望みのレビュー・感想・評価
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世の中の残酷な望み
堤幸彦監督はリアリティのある演技を引き出すことに長けている。昨年1月の「十二人の死にたい子どもたち」では、自分たちが世界の中心にいないことをよく分かっている子どもたちが自分たちの状況を冷静に分析しているのが窺えるシーンを映していた。実際の子どもたちが純粋でも無邪気でもないという現実をストレートに表現したことに好感が持てた。
本作品では突然発生した予期せぬ事態に最初は戸惑い、そして徐々に慣れてくる家族を描く。家族それぞれに違う受け止め方をしているし、容赦ないムラ社会の理不尽なバッシングに対する反応も家族それぞれで異なっている。家族といっても必ずしも一枚岩でないのだ。その上家族それぞれに自分が何を望んでいるのか、本人たちにもはっきりしないところがある。
役者陣はほぼ好演だったと思う。特に堤真一はいつもの飄々とした演技を封印して、日本中に蔓延するムラ社会の不条理と静かに対峙する父親を熱演した。清原果耶は公開中の「宇宙でいちばんあかるい屋根」に引き続き中学生役で、状況をうまく乗り切る世渡り上手な女の子が、自分では乗り切れなくなった状況に陥ったときにどうなるのか、よく考えた演技をしたと思う。石田ゆり子は不細工に見えるほどの暗い表情が上手かった。息子を自分よりもずっと信じてくれている女の子たちを前に気持ちが崩れていく。加藤雅也の刑事も秀逸。
本作品は日本社会の精神的な歪みを抜きにしては成立しない映画である。マスコミが一般人を追い詰めるのは、読者や視聴者がそういう報道を望んでいるからに他ならない。家族それぞれの望みと、世の中の残酷な望みが互いに影響し合い、複雑な関係性を形成する。事件の発端となる出来事も、社会の望みに応えようとする子供たちと、それから背を向けて反発する子供たちが生み出した不幸だ。望みは屡々落胆と憎悪に発展する。本作品はそういった構図を等速の時間の中で立体的に表現してみせた。
母の狂気
息子を溺愛する一方、娘には比較的冷淡な母。
我が家でもありがちな状況に、
興味深く終始苛立ちながら観た。
私も同様な状況になったら、
心の奥では被害者を望むだろう。
この映画もそういう結末だろうなと思い、
予想通りのハッピーエンド?
途中までは結構おどろおどろしかっただけに、
終盤はずいぶんあっさりと日常に戻って拍子抜け。
狂気を帯びた母を石田ゆり子が好演していた。
こういう浅はかな感じがよく合っている。
マスコミの対応は余りに大げさで常軌を逸している。
現実には未成年事件でこれはあり得ないが、
体質はよく表している。
堤真一がマスコミの残したゴミを拾うシーンは印象的。
竜雷太は土下座したが、
マスコミは当然素知らぬふりだろう。
衆愚も然りで、観終えて心地よさはない。
望み それぞれの気持ちが分かる
兄妹の立場の「心配だけど正直迷惑かけないで」という気持ち、父親の立場の加害者なら最悪被害者の方がいいという思い、母親の立場の加害者でもいいから生きててほしいという思い。
本当にそれぞれの思いが分かるしでも私は母親なので生身の体温のある息子を抱きしめたい、それに尽きます。
一人一人の望みがある。
兄の失踪から物語は始まり、翌日には兄の友達が死体で発見される。
事件現場で目撃され逃げた2人の内の1人は兄なのか?
はたまた、友達と一緒に事件に巻き込まれた被害者なのか?
この内容から映画は動き出します。
父は、息子は人に危害を加える事など出来ない優しい人間だと望み。
母は、人に危害を加えていても生きていて欲しいと望む。
このお互いの望みの衝突、それが家に警察が来て息子さんが事件に巻き込まれていることを告げられてから始まります。
そして、妹の望み、ジャーナリストの望み、近隣住人望み、職場関係の望み、親族の望みが、父と母を締め付けていきます。
親が子供を思う気持ちが、とても良く描かれている作品でした。
3回も泣いてしまうほどのめり込まされました。
事件が終わってからの話もちゃんと描かれていて、映画を見ていて信じている親目線の為に見せる映画になってました。
オススメの映画です!
とても考えさせられるいい映画でした。が、、。
この映画の家族構成が、そっくりなので、他人事とは思えない内容でした。
いかん、映画観てる場合ではない!
