チィファの手紙

劇場公開日:

チィファの手紙

解説

岩井俊二監督が松たか子、福山雅治らを迎えて手がけた「ラストレター」の前に、同じ自身の小説を原作に中国で製作した、もうひとつの「ラストレター」。岩井監督にとっては初の中国映画で、「ラストレター」同様の過去と現在の2つの世代を通してつむがれるラブストーリーが描れる。亡くなった姉のチーナン宛に同窓会の招待状が届き、妹のチィファは姉の死を知らせるために同窓会に参加するが、姉の同級生たちに姉本人と勘違いされてしまう。さらに、そこで初恋相手の先輩チャンと再会したチィファは、姉ではないことを言い出せないまま、チャンと文通することになる。姉のふりをして始めた文通が、やがて初恋の思い出を浮かび上がらせていき……。出演は中国4大女優に数えられるジョウ・シュン、「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」にも出演したチョウ・シュンら。

2018年製作/113分/G/中国
原題または英題:Last Letter
配給:クロックワークス
劇場公開日:2020年9月11日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9

(C)2018 BEIJING J.Q. SPRING PICTURES COMPANY LIMITED WE PICTURES LIMITED ROCKWELL EYES INC. ZHEJIANG DONGYANG XIAOYUZHOU MOVIE & MEDIA CO., LTD ALL Rights reserved.

映画レビュー

4.5岩井俊二監督作のテイストが、中国映画のフォーマットに驚くほど馴染む

2020年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

楽しい

幸せ

自筆の1篇の小説から、2本の映画を撮ることができる幸運な監督などそうはいない。1本目は邦画の「ラストレター」、そして2本目はこの「チィファの手紙」だ(ただし中国での製作・公開が早く、日本での公開順が逆になった)。舞台となる現代と1988年の旅順、特に後者の時代設定を丁寧にローカライズしたおかげで、中学時代の妹チィファと姉チィナンが暮らす町の風情が良い意味で田舎っぽく、郷愁を誘う映像になった。

岩井監督らしい手紙のモチーフ(「ラストレター」が「Love Letter」へのある種のアンサーになっている)に加え、「花とアリス」を思い出させる少女2人の絆(昔は姉妹、現代では従姉妹)など、中国の舞台、中国のキャストにしっとりと馴染んでいて、これは嬉しい驚きだ。それぞれ二役をこなした若き女優、チャン・ツィフォンとダン・アンシーの演技や佇まいも素晴らしく、今後も出演作が日本で観られることを願う。

コメントする (0件)
共感した! 6件)
高森 郁哉

3.5改めて一人二役や二人一役、手紙の詐称や行き違いの面白みを感じた。 ...

2024年3月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

改めて一人二役や二人一役、手紙の詐称や行き違いの面白みを感じた。

日本版(ラストレター)の方が、マスク外すところとか掛け布団しくところとか(2段ベットの上下で話すのも好きだったが)卒業式練習のところとか、印象的なシーンが印象的に映ってた(推しが出演してるということがあるが)と感じるし、こっちは、弟のエピソードとか遺書を皆んなで読んで終わるとか、遺された全員が前を向けるようになる心情が強く伝わった感じがする。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
hannnamovie

3.5満州の旧居留地日本人住宅が美しい

2023年12月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

幸せ

傍観者である小説家と当事者どっちが人生を生きてるだろうか
楽なのは小説家 ドラマチックな人生を生きてる当事者たちは本当に大変そう
満州の旧居留地日本人住宅が美しいが文化大革命があったので今はほとんどが手入れもされていない人が住めない廃墟になっていることだろう
旧満州出身者は三國連太郎や小澤征爾といい日本人離れしたスケールというか世界に臆さないコミュニケーション能力を兼ねている人が多い世界で活躍できたのは実は満州出身者だったからなのだ 彼らがいうには満州での豊かな暮らしぶりだ
中国の俳優たちはやはり日本人とレベルが違う中国全土から選ばれただけあって 永作博美的な女優もより魅力的だし 日本バージョン松たか子より面白かった日本バージョンはあり得ないと思って途中から止めたイライラ面白くなかった 岩井俊二監督はずっと当たりだ。「スワロウテイル」「キリエのうた」これは映画としては不足だけど2時間ドラマとしてはいい感じ。続けてみた「生きちゃった」今「月」上映の石井裕也監督と比べてどれだけこの映画がいいか!

コメントする (0件)
共感した! 0件)
チャン・パー

4.0過去と現在を絆ぐ! 手紙にしたためられた初恋の人を懐う作品

2023年10月9日
Androidアプリから投稿

もうひとつのラストレター、岩井俊二監督が
描きたかった世界観が中国の郷愁な街並みと
共に、再現されたストーリーでした。

亡くなった姉チーナンの代わりに結婚式に招待された
妹のチィファ。

式場で突然スピーチをすることになり
ドギマギしたチィファが、姉と間違えられていても姉が亡くなったことを話すこと
切り出すことが出来なかったときのチィファの心境。

学生時代に好きだった先輩、チャンに再会したときの
淡い色に染まるチィファの感情。

式場を後にして帰ろうとしたチィファが
姉では無いことに気が付いていたチャンが
チィファに姉のチーナンを重ねて見る場面。

姉のふりをしてチャンと文通をするチィファだったけれど、「手紙」に手書きで綴られた
文章は何通も書いていくうちに、いつしか
自分自身の恋と好きな気持ちが浮かんでくる
ように見えました。

学生時代にチャンに頼まれた
ラブレターを姉のチーナンに渡せなかった
ときの刹那な感情が込み上げてくるチィファ。

回想シーンの先輩のチャンに恋するチィファは、素朴ななかに繊細さがあるダイヤの原石のような輝きを放っていました。

心を病んで亡くなった姉のチーナン。

チーナンたちを小説の本にしたチャンの
いつまでも恋い慕う気持ちが伝わってきました。

本を手にして読んだ現在の子どもたち。
ボルゾイの犬と散歩して歩く娘たちを
見て、亡くなったチーナンの面影を感じて
ハッとするチャンの姿。

時を超えて亡くなった人を偲ぶ
手書きの文通が初恋の思い出を昇華していく
ラブ・ストーリーでした。

コメントする (0件)
共感した! 11件)
美紅