潜水艦クルスクの生存者たち

劇場公開日:

潜水艦クルスクの生存者たち

解説

2000年にロシアで起きた原子力潜水艦事故を「アナザーラウンド」でアカデミー国際長編映画賞を受賞したトマス・ビンターベア監督のメガホン、マティアス・スーナールツ、レア・セドゥ、コリン・ファースのキャストで映画化。乗艦員118名を乗せ、軍事演習のため出航した原子力潜水艦クルスク艦内で魚雷が突然暴発した。司令官ミハイルは、爆発が起きた区画の封鎖を指示し、部下と安全な艦尾へ退避を始めるが、艦体は北極海の海底まで沈没。生存者わずか23名という大惨事となってしまう。海中の異変を察知した英国の海軍准将デイビッドは、ロシア政府へ救援の意志を伝えるが、沈没事故の原因は他国船との衝突にあると主張するロシア政府は軍事機密であるクルスクには近寄らせようとしなかった。乗組員の生命よりも国家の威信を優先するロシア政府の態度に、ターニャたち乗組員の家族たちは怒りをあらわに抗議する。

2018年製作/117分/G/ルクセンブルク
原題または英題:Kursk
配給:キノシネマ
劇場公開日:2022年4月8日

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(C)2018 EUROPACORP

映画レビュー

3.000年に起こった信じがたい事件の顛末とは

2022年4月10日
PCから投稿

エグゼクティブ・プロデューサーとしてリュック・ベッソンがクレジットされている本作だが、少なくともベッソン節は見当たらず、むしろトマス・ヴィンターベア監督らしい見応えのある硬派なドラマに仕上がっている。ただ、2018年制作なので日本公開とは随分と時差が生まれてしまった。そこで描かれる事件のあらましは極めて信じがたいものだ。原子力潜水艦内の魚雷の管理ひとつとっても無様であるし、艦内が非常事態に陥った後はあらゆる面で”ロシアのメンツ”が先に立ち、乗組員の救出は一向に進展しないどころか、遺された家族たちへの説明も十分にはなされない。これは2000年に起こった実話を基にした映画だが、ロシアが引き起こした事故であることを考えると、やはり現代の状況とどうしても重ね合わせずにいられない点が多く、観ていて怒りがこみ上げる。事態を注視する英国海軍の責任者にコリン・ファース。本作に多角的な視点をもたらしている。

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牛津厚信

5.0久しぶりのヒット

2024年4月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

怖い

興奮

昭和で時々観た船内事故ドキュメントを思い出す。どの海難事故映画を観ても毎回、手に汗握る。今の日本もだけども 災害時にはやはり政治家と現場のアツレキとゆーか、矛盾とか訳わからんルールに基づいて、とかのイラッとくる場面がある。ラストまで気が抜けない目が離せない。これはシネマスコープで観るべき映画ですね。

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Cinemaオタク女

4.5実話をもとにした話だけど、内部はフィクション。このパターンはあまり好きではないのですが・・・

2023年11月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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よし

4.0いくつもの怠慢のツケを払わされたのは罪のない兵士

2023年11月3日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

怖い

ソビエトが崩壊してあらゆる軍備が保守されず朽ちていったロシア軍。ICBMですら「腐った爆竹」(ちゃんと飛ぶか、そして核弾頭が爆発するかも怪しい)と形容されていた。
その象徴的な出来事が潜水艦クルスクの沈没で、その史実をそのまま映画にしたのが本作。
話の背骨はもちろん主人公ミハイルが潜水艦でどのように行動し、死んでいったかなのだが、その生き様に厚みを持たせる話(親友の結婚式)や死後の遺族の反応も描かれている。
迫り来る死を前に戦った彼の行動の前では、陸の上での平和なひと時(たとえ給料が払われなくても)は遠い姿のように見える。それがビスタとシネスコの切り替えという演出にもなっている。

死を目前にして、それでもメッセージを残そうとする試みは、日本では御巣鷹山に墜落した日航機123便の話が有名だ。ダッチロールのなか、恐怖に震える手で残されたいくつもの手紙は、それまでの人生、そして家族に伝えたかった数多の言葉をのみ込み、メモ紙1枚に収まる文字数でしたためられていた。
そこに書かれたこともさることながら、そこに「書ききれなかったこと」を痛烈に感じさせるその手紙を、クルスクの乗組員たちも残した。
映画の中で描かれている彼らは、調査資料から浮かび上がってきた行動履歴から肉付けされた「想像」だ。しかし「書ききれなかった」彼らの素顔を想像で肉付けするのは、彼らの実像に少しでも近付く、残っていない彼らの最後の瞬間を少しでも知って、それを後世に残すという試みだ。
見るものに伝わっていれば成功だし、単なるエンターテイメントとして消化されるなら失敗だ。
今作ではそれは成功したと思いたい。

この悲劇は数々の怠惰と分不相応な見栄によって引き起こされた、と映画では語っている。そのうちの一つでもまともに対応されていれば、事態はもっとましな結末を迎えていたはずだ。
しかしこのような悲劇を「失敗」の一言で抹消する国も存在する。
ロシアは、この事故で何かを学んだのだろうか?

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mamemame