護られなかった者たちへのレビュー・感想・評価
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フィクションからノンフィクションへ
とても良かった。
物語上のフィクション部分である連続殺人事件から
同じような事が多々あったであろう被災者の
生活保護受給のノンフィクションへ
目を向けさせる手法が上手いなと思いました。
手足を縛られ餓死させると言う酷さが、
この問題がいかに酷いものであるか示して、
それでも死んで良い人なんていないと言うメッセージと
ラストに動機の全てが繋がる感じが、
重い映画ではあるけど、気持ち良かった。
佐藤健のヤンチャな感じが残る風貌と、
過去の過ちを引き摺り生きるのがしんどそうな感じや
阿部寛の目がグリっとなった、
家族を失った喪失感と目の前の事件に没頭していないと
生から振り落とされそうな雰囲気も
共に素晴らしかったし、
周りのキャストも過去が透けて見えて各々良かった。
フィクションとしてもラストで始まりと繋がって
とても良かったし、
ノンフィクションとしては幹子の犯行前のSNSの手記が原作者、監督の言いたかった事なのかなと
思います。
社会派サスペンスだが・・
連続殺人とサスペンス調ではあるが舞台になった東北の震災の被災者の状況が生々しいことに加え生活保護給付の瑕疵のような描写が実態の様で関心がそちらにばかり注がれ、事件性が薄れてしまった。
もちろん、原作者の中山さんや脚本・監督の瀬々さんも独自の取材、裏付けはされたと思うが、国や自治体への告発性を込めたメッセージの信憑性については鵜呑みに出来ないのが映画の弱みかも知れません。
厚労省は被災者への支援に関する生活保護適用に関する特別通知を再三出してはいますが実際の運用は現地の福祉事務所に委ねられており実効性は不透明ですし課題も多々あるような一部報道も聞きます、政府やマスコミは震災復興についての総括を今一度して欲しいと感じました。
映画では幹ちゃんは女性に代わっていますがミステリーならではのひねりを強調したかったのでしょうかね、女性だと後味の悪さを感じます。利根も幹ちゃんも性格描写にバイアスがかかり過ぎで不自然、意外性の演出意図が稚拙且つ露骨でした。
ラストの利根と笘篠(とましの)刑事のやりとりも蛇足のように思えました。阿部さんの表情で語る演技が素晴らしいだけに陳腐なセリフは白けます、息子が見殺しにされたと聞いて「ありがとう」はないでしょう、涙するだけで受けとめは観客それぞれに委ねるべきシーンのような気もします。
生活保護について、事件の真相を考えながら学ぶことが出来る作品。
震災というものの重さ
震災を経験した人達がその後の人生で大きく運命が変わっていく姿を見ました。
津波で全てを失われた人達がそれでも寄り添い合いながらお互いを本当の家族ように付き合っていく姿は、とても素敵見えます。
だけど、それも何年か経ち世の中が落ち着いてくると世間からの風辺りが少し変わっていた。
同じ辛い経験をしたもの同士だからこそ気持ちが分かる。
社会弱者に対する考え方が少し変わった。
健康で文化的な最低限度な生活は、一体誰の為にあるのか?
自分が同じように震災で苦しんだ立場でも役場の側でも何が正しいのか?といえる作品だと感じました。
逆恨み…
震災に合われた方々が大変な生活を強いられたのは理解する。元々苦しい暮らしだった人なら尚のことだと思う。
ただ、市役所の人は職務にあたっていただけ。
騙されることもある。自分だって人間。
神様でもなんでもない。
それなのに幼稚な考えの犯人が人格を無視して逆恨み…
現実ではこんなものなのかも知れないけど、あまりにも救いがない
こんな映画観たら、人助けるのも嫌になる。
脇が贅沢すぎ。
公開時見逃し、amazon primeで鑑賞。
被害者役の方々が贅沢過ぎておどろいた。
犯人はうっすら分かりつつも、最終的に色んな意味でうそーん、みたいな印象。
フツーの女の子一人であれだけのコトを?無理でしょ?
大の男二人も?スタンガン使うにしても?
