望みのレビュー・感想・評価
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親の狂気から日本社会の狂気へとこの映画は昇華する。
言うまでもなく、親の狂気。
『経済的な障害から犯罪が生まれる』と言う日本映画の定石を外している所がキャッチーだと思う。
誰が犯人だとか、誰が悪いとか、警察やマスコミはどうするんだ。そう言った事がこの話の主題ではない。
どんな理由やあったとしても、被害者が惨殺された事が問題。事件をタブロイド的に捉えて、狂気そのものに描いているが、強烈なデフォルメ。鑑賞する者は『犯人だ』と言う者と『犯人であってもらいたくない』と言う者に二分すると思うが、誰一人惨殺された少年に対する冥福を祈る者がいない。
『被害者の事を』と最近叫ばれる様になったが、冥福は祈るべきだ。
『続 望み』と言う映画があれば、見てみたいものだ。
さて、誰が犯人だ!!
そうか!やっぱり日本映画ですね。続編が出来ない訳が分かった。
日本映画のど真ん中でした。
死して名を残す。殉職見たいな物。
先ずはこれはフィクションだと見るものは理解すべきだ。現実は加害者である可能性が高い。ご都合主義な映画だ。
作られたご都合主義なのは兄妹がいる事だと思う。つまり、この夫婦の救いは妹がいる事。
まぁ、偽善だ。
でも、そこまで計算に入れて作られた商業映画?
堤真一と石田ゆり子の破壊力
まあしんどい映画。昨日深夜に見始めたけど、間違えたな。リアル、というか人間の本性にどんどん迫っていくあのサスペンスな感じが面白かった。
やっぱり堤真一と石田ゆり子の破壊力は半端ない。夫婦の考え方がだんだん2つに分かれていくプロセスがとても自然だった。この2人の演技力だろうな。これはもう文句なしですよ、頭が上がらないというかアッパレというか。うん。
監督は堤幸彦か。「20世紀少年」「TRICK」の監督やな。まあ特に「20世紀少年」は、もはや漫画の域を超えた三部作になってたと思うから、すげえなあと思ってたけど。堤幸彦監督作品に対して持ってるイメージとしては、「妙に暗くて怖い」かな笑。映ってる映像は明るいところで撮ってたりするのに、妙に不気味な怖さを感じさせるよね。自分の見てる映画が偏ってるからかな?笑
今回は原作も雫井脩介(「検察側の罪人」など)で、かなり重厚なサスペンスになっていたと思う。検察側の罪人は多少荒唐無稽な展開も無きにしも非ずやったけど、今回はストーリー展開はとてもシンプルでわかりやすく、犯罪関係者の家族という特異な視点から進行していったから、安心してストーリーに浸かることができた。
岡田健史は出番少ないのになんで日本アカデミー賞の新人俳優賞取れたのかはさすがに疑問に思った。
心に残ってるのは、夕焼け(朝焼けだったかも?)のシーンかな。あんまり見たことない写り方だったから、へーって思いながらあの綺麗なシーンに見惚れてた。撮影は相馬大輔さん。名前は初めて聞いたけど、「何者」でも撮影担当してたんや。確かに「何者」の時も見たことない撮り方してたから、ストーリーより映像の方が印象に残ってるな。
あと女刑事役のポーカーフェイスがめっちゃイライラしたから、あの女優さん良かったな。早織さん、「キセキ-あの日のソビト-」にも出てるんや。えっ!「ゴジラ-1.0」に声だけ出演してんの?どこやっけ。わからん笑笑。正直、賞あげるならこの人にしてほしかったくらい良かった。
全体的に暗くて怖い感じやけど、人間の本性を炙り出していくプロセスはめちゃくちゃ共感したし、展開も自然だから普通に面白い映画。ただ、夜中に見るのはやめた方がいい。事実でないこと、デマとか噂とかに惑わされて、弱ってる人に対して匿名で攻撃を仕掛けてくる人間の悪いところが盛り沢山やから、深夜2時に僕はめちゃくちゃ怒ってた笑。
マスコミの報道により、 誹謗中傷を受ける夫婦と妹(清原果耶)。 捜査の行方が待たれるだけで、 家族は何もできないでいる。 原作の小説はベストセラーらしい。 映画化するとどうだろう?
