マヤの秘密
劇場公開日 2022年2月18日
解説
「ミレニアム」シリーズ、「プロメテウス」のノオミ・ラパスが主演と製作総指揮を務め、ナチスから暴行を受けた過去を持ち、妄想と現実を行き来する悪夢に囚われた女性の姿を描いたサスペンス。1950年代のアメリカ郊外。かつてナチスの軍人だった男から戦時中に暴行を受けたマヤは、街中で偶然その男を見かけ、復讐心から男を誘拐。夫のルイスの手を借りて自宅の地下室に監禁する。マヤは殺したい気持ちを抑え、男に罪の自白を求める。しかし、男は人違いだと否定し続ける。主人公マヤ役をラパス、監禁された男役を「スーサイド・スクワッド」シリーズのジョエル・キナマン、夫のルイス役を「夜に生きる」のクリス・メッシーナがそれぞれ演じるほか、リメイク版「ペット・セメタリー」のエイミー・サイメッツが脇を固める。監督は「ベツレヘム 哀しみの凶弾」のユバル・アドラー。
2020年製作/97分/G/アメリカ
原題:The Secrets We Keep
配給:STAR CHANNEL MOVIES
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ナチスものの映画のバリエーションのひとつであり、またロマン・ポランスキーの『死と乙女』と似通ったストーリーだが、心理スリラーとして興味をそそられる。ノオミ・ラパス演じる主人公が、第二次大戦中に自分を犯し妹を殺したナチスと思われる男を見つけて、拉致監禁。男の方が、そんなことは知らないと必死に人違いを訴える。これだけだと、男は犯人か否か、というミステリーに集約しがちだが、この映画は「被害者と加害者の記憶の迷路」を解きほぐすだけでなく、主人公の夫の目線から「大切な人を信じたいという気持ちを貫けるか」という第二の命題を掘り下げている。真相はあなたが考えてください的な曖昧さはまったくないにも関わらず、どこに気持ちを持っていっていいのかわからず、人間関係について改めて考えさせられるラストの余韻を大いに気に入っています。
2022年5月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
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戦争犯罪に対する復讐。ストリーを文章にすると極めてシンプル。一つの街で物語は完結するし、登場人物の数も限られています。予算的にも、それほど大がかりとは思えず。つまりは、小品です。個人的には、このレベルの小品で気の利いたものや、ちょっとだけドキ!っとさせてくれるものを、たくさん見たいと言う想いがあるので、これは良かったです。
女の動機は復讐心だが、徐々に、自らの悪夢の根源にあるのが「妹を見捨てて自分だけが逃げた?」と言う罪悪感であることに気づく。旦那は、全てを精算するために、告白した男を撃ち殺す。
脚本的にも、真相の暴露を小出しにする、かと見せかけて隠し、結局最後の場面までサスペンド。技巧的で、個人的には好みです。画は文句無しに一流ですね。
繰り返しになりますが、個人的には、このレベルの作品が、もっともっと日本へ入ってきて欲しい。いや、なんか変でしょ。ここ数年。コロナの影響じゃ無くって。このレベルの洋画、広島での上演本数は絶対に減ってますし、欧州モノに関しては壊滅状態。台湾も激減っすよ。もうね、言いたくはないですけど。アベレージでは「ツマラナイ」レベルになって来た韓国映画や、どこが良いのか分からん中国映画は、一本一本のクオリティを見て上映作品を選んで欲しいと思う、今日この頃でした。
イヤまじで、韓国映画も中国映画も、良いモノだけにして欲しいっす。
2022年5月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
1950年代のアメリカで、かつてナチスの軍人から戦時中にレイプされ、妹を射殺された悲惨な経験を持つマヤは、街中で偶然その男を見かけ、車の故障と偽りハンマーで殴りその男を拉致した。夫ルイスに訳を話し、自宅の地下室に監禁した。マヤは殺したい気持ちを抑え、男に罪の自白を求めた。しかし、男は人違いだと否定していた。本人か、似てる別人か、その男はどうなる、という話。
マヤはロマ人で、ロマの事を知らなかったが、もともとルーマニアでもジプシー呼ばわりされ差別を受けてきたんだと知った。
世界にはロマ以外にも、イスラエル建国までのユダヤ、先日観たマイスモールランドのクルド、ミャンマーのロヒンギャなど、多くの差別を受けている民族が多くいる事を知り、なんとか出来ないのかと今回も思った。
それと、当時のナチスの罪は重いが、現在のロシア兵もウクライナでレイプしてるらしいが、プーチンはウクライナのことをナチスと呼んで戦争を仕掛けている。プーチンはヒットラーと同じ事を80年経ってもしてるな、って思った。
歴史は繰り返されるというから、いずれプーチンも罰を受けるだろう。
マヤ役のノオミ・ラパスはストックホルムケースの時も良かったし、今回も好演だった。
2022年3月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
なんだか自分の心の置き所をどこにすればよいか迷ってしまった作品でした。
アフターホロコーストを扱っていますからその点がフォーカスれているのか?と思いきや、どうにもその部分については重きを置いていないような気がします。まぁ、悲しい出来事のキッカケとはなっていますし、それを引き起こした元凶ですしね。話の展開は「人間が壊れていく様」、「拡大していく暴力」の恐ろしさが前面に出ていくのですよね。それは密室スリラー的なほどに。怖がらせたいのかなぁ?なんなのかなぁ?と。そしてクライマックス〜まさかの結末につながるわけですが、かなり意外な展開でした。ただ、その展開にあまり説得力を感じることができなかったんですよね。
これまで鑑賞してきたアフターホロコースト作品にはなんらかの主張を感じたのですが、本作からはそれがなかったんですよね。「すべての人間に大きく深い心の傷を与えてしまった出来事である」ということ以外には。社会派なのか?サスペンスホラーに振りたいのか?ただ、ラストシーンを見たときに「あぁ、人間の悲しき二面性」がテーマなのかも?って思いました。マヤとルイスの表情や顔の向きがそう感じさせました。この2面性があるかぎり、争いってなくならないんだろうなぁって・・・。
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