生きちゃったのレビュー・感想・評価
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まじかよ、こんなストーリーなのか? ちょっと驚いた。すごい脚本だなと思った。石井裕也、こんな脚本よく書いたなと思った。
動画配信で映画「生きちゃった」を見た。
2020年製作/91分/R15+/日本
配給:フィルムランド
劇場公開日:2020年10月3日
仲野太賀(山田厚久)
若葉竜也(武田)
大島優子(山田奈津美)
パク・ジョンボム(山田透)
毎熊克哉(洋介)
太田結乃(山田鈴)
柳生みゆ(飯村早智子)
北村有起哉(人殺しの男)
原日出子(杉田美幸)
鶴見辰吾(田代)
伊佐山ひろ子(山田花子)
嶋田久作(山田十郎)
石井裕也(監督脚本)
石井裕也監督と言えば、
「舟を編む」「愛にイナズマ」
「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」
「ぼくたちの家族」を見たことがある。
「舟を編む」と「愛にイナズマ」は好きな映画。
ストーリーは何も知らずに映画を見始める。
山田厚久と武田は英会話と中国語会話を習っている。
将来の夢のためにそうしているらしい。
オレも中国語を数年習っていたことがある。
厚久の夢は庭付きの家を買うことらしい。
厚久はブックオフのような店で働いている。
店舗はなく通信販売、通信買い取りをしているらしい。
バリューブックスという実際の店舗でロケが行われたらしい。
ある日、厚久は仕事中にめまいがして早退してしまう。
自宅に帰ると、妻の奈津美と見知らぬ男が情事の真っ最中だった。
まじかよ、こんなストーリーなのか?
ちょっと驚いた。
厚久はあっけにとられ、
妻にも浮気相手にも怒りやその他の感情を見せなかった。
妻は厚久に対して開き直るような態度を見せた。
そして言った、「あなたにはずっと我慢してきた。男と別れる気はない。浮気をすることで女としての自分を実感している。離婚しても構わないが娘の養育費は欲しい。この家にこのまま住み続けたい」
すごいことを言うなと思った。
その日を境にふたりの関係性はがらりと変わった。
厚久は家を出て奈津美とは別れた。
それから半年ごとのエピソードが描かれる。
奈津美はお金が足りないと厚久に金を無心する。
奈津美の浮気相手はまともに働かない。
奈津美の浮気相手はアクシデントで他界してしまう。
すごい脚本だなと思った。
そして奈津美にはさらなる不幸が降りかかってくる。
悲劇的なことはまだまだ続く。
石井裕也、こんな脚本よく書いたなと思った。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
「言わなきゃ伝わらない」を再確認。
重い。ただただ重く、心の痛い映画でしたが、身近な人とのすれ違いや、言葉にできない想いがじわじわと胸に迫ってくる映画です。
この映画がすごいのは、登場人物たちの“言えなさ”がとてもリアルに描かれているところです。大事なことほど、身近な人ほど、言葉にするのが難しい。わかってくれているはず、と勝手に思ってしまったり、言ってもどうせ…と諦めてしまったり。そんな空気の中で、お互いの気持ちがどんどん見えなくなっていく様子が、とても切なかったです。
仲野太賀さん、若葉竜也さん、大島優子さんの演技が本当に素晴らしくて、セリフが少ない場面でも、目や仕草だけで感情が伝わってきました。
観終わったあと、しばらく余韻が残りました。自分も大切な人とちゃんと向き合えているかな、と考えさせられる作品です。静かだけど、心の奥をじわっと揺さぶる映画でした。
最後の突然とした終わり方にちょっとびっくりしました。
ひたすら重い.. / 押し殺してきた感情のブレーキが
生きちゃった見て泣いちゃった
内容はかなり重いです。