動画配信で映画「 望み」を見た。
劇場公開日:2020年10月9日
2020年製作/108分/G/日本
配給:KADOKAWA
劇場公開日:2020年10月9日
堤真一
石田ゆり子
岡田健史
清原果耶
加藤雅也
市毛良枝
松田翔太
竜雷太
平原テツ
堤幸彦・監督
雫井脩介・原作
一級建築士の石川一登(堤真一)と
妻・貴代美(石田ゆり子)はお洒落な家に住んでいる。
サッカー部員だった長男(岡田健史)はけがをし、サッカーを辞めた。
以来遊び仲間が増え、無断外泊が多くなっていた。
ある日長男は家を出たきり帰らなかった。
高校生が殺されたというニュースが入る。
家を訪ねてきた刑事(加藤雅也)たちによると、
さらにもうひとりの高校生も殺されているかもしれないという。
事件には長男が関与している可能性が高いという。
長男は被害者なのか?加害者なのか?
マスコミの報道により、
誹謗中傷を受ける夫婦と妹(清原果耶)。
捜査の行方が待たれるだけで、
家族は何もできないでいる。
原作の小説はベストセラーらしい。
映画化するとどうだろう?
見ていてつらいだけだった印象。
満足度は5点満点で3点☆☆☆です。
どんどん追い込まれていく家族
堤真一扮する建築士石川一登は、自宅を客に見せながら新築のイメージを持たせようとしていた。一男一女の家庭だが、長男は怪我からサッカーが出来なくなり不穏当な行動が目立ってきた。テレビニュースで男子高校生がなぶり殺しされた殺人事件が報道されていて親として帰って来ない息子を心配していたところ警察が家にやって来た。
警察が来たり雑誌記者が来たり親の心配この上ないね。何も分からないからついついイライラしてしまうし泣けてくるよな。マスコミが押しかけたりしてこんな時は家族は結束しないとね。でもどんどん追い込まれていく家族。良い時もあれば悪い時も家族なんだから信じる事しか出来なくとも耐えなきゃね。かすかな望みにかけるしかないね。
どちらにしても元の生活には…
戻れない。未成年の殺害事件が起き、その間息子は行方不明に。加害者二人は逃走中で、もう一人被害者がいるらしい。親としてどちらを望むだろうか。息子の人格や、家族のその後の生活は守られるが、生きて帰っては来れない。あるいは本人のその後の人生や、家族の生活は全て失われるが、息子の命は守られる。究極の選択であり、息子を信じたいが、生きていてほしい。そんな家族それぞれの思い、葛藤が描かれていた。
受け入れられる
父は、自分の立場の為というより、
息子のことを思えばこそ人を傷つける人間であって欲しくない、そのためには傷つけられていても仕方ない、という一念。
母は、命あってこその人生だからと生存していることを切に願う。その為には人を傷つけていても仕方ない、と望む。自分の息子が人を殺めていても仕方ないのか!?自分本位な思いに賛同は少ないだろう。
相反するが、名誉と命、親だからこそ譲れないその二人の望み、父の望みが叶った。
人を傷つけていれば、周りはやはりと思うだけ。だが、真実が判明して周りの反応が一変した。
現実にあるから描かれていると思うが、
関係無い人間が家に落書きしたり韓国みたいに卵を投げつけたりネットで誹謗中傷したり、
真実が判明しない前から憶測で決めつけて関係を断つ人々がいたりと汚い人間模様。
父は望みが叶ったせいか社会人として人間ができているのか、酷い人達を赦す。
作品として世に出すからには加害者であることより被害者であれ、としないとまずいのか?
