劇場公開日 2021年1月29日

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「カタルシスは無いけどリアルで深い」ヤクザと家族 The Family ださいはずのさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5カタルシスは無いけどリアルで深い

2025年2月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

綾野剛の出演作品を見続けています。「花腐し」の滅びゆくピンク映画の世界にしがみついて生きながらえている売れない映画監督の役柄と、「カラオケ行こ!」の合唱部の中学生をカラオケの師匠として歌に精進するヤクザの役柄、それぞれからも浮かび上がる綾野剛の繊細さ、色気、キレを味わいながら、ヤクザという存在が社会的に滅ぼされていく様子が描かれています。
ボロボロになっても、その中でこそ残る「家族」としての関係性、ヤクザが親分と子分という擬似親子関係でありつつ、親は子を思い、子は親を守ろうとする、たとえ世界が敵になってもその親子関係は維持される・・・
もちろんホンモノのヤクザの実態はそんな美しい物語などは乖離していてもっと汚く、利用し利用される関係なのだろうからこそ、舘ひろし演じる親分と綾野剛演じる子分との繋がりが美しく浮かび上がります。

ヤクザ映画にありがちな圧倒的な暴力とカタルシスはこの映画からは受け取れないが、だからこそ今の時代のヤクザ映画だと感じた。

ださいはずの