/脚本は『スイミング・プール』『17歳』の、名匠フランソワ・オゾン。
ヘンタイ監督として名高いフランソワ・オゾン作品、初体験💕
オンライン試写会に当選したので、鑑賞致しました。
内容は正に「俺たちのイメージするフランス映画」という感じ。
因みに、『サマー・オブ・84』という非常に後味の悪いホラー映画がありましたが、それと本作は全くの無関係です。共通点は人が死ぬことくらい。
第一に、まず画面がオシャレ!
北フランスのリゾート地として有名なノルマンディー地方が物語の舞台。
こんなところで青春を送ってみたい!と思える、青い海と白い建物。
ボートでのクルージングが放課後の遊びって凄いなぁ〜🚤✨
ラストシーンの崖と砂浜がモネとかクールベの描いた「エトルタの断崖」ぽいな〜、と思って調べたらエトルタもノルマンディー地方だということが判明。
映画に出てきたのは「エトルタの断崖」で描かれている崖ではないと思うんだけど、やっぱり同じ風土だと崖一つとっても似てくるんだなあ、と思いました。
第二に、役者さんが耽美的で美しい🌹✨
主人公のアレックスと、彼と一夏の青春を送る青年のダヴィドは、監督自身がオーディションで選んだという若手俳優が演じている。
この2人が、まるで絵画から抜け出してきたかのような美しさでうっとり…☺️
いかにも80'sなワンピースを着て女装をしても、ギャグっぽくならないのは凄い。
この2人が全力でイチャイチャするんだから、お姉様方は堪らないでしょうね〜♪
第三に、物語の深みが凄い!
本作は、端的に言ってしまえば一夏の恋と喪失の物語。
もしこのお話の主人公が女性だったとしたら、非常に陳腐なメロドラマになっていただろう。
たったの6週間の恋。弄ばれていたことに気づき喧嘩、そして別れ。恋人の死により追い詰められる精神と、その絶望からの脱出。
まぁありがちなラブ・ストーリーですわ。
しかし、美少年同士の同性愛により発生するエクストリーム感が本作の見所!
「どちらかが死んだら、残された方はその墓の上で踊る」という狂気的な誓いが2人を結びつけている。
この他者には理解出来ない結びつきと、同性愛というマイノリティな関係。この2点が互いに絡み合い、物語を予期できない方向へと導いていくところに本作の面白さがある。
しかし、男も女も、さらにはオジサンまでいけちゃう、まるで範馬勇次郎のような性欲の化身ダヴィド。
どんな人間もたった1日でオトすというコミュ力は見習いたいものである。
上記三つのポイントが本作の見所だと思う。
しかし、散りばめられた伏線の巧みさも味わい深い。
死体安置所という言葉がさりげなく登場していたり、ダヴィドが冗談でおすすめしてきたワンピースが後半のキーアイテムになってきたり…。
アレックスに文学的な才能があると言う設定が、後半のナラティブセラピーの展開に自然と繋がっていくのも気持ち良い。
また、アレックスとダヴィドが対比的に描かれ続けている点も考察の余地がある。
自転車で疾走するアレックスには若さと生命力を感じるが、バイクで疾走するダヴィドには死の影が常に付き纏っているような感覚がある。
また2人とも裸で寝そべる描写があるが、アレックスはお風呂(ダヴィドのお母さんにオチンチンが立派だと指摘されている。性=生が強調されている。)、ダヴィドは遺体安置所の金属製のベッドとこちらも対象的。
