アムリタの饗宴
劇場公開日:2023年5月26日
解説
アニメーション作家の坂本サクが、ほぼひとりで制作したことで注目された長編ホラーアニメ「アラーニェの虫籠」の前日譚を描くスピンオフ。新たな主人公・女子高生たまひが、いわくつきの巨大集合住宅を舞台に、さまざまな怪異や未知の存在に襲われながら、やがて意外な真実にたどり着く姿を描く。「アラーニェの虫籠」の主人公りんも登場する。
女子高生のたまひは、クラスメイトとの下校途中、巨大集合住宅の屋上から人が飛び降りるのを目撃する。驚いてその敷地に足を踏み入れたたまひは、そこで奇妙な気配や人の視線を感じ……。
今作も坂本が監督・アニメーション・原作・脚本・音楽を担当し、声優のアフレコと音響効果以外の工程をひとりで担った。主人公たまひの声は内田真礼。親友の陽(アキ)役は能登麻美子、クラスメイトの由宇(ユウ)役はMoeMiが務め、りん役で「アラーニェの虫籠」に続いて花澤香菜が出演。2018年に公開された「アラーニェの虫籠」に60カット以上の修正を加えた「アラーニェの虫籠 リファイン版」との2本立てで劇場公開。
2023年製作/48分/PG12/日本
配給:ゼリコ・フィルム
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「アラーニェの虫籠」の前日譚的な立ち位置の今作、48分の中編アニメ映画、これまた坂本監督が1人でその手腕を発揮しています。
当初公開予定の時期は確か2021年頃だったはずなので、やはり個人制作にコロナ禍は大打撃だったんだなと思います。無事に公開に辿り着いて良かったです。
とあるマンションの上から飛び降りの光景を目撃した女子高生3人が怪しげな世界に巻き込まれていく…という感じの始まりからスタートします。
前作は不快さを突くグロさが多かったんですが、今作はストレートなグロさなので、しっかりと直視することができます。体が虫に乗っ取られたり、体から触覚や足が生えたり、飛び降りの遺体が大量に散らばったりと、アニメでは中々見ない描写を堪能することができます。
正直、物語はアラーニェより難しくなっていました。前作より短い分、より坂本監督の考えがギュッと詰め込まれていたかのように思います。
タイムループとまではいかないと思うのですが、繰り返しの展開が続くので、ややこしいなと思うところは多かったです。
終盤も、3人はモンスターになってあの集合住宅に居座ることになったのか…なんだか不思議な気持ちになりました。
前作よりも作画のクオリティは抜群に上がっていて、キャラの動きも躍動感がありましたし、モンスターもしっかりと気持ち悪さがパワーアップしています。途中途中コマ送りみたいな感じになりますが、その場面は特別多くないのであまり気になりませんでした。
鑑賞日 6/1
鑑賞時間 15:55〜18:05(アラーニェの虫籠<リファイン版>と同時上映)
座席 D-4
2023年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
『アラー二ェの虫籠』と続けて鑑賞。
うーん、全体としては、なにがなんだか(笑)。
すいません、ただただ僕の理解力が低くて。
出だしは『アラー二ェ』よりずいぶんとっつきやすかったし、お話の類型としてもわかりやすいと思ったんだけど、結局、全然そんなことはなかった。
なにせ、中盤から筋がよくわからなくなったので、パンフを買って監督が細かく内容を解説してくれてる種明かしの部分を一生懸命読んだのだが、それでも皆目なにを言ってるんだか理解できなかったわけでして。要するに、僕はこの映画にとっての「良い観客」ではなかったんでしょう。
でも、たとえば「物理現象の天地が反転している」というのは、言われてみれば気付いてしかるべきだったと思うけど、モンスターの正体とか、異世界とのかかわりとか、映画観ているだけで「なるほど」と内容を理解できる人が一体どれくらいいるんだろうか?(そんなにはいないだろうと信じたい)
デイヴィッド・リンチや鈴木清順の諸作のように、きちんとロジカルに読み解けるようにはそもそも出来ていない映画もたくさんあるのだが、パンフの解説を読む限りは、本作には一応監督の脳内で完結している「真相」と「筋書」がきちんとあるようだ。
