「LGBTだけではない。何で私だけ。」ミッドナイトスワン なまむさんの映画レビュー(感想・評価)
LGBTだけではない。何で私だけ。
何で私だけ。
凄い刺さる言葉でした。
私はストレートだけど、「なんで女性で産まれたのだろう、なんでこんな世界で生きてかなきゃいけないのだろう」
と幼少期からずっと思って生きてきました。
DVが主な原因だと思うけど。
LGBTにしかわからない気持ちももちろんあると思うけど
私はあの時の凪の涙を流してたらまた良くなるからという孤独の苦しさを自分と置き換えてしまった。
また、オムツのシーンはかなり苦しかった。
絶望した渚の苦しさを、あの部屋が表現していた。
私の自傷行為をして片づけもできない、血まみれの部屋とも被った。
凪は死を考えたに違いない。
そう感じたシーン。
魚はもういないのに、餌をあげるシーンはかなしくもなり
凪の私だけ美味しもの食べて との気持ちが
彼女の優しさも感じた。
一果もかなりきつかっただろう。
噛むしかない表現。
凪の愛を受け入れたのは救いだった。
私はLGBTというよりは
凪という人間に惹かれた。
彼女は一果と離れて、何を感じで生きてたのだろう
念願の女性にもなったはずなのに
それ以上の絶望を1人で抱えて生きてたのか
泣いたらおさまると泣いて生きていたのか
女性で産まれてたなら、こんなことにはならなかったのか?
国が保障してくれてたら、凪は苦しまなかったのか?
根本的な問題はそこなのか。
ただ、彼女の横に寄り添いたい。
そんな気持ちになった。
凪に笑って生きてほしいと願った。
LGBTの問題だけではなくて
私は一人一人、人間としての苦しみとして受け止めた映画でした。
後、こんなの作り物感があると書かれる方もいるけど
本当にこんな辛い人生はあると思う。
私は少なくともこんな人生に近い絶望を歩んだ。
御涙頂戴として作られた作品とかいう人たちは幸せな人生を歩んだんだろうなって羨ましくも思う。
名作と呼ばれる小説や映画には、精神的に厳しい描写が描かれることが多々ありますが、その中でも本作のおむつのシーンは極めて胸に痛みを感じるシーンと言えるでしょう。
私は性的にはマジョリティながら、若いころにメンタルを患った関係で偏見と言わざるを得ない暴言を浴びせられる経験もそれなりにしてきたと感じています。
しかしながら、LGBTQの方々が感じている周囲からの偏見に満ちた目線は、そんな私の経験にもない、「控えめに言って苛烈」なものであろうことは想像に難くありません。
そんな方々にとっても、すべての人にとっても懐が深く、差別を感じずに幸せになれる社会の到来というある種の夢を実現させるために、私のような一個人に出来ることはおそらくただ一つです。
「己の共感力を高めること」だと考えています。
人は、自らが多様な物事を受け止めて向上する気持ちさえ持っていれば、さまざまに遭遇する日々の出来事を経験値にすることが出来ます。
その経験値は、最終的には「共感力」や「優しさ」につながるものでなくては私は本物とは言えない気がしているのです。
あなたも性的にマイノリティの立場におかれていると、文中の表現から拝察いたしますが、私はあなたのような人たちの応援団でいたい、理解者になりたいと思い、その気持ちを大切にして日々の経験を優しさへと昇華させられるよう精進したいと思います。
心のこもった感想、ありがとうございました。