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映画「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」 ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ
劇場公開日:2017年10月14日
解説
近代建築の巨匠ル・コルビュジエと、史上最高額で落札された椅子を手掛けたことでも知られるデザイナーで建築家のアイリーン・グレイ。華やかな時代に生きた2人の建築家の人生に隠されたドラマを、実際の建築や家具などをふんだんに取り入れた映像とともに描いていく。1920年代、気鋭の家具デザイナー、アイリーン・グレイは自身の別荘「E.1027」を南仏の海辺に完成させる。彼女の建築デビュー作であるその別荘は、のちに建築史に残る傑作と称されることとなるが、長い間、コルビュジエの作とされていた。その事実の裏には、光り輝く才能を発揮するアイリーンに対する、コルビュジエの嫉妬と欲望が絡まりあう、愛憎のドラマが隠されていた。アイリーンをBBCの人気ドラマ「MISTRESS ミストレス」のオーラ・ブラディ、コルビュジエを「インドシナ」のバンサン・ペレーズ、当時フランスで歌手として名をはせたマリサ・ダミアをアラニス・モリセットが演じる。
2015年製作/108分/G/ベルギー・アイルランド合作
原題:The Price of Desire
配給:トランスフォーマー
スタッフ・キャスト
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2021年6月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
その名を抹消されかけた、モダニズムデザインの先駆けの女性と、その才能に嫉妬して奇行に走る不甲斐ない男性たちの話。
アイリーン・グレイが、五黄土星の寅の時点で超強い。
月命星も五黄なので、傾斜も五黄!
裏も表も幼少期も、一貫して自分を貫いていく強さがあったのだろう。
そこがコルビュジェのプライドをより傷つけていそう。
戦火に追われる時も、バドヴィッチの元を去るときも、コルビュジェの仕打ちを目にした時も、深い悲しみを抑えながら、凛としていたに違いない。
コルビュジェも本命星が五黄土星。亥年だから周りが見えなくなるし、傾斜が六白金星なので支配的・権威的というのが強く出てしまったのかもしれない。
すげー、めちゃいい、くやしい、汚したい、手に入れたい、みたいな。
阿部定事件を思い出した。
センスあるお姉さまに、自信満々の若造が打ちのめされた話。
デビュー前の小田和正もオフコースで自信満々で出場したコンテストで、赤い鳥の山本潤子に完敗して自信喪失した話をしてました。しかもその時に6位で格下だと思ってたチューリップにもデビューで先を越されたという。
ちなみに、小田和正さんも建築科出身で、藤森照信さんと同級です。
2020年11月5日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
コルビュジエに挑んだ建築でもあり愛する人への贈り物。愛と理論とが混ざり合ってできた結晶。
男性優位主義の時代で彼女の名が埋れてしまっていた事は残念でならない。
時代を超えて評価され、彼女の作品として後世に残っていくことが救いだと思う。
2020年3月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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近代建築の世界的巨匠ル・コルビュジエがその才能に嫉妬した天才インテリア・デザイナー、アイリーン・グレイの私生活の側面を映画化。アイリーンの凄さが映画では取り巻きがセリフで賞賛するばかりで実感が湧かない、本作と並行してアリー・マクガキアン監督がドキュメント「アイリーン・グレイ孤高のデザイナー」を作っているので併せて観ると納得がいくかもしれません。
映画の冒頭のオークションは2009年にクリスティで起きた実話である、アイリーン・グレイが1922年に作った椅子(Dragon chair)が1950万ユーロの値をつけた、落札したチェスカ・ヴァロワが値段の感想を聞かれ「欲望の代償ね」と答えた、原題のThe Price of Desireの由来である。
アイリーン・グレイはアイルランドの貴族の出身でパリ万博で日本の漆工芸に魅せられて家具作家への道へ進んだという変わり種、旺盛な研究心の赴くまま木材から金属、セルロイド、織物まであらゆる素材を活かし機能性と美学に優れた家具を生み出すと同時に建築でも景観と建物、インテリアまで融合させた独自の空間デザイン能力に長けた天才であった。
そんな彼女がお気に入りの南仏カップ・マルタンの海辺に恋人のジャン・バドヴィッチと過ごすための別荘(E1027)を建てたのだがジャンの女癖の悪さに愛想を尽かし2年で去ってしまう。
アイリーンに建築を勧めたのはジャン・バドヴィッチで建築製図を教え込んだのはジャンの友人のル・コルビュジエだったらしい。E1027の完成度があまりにも高く、師の立場だったジャンやル・コルビュジエの自尊心が余程傷ついたのだろう、アイリーンの功績を汚すような情けない行為に走るのだった。ル・コルビュジエ役のバンサン・ペレーズがわざわざカメラ目線で愚痴を言う演出はメアリー・マクガキアン監督の「一緒に不甲斐ない男たちを蔑みましょう」との観客へのメッセージなのだろう。晩年まで正当な評価に恵まれず、才女ゆえの数奇な運命をたどったアイリーン・グレイへのアリー・マクガキアン監督のファンレターのような映画でした。