ですが、最後のシーンで思わず涙が出てしまいました。(T_T)
切ないというか、あの男2人の抱き合った瞬間に思わず感情が入ってしまったというか。主人公の感情の吐露にシンクロしちゃったというか。自分でも何なのかよくわかりません。
太賀くんびいきなのもあり、厚久のあの感情を抑えた表現、うまいなあと思いました。武田役の若葉の存在は普通なら、ちょっと邪魔になりがちなのに、3人の人間模様の中に上手く溶け込んでいました。学生時代のパピコを食べるシーンとかも登場するんだけどベタな青春映画になっていないところもよかったです。
大島優子もアイドルからの脱皮を意識したように感じるぐらい熱演だったと思います。目に見たもの聞いたことしか受け入れられない、甘い言葉に酔ってしまう愚かな女性でしたね。男(毎熊克哉)と一緒になった後にも、厚久にお金をせびるところは腹立ちました。
愛を言葉で表現する
難しいですね。女の人は言葉で満足したいところがあるので、つい期待してしまうのでしょうが日常会話で自然に「愛してる」なんて、普通言えない(言わない)ですよね。映画にもあったように、確かに英語で言えば I love you. Me too.なんて会話がすぐに成り立ってしまうかも。
主人公の厚久は言葉だけでなく、表情にすら、悲しみや怒りや欲望が出なくて、何もなかったような顔をしてしまう。たまたま会社を早退して家に戻った時に見た「妻と男の情事」。
驚きも悲しみも怒りも何もかも飲み込んでしまう。見ていて苦しかったです。
厚久の婚約者(早智子)が厚久の家に来て、2人が話合っているところに、身重の奈津実が登場するシーンが2回(3回?)ありました。最初のシーンでは、2人の会話の内容がわからず。ただ、厚久が涙ぐんでいる。早智子を好きだけど、やや仕方なく奈津実と一緒になったのか?とも思えてしまう。
しかし、後のシーンでは、早智子に「ごめん。奈津実のことが大切なんだ」と多少、残酷なことを早智子に言ってしまう。つまり、ここで、厚久が奈津実のことを本当に大事に想っている(愛している)ことがわかります。切ないわ。
いろいろと考えさせられた映画でした。
焦点の外側の厚みが欲しかった
物語もタイトルも解釈が難しい作品
小説においてタイトルは基本的に作品が出来上がった後に修正されるものだが、この基本形で思考するとこのタイトルに託した意味は、「それでもまだ自分は生きている」というような捉え方になるだろう。
その意味が作品と少し距離があるように思えてならない。
そしてこの作品には謎が多い。
特にアツヒサの素性は隠されている部分が多くわかりにくい。
彼は自宅に祖父のための仏壇を備えているという特殊な設定がある。
しかし祖父の死が彼に与えた影響は全くわからないままだ。
彼と祖父との関係と11年前という具体的な数字、そしてその後にサチコとの婚約、ナツミとの再会があったと思われる。
結果アツヒサは、サチコと別れナツミを選び結婚した。
ある日サチコが突然訪問し、彼女が妊娠できない体だったことを打ち明ける。サチコはそれが運命だったと解釈、自分だけが幸せをつかんでしまったとアツヒサは思ったのだろうか?
また逆にサチコに対する罪悪感が発生したのだろうか?
帰宅したナツミは激しく泣いている夫の姿とサチコの姿を見て動揺するも、心の内を話すことはなく、結局夫への不信感となった澱が浮気へと走らせてしまう。
さて、
アツヒサの本心は最後に明かされる。
それは「いつだって本心を言えたためしがない」ということだった。
それを日本人の一面として表現している。
確かにそこに着眼したのは面白いと思う。
それと男女、夫婦、あらゆる人間関係と絡めている。
親友のタケ
「オレが見守っててやるよ」とアツヒサを娘スズの元へと行かせた後、「ダメだ、見てられない」というのもまた、日本人的なのだろうか?