この2人の対象的な描写の積み重ねが、物語後半の展開に説得力を持たせており、物語的な厚みを増している。
近しい人間の死を乗り越えることによる、少年の成長を描いた作品。
個人的にはBLにそれほど関心がないため、退屈に感じるところもあった。しかし映画全体から伝わる瑞々しさと作劇の巧みさは見事。
とりあえず、観賞後にロッド・スチュワートの「セイリング」を聴きたくなることは間違いない。
※以下、鑑賞中に気になった点。
①カリプソ
カリプソ=カリュプソーとはギリシア神話に出てくる海の女神。
オデッセイ(長い放浪、冒険)の語源となった、英雄オデュッセウス(ユリシーズ)と愛を育むが、オデュッセウスは彼女の元から去ってしまう。
『オデュッセイア』において、オデュッセウスはカリュプソーの住む島へ漂着する。
これは、転覆したアレックスを助けるダヴィドという形で、本作で描きなおされている。
つまりアレックス=オデュッセウス、ダヴィド=カリュプソーなのである。
これはアレックスがダヴィドの元から巣立ち、精神的な放浪の旅からやがては家路につくという物語全体の暗示になっている。
②フランスの学校制度
16歳のアレックスが、就職か進学かという進路に悩んでいるというのは、日本の学校制度で考えると違和感がある。
フランスでは6〜16歳までが義務教育。11〜15歳までが「コレージュ」という前期中等教育で、それを修了すると15〜18歳まで「リセ」という後期中等教育に進む。
アレックスはリセの2年生である。リセには「職業リセ」というものがありこちらは2年制。望むものはさらに2年追加の計4年で行われる。
つまり、アレックスは「職業リセ」に通っており、卒業するかさらに2年学校に通うか、迷っているというわけである。なるほどなるほど。
→と思ったけど、違うかも。16歳まで義務教育ということは、2年制だろうが3年制だろうが、1年間は義務教育で通わないといけないということか?
アレックスはリセの1年生で、義務教育が終わるからそのまま学校に残るか就職するかを選ばなくてはいけない、ということかも。
フランス🇫🇷の学校教育制度に詳しい方、情報をお待ちしています🙇♂️
タイトルなし
18歳とはいえすでに社会に出てるだけあって、遊び慣れてるダヴィド。
アレックスはウブな16歳の高校生。
ダヴィドに流されつつ始まった恋。そこから惹き起こされる出来事は、ひと夏の経験にしては衝撃が大きすぎたと思う。
当時のフランスの未成年はこんなにませてたのかと、自分の青春時代と比べつつ鑑賞。
あとダヴィドのお母さんが早く風呂入れと服を脱がせるシーンは何だったのかずっとひきずってます。
透明感!
オンライン試写会にて。
不思議な透明感と悲しみに包まれた作品。
美しいノルマンディーの海辺&美青年で夏気分いっぱいになれるかと思いきや、何とも言えない喪失感がいっぱい。恋の相手が男性でも女性でも、愛する人を失うのは悲しくてやり切れないですよね。。
1985年のフランス
2021年7月22日
映画 #Summerof85 (2020年仏)鑑賞
#感想
オンライン試写会
フランスを舞台に10代の少年?青年?ふたりのひと夏の激しい恋と悲劇的な別れを描いた作品
#フランソワ・オゾン 監督作品なので恋の描き方は上手だなと思いました
85年当時は今よりもLGBTQへの風当たりは厳しかったろうな!