親の望み
ある事件に息子が巻き込まれたと知った時、妻と夫は親としてそれぞれ違う望みを抱く。我が子にはたとえ犯罪者となったとしても生きていて欲しいと願う気持ち、我が子が人を殺めるはずなどないと信じる気持ち、どちらも親なら当然に感じる望みでありこれには正解がない。子育てをしていると、この子は親の言葉を本当に聞いているのか、と言いたくもなる事が多いものだが、この映画には父の言葉がちゃんと息子の心に届いていたのだとわかるシーンが丁寧に描かれていたりと、子育て中の親として最後まで引き込まれる内容だった。
一つ違和感を感じたのが、事件がまだ未解決な段階の市毛良枝演じる祖母があまりにも穏やかだった事だ。実際に孫が事件に巻き込まれていると知ったら、もっと取り乱したり、怒りを露わにするのが自然でないか。まるで仏様の表情でちょっと非現実的な存在だった。
マスコミは変わらずマスゴミとして描かれる中、松田翔太演じる記者が、事件解決後に妻にとった行動は、なかなか実際にはあり得ないであろうが、救われる形となったように思う。
これから三人となった家族、とくに妹には兄の分もしっかりと生きてほしいと願わずにはいられないラストだった。
現実同様胸糞悪い展開
映画としてのできは良い
マスコミや警察、その他本来関係者とは言えないような周囲に1番辛いはずの被害者と遺族が追い詰められる展開は本当にリアリティがあると思う。
ただ、映画としての綺麗さを演出するためなのかもしれないが、遺族の物分かりが良すぎると感じた。
警察に明言はしないものの犯人扱いをされ、捜査に関して警察がマスコミに漏らしたであろう情報から無関係な人間からも攻撃・口撃を受けたのに…。
あのような晴れやかな結末を描いたことは少し違和感があります。
この状況はつらすぎる。
何も真相がわからないまま憶測だけが独り歩きし、
正義者ぶったマスコミや野次馬、そして一般人だけでなく
知人までもが いわれのない牙を家族に向ける。
被害者かもしれないのに、この状況はつらい。
そして緻密によく書かれている。
未成年による凶悪犯罪も どうかならんのかな。
未成年を保護するとか言ってはいるが、結局一部を保護する
為に最も被害を受けるのは、弱い立場だったり正しい行動を
しようとした「未成年」。
両方未成年なら「法」は諸刃の剣、相手もやったもん勝ちは同じ。
だからやる側になると決めたら、極振りする。
未成年の過剰な保護をやめた方が、世の中 生きやすくなるのでは?
一部の悪ガキと、そいつらを食い物にしているアウトローたち、
そして一部の弁護士は困るかもしれんけど。
慟哭
観るんじゃなかったと後悔しきり、殺人事件の加害者であれ被害者であれ巻き込まれた家族は地獄の日々、今のお気持ちは?と問うマスコミは恥を知るべき。同様に人として踏み込んではいけない状況に踏み込んでしまったのがこの映画。
掛け替えのない息子が人を殺めたのか、あるいは被害者なのか一向に進まぬ警察の捜査、親心としては、たとえ犯罪者でも生きていて欲しいという願いと、人殺しの汚名だけは雪ぎたいという葛藤に苦しむのだから、タイトルのような「望み」の感情表現は全く異質というか不適切、強いてつけるならタイトルは「慟哭」でしょう。
真相が明かされるまで1時間24分、数日の出来事が数か月にも感じるほど話が進まない、その間如何に家族が地獄のような嘆き、苦しみを抱えるかを克明に描いてゆくのだから途中で観るのを何度も止めたくなったほど・・。
現実から目を逸らしたいのかと言われるかもしれないが、日々の報道で厭でも目、耳にする悲劇の数々、何も映画にしてまで観ようという気にはなれませんので、あしからず・・。
望み 加害者か被害者か
とてもとても考えさせられた。
"わたしたち家族は
たかしに助けられた。"
息子が亡くなってそんなことを言えるのか。
ただ生きててほしかった。
そう心の底から思える親にわたしはなりたい。
セリフがおかしい。つまらない映画。
俳優のセリフまわしがおかしい。変です。
聞いていて、なんかウンザリします。
脚本が悪いのか、監督が下手くそなのか。
石田ゆり子の設定もピンとこない。
理路整然の堤真一も少し考えが及ばない。
雫井脩介の名作なのに。。。。
清原果耶は凄い。
高校生の息子が帰ってこない。連絡も取れない。やがて息子の同級生が殺害されたニュースが流れ、逃げている者が2人ともう1人殺された者がいるのではという噂が流れる。
息子は加害者か被害者か。
父親は息子が加害者でないことを望み、母親は加害者でも生きていて欲しいと望む。
胸が締め付けられる思いで鑑賞しました。
刑事の「真面目な子供ほど、親には黙っている」という言葉が、重たくのしかかります。
ただ。。。