という感想をもちました。
一生懸命再現Vは作ってみてはいましたが、そのへんの説得力がもうちょいリアルであれば良かったかな。
いずれにしても休日の朝から見る類の作品では無かった。
後味含め、テンションだださがり。
感情の追い込み、最後のところは泣いて
生きる
生きている人は、仕事がある
過去を忘れたり、過去を踏まえたり
色々な生き方があると思う
生きている人には、この世では明日がある
生きていかなければいけない
私は、過去を踏まえて生きていきたい
その時々で、どうしたらいいのか考えてしまう
楽しい時には、その人の分まで楽しんだらいいじゃないかとも思う時もあれば
もっともっと控えて暮らさなければいけないるじゃないかとも思う
心は常に揺れている
悲しみに囚われると息もできなくなる
何年か過ぎれば埋まる悲しみは有り難い
なんとか当たり前っぽい生活ができるから
恨みつらみは力にはなるけどその未来は明るくはない
他を理解できなくても自分が苦悩したように他もそれぞれ苦しみもがいているのかもしれないということに気づくことが出来ればいいのにとも思う
余裕があるものの勝手な言い分なのだろうけど
人生の大半を後悔で生きています
浅はかな優しさで傷つけてしまった罪は拭いきれない
それを踏まえて生きていきます
素晴らしいというより凄い映画
Amazonプライムで観ましたが、1度観ただけでは判りづらい映画でした。
星5にしたいところですが映像が暗いのと時代が行ったり来たりして判りづらかったので4.5にしました。内容については東日本大震災で被災された人たちと生活保護を絡めて切り込んだ作品として、秀作であり素晴らしいというより凄い映画だと思います。
私自身、震災の翌年福島の原発事故で被災された方々と電話で補償相談員の仕事をしたことがあります。相談員とはいえ話していて胸が詰まされるほどでしたから、生活保護の相談員の方々もさぞ精神的にも辛かったのではないかと思います。まだ地上波では公開されていないようですが是非とも多くの人々の観て戴きたい作品だと思います。
社会はドラマ
豪華な俳優陣の共演で重厚なドラマに仕上がっている。
殺人が無ければドラマとしてもっとリアリティが出ていた。まあ、無かったら映画にならないのか。。
何故このタイミングだったのか。
何年経っても殺意を昇華できなかったのか。
佐藤健が愛想なさすぎる。
今見ても311の話は心が痛む。
ラスト、私だったら、あのセリフは言えないかな。悲しみが深まりそう。その瞬間、親が一緒にいてあげられたら絶対に護ろうとするのに。
自転車に乗る2人の笑顔はこの映画の中で数少ない場面。但し、それが続かないことを予感させる。
カンちゃんは、その後養子(里親?)に迎えられ、立派に就職もし、不幸な人を1人でも減らせるように頑張ってある。引き取られてから大事に育てられたと思うけれど、仲が良さそうな描写は無し。育ての親は切ないな。
人間のすることはすべて間違っていると考えた方がいい。
すべて間違っているが、せめて赦される間違いを選ぼうとする努力はあっていい。
自然が引き起こすことに対して、それは理不尽だと叫ぶのは筋違いというものだ。自然は中立なのだから・・・・。人の幸せを人と人との繋がりの中だけで捕えようとすれば悲劇が起こる。幸不幸は表裏一体。人間関係は幸せにもするが不幸になる原因にもなりえる。
自然災害後に起こった殺人事件を描いたこの映画を観て、改めてそう感じた。人の心は脆い、まるで綿菓子のようだ。しかし、弱いばかりでもない。きっちり死を見つめたものは如何に生きれば良いかを身体が覚えてしまう。それは、哀しみという感情には間違いなく終わりがあるからだ。
そして、人との関係ばかりが幸せもたらすのではないことを実感し、自然の中にも幸せを探してみなくてはならない。
憎しみと恨みの「恐ろしさ」。
連続「餓死」殺人事件、切なすぎる真実そして「護られなかった者たちへ」のタイトル。
佐藤健が人を寄せ付けず、乱暴で何か暗い過去がありそうな雰囲気を終始醸し出している。当然、観客は佐藤健を追っていく。
始まりは震災のあと避難所で寄せ合う女の子とおばあちゃんと佐藤健。そして現在進行系の殺人事件の捜査に果敢に望む阿部寛。時間が行ったり来たりしているので、最初はよく飲み込めないところもあった。
震災で多くの人が家族、愛する人を失い悲しみ、また避難所での生活を余儀なくされている。震災で生活が一変したのだ。一方で、収入、親戚を失った人たちの最低限の生活を保証するための生活保護制度の存在。不正に利用する人たちも現に存在する中、どこまで真に必要な人を救えているのかという地方自治体職員の葛藤。