なんだか、僕にはまるで歯が立たなかったなあ。
わからないなりに強いて感想を述べるなら、本作も前作『アラー二ェの虫籠』同様、真の主人公は「集合住宅」それ自体であり、小難しく時空が歪んだり時間が遡行したりはしてるけど、本質的には古式ゆかしい「御屋敷ホラー」なんだな、と。
偶然、三人の少女が投身する女性を目撃したことで、不気味な佇まいの巨大マンションにとりこまれてしまう設定(最近観た映画だと『MEN 同じ顔の男たち』とか思い出す)や、出来事の大半が「トワイライトゾーン(黄昏時)」に起きる点、マンションの様子がきわめて怪しげであること(清水祟の映画とか)、一度入ってしまうと抜け出せない仕様になっていること、内部で異次元とつながっているような描写になっていること、建物の構造自体が物語の構造と直結している点など、あらゆる部分で「現代の幽霊屋敷」の条件を揃えている。
それと、異次元の怪異やモンスターの昆虫/甲殻類的な形状や、人体破壊→怪異への変容といった要素は、デイヴィッド・クローネンバーグや数多のサイバーパンク系のSF映画/アニメ(とくに主人公が怪物やロボに変容するタイプ)を彷彿させる。『シドニアの騎士』とか『イノセント』とか。あと『アラー二ェの虫籠』同様、『JUNK HEAD』を思わせるクリーチャーとの追っかけが出てくるのも面白いところだ。その他、岩井俊二(少女とロトスコープ!)、会田誠(墜ちてくる少女たち)、三浦健太郎(異界の三魔人)など、観る人によっていろいろな影響関係を夢想することは可能だろう。
前作と比べて、拘束の仕方とかモンスターの襲い方とか肉体変容のえげつなさとかが、総じてセクシャルというか「リョナっぽい」エロゲ的な空気が漂っているのも、特徴のひとつと言えるかもしれない。
体を突起で貫かれたり、後背から虫に覆い尽くされたり、モンスターに上から覆いかぶさられたり、肉壁みたいなのに「丸呑み」されてしまったり、際限ない「死」のループに囚われたり、機械に拘束されて電気ショック喰らったりと、今回のノリは前作以上にリョナ&サディズム&百合の度合いを増している。
作画に関しては、3Dの使用を抑えて、ロトスコープと手描きをメインに少女たちをぬめぬめ動かしていて、そのへんは前作に比べると大きな進歩のように思う。ただやはり、パンフで謳っているような「超絶絵師」とか「個人制作アニメーションの限界突破」とかいった「ハイクオリティ」な感じは残念ながらまったくしなかった。相変わらず、とくに一部の走るシーンの足回りや、顔の3D的な動かし方は結構気になったし……。いかにも「低予算」の「個人制作」といった感は強く、出来としては、たつきの作品あたりとそう変わらない印象。
内容面で一番気になるのは、前作『アラー二ェの虫籠』の「前日譚」なのに、『アラー二ェの虫籠』で明らかになった過去の実験の話や蟲の話がどこまでこの話に関わっているのかよくわからないところと、結局三人がどうなって終わったのかがよくわからないところ。ってそれだと結局なにもわかってないよね、僕。お恥ずかしい。
出来栄えについては、イマイチ僕には合わないところが多かったが、こういう個人制作の試みは素晴らしいので、これからもぜひ頑張ってほしいと心から思った。
後、さんざんひどい目に遇うヒロインに、内田真礼の「いじめて声」ほどドンピシャで合う声もなかなかない(笑)。まさに適材適所でした。
2023年5月27日
Androidアプリから投稿
アラーニェの方が面白かったかな こちらは女子高校生3人が例の物件で飛び降りを目撃して其処へ駆けつけると...という話 タイムループもの?またまたすっきり終わらんお話だった
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何もかも正体がはっきりしない
秩序もなければ出口もない
一々理由も分からない
ホラーのように説明がつかなくてよい分、観終わったら逆にスッキリする
断片的で想像を超えた分、自分の解釈で片付けたり、あえて推測も諦めて感じるがままにしたりする
こういうの嫌いじゃない
心底の穴からジワジワと出てくる悪夢のネタを集めて具現化したような映画だが、
いろんなメタファーと看做して論述すると割と長文になるかも