好みの問題なんですが、どんな役柄もいつも同じな堤真一と、棒読み感が引っかかる石田ゆり子。夫婦としての二人の演技があまりにリアリティがなく、なかなか感情移入出来ませんでした。この二人のキャストが違う人だったら・・・涙がこぼれたと思います。
そんな中。
抜群の存在感だったのが、清原果耶。劇場公開当時、18歳かと思いますが、兄が殺人犯だった場合、今後の人生はどうなるのか?苦悩する中学3年生という難しい役柄を見事に演じています。18歳で少し幼さの残る中学生の雰囲気を醸し出す彼女は、将来、どんな素晴らしい俳優になるのかと
楽しみで仕方ありません。彼女が出演している他の作品も、観てみたいと思いました。
究極の状態で息子を信じ切れるのか
怪我でサッカーを断念せざるをえなかった息子。
無口で何も話してくれない中、夜中出かけたまま行方不明に。
妹は受験真っ只中。
普通の日々だった。
こんなにもあっけなく普通の日々が壊れて、息子が加害者と決めつけるメディア、それを鵜呑みにする聴衆、嫌がらせ、取引先や顧客までも真意を確かめないまま離れていこうとする。
息子が生きていれば有罪。
死んでいれば無罪。
父親は、生きる為に仕事を失うわけにはいかない。
娘も進学、結婚を諦めるわけにはいかない。
母親だけが、加害者として帰ってきて全てが変わってしまったとしても生きていてほしいと願う。
生きていてほしい、という願いは同じなのにこうもすれ違っていくのか…。
息子を信じたいけど信じきれない刃物。
友達だという高校生から聞く噂話。
最終的には息子が死体で見つかり、しっかりした友達想いのいい奴だった、ってことが警察から教えられる。
取引先のおじいちゃんも謝ってくれたし、普通の生活に戻れそうでそれだけはほんとによかった。
号泣してしまった。
息子のことは、なにがあれば信じきれたのか。
こういう時、宗教が根強い地域は信仰心によって盲信的に信じられるのかしら。
同じようなシチュエーションで海外の映画あるのかな。観てみたいな。
心の優しい子供ほど両親に心配をかけまいとする。 しっかりした子供ほど自分で問題を解決しようとする。
WOWOWの放送にて。
ちょっと、泣かずにはいられなかった。
母親と父親の子供に対する思いの違い…堤幸彦は『人魚の眠る家』でも、事故で植物人間化してしまった娘に対する母親と父親の思考の解離を描いていた。
母性と父性の違いと言ってよいのだろうか…。
ニコール・キッドマン主演の『ラビット・ホール』で、事故で幼い息子を亡くした夫婦が、悲しみ方、克服のし方が違うことで対立する様子か描かれていたのを思い出した。
行方知れずの息子は殺人事件の加害者か、被害者か。
加害者であっても生きていてほしいと願う妻。死んでいたとしても加害者であってほしくないと願う夫。
そもそも事件とは関係ないことを私なら願うと思うのだが…その部分においては、原作がベストセラー(未読)なのだから、小説ではもっと納得できる設定なんだろう。
夫(父):堤真一
妻(母):石田ゆり子
息子 :岡田健史
娘(妹):清原果那
なんと、理想的な一家か。
ほとんど主人公の自宅が舞台で、息子が巻き込まれる事件はあるものの、さしたるアクションはない。
タイトル明け、俯瞰撮影で町並みを延々捉えて主人公宅にカメラは降りていく。
そしてエンディング、主人公宅からカメラは上昇し、町全体を捉えて終わる。
このオープニングとエンディングは堤幸彦が得意の移動撮影だが、本編でもさりげなくカメラが動くショットがちりばめられていて、場面の単調さをカバーしている。
舞台設定が地味でも映画的スケールを出す良い手本だ。
奥寺佐渡子の脚本は、泣かせる台詞は上手だと思うのだが、ストーリー全体としては物足りない感じが強い。
前述した夫婦が二択で割れるのもそうだが、まだ第二の殺人が確認されていない段階で、犯人でないなら殺されていると決めつけたかのようだ。
事件の真相説明も少し雑に感じた。
何より、マスコミの取材陣と竜雷太演じる大工の棟梁の言動が、あまりにステレオタイプだ。
逆に、雑誌記者の松田翔太が意外にものわかりがよい紳士だったのは拍子抜け。ただ、彼は母親の最後の台詞を引き出す役回りだったことで、納得。
息子を信じる同級生の女子たちには感動したが、つまり彼はモテたんだと見えてしまった。
この映画で、何が誰の望みだったのだろうか…と思う。
妻は息子が生きて帰ることを望んだ。夫は息子が無実であることを望んだが、死んでいることを望んではいなかったはず。
だとすると、この両親の望みは叶わなかった…という物語なのか。
母親、父親、妹、祖母、級友、それぞれがそれぞれの関わり方で少年のことを理解している。
真実が明らかにならない中で不安を募らせつつも、盲目的に信じて待つ者、最悪を覚悟して心の準備をする者、当事者ではない我々は想像するしかないのだが、どの立場の人の思考も理解できる気がする。
