「シナリオ書いた人は書いた後、ちゃんと読み直した?」大怪獣のあとしまつ Equinoxさんの映画レビュー(感想・評価)
シナリオ書いた人は書いた後、ちゃんと読み直した?
怪獣の死体処理に触れた特撮作品は多数ありますけど、怪獣の死体処理をテーマに1本の映画にしようとしたという点ではプロットはとても期待できるものだったと思います。
しかし結果的には残念な映画となってしまいました。
まず第一にシナリオが破綻してるので、まともな怪獣特撮やSFだと思って観てはいけません。これは細かいことを気にしない人が酒を飲みながらポテチを片手に自宅のソファで友人と観る映画です。真面目に映画館で座って観る映画ではないです。
矛盾だらけのちぐはぐな展開、登場人物の意味不明な行動、回収されない伏線、寒いギャグ、全てをひっくり返すラスト、どれを取っても褒めるべき点がなく、深夜に泥酔しながらシナリオ書いてそのまま読み直したりチェックしたりもせずに撮影に入ってそのまま完成させちゃったのかなと邪推してしまう酷さです。
意図的にこの酷い本を書いたのか、それとも3日徹夜した後に泥酔しながら書かざるを得なくてこうなっちゃったのか、どっちなんでしょうね。
これはコメディだからきちんとした特撮だと思って観てはいけないのかもしれませんが、コメディとしても昭和の時代に飲み会で泥酔したおっさんがドヤ顔で放つレベルの臭気漂うレベルのギャグが全く面白くなかったので、もし100%コメディとして作ったんです、ということなら☆1.5は撤回します。0でいいと思います。
シモネタも低俗だし、他の作品のオマージュっぽいネタも尽くスベり散らかしていて観ていて恥ずかしくなってしまうレベル。緊張と緩和のつもりなのかもしれませんが、シリアスとギャグの温度感が中途半端過ぎて、本当はどうしたかったんだろうかと思います。ラストもネタなのかマジなのかわからないレベルでした。コメディならもう少し振り切って、他の特撮ネタを持ってくるならいっそ茶化し散らかしてもよかったのではないでしょうか。
ネットでは事前に「令和のデビルマン」と言われていましたが、デビルマンは元々の永井豪先生の作品が凄すぎて、多少改悪を加えたとしてもそれでも尚原作の良さに助けられていた面があり、シナリオはそこまで悪くなかったと思っています。120点の原作シナリオを90点分改悪しても30点取れてしまうわけです。
もっとも、デビルマンは「至高の原作を改悪した」という点では罪は非常に重いのですが、純粋に1本の独立した映画としてシナリオだけを見た時には決して「糞」ではなかったと思っています。デビルマンはCGも当時としては及第点のクオリティであり、音楽も悪くなく、役者さんの演技が絶望的に下手じゃなければもう少し高い評価だったはずです。
一方で本作ですが、シナリオだけでいうと0点なので、その部分だけで言えばデビルマン以下と言わざるを得ません。
本作は役者さんもまあ、悪くないというか脚本が最悪なので評価不能ではありますが、俳優陣の他の実績からするとああいう痛々しい感じになってしまったのは偏に脚本のせいだと思います。
CGもハリウッドの予算が潤沢な映画と比べると児戯に等しいレベルではありますが、そうは言っても及第点ではあると思います。舞台装置、小物類、音楽も悪くないと思いました。
一部、シン・ゴジラを筆頭に過去の特撮をオマージュなのかパロディなのかしている既視感のあるシーンもありましたが、概ね画面のイメージは悪くなかったと思います。
トータルでは確かにデビルマンと互角の映画かなと思うのですが、上述の通り、私はデビルマンは最悪の映画だとは思っていません。デビルマンが最悪の☆0映画だとするならば令和のデビルマンは不適切だと思います。逆にデビルマンが☆1.5の映画だからこそこれは令和のデビルマンかもしれません。
ただ、映画を観た時に私が一番最初に思い出したのは北京原人 Who are youでした。シナリオの残念さと意味不明さで言うならデビルマンというより北京原人だと思うんですよね。
最後にNM4をカスタマイズしたバイクが出てきて個人的には同じ車種に乗ってるので凄くシビれたのですが、何故今生産も販売も終わっているNM4なのかなというのも少し気になりました。もしかして164cmの山田涼介さんと153cmの土屋太鳳さんが跨っても問題ない足つきの良さでNM4が選ばれたというのは穿った見方でしょうか。