脚本に違和感が所々ありました。
お葬式のあたりとか、マスコミの描き方とか。
良かったところ、
石田ゆり子さんのラストシーンの瞳があまりにも綺麗でした。
清原果耶さん、大人も顔負けな存在感でした。
どっちかと言われると
「殺人犯なのか被害者なのか、それとも」の、それともが気になって気になって。まさかこれだけ緊張感煽って無関係でした単なる家出とかでしたってオチは勘弁してよって観てました。現実なら無関係がベストなんだろうけどね。
殺人犯なら家族も殺人犯、被害者なら家族も被害者。そう考えると本人は可哀想だが被害者のほうがましなのか、あの竜雷太たちの変わり身みてたらそう感じるしかない。ところでマスコミが自宅に押し寄せてましたが容疑者が未成年でもかまわないの?
ストーリーがいい
究極の選択、親としての複雑な心境。
いくら考えても答えが出ない問題。永遠に自問自答を繰り返すことしかできない。
自分に置き換えて考えてしまう映画でした。映画と似た家族構成の方は、入り込める映画だと思う。
映画の中で妹への影響がもう少しあれば、更に考えさせられる映画になったかもと思った。
ネタバレなってるかも知れないのでネタバレにしました。
そのとき何を望むか、現実を知って何を思うか
家族が事件の渦中にいることは確実。
被害者なのか、加害者なのかは分からない。
無事でいることをまず祈るけど、それはつまり、加害者側だということ。それは加害者家族としての人生が待っていること。
でも、信じることは被害者側ということで、きっと無事ではない。
そんな絶望的な望みの二択を突き付けられた家族の数日間は、見ているだけで苦しかった。
もし私が彼らの立場になったら、きっと雅と同じように、加害者家族になりたくないと思ってしまうと思う。
でもそれは望みではなくて。
どっちも望みではないから、現実を知ったとき、それがどちらであっても、それぞれの苦しみがある。
心情の描き方が丁寧且つリアルで、見応えがありました。
(原作既読)主要キャスト(特に堤真一と清原果耶)の好演で泣かせてもらった。但し映画としては、演出にうま味がないので、原作を映像化しただけで映画独自の魅力で成立しているような作品には仕上がっていない。
①自分の書評のところでも書いたが、原作はリアリティを追及するりも幾分読者の心に実験を仕掛けるような小説である。それをそのまま映像化しているだけなので深みがない。②堤真一の演技が圧巻である。自分の息子が加害者(今回の場合は殺人者)か被害者(今回の場合は死んでいる)か、究極の選択の前で、あくまでも息子の中の善を信じようとする父親を熱演して、その熱演がこの映画を支えていると言っても過言ではない。③一方、母親の方だが、自分の血肉を分けた存在だけに息子が生きていることを望むのは無条件に納得だが、その母性の業みたいなものが感じられない。原作も同じで私が実験的な小説と思うところもそれ故である。作者が男であるからかも知れない。この母親がもっと生の母性を感じさせれば原作とはまた違った味わいの映画になったかもしれない。しかし母親像が原作をなぞっているだけなのと、石田ゆり子の演技もそれ以上のものを出せていない。④その物足りなさを補っているのが清原果耶の存在である。もしかしたらこの映画でもっともリアリティ溢れる演技をしているかもしれない。母と娘とが対峙するシーンではその演技で石田ゆり子を凌駕している。いま最も期待できる若手女優と言って良いだろう。
すかすかのバルト9
バルト9で見るもおそろしくすかすか。まぁ、キャスト、内容含めて、そんなに話題性のあるものではないと思うので、バルト9で日に何回も上映するのは供給過多だったのかも。
ただ、これが満杯にならないのは、悲しい。
「願い」ではなく、「望み」
望みというと、普通、ポジティブなものだが、今回はどちらに転んでも、ネガティブな結果が待っている、その状況でどちらを願うのか、という、一風変わった構造である。
また、神頼みな「願い」ではなく、「望み」をタイトルとしており、それぞれの登場人物が望みをもとに行動する。
登場人物がみな、その複雑な感情をうまく表現しており、感情移入させられた。
一方で、周囲からの嫌がらせなど、単調かつ、お決まりな感じがしてしまい、テンポに欠けていた。
テーマ、構造は興味深かった。
本年度観た邦画ではベスト級の作品!
