ミッドナイトスワンのレビュー・感想・評価
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何の気なしに
期待せずに前情報もあまりなく観たら結構良かった
誰もが何かになりたい、人によく見られたいなど願望はあるものだが
みんなの願望が叶うわけではない
それでも追い求める事の意味は尊いのかもしれない
そんな事をこの物語を観て思った
LGBTには全然興味がなかったけど
この映画は観れて良かったと思う
主人公の女の子と草彅剛の演技が良かった
なかなかの良作
素っ気ないほどの前半に比べ後半が惜しい
予備知識としては、草彅さんがトランスジェンダー、中学生の子が新人、バレエが出てくる……くらい。トランスの草彅さんが中学生を預かるくらいしか知らなかった。
おかげで説明不足に感じたが、前半の素っ気ないくらいの温度感は★4。イチカのぶっきらぼうな感じが浮かずによかった。ただ、LGBTのイメージが古くさいのが気になりました。令和の話じゃないみたい。
ウェディングパーティでリンとイチカのバレエがシンクロするシーンはきれいでしたが……。
後半の手術シーンからあとがちょっと……過剰すぎ。
そもそもタイの手術はレベルが高いのであんな悲惨なことになるほうがレアケースでは?と思うと、盛り上げるためにドラマティックにしすぎかなと。あそこからオチまで急にお涙頂戴の展開になるのはガクッと失速した感がありました。
ナギサが死んでしまうとなればラストは予定調和なのでこんなもんかなと。
ただ、ハニージンジャーソテーを食べたり金魚のいない水槽に餌をやる草彅さんの鬼気迫る演技は素晴らしかった。
個人的には水川あさみさんがとてもよかった。いるいるこういうどうしようもない母親、という感じで。そして服部樹咲さんもよかったです。バレエシーンが素敵でした。
引き込まれた
今年観た映画ではNO.1の作品になりました。テネットは莫大なお金をかけてるだけあり映像が凄く良かったのですが、ミッドナイトスワンは、世界観に見事に引き込まれた感じです。誰しもが持ってる苦悩をドキュメンタリーを観てるかのようで、心に刺さりました。何といってもスクリーンに草彅剛はいなかった。全てのキャストが実在し、そこに居るかのような感覚。それが余計に世の中の不条理さや、偏見と異質な者を受け入れない生き辛さを感じて泣いた。こんな世の中ではダメだと分かってても、どうすることも出来ないもどかしさ。違う方向に導いてあげる人がいないのは、この日本の現実と思うと悲しくなった。海のシーンはとにかく美しく号泣。凪沙のコートと赤いブーツを履き、会場に向かい、ラストの白鳥の湖を踊るバレエのシーンも泣いてました。二人が一緒にいられた時間は短くても、確かに母と娘だったし、記憶と心に刻み混んだ一果の中に凪沙は確かに存在していく。最後の踊りが全てをあらわしていた。最後の解釈は色々観た人により違うと思いますが、一人でも多くの人がこの作品を観て、世の中の意識が少しでも変わる切っ掛けになればと思います。十人十色で同じ悩みはなくても、生きていれば、何かしらの悩みや辛さを抱えているもの。他人を拒絶せずに助けてしまう凪沙の心は美しかった。一果という光に出会え、母になれた事は幸せだったと思う。現状の幸せを噛みしめて生きたいと励みになった。この作品を作った方々、内田監督に感謝です。世界に広がれば良いと思う作品です。
魂の叫びが満ちていた
凪沙が通うクリニック、いやらしいな。おそらく自由診療のバカ高い注射を毎週毎週打ちながら手術も勧めてくる。人の弱みにつけ込んでぼったくりのにおいぷんぷん。ショーパブの稼ぎは「女として見られたい」という気持ちに吸い取られていく上、弱いもの同士助け合い、そりゃ手術費用はなかなか貯まらないわ。それでも一果の才能と夢のために自分のことは二の次で精一杯支える凪沙。その心は紛れもなく母だよ。でも産みの母と対峙するには女の身体が必要だと思い詰めたんだよね。切ない。一果を諦められないならあんなに弱ってしまったのは解せないけど。だから私は凪沙は死んでないと解釈してる。海で沖へ向かう一果を力を振り絞って助けたはず。弱っていたのは心でバレリーナとして成長していく一果を見るために回復に向かったと思いたい。甘い?エンドロールのラスト、そういうことでしょ。りんちゃんの飛び降りはちょっと余計だったかも。人の死はもう少し慎重に扱って欲しい。もしも凪沙も死んだということなら、死を美しく描き過ぎなのも気になる。でも、全編に渡り自分らしくあるためにもがき続ける凪沙と一果の魂の叫びが満ちているのが良かった。
