海辺の家族たち

劇場公開日:

海辺の家族たち

解説

「マルセイユの恋」などを手がけたフランスの名匠ロベール・ゲディギャン監督の人間ドラマ。パリに暮らす人気女優のアンジェルは20年ぶりにマルセイユ近郊の故郷に帰ってきた。家業である小さなレストランを継いだ上の兄のアルマンと、最近リストラされて若い婚約者に捨てられそうな下の兄のジョゼフ、兄妹3人が集まったのは、父が突然倒れたからだった。意識はあるもののコミュニケーションが取れなくなった父、家族の思い出が詰まった家をどうするかなど、たくさんの話し合うべきテーマを語りながら、それぞれが胸に秘めた過去があらわになっていく。町の人びとも巻き込んで、家族の絆が崩れそうになった時、兄妹は入り江に漂着した3人の難民の子どもたちを発見する。

2016年製作/107分/G/フランス
原題または英題:La villa
配給:キノシネマ
劇場公開日:2021年5月14日

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(C)AGAT FILMS & CIE - France 3 CINEMA - 2016

映画レビュー

4.0瞬時に魅了するのではなく、本当に少しずつ、じっくりと染み込んでいく

2021年5月29日
PCから投稿

この映画のまなざしは、マルセイユ近郊の陽光あふれる”海辺の街”から片時も離れることがない。つまり冒頭からラストまで、全てがこの街の中で完結する物語。しかしそこには兄妹たちの久々の再会によってもたらされる様々な人生や時間の流れが感じ取られ、さらには海外からやってくる難民というファクターが、非常に興味深い”さざなみ”をもたらしていく。その点、この構造は瞬時に観る者を魅了するというよりは、ジワジワと心を掴んでいくといった方が当てはまるのかも。とくに中盤で思いがけない死が人々に暗い影を落とすあたりから、映画を取り巻く空気感や観る者を引きつける磁力が大きく変容していくのを感じてやまなかった。風景画を彩るように丁寧に吐息を重ねていく筆運びによって、この映画が終わる頃、ああもっと彼らの物語を観ていたい、と感じる私がいた。その時になってようやく、自分がこんなにも本作に魅了されていたことに気づかされるのだ。

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牛津厚信

4.0ケン・ローチより小ぢんまりした作風がゲディギャンの持ち味

2021年5月14日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

幸せ

労働者階級や移民・難民などの社会的弱者を描き続けていることから“フランスのケン・ローチ”と称えられているというロベール・ゲディギャン監督。確かに扱うテーマは似ているが、ローチ監督が弱い立場の人間の生き様を通じて国や役人や大企業の不公正や冷淡な仕打ちを非難するマクロの視座とメッセージ性を強く感じさせるのに対し、ゲディギャン監督はそうした大きな問題への意識を溶け込ませながらも家族や小さなコミュニティーに寄り添う、ミクロの視座が対照的だ。自身が生まれ育ったマルセイユとその近郊を諸作の舞台として撮り続けてきたのも、そんなミクロ寄りの姿勢に関係がありそう。ローチ監督作に比べて小ぢんまりした印象だが、それがゲディギャン監督作の持ち味にもなっている。

「海辺の家族たち」という題の通り、美しい入り江に面した小さな港町が本作の舞台。老いた父親が倒れたのを機に、父と実家で同居する長男のもとへ、教授職をリストラされた次男、人気女優でパリに暮らす末っ子が久しぶりに集まる。海は単なる美しい背景としてだけではなく、ストーリーに有機的に絡んでくる。女優のアンジェルを恋い慕うバンジャマンは漁師で、海の恵みを陸に届ける仕事。漁で得られた魚は、長男アルマンのレストランで供され、人々の糧となる。海は命をはぐくむ豊かさの一方で、人命を奪う無慈悲さもある。かつて海辺で起きた不幸が3兄妹と父親の関係を変えてしまう。海を越えてやってきた難民たちの一部も命を落とす。海は生の象徴であり、避けられない死の予兆でもある。この場所と外の世界とをつなぐ存在であることから、出会いと別れの舞台にもなる。

悲しみや憎しみや分断を克服する力として、愛と善に希望を託す本作。理想主義的ではあるが、大きな困難を前に無力を痛感して何もしないより、身近なところで小さな一歩でもいいから前に踏み出すことの大切さを静かに説いている。

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高森 郁哉

0.5『シュクラン』って言ってもらいたい

2023年12月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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マサシ

3.5ここは世界の中心ね

2022年11月23日
iPhoneアプリから投稿

フランスの小さな港町、以前は随分賑やかであったようだが今は時代に取り残され三家族がいるのみ。レストランを経営する父が倒れた事により集まる三兄弟。長兄は跡を継ぎ、次兄は仕事上上手くいっておらず、年の離れた彼女とも別れるまだ好きと微妙な関係。妹である有名女優である妹は娘をこの場所で亡くした事で父との蟠りがあり久々の帰郷。近所に住む息子からの援助を拒み、今の生活が厳しい老夫婦。
素晴らしい風景、あー海いいなぁと思わせる世界が映し出される一方で突然軍の人が現れ、難民を取り締まる為聞き込みをする。
自分の都合で娘を預けておいて、事故は父のせいだという娘の勝手さにえーってなり、次兄の後ろ向き的発言でえーっとなり、その彼女の行動言動でうげーとなりなかなか入り込め無い展開。老夫婦の決断はある意味幸せに見えるが子供としては最悪だろう。なのにすぐ立ち直ってそうなる!あー
子供達を見つけてからは皆んな温かい目線になる。服を脱がせる方法はそっちの方が怖いじゃん。
終わったあとはあーなんだか良かったなぁと思える映画だった。

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GAB I