先日観た清原果耶さんが桃井かおりさんと共演していた作品で彼女がメッチャ良かったので本作を観賞。
彼女も良かったけど、堤真一さんや石田ゆり子さん等のベテラン俳優さん全ての演技に圧倒!
本作にはベストキャスティング賞を差し上げたい(笑)
石川家の息子が殺人事件に巻き込まれるストーリー。
息子は加害者なのか被害者なのか?
行方不明の息子を案じる展開。
ちょっとそれが伸ばし過ぎなんだけどグイグイ展開に引き込まれてしまった感じ。
母親役の石田ゆり子さん。
息子が被害者ではなく加害者であって欲しいという思いがヒシヒシと伝わって来る。
相変わらずマスコミはクズなんだけど、雑誌記者役の松田翔太さんが良いキャラでポイント高め。
ストーリーが進むにつれ、堤真一さんや石田ゆり子さんが周囲の雑音に疲弊して行く感じも印象的。
本年度の日本アカデミー賞。
行けるかもしれません(笑)
出だしと最後が注文住宅のCMっポイのは否めませんでした( ´∀`)
望みと絶望のルーレット。
と言うか。どちらに止まっても、絶望と希望がセットで当たります。イヤやな、それ…
もうね。堤幸彦劇場ですもん。高高度からのドローンで始まって、最後もドローンでサヨウナラ。これだけで堤幸彦だって分かるからw
ってのはさて置き。
望みはある。あるところには、ある。
どんな形でも良いから生きていて欲しい。これは母の希望。どんな結果になっていようとも、人殺しなんてしないでいてくれと言う父と妹の希望。
結果として、正義感の強い優しい子であり続けた事が、残された家族の生きる希望になった。
と言う話。
マスゴミはゴミ。正義感を振りかざす一般人もゴミ。雑誌記者はゲス。かと思いきや。記者のホンネが意外にも面白かった。
画のデフォルメVFXには好き嫌いがあるかねぇ。夕暮れの室内とか作り過ぎ、ちゃうかと思うけど。「映画音響の世界」を観た翌日だったので、結構集中して「音」をチェックしてしまいましたが。緻密ですねー、ものすごく緻密に作り込んでる!この世界、日本人向きなんかも知れないと、ちょっと感動してしまいましたw
過剰演出も、語り過ぎも排除で、生きる希望を淡々とした演出で見せてくれる堤幸彦劇場。安定の品質でした。っとくらぁ。
役者さんも揃って好演。清原果耶は相変わらず天使だけど普通でしたが、石田ゆり子さんには、最近、何か降りて来てる感があるw
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10/12 ちょっぴり追記
「生命のあるかぎり、希望はあるものだ。」
(スペインの小説家セルバンテス)
「人は希望なしには一日も活き得ない。」
(宗教学者 姉崎正治の言葉)
「生より尊いものがあろうか!なにもないのだ、なにも!」
(ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』より)
母親の立場は、「ある種の宗教」的。母性に隠蔽されたテーマ性も感じます。
ちょっとドストエフスキーで攻めるw
「神と悪魔が闘っている。その戦場こそが人間の心なのだ。」
(ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』)
妹ちゃんが父親にだけ漏らした本音。
「人生はすばらしい。醜悪だったのは我々の方なのだ。」
(ドストエフスキー『作家の日記』)
息子は悪いことはしていないと確信した時の父親の気持ち。
「私たちはどうやって滅ぶか。愛なきため。」
(ゲーテ)
「地獄とは、愛のない生活のことである。」
(ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』)
「愛」を「望み」に置き換えてみると、この映画の主題になるんじゃないでしょうか。
ちなみに。
「人類を愛することは簡単である。しかし隣人を愛することは容易ではない。」
(ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』)