凪沙と一果の人生を両面とした切ない物語です。
草彅剛くんがトランスジェンダーに悩む男性を演じる事で話題になってた作品を前から結構気になってて、やっと観賞。
観に行った「TOHOシネマズ 上野」は殆どが女性客でしたw
で、感想はと言うと…草彅くん、凄えなあ。
元SMAPで年齢とキャリアで演技に深みが増していて、役者としても降り幅は広くなってるとは言え、アイドルとしての認知されている存在にここまでやらすか?言うぐらいにブッ込んでいると個人的には思いました。
また、一果役の服部樹咲さんが熱演。中盤ぐらいまでは完全に一果が草彅くん演じる凪沙を食っている感じで、圧倒的な存在感を醸し出しており、凪沙の存在感に全然負けていない。
と言うか、一果の不器用にも荒々しくて鈍く光る存在感か凪沙とのバランスが取れていますが、全体を通して観ると一果の物語で、そこに凪沙の悲哀が醸し出されている。
そう考えると、「ミッドナイトスワン」と言うタイトルはどちらかと言うと凪沙寄りのタイトルなので、些か違和感がある様に感じたりしますが、とにかく二人の熱演しています。
最初に難点を言うと、凪沙の喋り方にちょっと無理している感じが否めなくない。
無理に女言葉に寄せて喋ろうとするのではなく、もう少し砕け感じでの女言葉でも良かったかなと。
あと、凪沙の歩き方も少し意識しすぎかな?
男性は肩で振って歩くのに対し、女性は腰を振って歩くと言うのを聞いた事がありますが、そこに意識をし過ぎてか、凪沙の歩き方が些かディフォルメされている様にも感じます。
でも、そんな細かい事はだんだんと気にならなくなり、観る側にも凪沙の心境がシンクロする形でトランスジェンダーとして悩む凪沙の苦悩の悲哀がこちらにも伝わってくる。
この辺りは演技力に定評のある草彅くんならではで、トランスジェンダーを病気と言い切ってしまうのは些か乱暴かと思いますが、それでもトランスジェンダーに悩む一人の人間が一果との出会いにより、自身の母性に目覚め、悲劇に遭うのは観ている側としても心がキリキリと痛くなります。
でも、故郷に出向き、一果を迎えに行くまでの間で一果がちょっとやさぐれた感じになってた所が少しはしょり過ぎに写ったりしますが、性転換手術をして争いから胸がはだける描写はちょっとやり過ぎかな。
親にしてみれば、息子が突然帰ってきて、性転換手術をしていて、胸には立派な膨らみがあるのを見ると、そりゃあびっくり仰天だろうけど、そこまでの描写が凪沙の覚悟の表れであったとしても、演出的には少し過剰に盛り込み過ぎにも感じるし、そんな凪沙の姿を見て"このバケモノが!"と叫ぶ一果の母親の姿に「田舎でもLGBTに対しての認識なんてそんなもんだ」と言えばそんなもんかもですが、どうもやり過ぎ感を感じます。
悲哀な場面ですが、…なんだかなぁ…と思いますが如何でしょうか。
原作を読んでいないので、細かい部分での解釈が出来ていない所もあるかと思いますが、一果が凪沙と離れて親元に帰り、中学卒業と共に再び凪沙の元に尋ねた時の描写は結構衝撃。
タイで性転換手術を受けた後の後遺症、もしくは衛生面での感染症か手術の失敗かは分かりませんが、身体の自由が効かなくなり、ボランティアの手を借りなければ排泄の処理も出来ない。おまけに目まで不自由になっているとなるともう驚き過ぎて、性転換手術のリスクの闇を見た様な感じです。
