劇場公開日 2021年1月29日

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「ヤクザの勃興と衰退から置かれた立場をどう解釈すべきか、これは悲劇か必然か」ヤクザと家族 The Family たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ヤクザの勃興と衰退から置かれた立場をどう解釈すべきか、これは悲劇か必然か

2021年2月1日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

難しい

「エリートすぎる映画」に映り、何度反芻しても消化不良を起こす。どちらかというと、出来すぎていて感情を生む隙がない。圧倒されすぎて、感想を書こうとしている今も。
健坊が家族として迎え入れられ、のしあがっていく様は圧巻。時代が変わろうともヤクザという地位は不変だと思われていた。しかし、14年でガラリと変貌する。黒塗りのセンチュリーやセルシオからプリウスに変わったように、社会を義理人情で治安維持にする姿などまるでない。悪しきレッテルだけが貼られる。そこに寄り添うヤクザと言う名の家族はすっかり痩せ細り、幸せどころか人権をも失う。これは社会が孤立させているのか、因果応報なのか。悶々とした感情が彼らの遠吠えから問いかけられる。その一方で、「半グレ」が対等する今も透けており、生きるには形を変えて適応することの必然性も垣間見える。そうした感情の錯綜が作品全体のメッセージをぼんやりとさせている。よって、圧倒されただけに留まってしまった。これは相性の問題だとは思うが。
現代に突き刺す「ヤクザ」の行方。「The Family」の副題からも分かるように、ヤクザはもうそこにいない。「家族」だけは途切れることのないものとして残っている。では、彼らは今どんな存在にならねばならないのか。現代の無情は仕方なしと思ってしまう自分もいるのだが。書き終えようとする今も、整理はつかない。

たいよーさん。