わかります。だから、人類愛や地球愛を掲げながら、隣人を攻撃し、分断と対立をあおる人が後を絶たないんですねw
同じ家なのに違う家
本当はミッドナイトスワンを見る予定だったのだが、なんと驚き満席。ということで、急遽変更。
堤真一主演ということもあり、中々の期待で鑑賞。
結論から言いますと、めっちゃ面白かったです。
ネタバレというか、内容にガッツリ触れながら感想を書きたい...。しかし、ネタバレせずにレビューを貫いてますのでやめときます。ネタバレバージョンも書きたいな
一級建築士の石川一登(堤真一)は、妻の貴代美(石田ゆり子)、息子の規士(岡田健史)、娘の雅(清原果耶)と共に高級邸宅で平和に暮らしていた。
とにかく、テンポがいい。
重くのしかかるが、ドロドロし過ぎずいいバランス。目が離せない展開で全くもって飽きませんでした
言うまでもない気がするが、演者が素晴らしい。
最近は、毎日キャバクラに行く警察のトップや娘から嫌われすぎている製薬会社の社長など、変わった役ばかりしていた堤真一だが、今回は珍しく一般人。だけど、流石ベテラン俳優。彼の涙を見ると自然と自分も涙を流してしまいます。
51歳にはとても見えない若さと安心感を備えている石田ゆり子も相変わらずいいし、映画への起用が止まらない期待の新生清原果耶もこれだけ色んな映画に出るわけが分かる。そして、新人岡田健史も登場シーンが少ないながらにして観客の心を掴む演技で圧巻。とても新人には見えません
事件前と事件後で大きく変わる照明とバックで流れる音楽、辛く寂しい様子を表す映像とが非常にいい。家ではなく映画館で見るべき良質な作品だった。
重厚感があり、事件の真相や家族の心情をタラタラと写している訳ではなく、ゆっくりじっくりとたった1週間ほどの物語を細く丁寧に描いている。
ただ、周りの人物には少し気になる点が。
会社の部下やお母さんなどが出てきているが、そんだけ?もっとかける言葉ないの?と思った。自分の周りに石田家のように事件に関わっているかもしれない人がいたら、自分もああなっちゃうのかな。
記者に関しては意味不明でしたけどね
あと、伏線回収がもっとあって欲しかったな。
最後に概要を全て口頭で説明するだけじゃ、物足りない。自分で考察する部分があったらより良かった
被害者か加害者かも分からないのに、真実を暴こうとする身勝手なマスコミとSNS。お金のため、ストレス発散のため、傷付く人のことも考えずに憶測を並べる。挙句の果てには、まるで私たちは正義ですよと言わんばかりの上から目線の発言。悲しいことだが、これが我々が生きている現実なのだ。
困った時に相談する相手はこの世に存在するのだろうか。どうすれば、殺人に巻き込まれたり自殺に追い込まれたりしない世の中が出来上がるのだろうか。
もし、自分の息子がこのような事件に関わっていると聞いたら。もし、周りにそんな人がいたら。どんなことを望むだろうか。鑑賞してから3時間が経った今でも、ずっと考えている。
強くたくましい大人になるのは難しいな...
とってもいい映画でした。
しかし、公開3日目の12時ってのに観客は私合わせて6人。昨日も小説の神様は2人、ベムに至っては私1人でしたよ。浅田家!とテネットに吸われすぎ!
タイトルの意味
原作未読。すごい重い話でした。世間の怖さ、マスコミ、SNSの怖さなど枚挙にいとまがないですが、これが被害者、加害者家族に十分起こりうることが、ゾッとしました。今のコロナでも同じことが…
家族の心情というか願いが迫真でした。石田さん熱演。オチはなんだろう?期待したよりヒネリがなかった。
犯人でも無く、被害者でも無い、そんな結末を望んだのだが!❓‼️
犯人ではない確信はありました。
犯人なら、逮捕されてから家族のドラマが始まるので。
だから、松田翔太記者も違う結末に興味を失う、石田ゆり子の独白が全てでしょうか。
堤真一と清原かやの演技が空回りしていて、それに違和感を感じて、これほどの名優なのに!