東京でニューハーフパブで生活をしているショーダンサーの凪沙の元に母親のネグレクトが原因で一時期的に身を寄せた一果が来た事で物語が始まるが、口数が少なく、人見知りで粗暴な一果に凪沙も手を焼くが、とあるきっかけで一果がバレエに興味も持った事から進展していき、途中、親友となるりんとの交流やかなりグレーな撮影アルバイトでの騒動などが面白い。
一果の才能を開花させる為の金を稼ぐ為の風俗アルバイトをしようとするまでの凪沙の行動に一果への愛情も緩やかに昇華していく感じでこのまま無事に皆が幸せになれれば良いのにと思ってもそうは問屋が卸さないw
怪我でバレエが出来なくなって、自殺を撰んだりん。
タイで性転換手術をして、両親にカミングアウトしながらも一果を引き取ろうとするが、身体に不自由が効かなくなる凪沙。
いろんな事がバッドエンド的に降りかかるが、それらを乗り越えて遠い異国の地でバレエの世界で才能の花を開かせようとする一果。
一果が羽織っているベージュのコートが凪沙の想いを背負っていて、いろんな事を昇華させていきます。
一果の物語として、観応えがありますが、一果の母親の立ち位置がどうも微妙。
水商売でネグレクトとなり一果を手離すが、何の前触れもなく、一果のバレエ発表会に観に来てたり、一果が実家に帰った際も一果への愛情がある様で無い様な感じがどうも解り難く微妙。
一果の母親の彼氏なのか、弟なのかも突然出てきてなんか微妙。
この一果の母親のパートだけが、なんか引っ掛かると言うか、もう少し整理されてても良かったかな?と思ったりします。
りんの母親役に佐藤江梨子さん、一果の母親役に水川あさみさん、ニューハーフパブのママ役に田口トモロヲさん、バレエ教室の先生役に真飛聖さん。パブの同僚役に吉村界人さんとなかなかな陣容。
とにかく草彅くんの熱演とそれに負けない一果役の服部樹咲さんの熱演で何処か不器用で歪にそれでいて、様々な想いと抱えた希望と業に振り回されながらもそれぞれの人生を全うしていく。
一果の人生に幸あれと思いながらも、凪沙の人生に切なさとやるせなさを感じ、心がキリキリします。
でも、観て良かったかと言えば、観て良かった。
それなりに期待しての作品でしたが、キワモノな部分がありながらも、人間ドラマとしての作品に個人的には引っ掛かる作品です。
未観賞の方で興味があれば是非是非。
一果役の服部樹咲さんは今後注目の役者さんかと思いますよ。
小説と映画を見て完成する作品である。
(※小説のネタバレも少し含んでおります)
九月末にこの映画を見て心がとても苦しい、しんどい…と引きずりながら帰宅しました。
草彅剛さん、服部樹咲さん、上野鈴華さんこの三人の演技が素晴らしくて絶対賞レースで話題になる前に映画館で見れて良かった!と素人ながら大変興奮しました。
が、やはり後半の(なんかその前に色々あったんじゃないの…?)と思わざる得ない話の流れに大絶賛してる人達は後半も納得してるの?草彅さんが出てればそれで良いの?と疑問に思えて仕方ありませんでした。
映画としては、の評価だと星3位なんです。
それこそレビューに溢れてる低評価の方達の意見は大体固まってきてますよね。
独身男性に従姉妹だろうが中学生行かせない。
手術後あんなになるのはタイの医療技術にあまりにも失礼等など…炎上もしましたね。
これ、全部小説を読まないと解決しません。
ひたすらこの悶々とした気持ちを引きずるのは嫌だなあと思い、小説を購入し読みました。
映画を見た後だったのでしっかりとそこに凪紗が居て一果が居て、りんが居ました。
足りない部分と凪紗の胸が熱くなる想いと小さな恋心が知れて、映画のりんの行動は最初から最後まで一果を想ってやっていた事なんだと知れて涙が止まりませんでした。
せめてもう少し大事なシーンの前後で関わる瑞貴との絡みを入れてくれていたら…と正解を見てしまった後ですが、その場面が入って居れば物の見方が変わりますし、映画としての評価も変わったんじゃないかと思うと悔しかったです
映画一本分に詰め込む内容が多過ぎたんでしょうね。どれもこれも、大切なミッドナイトスワンを作る上でのかけがえのない場面でした。