この作品のクライマックスとタイトル
最後の足搔きとしてようやく本心を伝えることができるというある種の情けなさを伴った人間の真実
モチーフになっている「影」
実体のないものの象徴
または実像の見誤りという象徴
それこそが「本心」なのかもしれないと、この作品は言いたいのだろうか。
また、
「めまい」の始まりがアツヒサの人生が狂い始めたサインで、それはナツミの葬儀に出席するときも続いていた。
ただ、それは運命のようにあって、少なくとも車の中で激しく感情が揺さぶられるまで続いたと思われる。
物語の中で最初に狂い始めたのは、サチコの訪問と帰宅したナツミにアツヒサが端然とした説明をしなかったことだが、それこそが本心を話せない彼の問題だったと考える。
サチコとの別れ
これもまた謎
おそらくサチコと婚約中にアツヒサはナツミと再会してしまったのだろう。
そう考えると数奇な運命と言いたいが、親友のタケにはそのようなことが一切ないのは物語の奥行きを感じさせない。
タケはキーマンでなければならないのに、アツヒサに寄り添う以外何のキーも持ってない。
ぶっ飛んでいるのはアツヒサの兄
祖父との写真に一緒に写っていることから、アツヒサの人生で重要なパーツなのはわかるが、ナツミの再婚相手を殺害するという暴挙はただ暴挙でしかない。
また彼の家族も奇妙過ぎる。
兄の収監先を訪問した後、家族写真を撮るという心境は理解しにくい。
また、
この作品には「言語」というモチーフも登場する。
彼らが語学を習いながら、自分自身の気持ちを相手に伝える練習をしているのだ。
「英語では思ったことが言える」
このセリフはこの作品の重要なパーツだ。
言うべきことが言えない日本人 主人公アツヒサ
アツヒサは葬儀場でナツミの断末魔を聞く。
聞こえるということは意識は端然とつながっており、おそらく愛があったのだろう。
収監施設で思い出した兄のグッドサイン 自己犠牲という愛の表現
いつも必ず受け止めてくれる親友のタケ
何があっても守りたかった娘のスズ
これらが重なって「本心」を言う決心をした。
さて、
この本心とタイトル 若干遠い気がするが、言葉で人に伝えるということを明確にテーマとしている。
悪くはないが、愛しているなら兄がナツミの夫を殺害すればナツミの生活はどうなってしまうのかということを考えなかった点には疑問が残ってしまう。
身勝手な女
浮気されても、離婚で家を追い出されても、女が有責なのに子ども取られても、何も言う事が出来ない男と、浮気して浮気相手とくっついてその浮気相手の借金背負って風俗に堕ちた上に殺される女の話。
お互いのこと理解するよう努めればこんなことにならなかったのにバカだね、っていう感想。
毎熊克哉と北村有起哉が役柄にピッタリハマっていた。
ただ、アンメット見たときは若葉竜也はとても上手に思えたんだけど、この映画は上手だとは思えなかったのは何故だろう。
仲野太賀と若葉竜也
ひっそりと徐々に
着実に日本のドラマや映画を支えてきた2人が揃った映画。
今や出演作に外れなしの仲野太賀さん、
若葉竜也さんもすぐ背中を追いかける勢いのある俳優さんです。
2020年公開で少し前の映画になります。
主人公は太賀さん演じる厚久
彼の親友で学生時代は2人で歌手になる事を夢見た武田
大人になった今、その二人と青春を過ごした奈津美は厚久と一緒になり娘の鈴と3人つつましく暮らしていた。
思っていた大人になれなかった厚久と武田はそれでも2人でいつか起業しようと雲をつかむような夢を語る。
思っていた人生を歩めていなかったのは厚久と一緒になった奈津美も一緒で、義家族との仲も良好とは言えなかった。
思ったことを思うように表現出来ない厚久。
感情の出処はどこなのだろう。
奥ゆかしさや本音と建前という言論方法が根付いた日本で、穏やかさや優しさの表現はとても難しく、口をつぐむことに慣れきってしまっていた。
愛は口にしないと枯れてしまうのか。
言葉にしないと、愛してないのか。
厚久は弱い人間かもしれない。
一見何を考えているかは分からない
だが弱さを知る優しい人間である事は太賀さんの演技がセリフを補足していると言える。
武田は「暇じゃねえ」と言いながらいつでも彼の支えにも、奈津美の支えにも、自分の手の届く範囲で思いやりを持てる献身的な人間である。
絵に描いたような理想の親友で、それだけで人生の財産のような人。
男の友情物語というとチープな響きになってしまう。
日本の閉塞感というと小さい世界に感じてしまう。
家族の絆を問えばまるで壊れているかのようだ。
一歩踏み出せばよかったのかもしれない。
いや逃げ出せばよかったのかもしれない。
どうしようもないことはどうしようもないときに起こるし、巡る、繰り返し。
その度に願う事しか出来ない、
私達は弱いから。
それでも生きているから。
悲しい夫婦の話
こういう問題って現実の方がもっとエグかったりするから
今上映中の「月」の監督の為見た。
