劇場公開日 2021年1月29日

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「紫煙立ち込める新宿の昭和館が懐かしいのだ」ヤクザと家族 The Family たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5紫煙立ち込める新宿の昭和館が懐かしいのだ

2021年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

萌える

しばらく映画のレビューを書くことが無かったがこんな映画を観てしまったらちょと振り返らざるを得ないというか自分でも何がこんなに心震わせるのかをつくづくあれこれ考えてしまうのだ。2012年の「暴力団対策法」以降じわりじわりと気づかぬうちに所謂「ヤクザ映画」もこの世界から消え去ろうとしている。北野武がその最後の世代なのだろう。「孤狼の血」が昭和の終わり「暴力団対策法」成立前夜を描きこの「ヤクザと家族」が平成から令和「ヤクザ」から「反社」へという差別によって人権をも奪ってしまうこの国家の暴力を描いている。「ヤクザ映画」をかっこいいと思ってはいけない世になりつつあるということだ。我々世代の映画の原体験が「仁義なき戦い」である。国家から差別され虐げられてきた全ての人々の気持ちを代表して「ヤクザ 」は新宿昭和館の紫煙に煙る銀幕で暴れ回った。国家は「分断」という仕組みをいつの時代も必要としているのだ。そして繰り返すであろう「差別される側」は地下で組織化し暴力でやり返すのみである。

たあちゃん