役者さんか、公式さんのTwitterで泣く泣くカットした喫茶店のシーンはDVDに入るはず…と
断腸の思いでカットされたんだな、と思いますが結果伝わっていないんですよ…
死を望み、それでも生きてる中宗教勧誘が持ってきた聖書を読み込んだ上でのエンドロール最後の二人とか理解して、記憶にある二人思い出して鳥肌立ちましたよ…映像だともう草彅さんの姿がショック過ぎて聖書や十字架は頭の中からすっ飛んでしまうでしょうね。
でも、この映画を見て小説も読んで店にやってきた地方議員はこの前の足立区の区議と重なり凪紗の恋愛経験の内一人は女性から男性になった方だと知り、数年前ニュースで知った同じ様にトランジェンダー同士の恋人達を思い出し日本でのLGBTの生き辛さがこれから緩和されると良いなと改めて思いました。
もし、抵抗が無い方は小説も是非…
色々と誤解を産…んでしまっている映画ですが
「オススメ!」とか「皆見て!」と安易に声を大きくして言える作品ではありませんが、凪紗と一果の寄り添い幸せを噛み締めた時間を見せてくれてありがとう…と思える自分にとっては一生モノの素敵な映画に出会えたと思います。
雑で浅かった…
評判が良いので鑑賞しました。親戚だろうと一人暮らしの男性に女の子を預けるのかな。嫌なのになぜ預かったのかな。その日に片付けてなかったら追い出すって言ったのに追い出してないな。手術のためだろうけど現金で貯金してるんだからとりあえず月謝払えるよな。バレエうまくなるの早すぎるよな(幼少期に習ってたってこと?)。イチカのママだって頑張ってるんだから横取りしたらダメだよな。胸ポロリってなんでブラ付けてないのかな。あれだけのお金持ちの子は公立の中学校行かないだろうな。術後の経過が悪いと失明までするのかな。ボランティアの人のケアは衛生管理が酷すぎるわ。などなど設定上ツッコミたくなる部分があまりにも多すぎた。
ま、そんな細かいであろうツッコミは横に置いておいたとして、、それでも結局なにがいいたい映画だったのか、要素が多すぎて浅くて、やっぱりよくわからない映画でした。誰が何を考えてなぜ行動したのかもう少し丁寧に描写して欲しかったです。登場人物たちの心情が深掘りされてないので表面だけで受け取った大半の人はおそらく「LGBTってかわいそう」になりそう。
監督はこの映画は娯楽と言い切って、たくさんの人に観てほしいと言ってたけどなにが目的でこの映画を作ったのかしら、、お金ですか?って言いたくなる。当事者の方々が生きづらいのは重々わかってるんだからわざわざそこを強調してかわいそうにまとめていいの?
たとえこの流れ(かわいそう)が嫌だという当事者の方がいても、それはとてもとても小さな声で、結局絶賛してるのは当事者以外のマジョリティ。当事者以外の大きな声で押しつぶされてしまうことが心配です。
うーん。
今まで草彅さんは演技が上手いなという印象だったのだが。
今回は…もう少しトランスジェンダーの人間を観察してからの方が良かったのではと感じた。
しぐさにしても、プライベートであんなに髪を意識して触る人は少ないと思う。
ストーリーも最後は「?」だった。
無理に不幸にしなくてもね。
タイのオペはかなり上手いらしいけど。
服部さんが新鮮さに溢れていて、可愛くて、バレエシーンなどもっと見ていたいと思った。
一果とりんがふわふわでなんとも言えない甘酸っぱさで、それで観られた感じ。
なんだか違和感が
じーんとくるシーンも多く全体的にはいい作品だなと思った。特にりんや凪沙を思って躍るコンクールのシーンはとても綺麗で感動した。
だけどなんだか凪沙の生活に関して違和感が…。
新宿でステージもあって客もそこそこ入ってる店で水商売してるのにお金に困ってるところがどうも気になった。
2桁の万も行かないようなアパートで貯金しながらの一人暮らしなのに、バレエの月謝のために風俗落ちるほどお金ないとは思えない…。貯金は全部瑞貴に貸してしまったのか?
工場で働くより水商売してる方がよっぽど稼げると思うし、
コンクール代なんてそれこそローン組むのじゃダメだったのだろうか…?