社会問題てんこもりなのだが岩井俊二監督と比べると好きじゃない。
細部描画絵の作りこみが適当だから一般化ファンタジー化物語化がされてなくて
こういう問題って現実の方がもっとエグかったりするから中途半端になってしまってる。
妻の浮気現場に遭遇離婚妻が転落していくダメ男デリヘル
実家の兄はニート親は図々しい 主人公役の俳優に輝きがなかった
妻役の大島優子も彼女本人は好きなのだがこれは可愛くなかった
この監督は力量があるのだろうか。疑問
デリヘル待機所が印象的安っぽくて悲しい実際こういう所にいる女の子は現実にたくさんいるのだ 最後変にカタルシスを作ろうとしているように感じる所もあって嫌だった在日系なのかなとすら思った
暇なので見た
出会っちゃった、やっちゃった、生きちゃった・・・パピコや扇風機や犬の影絵などなど、小物など伏線は充実しているけど、感情を押し殺した演技のおかげで主人公たちの本音が明かされない部分が多くてイライラもさせられる。
約5カ月ぶりに映画を観たので(映画館はまだ行けてない)、家庭環境や人間関係を把握しようと身構えた。。断片を切り貼りし、微妙な時系列、寸止めで切り取るシーンなどが心地よく、TVドラマにはない映画っぽさを感じた序盤。
ふーん、なるほど、妻・奈津美(大島優子)に愛想を尽かされ、洋介(毎熊克哉)という男との浮気現場を目撃したため離婚に至る山田厚久(仲野太賀)。結婚する前には早智子(柳生みゆ)という婚約者もいたのだが、幼なじみでもある奈津美との結婚に至った・・・。一緒にミュージシャンを目指していた親友の武田が心のよりどころだった。
人物設定の中ではこの早智子の存在が弱い。結局、子どもが出来なかったから別れる決意をしたのだろうか、そうであったら最低の男。この詳細が描かれないのがのめり込めない要因の一つだった。それならそれで、親友との付き合いにも時間を割くべきで、中国語、英語を一緒に学んで起業しようとするところも掘り下げてもらいたいところ。
厚久の兄が引きこもりで、弟思いの性格がわざわいして事件を起こしてしまう。そして元妻となった奈津美にも不幸が・・・といった展開は、世の無情な事件たちの縮図だと感じさせるし、経緯を理解しない第三者的家族の冷たさも心に残る。実の子に会いたいと願うカスみたいな男は俺の周りにも数人いるなぁ・・・うんうん。
若手俳優の中では仲野太賀の顔の演技が素晴らしいと思ってるのですが、今作はそれを逆手に取ったような内容。表情をじっくり見ていれば感情は伝わってくるのだけれど、言葉では上手く伝えられない男たちを描いた作品と言えようか。「英語なら上手く言葉にできるのに」「泣けないのは日本人だからか?」など印象的な台詞もある。そして、5歳になる娘すずのことを思いやり、自ら身を引く決意。親友にしか伝わらないほどの決心。そのボロボロになるほどの涙がやはり顔芸俳優・仲野太賀の真骨頂なのだろう。
「暇じゃないんだよ!」という台詞は映画を観ている客への挑戦か?
どこを切り取ったのか想像する映画
けっこう低評価が多いみたいですが、天邪鬼な私的にはそれも含めてなるほどな映画!
映画の作り方が斬新な印象。脚本上とても不快な場面が多いのですが、他の映画にあるような、不快感を挽回したり観客に取り繕ったり、終わったときに相殺されるような展開はありません。あるいは、その不快感を煽ったりアドレナリンを誘ったり、意味付けするようなモーションもありません。でもリアルって実際そんなもんだしね。でも映画って虚構だから、その狭間を揺れている。
どの場面、どの台詞が、登場人物のどの行動、どの感情に繋がっているのか、(よくある他の映画に比べて)説明が少ないので、ストーリーのどこが切り取られているのか、背景にどんなドラマがあるのか、想像力を持って観る必要があると思います。
でなければ楽しめない映画かもしれません。
仲野太賀さん若葉竜也さん大島優子さんの演技が、圧巻です。どんな訓練をしたら、あんな表情やあんな声が作れるんだろうと思う、相当な鍛錬をされたのでしょうね。敬服します。
言葉にしないと伝わらない事
大切なものを無くさない為、心の蓋を外す物語。
本当のことが話せない、日本人だから。から始まる不器用な男の日常。
ふと気がつくと、崩れるように一変していく生活。
その、続く負の連鎖を断ち切るかのように、声を出す決意。
終盤の件はどうしたって涙します。
蓋をしてきた感情を露わにした、仲野大賀の芝居も良いですね。
最後はきっと、きちんと言葉を届けられたのでしょう。
そしてエンドロールに流れる、どこか物悲しい歌。
三人の思い出のような歌でした。
しかもこれ主演の仲野大賀と若葉竜也で歌ってるんですね、なんかこの歌によって最後厚みが出ました。
言葉にしないと伝わらない事、たくさんあるんでしょう。これからは幸せになってほしい。
うーん
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