殺人事件の背景に迫る過程でさまざまな現実や関係性が明らかにされていく。サスペンスドラマの要素もあって、ハラハラ・ドキドキするところも多く、最後まで犯人と殺人に至る理由は明かされない。佐藤健、清原果耶、阿部寛という私の好きな俳優陣であったが、この映画では終始笑顔がほとんどなく、厳しい顔つき目つきの映画であった。
なぜ殺人をしたのか。行政の対応はどうだったのか。についてはそこまでエスカレートする話ではないのではと、冷静に見てしまった。こんなことが起きていたら、行政は破綻してしまう。そうではなく犯人が憎しみと恨みを持ち続け、何人も殺人に移せることの「恐ろしさ」に、後味が悪かった。そうせざるを得なかったほど、彼らの絆は固かったのだろう。ただ、死んだおばあちゃんは、そんな事は望んでないはずである。
最も感動したのはラストで利根の激白に、思わず筈篠が涙したシーンでした。ふたりにはお互いが知り得なかったある繋がりがあったこと
インディペンデントのピンク映画からメジャーの恋愛モノまで幅広く手がけてきた瀬々敬久監督、「64 ロクヨン」 「友罪」など社会派ミステリーの系譜にも連なってきます。中山七里の小説を原作にした猟奇連続殺人事件の物語ですが、東日本大震災を起点として今に続く悲劇を描き出そうとします。
震災によってすべてを奪われた人たちが、どのような状況で生きていかなければならなかったのか。貧困や孤独といった重いテーマが横たわる一方、人とのつながりが救いになるという希望も持たせてくれる作品でした。
いい人だと思われていた被害者に別の顔があったように、正義や善は決して一面的ではないこと、そして誰もが孤独や貧困に直面する可能性をはらんでいることに気付かされます。
瀨々監督の作品のいいところは、たとえ犯罪者でもステレオタイプに断罪せず、罪を犯す状況に誰もが思わず感情移入したくなるほどの犯罪者が犯罪に陥るざるを得なかった状況を深く掘り下げる点です。罪は罪として報いは受けなければいけないけれど、罪を犯すまでの抱え込んでしまった運命について理解を示す視点は大切ではないでしょうか。
東日本大震災から10年後、仙台市内のアパートで、両手を拘束されたうえ四肢や口をガムテープで塞がれ、餓死した状態の遺体が発見されます。被害者の名は三雲忠勝(永山瑛太)。福祉保健事務所の人間だということがわかり、金銭に手がつけられていなかったことから怨恨の線で捜査が始められましたが、身辺を洗っても、職場でも家庭でも三雲のことを悪く言う者は誰もいなかったのです。
しかしそれから4日後、今度は城之内猛留(緒形直人)が公園近くの森の中にある農機具小屋の中で遺体で発見されます。遺体の状態は記者クラブにも流していない共通項が多く、十中八九同一人物によるものだと判断されました。
城之内にも公私ともに悪い噂すら見つからなかったため、犯人は善人や人格者に照準を定めていると考えた捜査本部は、前科者や精神科に通院歴がある者からあたるよう指示しますが、宮城県捜査一課所属の笘篠誠一郎(阿部寛)は2人に必ず何か共通点があるはずだと考えるのです。そして三雲と城之内が塩釜福祉事務所で2年間、同じ時期に職員として働いていたことをつきとめます。
笘篠と相棒の蓮田智彦(林遣都)は、被害者の部下幹子(清原果耶)から福祉事務所の仕事の1つであるケースワーカー業務に同行して生活保護受給者たちと接触し、行政側が真っ当な対応をしていても逆恨みされていることがあることを知ります。そして2人は捜査対象を三雲と城之内が勤務している期間に生活保護申請を却下された者や、受給していながらケースワーカーの報告で打ち切られた者にしぼり、塩釜福祉保健事務所からその対象者のリストが入ったUSBと資料をなんとか手に入れるのでした。
そして2年間で700件近くあった該当者の中で、不服申し立てを含み申請が複数回に及ぶ者や事務所関係者とトラブルがあったものに絞ったところ、やがて容疑者が浮上したのです。
リストの中で、遠島けい(倍賞美津子)という人物の場合は本人ではなく知人男性が乗り込んできて、三雲と城之内に怪我をさせた挙句に建物に火を放ったと知った笘篠と蓮田は、その知人男性・利根勝久(佐藤健)こそが犯人ではないかとにらむのでした。
筈篠は、事件直前に刑務所から出た利根を追うことになります。施設で育った利根は、震災の避難所で出会った少女カンちゃん(石井心咲)、一人暮らしのけいと家族同然の暮らしをしていましたが、けいが生活保護を受けられなかったことに怒って事務所に放火してしまったのです。
映画の柱の一つは、災厄がもたらす孤独と格差、それを乗り越えようとする人間愛です。身寄りのない3人が肩を寄せ合って再生しようとし、震災で妻と息子を亡くした筈篠も、利根の過去を知るうちに自分の傷と向き合っていくのでした。
一方で、生活保護行政の影にも目を向けます。行政側の非情で官僚的な対応を描きつつ、財政難の事情や不正受給者の存在も示してゆくのです。悪意や怠慢に単純化するのではなく、むしろ制度を守ろうとして誰も幸せにならない不条理を浮かび上がらせたのでした。
