ストレイ 悲しみの化身のレビュー・感想・評価
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子を失った親と庇護をもとめる怪物
奇妙な子供の出自、自殺した守衛の謎、実の息子の行方、
母親が妊娠したことにより、牙を剥く子供。
子を失った親の葛藤。子を引き取るのを反対していた父親、溺愛する母親の立場が後半入れ替わり、父性や母性の交差も興味深い。
なぜ、この子供を生かしたのか問うたときに、
神がつくりしものだから、
と答えたシスター。
愛する者に擬態し、庇護を望む生き物。
その生き物が悪なのか、それとも利用する人間が悪なのかー
考えれば深いテーマなのかもしれない。
絶妙な気味の悪さ
「息子じゃない」
冒頭、亡くなった男児の身元確認のために警察に呼ばれた父親はそう言い放った。
行方不明として処理された息子・ヴァーニャ。両親は心を痛め、養子を求めて教会を訪れた。
このシーンから「なにか特別な力が働いている」と感じさせる演出。母親は何かの気配を感じてそれを探る······。
発見された遺体と幼い子ども。子どもたちから『ゾンビ』と呼ばれいじめられていたその子どもに母親は異様なまでの執着を見せ、連れ帰ってしまう。
そして、それが悲劇の始まりだった······───。
ストーリーのテンポは良いとは言えなかったが、それが逆に気味の悪さを演出していた。突然背後に現れたり大きな音で驚かせるビックリ系ではなく、視界の外で得体の知れない"何か"が蠢いているような恐怖や、手の届きそうで届かないところで大切なものが闇に侵食されていくような不快感を味わえる。
物足りなかった点としては【ここからネタバレに当たるが】、父親が『ソレ』に取り込まれるまでの描写をより丁寧に描いた欲しかったように思う。突然母親と父親の立場が逆転してしまうので、より自然に段々と変化していく······くらいが好みではあった。
『ソレ』の出生についてもっと深く掘り下げられていたらより楽しめたように感じるが、言葉では表現せず映像やフラッシュバック・鏡の演出による表現が秀逸な作品だった。
父の時計
愛する息子を失った夫婦が手に入れた、謎の問題児。
その子は天使か悪魔か…なんて考える間もなく、完全にただの鬼畜だけどね!!!
喪失感につけ入る所業と果てしない不気味さに恐れ慄きつつも、その子の存在意義をたしかに実感してしまった。
側から見れば異常な状況。
しかし冷静になれないその気持ち、縋ってしまう気持ちもわかるじゃない。
夫婦の間でその子に対するスタンスがだんだん逆転していくのが面白い。
身篭って満たされていく母親、どんどん「息子」に依存していく父親。
エスカレートする「息子」のイタズラがスリリングで堪らない。家族って良いねえ。
全体的にダラッとしたテンポ感は否めないけれど、常に危うくギリギリの空気が気持ち良く、飽きずに観られた。
サイコスリラーとダークファンタジーを掛け合わせたようなストーリーも興味深い。
そしてまた至高のラストカットに出会えた。
子供なのに賄賂!?
息子が失踪し、失意の底にいた夫婦が養子をとるため孤児院に訪れ、そこで出会った少年を引き取ったことから起こる不気味で奇妙な出来事を描いた物語。
鑑賞前は、泣けるダークファンタジーのような内容を想像していたのだが、実際観たところ、ジャンルはホラーになるのだろうか。少年は人間には見えないのだが、主人公の妻は何の運命を感じたか、反対する主人公をよそに、その少年を自分の息子だといいはり引き取るといって聞かない。
…かと思えば、物語の中盤に差し掛かる頃には、いつの間にか妻の方が少年を疎み、主人公の方が「僕らの息子だ!」と、少年を怖がる妻を怒る、という逆転現象に。
期待していた内容とは少し違ったが、ホラーテイストの映画は好きだし、結局現実を見れていなかったのはあなたの方だった…的な話も結構良かった。悲しみの化身という邦題もハマっていたと思う。EDテーマのテクノロック(⁉)っぽい曲も良かった(笑)
また、この映画の最後の最後のシーン。ここしばらく見たホラー映画の中でも最も怖かった。
ホント「うんざりだ」
6歳の一人息子が失踪して3年、養子縁組の為に孤児院を訪れた夫婦に巻き起こる話。
人が死んでそれどころじゃないうえに、最初からあからさまにおかしいところを盲目に猪突猛進で無理矢理連れて帰って養子にするし、みんながみんな言ってることが自己中だったり掌返しだったり支離滅裂。
ネタばらしだって、まあそうだろうねという感じで演出も脚本も残念。
子役とネタはかなり良かったんだけどね~、あまりにも安っぽ過ぎて勿体ない仕上がりだった。
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