熱くて淡い6週間の夏
横浜アバック座にて試写会鑑賞。
予告で描かれてる通り18歳の主人公アレックスとダヴィドの85年のひと夏の恋愛を描いたLGBT作品である。
LGBT作品といえど偶々男と男が恋に落ちただけでありLGBT特有のなにかを強く描いてるわけではない。これが男と女、女と女でもこの作品においては置き換えて見る事ができるためとても自然に鑑賞するとができる。
アレックスは高校卒業後の進路で非常に心に迷いがある。両親とも距離を置き思春期特有の苦しみを感じ取れる。
一方ダヴィドは高校を中退し早くに亡くした父の仕事を引き継ぎ母と生計を立てる。一見明るく元気に見えるが友達もおらずダヴィドもまた心に大きな傷を負っている事が垣間見られる。
そんな2人が出会いアレックスは当初は親友として接していくつもりだったがダヴィドのアプローチにより彼が喜ぶのであればと恋愛関係に発展していく。
中盤までは彼と幸せな時間を過ごすが後半はダヴィドが女性と関係を持ちアレックスに対して遊びだと酷い言葉を浴びせる。
怒ったアレックスをダヴィドは追いかける際にバイク事故に遭いそのまま命を落としてしまう。
アレックスとダヴィドのとても熱く濃厚な、そしてとても切ないひと夏の6週間の恋愛作品であり恋愛作品としてはそれなりに楽しむ事はできる。ただ冒頭からアレックスが警察に捕まってるシーンからはじまり、死に強い興味があるなどダヴィドの死を冒頭から告白シーンが描かれている。
そこで何か大きな展開を期待してしまうと少し肩透かしを食う可能性はある。
捕まった理由も生前のダヴィドと約束した死んだ場合は墓で踊ってほしいという事をアレックスは実行してまでだったり、ダヴィドの死を彼の母がアレックスを必要以上に責めるシーンだったりこの辺があまり感情を動かされる事が個人的にはできなかったかな。
恋愛においては自然で見やすさはあるが彼らの関係がLGBTという事を除けば特段新鮮味のある展開ではないため良くも悪くも特別な目で彼らの恋愛を見なければ面白味には少し欠けるかなというのが率直な感想であった。
ひと夏にして大きすぎる経験、台風のような衝動を16歳で浴びる
16歳にして、その台風はあまりにも大きくて甚大な爪痕を残していった。序盤に少し引いてしまって、やや引いて観てしまったが、かなり衝撃は大きい。
フランス映画に少し苦手意識をもっていたのだが、今作はすごくフレッシュで繊細。アレックスはこの6週間で大人よりも感情を知っていく。そのダイナミックさが少しばかり鬼畜な運命さえに感じる。
初めに、ダヴィドの母が服を脱がすシーン。あそこで軽く引いてしまって、やや距離を置いてしまったのだが、こうして考えてみると、父が亡くなってバランスの取れなくなったのだから、アブノーマルな行動に走るのも分からなくはない。それでいて、仲良くなったからといって働けるものか、とも思ってしまった。
とは言え、作品自体は濃密で無駄が一切ない。こうして見渡すといかに純度の高いラブストーリーだったのかと思う。最初に抱いていた、BL的な感情はどこにもなく、寧ろ愛を育んだ二人が男だっただけなのかもしれない。特別に上げることもなく、社会の受けを担うこともない、85年の幕間に同情する。
時代が時代だけに、出てくるクルマも懐かしいものが多く、シトロエンやアウディもまだ角ばっている。ビスタに滲む時代のノスタルジーを感じながら、ビーチに吹く風と痛みを胸に受ける。
少しばかり文化の違いや理解に苦しむ点はあったものの、淀みない真っ直ぐな二人の愛は、スピードの彼方になったに違いない。
素晴らしかった。
冒頭アレックスは「君の物語じゃない」と言う。
しかし、その後THE CUREが流れた瞬間これは良い映画に
間違いないと思い、見終わって僕のための映画になった。
10代の夏は特別に思う。
夏の度に男の子は少しずつ成長して大人になる。
そこに友だちが居れば最高だ。
アレックスの場合は10代で何度も経験する夏を
一夏で経験してしまう事になるけど、
どこが自信無さげだった少年は最後には一人の男になってた
と思う。
見始める前はキラキラした10代の恋愛映画なのかな?
と思ってたけど、後半はとても辛かった。
アレックスの絶望が画面を通して伝わってくるようだった。
ダヴィドの実態が薄れて来て自分と向き合わなきゃならない
姿は隣で抱きしめてやりたい気持ちだった。
墓場のダンスシーンではダヴィドが一緒に笑って踊ってる
姿が見えたのは僕だけじゃないはず。
過去と向き合ってだけど前に進まなきゃと思える、
僕の物語ではないかもしれないけど、
僕に寄り添ってくれる「さぁ行こうか」と背中押してくれる
とても良い映画でした。
全72件中、61~72件目を表示