そして、全員が一縷の望みを持っていたのだろうと思う。
最近の堤幸彦は円熟期とでも言うか、淡々と物語を追いながら泣かせる場面を丁寧に演出して、ベテランらしい職人的な手腕を発揮している。
オープニングとエンディングの空撮は、単に逆順でなぞっているのではない。上空から道路をなめるように辿る映像で不安感を煽りながら主人公宅に行き着くオープニングに対して、主人公宅から焦点を外さずに上昇したカメラが上空でパンして町全体を見渡すことで、家族が事件を乗り越えて歩みだしている靄が晴れたような明るさのあるエンディングになっている。
正直、こういう監督になるとは思わなかった。皆さんは「マルっとお見通し」だっのかもしれないが。
悲劇を包み込む愛と優しさ
本作のストロングポイントは、終盤の素晴らしさである。終盤までは典型的な犯罪に巻き込まれた家族の悲劇を描いたサスペンスだった。しかし、終盤になって、犯罪の被害者、加害者という結果を追い求めていた作品が色を変えていく。心癒されていく。
本作の主人公は、一級建築士の石川一登(堤真一)。彼は、妻の貴代美(石田ゆり子)、長男(岡田健史)長女(清原果耶)の4人家族で幸せに暮らしていた。ある日、長男が無断外泊をしたまま行方不明になる。同時に、長男の友人の殺人事件が発生したことから、警察は長男が殺人事件に関与したのではと疑いを持つ。マスコミ取材も過熱し、加害者であってもいいから長男の無事を信じる妻と、被害者であってもいいから長男の無実を信じる主人公は、次第に対立していく・・・。
本作は、サスペンスではあるが、殺人事件の犯人を追い詰めて突き止めていく物語ではない。長男が加害者なのか被害者なのかに力点をおいて、殺人事件に翻弄される家族の姿を描いていく。
長男のことが世間に知れるにつれて、長男は加害者扱いされ周りの人達は主人公から離れていく。世間の冷たい目に晒された主人公夫婦が、精神的に追い詰められ、主人公の正義と妻の母性が真っ向から衝突していく様を、堤真一と石田ゆり子が迫真の演技で表現している。
長男が加害者でも被害者でも家族の悲劇には変わりはない。したがって、ラストは悲劇で終わるだろうと思っていた。しかし、そんなベタな作品ではなかった。終盤、事件の真相が一気に解明されるとともに、序盤の伏線も一気に回収される。家庭では無口だった長男の想いが明かされる。
加害者、被害者という結果ではなく、その奥にある真実が一筋の光明のように主人公家族の闇に差し込んでくる。家族の悲劇は、愛と優しさに包まれていく。
本作は、終盤、殺人事件のプロセスに丁寧に迫ることで、人間の愛と優しさを浮き彫りにし、救われたという気持ちに満たされる良作である。
日本の犯罪の実情を感じさせる作品
犯罪の被害者の家族の話だが、加害者なのか被害者なのか決まっていない中での苦悩が描かれており、実際もこうなのだろうと想像をかき立てられた。
だが、実際に疑った人達に対して、あのような態度が取れるのだろうかと最後にもっとリアリティが欲しかったなと感じた。少し綺麗にしようという心理が面白さを失わせている原因な気がする。
息子は被害者か?加害者か?
2020年。堤幸彦監督。原作・雫井修介。
幸せな家族のモデルケースのような家庭が巻き込まれる殺人事件。
息子が学園の暴力事件に巻き込まれたらしい。
生徒がひとりむごたらしいリンチ殺人で亡くなった。
遊び仲間たちの揉め事らしい。
その仲間たちと関わりのあったらしい息子は音信不通で家に戻らない。
サッカーの怪我でプロ選手の道を絶たれて以来、悪い仲間と連んでいるらしい。
事件に巻き込まれたらしい息子・規士(岡田健史)の帰りを待つ父親(堤真一)と母親(石田ゆり子)。
息子が加害者だとすれば、生きている可能性がある。
被害者なら死んでいるかも知れない。
被害者であって・・・と、願うことは息子の死を望むことに近い。
加害者なら罪人となった息子のその後の人生を背負う覚悟がいるだろう。
そして民事訴訟での賠償責任が生ずるだろう。
父親は社会的地位と自分で設計した美邸を失うかも知れない。
母親と父親の気持ちに微妙にズレが生じます。
どんな形でも生きていて・・・と願う母親。
直ぐに仕事に支障が出て戸惑う父親。
家の周りは心無いマスコミの取材攻勢にさらされて、息が詰まり、
ネットの誹謗中傷にも苦しめられる。
妹の雅(清原果那)も不登校になってしまう。
加害者であれと望むこと。
被害者ならと望むこと。
どちらも親にとって悲し過ぎる究極の二択です。
身につまされる、いつ降りかかって来るか分からない事件でした。
地味な映画ですが、とても他人事とは思えず、心に迫りました。
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