「そもそも「犯行動機はそちらで考えて」なんて言うな」ファーストラヴ フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
そもそも「犯行動機はそちらで考えて」なんて言うな
ヤンデレとヤンデレが共感し合う話
殺人事件と主人公の過去、二つの話を絡ませて真相にたどり着くのはいいと思うが二つの話が作品全体の50:50を占めている印象をうけた。
どちらもボリュームが有るのだが、もう少しどちらかのサイドに偏ってくれていればもっと話が締まるのではないだろうか。
出演陣の演技やキャラクターはよかったと思う。
窪塚の非の打ちどころ無い善人キャラにはちょっと違和感があったけれど、中村倫也のキザなインテリ感、芳根京子のメンヘラ感なんかハマってましたね。
演出的には取調室のガラス越しに対話するうちに相手と自分の思考が重なるシーンがちょっと残念。
ガラスの反射で自分と相手の顔が重なることで同一化を表すって演出何回見たことかってほどに使い古されてるのでいい加減新しい表現を創造してほしい。
それから、芳根京子が北川景子に「私、ほんとは刺してません」って告白するシーンに違和感。
心を開いてもらえるようにと自分の過去を話て涙を流す北川が芳根の発言に驚きの表情を見せる。
「彼女はやってない」と確信したようなのだが、話の流れ的には「私、ほんとは刺してません」なんて言われたらまた虚言かとか今までの証言は?とか本心はどこ?って思うと思うんだけど。
北川の表情も困惑してたように見えたし、少なくとも「真実見たり」的な表情ではなかった。自分だけかも知れないがこの作品を見た者同士であの表情について語りたいと思った。
写真展で親子の無垢な笑顔を撮った写真をみて感動するシーンにもツッコミを入れたい。、
自分の父親が信じられなくて悩んでる人間があの写真を見て感動するのか?
本心をかくして接していた父の本性を知り男性不信になってるのだから、親子の写真なんて上辺の情報で心揺さぶられるかな?
写真は見た人の解釈でいくらでもストーリーを創造できるから、心が純粋だと感動できるのかも知れない。
ここに疑問をいだいた私は心がひにくれてるのだろう。
根本的な問題として、主人公が犯人にたいして無防備すぎるしむしろ同調しようとするの物語として不自然に感じた。
心理学を学んだ人間って対象者に入れ込んじゃダメってなんかの映画で見たような気がするし、素人考えでも危険だと思うのだが。
いろいろ重箱の隅をつついてしまったがそもそも監督が堤幸彦さんなので作品を深く考える事自体が無粋なのかも・・・
不満ばかりが多くなってしまったが、心をこじらせた人間の戯言です。
この映画を見てこのレビューに共感したのならば、あなたも心をこじらせていかも知れませんよ。
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劇中セリフより
「軽く二桁は経験あるのに・・・」
回数が多くても上手とは限らない。正に堤監督を表したセリフ。
言い訳か、照れ隠しか、自信の表れか、とにかく余計なことは言わないようにしよう。