本作をミステリーとしてとらえるのは、少々難があるでしょう。肝となるはずの動機や犯人捜しだが、こちらの意外性やドンデン返しのカタルシスは、残念ながらもう一つなのです。皆さんもご覧になれば、利根があっさり逮捕され、犯行を自白してしまうことに筈篠が疑念をもち、裏取り捜査に乗り出す時点で、事件の真相をほぼ予感できることでしょう。でせも本作は誰が犯人かということではありませんでした。
一見ミステリーぽく見せつつも瀬々監督は、今も残る震災の傷痕と、震災が明らかにした弱者救済制度の不備にスポットが当たるようにこの娯楽作に盛り込んだのです。生活困窮者が餓死してしまうという死因の強烈さを挿入することで、生活保護のシステムがなぜこれほど面倒なのか。餓死するとわかっていても突き放してしまう行政の非情さとそうせざるを得なくさせている不正受給の問題にも触れていて、行政の福祉担当者の切迫した苦悩は、鋭い問い掛けとなり、我々に深く突き刺ささってくることでしょう。
しかしながらわたしが最も感動したのはラストで利根の激白に、思わず筈篠が涙したシーンでした。ふたりにはお互いが知り得なかったある繋がりがあったのです。
利根はあくまで自分はいいヤツなんかじゃないと激白するのです。あの震災の時、海に乗り込まれる少年を見ても水が怖くて、足が止まってしまって助けられなかったような意気地なしなんだというのです。だからその少年と同じ黄色いヤッケを着ていたカンちゃんを見たとき、この子だけは護ってあげたいと思ったのだとも。
全編を通じて、寡黙で怖い表情を浮かべるだけだった利根のこの台詞に遭遇した時、なんて優しい奴なんだろうかと思いました。タイトルの『護られなかった者たちへ』の中にはきっと少年を助けられなかった利根の悔恨も確実に入っていると思います。
ところで本作は、佐藤健の熱演が物語に深みを与えて本当に素晴らしかったです。
予告編で話題となった利根が泥水に顔を突っ込みながら声を限りに叫ぶシーンや、初めて人の優しさに触れて心を動かす場面など、その名演シーンは語り尽くせません
時を経て、震災がドラマに昇華されるようになったことがうかがえる骨太の一作です。(2021年10月1日公開)
骨太で社会派な作品。
貧困問題、生活保護受給、東北の震災、震災によって家族を亡くし養子に出された、重いテーマがのしかかるが、それをどっしりどの俳優さんも受けとめ演じている。
今の法律や制度の問題を真正面から切り込んでいる。ちょっとでも助けがありそうな道筋があれば受給はさせない、本人の意思による申請、など。
制度はどこかで線引きをしないとなぁなぁになってしまい、担当者や自治体による差が生まれかねない。でも、スパッと切るだけがこの制度ではなく、本当に必要な人に届けるための制度であることを再確認できた。
婚姻や誰の子なのか、も法律によって苦しんでいる人がいるという。それも制度としてスパッと切るのではなく、客観的な視点を持ちつつも誰のための制度なのかをいうことを忘れてはいけない。
生活保護という観点
人の話かと思ったら、制度の話だった。なるほどそういう視点での映画も悪くない。
誰も悪くない。国の制度の問題。増える高齢者の孤独死。背景には本当に、こういうことがあるんだな。身近な人を見ても、独り身だと、余計に自分のことに気が回らない。変に頼りたくない。なんなんだその心理は。貰う権利ないのにずるしてもらう奴もいるってのに。最後のかんちゃんの訴えは、生活に苦しむ全ての人に聞いてほしい。
しかしかんちゃんが一人であの犯行をしたのはちょっと無理があると‥。大人の男性を20代の女の子が一人で運べないでしょ。。それに生い立ちも決して悪くない。母からは愛されていたし、里親もいい人。仕事で触れ合う人々に辟易していたとしても、殺そうとまで思うかな。
題名の意味が深い
二人の男が殺された。
二人は昔生活保護の業務をしていることが分かった
その時生活保護を受けれなかったおばあちゃんがいた。
おばあちゃんは震災で生活が苦しなっていたが、震災で二人の男女と知り合いになった。
警察は二人の男女のことを調べて、男を捕まえたが、おばあちゃんの生活保護のことでもう一人関わっていることが分かって、その人物は行方不明になっていた。
男をそのことを知っていて本当の犯人を説得したという内容だった。
本当の犯人が最後になるまでわからなく、驚きました。
題名の「護られなかった者たちへ」ってとても深い意味のある言葉だなと作品を観て思いました。
生活保護を受ける側と受けさせる側の両方の大変さがみれた作品でした。
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