「ヤクザになるしかない人達とその末路・人権」ヤクザと家族 The Family yuさんの映画レビュー(感想・評価)
ヤクザになるしかない人達とその末路・人権
公開から遅れてネットフリックスで見ましたが、かなり考えさせられる映画で、見終わった後の余韻が凄まじいです。
綾野剛が演じる「けんぼう」は、ヤクザの子供として生まれて荒んだ生活を送っており、自らも荒んで犯罪も辞さない不良になり果てました。
(こんな人物とは関係を持ちたくありません。)
そんな超不良少年が自身の行動からヤクザに追われ、命を落としそうになる瞬間に生き延びる光が見えたのが今後所属するヤクザ組織であり、組長はまさに命の恩人で、自身を死の淵から救ってくれた親も同然です。
人は分娩で誕生する瞬間、母親も胎児も命掛けで無事に出産できるということは奇跡と言います。胎児は母親の胎内から出た瞬間、鳴き声を上げて生きる狼煙を上げ、自身の生命の確認をし、周囲もその確信を得ます。
けんぼうは命からがら助かり、親を目の前に人目もはばからず泣きました。組長との親子関係を確信し、周囲もその確認を得た瞬間であったと思います。
その後は、必死で親孝行しようと、親のため・組のために邁進していきます。
この映画で描かれているように、やくざ世界でしか生きる選択肢の無い人が現代にもまだいて、映画で描かれているように人権もなければ存在することすら難しくなってきている世の中です。
ヤクザを擁護するわけではありませんが、ヤクザにならざるを得なかった事情の人たちもいる・そこには罪の無い家族がいるかもしれない・そして更生に向けて支援をしようとしている周囲の人達もいる、その人たちの人権や存在について、考えさせられる映画でした。
映画は、脚本・ロケ地が洗練されていても、その良し悪しは俳優の比重が高いと思ってます。本映画に出演された俳優の方々の演技力に感服します。