もうひとつは、突然手術後の合併症で失明して、要介護になっていたところ。アフターケアサボったらこんなになってしまったと言ってたけど、あれだと手術に失敗したような印象をうけてしまった。
タイは性転換先進国だし、相談乗ってくれる病院もあると思うんだけど、失明する前に治すことはできなかったんだろうか…。小説には詳しく書いてあるのかな。
せっかく女になって一果にお母さんになれるよ宣言したのだから、元気な姿で一果を待っていてほしかった。
親子愛とか孤独や偏見との葛藤とかうまく描いてる作品なのに、肝心のトランスジェンダーの部分がなんだかリアリティに欠けていて残念だった。
少し強引だけれど、それを跳ねのけるくらい説得力のある草彅剛の実在感
「ミッドナイトスワン Midnight Swan」。
元SMAP“新しい地図”のメンバー(稲垣吾郎、香取慎吾、草彅剛)は、すっかりテレビ出演が激減。ほぼCM露出ばかりだが、これも元事務所への“見えない忖度”という芸能界の空気感なのだろう。とはいえ、出演中のテレビCMはコメディ要素が多く、シリアスな面は映画に期待するしかない。
その点、映画における出演ブッキングは比較的、狙い通り作品を選べているように見える。
香取慎吾は白石和彌監督の「凪待ち」(2019)、稲垣吾郎は阪本順治監督の「半世界」(2019)とそれぞれ名監督のオリジナル作品に主演し、想定以上の演技の幅を見せている。さらに稲垣吾郎は2020年11月公開で二階堂ふみと共演で、手塚治虫原作「ばるぼら」の実写版が控えている。
さて。草彅剛はどうした? 元SMAPで最多の映画出演数(キムタクの約2倍)で、味のある主演作品も多い草彅剛。満を持しての本命登場である。
本作はあえて俗な呼称でいえば、“オカマおじさん”役。どうしても、かつての「SMAP×SMAP」のコントや、最近の“スカルプD”のハゲづらCMなど、ギャグ路線を彷彿とさせるが、いたってマジメ。最初は笑いそうになるがグイグイと引き込まれる。
トランスジェンダーである主人公(草彅剛)が、ひょんなことから児童虐待を受けた少女を引き取り、オトコお母さんと娘の擬似愛に展開していく。内田英治監督オリジナル脚本で、これも先の稲垣吾郎と香取慎吾同様、“新しい地図”3人ともオリジナルストーリーに挑戦している格好だ。
トランスジェンダーであることを実家や親族には隠したまま上京し、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、凪沙(なぎさ)。
ある日実家からの電話で、親類の娘である、一果(いちか)を一時的に預かることになる。一果は母親の育児放棄と虐待で保護されていた。渋々ながらも凪沙は、養育費目当てで引き受ける。上京してきた一果を、女装の格好のまま迎える凪沙。
最初は距離をおく二人だったが、凪沙は独りでの社会からの孤独と似た感覚を、育児放棄され愛情を求める一果に感じ始め、徐々にひかれ合っていく。やがてバレエダンサーに憧れる一果の夢を叶えようと、転職まで考え始める。
大筋はなんとなく分かるといった感じなのだが、設定がかなり大ざっぱで、大胆に展開されていくので、エンディングの意味も含め、あらかた観客の想像力に任されている。
そもそも親類とはいえ、東京の独身男性の家に、10代の少女を預けないだろう。設定に無理がある。ニューハーフの生活、性転換手術の実態やリスクなどの情報が足りない。児童虐待の経緯やその実母の言動(セリフ)などももっと丁寧に描写してほしいし、脚本が強引すぎる。
それでもそれらを跳ねのけるくらい説得力のある草彅剛のトランスジェンダーの実在感。
孤独な男性が、やはり愛情に薄い子供の純粋無垢さに惹かれるといった構図は、ふと「レオン」(1994)が頭をよぎったが、かたや“暗殺者”、こっちは“ニューハーフのバレエショー”である(笑)。笑いから涙への落差もいいかんじ。
バレエレッスンのシーンが美しい、少女・一果役には、オーディションで選ばれた新人の服部樹咲が演じている。これも意外と見どころ。
(2020/9/27/TOHOシネマズ日比谷 Screen8/ビスタ)
苦しい・・・でもまた観たくなる
一度観てこれは辛くてもう観れないと思ったが時間が経つとまた観たくなる不思議な映画だった。
社会の片隅で置き去りにされたような二人がいつしか心を開き親と子のような絆を育んでいく。
胸が苦しくなるような展開もあるが、決してかわいそうな人たちの映画ではない。多くの女性が母として命を繋いできたように凪沙も一果の才能を育てることで命を繋いだ。ラストの一果が踊るシーンは力強く美しい。彼女はこの先どんな困難も乗り越えるだろう。それは何があっても強く生きていくという事を私達に見せてくれる。トランスジェンダーの問題作として取りざたされる事が多いが、この作品は人が人として生きることをテーマにした作品だと思う。
誰のための映画か?
過剰セリフ、過剰演出、過剰音楽…。
凪沙の「よしよし」×3「…綺麗」×3など、一回言えばいいことを何回も言わせたり、バレエの先生の「…変な子」、ラストの「見てて…」など観客に想像させれば良いところを独り言として喋らせる。
三者面談での先生の対応、警察官の機械的な仕事ぶり、就活での、あまりにも失礼な面接官の態度など、ザ ・ステレオタイプすぎる描き方には違和感を感じざるを得ない。
そして要所要所で、さぁ、泣いてください、とばかりにかかる音楽。呆れるほど説明的。
役者とプロットは、いいだけにもったいない。草なぎ剛の役作りと、新人・服部樹咲の佇まい、思春期特有のおでこニキビ 、バレエには目を見張るものがあった。
この映画を観て1番強く感じたのは、現実のセクシャルマイノリティの人達に対して失礼だということ。LGBTを人生の底辺みたいに描くべきではない。始終、社会の日陰者として描き、何をしても上手くいかず、親戚にすら罵られ、挙げ句の果てに股間を血だらけにして死んでしまう。あれじゃ凪沙さんは浮かばれないよ。
弱いものを慰み者にしたお涙頂戴番組のように趣味が悪い。この映画を見てセクシャルマイノリティの人たちがどう感じるか?