犯罪のネタ明かしにも違和感を感じて。
なんだろう、ドロドロとした人間関係ではなく、まるで通り魔に襲われたような、そんな喪失感がありました。
月並みな展開と月並みな結末、空回りの演技。
それでも堤真一と石田ゆり子、そして清原かやの涙を大画面で見る、そんな価値はあると言える。
切なさを感じるとともに今の少年事件の報道の在り方を考えさせる良作
※ 10/11 20時16分 誤字脱字を修正
今年37本目。
tohoシネママイレージサービス使えました。使い方を教えてくださってありがとうございます。
※ ネタバレなしにしているので、表現をぼかしている部分(「推定有罪/無罪」の表現など)があります。
さて、こちらの作品。少年事件を扱った作品です。
ギリギリまで加害者か被害者か、あるいは第三者かわからず…最後までギリギリわからず、最後になるとわかりますが(ネタバレのため回避)、ヒントもいくつかあり、ヒントを手掛かりに自分なりに推測して観るのも良いなと思いました(そういう趣旨の映画ではないと思いますが)。
それよりも、この映画自体は仮想の物語と思いますが(実際の事件に着眼点を得ていない)、少年事件のあり方、とくに、マスコミの好き勝手報道や推定有罪/無罪の原則が事実上無実化していること、(および、そこから、推定有罪/無罪が働くのに、勝手に決めつけ、悲しみにくれる家族に追い打ちをかける人たち)など、少年事件の加害者の問題はさておき、それとは別に、少年事件に特に顕著の、報道の暴走や根拠のない情報のSNS(ツイッター、ラインなど)の拡散など、少年事件に限らず、「マスコミが勝手に特権階級を作り出して好き放題」「一般人の情報リテラシーが低下している」点も、伝えいたいことの一つなのでは…と強く感じました。
ああも、マスコミも一般の情報リテラシーも無茶苦茶になったのはここ10年くらい前からではないか…と思うのですが、身内(家族)に犯罪の疑義をかけられている人がいたら、「度を越して」生活(=生活の糧、家庭の崩壊etc)を破壊しにくる「困った人たち」に、「私なら」どう対応するのか…それも強く感じました。そういう意味で、非常に考えさせる部分があるな…と思い、良作と思います。
※ なので、「好き勝手に無責任に情報発信をする困った人たち」にはぜひ見てほしいなと思う一方、そういう人は「こういう」「都合の悪い」映画は見ないのでしょうね。
採点は下記の0.3で、4.5まで切り下げています(七捨八入による)。
0.3… 上記に書いたように「加害者か被害者か、はたまた第三者か(=無関係者か)」はギリギリまでわからず、最後の最後になってわかるのですが、いわゆる「3日前」等として(いわゆる「●日前」としてスリップするようなものですね。最近よくありますよね)、「ネタバレにならない範囲で」、主人公(この場合は、今回のトラブルを起こした、あの人ですね)の時を追う(ネタバレにならない範囲で)等すれば、わかりやすかったと思います。
(換言すれば、「少年事件を取り扱うが故に」、最後には真相が明らかになりますが、警察もマスコミも中途半端な説明しかしないため(これは、架空の設定の映画でも実世界でも、少年法が適用されているのでしょう)、取り方によっては「んんん?」ということになりそう。
犯罪被害者はかわいそうだと、誰もが自然に思います。しかしほんとうにかわいそうなのは……、
犯罪とか、交通事故の被害者の家族を擁護したいと思うのは人間の自然な気持ちの現れで、だから日本には、犯罪や事故の被害者を守る団体は、山ほど存在しているのですが、ほんとうに必要とされているのは、「加害者」の「家族を守る」団体ではないのかと、私は昔から考えていました。
家族は、犯罪を犯したわけではない。
事故を起こしたわけではない。
なのに加害者家族はどれほど孤立し、どれほど周囲から責められるか。
この映画は、自分の息子が「殺人犯として生きている」ほうが嬉しいか、それとも「無実で犯罪の犠牲者」であるほうが嬉しいのかという、究極の選択を観る側に突きつけ、人間として、親として、兄弟として、そのことをどう思うのか、どう感じるのかという点を詰めに詰めてくる作品です。
この大きなテーマを堤真一・石田ゆり子という名優が熱演しており、観るものの気持ちをグイグイ動かして来ます。
ただしストーリーから言うと、本件に関与した4人の人間のすべてに、かならず家族がいるはずだという観点が抜け落ちているのが、まったくもって残念な点でした。
最初から「悪い奴」と決めつけられている少年にだって、家族はいるのでしょうに。
あ、アイツは悪い奴だから、という突き放し方は、ちょっとナイんじゃないですか、と思わざるをえませんでした。
大きなヒューマニズムにもとづく観点が主人公たちに欠落していたため、最後の終わり方も薄っぺらいものに感じられ、これだけが残念なポイントでした。
それにしても、犯罪や交通事故の「加害者の家族」を援護しようとする団体って、日本にはどれほど存在するのでしょうかねぇ。
善良な小市民の善意による後援が期待できない、こういう団体こそ、政府によって後援すべき団体であると思うのですけどね。
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