劇場公開日 2020年8月28日

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「コメディとして楽しめるか否かが賛否を分ける」事故物件 恐い間取り といぼさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5コメディとして楽しめるか否かが賛否を分ける

2020年9月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

なんか、色々とネット上で盛り上がっている作品だったので、怖いもの観たさ(ダブルミーニング)で鑑賞いたしました。

私個人としてはあんまりホラーは得意じゃないんですけど、「怖くない」とのレビューを多く見かけたので「まぁ大丈夫だろう」と高をくくって鑑賞。

結論。確かに全く怖くない。むしろ幽霊の登場シーンがギャグかと思うくらいの作品になっている。序盤はそこそこ怖い展開があったけど、終盤に向かうにつれて右肩下がりに怖さが減少し、ギャグっぽい演出が増えていく。予告編を観て「王道Jホラー」を期待して鑑賞すると肩透かしを喰らう気がします。

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売れないお笑い芸人をしていた山野ヤマメ(亀梨和也)は、ある日相方の中井(瀬戸康史)からコンビの解散を一方的に告げられ、ピン芸人として活動することになった。ピンでの活動も全く芽が出ていなかったところ、「事故物件に住むという番組の企画に参加するならテレビに出してやる」と関西のテレビプロデューサーから声が掛かる。山野は、テレビに出て有名になるため、文字通り命を懸けて「事故物件住みます芸人」として活動することを決意するのだった。
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売れない芸人が、何とか売れるために事故物件に住むという企画に参加する。実際に怖いことや危険な目に遭うが、怖い目に遭えば遭うほど、テレビでは話題になって芸人としては成功を収めていく。周囲の人からは危ないからやめろと警告されても、聞く耳を持たずに事故物件に住み続ける。

「山野ヤマメ」という主人公の、芸人としての成長を描いた作品としてはなかなか面白かったと思います。ヤマメが芸人になるきっかけである「人を笑わせたい」という当初の目的がいつの間にか見失われ、「人を怖がらせる」ことで芸人として成功してしまった彼の葛藤。結構心にズシンと来るものがありました。

でも、正直ホラーとしては全く怖くないし面白くない。Jホラー的な恐怖演出はほとんどなくて、突然大きい音とか出してビックリさせるジャンプスケア描写ばっかりだし、幽霊も変顔してたり冷蔵庫から登場したり屋根裏から忍者のように登場したり、「怖がらせたいのか?笑わせたいのか?」というシーンが散見されます。しかも事故物件一軒目はそこそこ怖いのに、後半になるにつれて右肩下がりで怖さが減っていき、逆にコメディのような演出が増えていきます。

ホラー映画を求めて鑑賞してはいけない。この映画はホラー映画ではない。

某映画レビュアーさんもおっしゃっていたのですが、最近の中田監督の作品は「一見ホラーっぽいけど○○」という作品が多いんです。「クロユリ団地」はホラーっぽいけど感動系映画でしたし、今作「事故物件」はホラー映画のように見えてコメディ映画です。
だからこそ、「リングシリーズのあの監督のホラー映画だよ!!」と宣伝されてしまうと、ホラーを楽しみに鑑賞したお客さんからは低評価を喰らってしまうんです。
そういう意味では、中田監督も映画の魅力を宣伝に殺された被害者と言えるかもしれませんね。

これからこの映画を観る人は、ホラーにはあまり期待しないで観てください。
ホラーを求めてしまうと、この映画のコメディや主人公の葛藤などの人間ドラマを楽しめなくなります。

といぼ:レビューが長い人