マジョリティの側から作った映画にしか感じないから胸糞悪い。過剰な演出やセリフは、マジョリティを感動させるためだけのもので、LGBTへの理解や共感は感じられない。
この映画を観てただただ感動してるようじゃ、果たして本気で彼らに寄り添えてるのか疑わしい。
主人公はいいけど…
好きじゃなかった…。
なんでだろうか、主人公の女の子は良かったし…理由を考えてみた。
まず、この映画を知ったのがネットニュースで草なぎ剛の写真があってLGBTを描いて海外から上映を希望する声が高いと書いてあったこと。このニュース記事から入ったので、期待度が高くなってしまったのではと思う。
悲惨さや悲壮感を出したかったのだろうけど、手術場面やオムツのくだりの生々しさは必要だとは思わなかった。
何をテーマに描いたのだろうか?
映画を思い出しながら考えてみて、バレエという、人生に夢中になれるものを手に入れるきっかけを作ってくれた友達も実はLGBTだった、そしてその子の突然の自殺。草なぎ剛が演じるLGBTの"お母さん"役の元同僚が風俗の仕事につくこと数日過ぎて警察沙汰を起こして「なんで私たちばっかりこんな目に遭わなきゃいけないの」という事を言っていた。"お母さん"の仕事の面接でのオヤジ課長の無意識な差別的同情の言葉、悲惨な最期。オカマバーの同僚が「普通の女よりお金のかかる身体」と嘆いていたり、映画の随所にLGBTに対する生きにくさが散りばめられていた。やはりテーマはLGBTなのだと思う。
これって、逆に差別にならないの?!なんだかふに落ちない。ネグレクトを受けていた女の子との心の通い合いをテーマにしたいだけでこんなに"LGBTの人はは辛い"というのを出しては来ないだろう。この作品を描きながら酔ってる感じがした。
エンドロールで主人公の女の子の名前の横に(新人)と付けてるところもなんだか…何が言いたいの?!と思ってしまった。
長すぎる間も日本映画で多用しすぎるんじゃないかな…。
…と、文句ばっかりな感想になってしまった。それだけ私は期待高く観てしまったんだろうな。でもちょっと好きなのはもう会えない人を想いながら、一緒に公園で踊ったシーンを思い出すところ。
お母さん、って凪沙さんの事ですね
うちらみたいなのは強くならんといけん!
というセリフから
どんどん前向きになるイチカちゃん。
イチカを迎えに行った捨身の凪沙さんが
真っ先に腕を見て噛んだ跡を確認するところで
イチカの精神状態を確認するところは
母親そのもの。
ラストのお母さん見てて
は凪沙さんへ、私強く生きるよ!という
マッサージで泣けました。
愛と性と命。
この映画を観た一番初めの感想は、自分らしく生きるというのはとても難しく、そしてとても美しいということ。
凪沙もいちかもりんも、様々なしがらみによって本当の自分を出せていなかった。
そんな似たようで全く違う環境の人たちがつながり、それぞれの自分を出していく。そんな映画だと私は思いました。
一番衝撃的だったのはやはり、りんちゃんの自殺シーン。
舞台が屋上だった時点で薄々勘づいてはいましたが、それでも息を飲んでしまうほどの迫力でした。
いちかとりん、お互いが全く違う場所で同じ曲を踊っていくところは何とも幻想的で美しいものでした。りんも笑顔で自由に踊っていて、飛び降りる時も死への恐怖なんか感じさせないぐらい軽やかで。一瞬、一昔前の映画「自殺サークル」に少し似ている部分があるなと感じました。
親に無理やりやらされていただけだったかもしれないバレエは、りんちゃんにとって大好きなもので、かけがいのないもので、いちかと繋いでくれたとても大切なものなんだとわかりました。
次に印象的だったのは凪沙さんといちかの海辺でのシーン。
砂浜で踊るいちかを見る凪沙さんの目は、間違いなく母親そのものでした。
性転換をしても本当の母親にはなれない。それでも凪沙さんはいちかの第二の母親であるんだということがひしひしと伝わってきました。
いちかの本当のお母さんも、ちゃんと母親の顔になっていて、いちかちゃんも明るくなって。
理想的、とまでは行かなくともそこにはちゃんと親子の絆がありました。
少し残念だと思ったのは所々が省略されていること。
時間的に仕方のないことだとはわかっているのですが、それでもいきなり何か月、何年も時間が飛ぶということに違和感を感じました。
そして、省略されてしまったであろう、ショートストーリーを見たいとも思いました。
例えば、りんちゃんがグレるまで、そして自殺するまでの心境や両親との関係、いちかのお母さんがいちかと離れている間の様子や、いちかに再びバレエをさせて凪沙さんに会いに行くことを許可したまでの心境、最後凪沙さんが息絶えた後に海に入っていったいちかちゃんが外国に行くまでのストーリーなど。
細かいところまでやっていったらあと二時間ほどは作れるんじゃないかと思えるぐらい、深い物語でした。
すんばらしいっ‼️
草彅剛さんが、いつかこういうキャラクターを演じているところをみたいと、長年思い続けていたのですが、念願叶いました。ありがとう剛さん‼️
期待以上、やはり草彅剛はやってくれました。
トランスジェンダーの凪沙を演じる事は、間違いなくアイドルを生業としてきた彼にとっては大きなチャレンジだったと思うし、世の中のセクシャルマイノリティへの偏見、差別、歪んだ見方をする人々へ、大きな衝撃を与えたと思う。
凪沙から、健二へと一瞬戻るシーンはとても生々しく、自分の本当の姿を押し殺しながら生きる毎日とはどんなものかと、短いけれどこちらにズンときた。
一果(服部樹咲)のために、男性として就職を決めたところは、切なくて暖かくて。もはや、人間見た目なんてどうでもいいと思える。ってかそもそも、人間の見た目などどうにでもなるのだから、周りがヤーヤーいうことではおまへんな。
でも、片や、その見た目によって生まれてからずっと苦しんでいる人もいるのだと思うとそんな事も軽々しく言うてられへんし。。。
世の中の人みんなが、自分が満足する形で生まれてこれたらええのにーって心底思うけど、そればっかりは神様しか分からんから。(急に神様でてきたw)
凪沙が本作の中で笑う事はほとんどない。
ショーパブでお仕事してる時と、あとは、バレエの先生に"お母さん"と呼ばれた時。(他にもあるかもやけど、特に印象に残ったので)
凪沙が今まで経験したかったけれど、どう頑張っても叶わなかったことが、偏見のない先生からポロってでちゃった言葉があんなにも人を笑顔にするなんて。
草彅くんの役者としての演技は個人的には怒るシーンが大好きなのだけれど、今回は泣きのシーンが多くて、もちろんその場面もすごかった。
凪沙そのものになりきってしまっていて、本当にすごい役者さん。大好き。
服部樹咲ちゃんは、これが初出演の映画であり、初の演技だったそうですが、とても良かった。
新人賞間違いなくとるね今年のアカデミー。
バレエ歴がしっかりある彼女だからこそできた演技であり、初演技だったからこそ醸し出せた、凪沙とのぎこちない空気感。最後のバレエシーンは圧巻。
素晴らしい演技だけでわなく、ピアノだけでながれるBGMがまた美しくて。もう内田監督のセンスがめちゃくちゃ好きです。最高。
生きている世の中には決して美しいものばかりではないけれど、こんなにも美しいものが存在するのかと感動しました。
また、トランスジェンダーについても、知識をより増やすことが出来てよかった。年齢制限がついていないと言うことを考えると、これは幅広い世代から支持されて欲しいなと思う。きっとこの作品から何か得られると思うから。
今年のアカデミー賞が楽しみ。
ただ、もうアカデミー賞も男優、女優とかいう垣根をやめて、最優秀俳優賞として性別わざわざいらんから、1つにしちゃって欲しいなと思った。
素晴らしい賞にまでそんなどっちでもいいこと言うなんて野暮やわ。イケテナイワ。
これはDVD買って保存します。
孤独な魂の共鳴
(言いたいことは色々あるが)一言にまとめると、「この作品がたまらなく好き」。ラストの台詞「見てて」に集約された一果の思い。さまざまな出来事を抱きしめ、それでも真っ直ぐに自分の人生を駆け上がっていくんだという迷いのない覚悟。地獄、屈辱、怒り、希望、挫折、離別、そして愛。彼女の人生の軌跡と、未来への展望をたった一言で表現し切ったシーンに、鳥肌が立った。
まず何より、一果役の服部樹咲さんが素晴らしかった。『誰も知らない』の柳楽優弥さんを見た時のような衝撃。ネグレクトされている時の目、嘲笑やセクハラにあい怒りのスイッチが入った瞬間の表情、そしてバレエを踊っている時のキラキラした全身の動き。無口な彼女だが、その伸びやかなダンスこそ、底なし沼の現実を突き破り、千の巧言を超える「希望」の象徴なのだ。運命を恨み、社会に絶望し、自己憐憫にかかりきりだった凪沙。それが一果のダンスに「光」を見いだし、初めて他者のために自分を捧げようと思った。孤独な魂を持つ凪沙にとって、同じ境遇の一果に差し込む一条の光は誰よりも眩く感じられたに違いない。
草彅剛さんの演技については、すでに多くの方が解説されていると思うので、ここでは一つだけ。一番好きだったのは、凪沙が広島に一果を迎えにきたシーン。あれだけ家族にひた隠しにしてきた「秘密」=「トランスジェンダー」のまま実家にやってきた凪沙。彼女はこの機にカミングアウトしたかったのか? そうではあるまい。彼女は、家族にバレることも、批判されることも、そして罵られ唾を吐きかけられることも、きっとすべて分かっていた。けど、そんなことはもうどうでも良かったのだろう。ただただ、一果に自分の愛を伝えたかった。そして、その愛が受け入れられない可能性すら、凪沙は最初から分かっていただろう。それでも、今まで一番大切だった自分のことなんてどうでもよくなるほど、すでに凪沙にとって一果はかけがえのない存在になっていた。だから、独りぼっちで実家を去ることも、ちっとも恥ずかしくなんてない。なぜなら、他の人になんと思われようと「母」の愛が変わるはずがないのだから。今までエゴのみで生きてきた凪沙が己を手放し、真の意味で一果の「母」になった瞬間が、あのとぼとぼ歩く帰り道のシーンだったと思う。
上野鈴華さん演じる友人「りん」も、とても良かった。なぜ裕福で何不自由ないりんが、独りぼっちの変人・一果に接近したのか。それは孤独な魂が同じ臭いを嗅ぎつけ、惹かれ合ったからに違いない。アル中の親に振り回される一果、親の「クローン」として期待を押しつけられるりん。貧富の違いはあっても、「一人の人間」として両親に関心を払われない二人は、「ネグレクト」というコインの裏表なのだ。ともに共鳴し合う孤独な魂は、バレエを通して一方は「生」に向かい、もう一方は「死」へとドライブする。何かのちょっとした原因で、彼女らが入れ替わって逆の結果になっていてもおかしくなかった。人間の生死の分かれ目なんて、じつはほんのわずかの差でしかない。
最後に、水川あさみさんの演技がひときわ素晴らしかったことも書き添えておく。冒頭の登場シーンでは、正直まったく彼女とは分からなかったほどの熱演。私の中で、もっと色んな役柄を見てみたいと思う俳優さんの一人になった。
脚本が残念
役者の演技がものすごく良いのに脚本が残念。
特に後半。
安直な感動に収めちゃってる感じ。テーマにそぐわないベタな結末。
変にベタなことしてるから人物像がぼやけちゃったよな。
イチカとリンちゃんは最後までちゃんと友情をはぐくんで欲しかったなー。
イチカは本当に天才である必要はなかったんじゃないかな。
もう一歩、脚本が踏み込んでれば国際的に評価される良い作品になったと思う。それだけに残念感が増す。
辛くて悲しく切ない ネタバレ
性と肉体の相違は人として、かなり辛い事の一つだと思う。この映画を見て改め感じた。私はNHの人と最近知り合い、とても素敵な人だし、人間的にも魅力を感じる。嫌悪感など微塵もないし好意すら持っている。凪沙さんが一果の家で言われた化け物という言葉には、とてつもない悲しみを感じた。
映画としては、役者の熱演は素晴らしい。草彅くんはじめこの映画は、役者で持っていると思う。ストーリーや話の流れには不満が残る。原作を読んでないけど、詰め込みすぎなのか、それぞれのエピソードのツメが甘いと思った。ラスト、凪沙を死なす必要はあったのか?
それまでのストーリーで充分凪沙の苦しみを描いており、更に死なせてしまった事が、腑に落ちない。
HNの方々の苦しみが、現実的な描写なのかよくわからないが、この映画で何を伝えたかったのか、もう少し絞っても良かったと思う。
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