すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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泣ける映画でした。
最後の最後に主人公の三上がキレなくて良かった。キレて終わっていたら、何処かで観たことあるようなありきたりな話になっていました。最後は奥さんと娘に逢わせてあげたかったです。
大きな夜空に光る希望でもあり孤独でもある一番星
2021年劇場鑑賞4本目 名作 95点
熱くレビューしたのにも関わらず見返したら何故か消えていたので、また別の角度から再レビュー
当方2021年劇場鑑賞を60本ほどした上で年間3位の本作は間違いなく大傑作で、嘘偽りなく鑑賞後席から立てなかった数少ない作品でもあります。
ですが同時期かつ同ジャンルのヤクザと家族がわたくしの年間1位で2位にミニシアター系映画の由宇子の天秤になっており、あえて1位と優越をつけるとしたら、ヤクザと家族はmvまでのストリーや週刊ヤクザと家族という役者と製作陣の舞台裏を観れるコンテンツがあったので上映時間2時間以上に濃い愛が生まれてしまったのが大きくあります。
逆に言うと映画単体で観るとこちらに軍配が上がるのも頷けるし、より丁寧に繊細に箔がある作品はすばらしき世界だと思います。
不器用に生きる彼が手先や久々の自転車を軽々乗る器用さの対比、恵まれた周りの人への向き合い方や周りからの向き合われ方の変化の対比、世界が許してくれない部分と己が許せない部分の対比、など繊細に丁寧に残酷に描いていました
己を許し就職が決まり歩道橋で一番星を写したシーンは秀逸で見事でした
是非
それ相応の人生
山田洋次監督が描けなかった…
全くだめな映画じゃないと思う。
これ大前提。
ただ、予告などでも言われる現代社会へのメッセージと捉えるのは如何なものかと。
本作の主人公は人を殺めたことへの反省、謝罪、後悔は一切無い。出所後の様々な困難も、言ってみれば自業自得。反社の人間に補償は出ない。出たら納税者が黙ってない。また免許失効も本人次第(確認はしてないけど、何らかの方策あったのでは)。
さらに言えば、反社組織との間をふらふらする有様。その組織と手を切ったのだってたまたま。
だから、あまりこの主人公に共感できない。
正直鑑賞後はしばらくモヤモヤしてた。
スクリーンで見る限り、とても魅力的な主人公(もちろん役所広司の力)。ただ実際周りにいたら迷惑極まりない人物。
そんな主人公に手を焼きながらも見捨てられない優しい人達。
ふと気づいたのは、それって日本人なら多くの人が好きな「男はつらいよ」の車寅次郎ととらやの面々じゃないか!と。
寅さんは本作同様、何処か安い民宿の畳の上であんなふうに…亡くなったんだろうな、などと思いを巡らせてしまう。
山田洋次監督が描けなかった「男はつらいよ」の最終回。
それが私の結論。
誰の人生にも、どこか当てはまる
ミカミに関わる人々が皆あたたかい。登場する女性たちが全員人間として...
ミカミに関わる人々が皆あたたかい。登場する女性たちが全員人間としてブレていない。極道の妻やソープ嬢も優しい。観る前に自分が思ってたのとはだいぶ違い感動作だった。息をするのも苦しいみたいのがくると想像していた。ラスト以外はそんなに悲しさもない。
最初の出会いこそ、やり取りキツめなんだけど先入観で差別してくる人や就業妨害はない。市役所の人も凄い親身になって考えてくれるし、タイトルどおりの世界。世間とのズレがあるコメディ的なのもあるのかと思ってたが「稼げる男性急募」のポスターで電話しちゃうとこくらいしかなかった。社会派的な部分はあるにはあるけれどそこを強調してるわけでもなく、純粋なヒューマンドラマというかんじ。
梶芽衣子の「カッとなったらアタシたちを思い出してね」が、後の「似てますねヘヘッ」につながるんだけど、この場面はやるせない。
応援して支えてくれる人の為に今までの生き方はもう出来ない。殴るのはそもそもダメだが。
差別や虐めが蔓延ってる世界でも生き続けなければ。そこに留まる為には耐えるしかない。
花を受け取ったときにみせた表情が、見て見ぬフリをしてしまった自責の念、何もしてやれない悔しさが入り混じっていて辛かった。
ヤクザはヤクザ
綺麗なやくざ
素晴らしいストーリーで、主演の方の熱演にも感動してしまった。
しかし、実際にやくざとの距離が近い人はこの映画を見てどう思うだろう。
やくざを扱ったフィクション作品で一番リアリティがあるのは闇金ウシジマくんだとわたしは思う。
映画を真に受けて付き合わない方がいい。
気になったのが作家の男。いつの間に主人公に対して泣くほどの好意をもったのだろう。とってつけたような泣きのシーンでさめた。
音楽が全体的にいまいちだった。ラストシーンでタイトルの字幕がでるパターンはもうお腹いっぱいなので、いい加減にやめてほしい。
タイトル詐欺
三上の家庭環境が悪かった事が容易に身を落とす原因なのはわかる。
なのに母への想いが残るのはわからない。
少年だった三上は施設に預けられたまま、捨てられた状態となり施設を出奔しアングラな世界に入り込んだ。
ヤクザ渡世が染み込んで社会では通用しない感覚が身に付いたまま、そして妻が出来た事をきっかけに堅気になろうとした矢先、絡んできた相手を殺してしまった。
殺人は重い。
作中に何度も問われる。
「後悔しているか?」「相手に対してどう思っているか?」など。
三上はあまり反省していないし、「あっちが悪いんだよ」と必要以上の反撃で相手を殺害した事に頓着がない様子だった。
そんな三上が刑期を終えて出所…身元引き受け人や更正を手助けする人々に囲まれて変わっていくかと思いきや、社会の差別は本当に厳しい。
銀行の通帳は作れない、反社会的勢力に属した事があると生活保護すら受けにくくなる。
刺青も問題だ。
三上の周りには普通に社会に適応している人が大勢出てくる。
皆、当たり前に我慢するべき事を我慢出来る人々だ。
ちゃんとルールを守って生きている。
三上はどうだろうか?良いか悪いか別にして一本気で所謂スルー力なんて全く持ち合わせない。
そんな人がルールを守れる人達の助言を受け入れるまで、紆余曲折を経る…実話と言う事だがやはりこんな風に扱われるのも仕方ないと思ってしまう。
TV局がらみでライターとプロデューサーが出てくるが、ドキュメンタリーで撮った方伝わると思うけど…それじゃあ売れないんだよなぁ。
物語として纏まっているが大きな変化はなく淡々と進む為、心が揺れ動かされる作品ではない。
より優れた人間がより優れた社会を構築しその為のルールを作り、新しい社会の常識を作り、その他大勢がそれを守っていく。
ルールから外れるとつま弾きされ生きづらくなる。
ルールに耐えながら生きてる人間からすれば、ルールを破る人間は「ズルい」「私たちは我慢してるのに…」となる。
しかし、そのルールを作り出した人が自分を有利にするルールを作っているような気がするのだ。勿論そんなルールを作れると言うことは圧倒的なちからを持っていることに他ならない。
話は逸れたがそんな社会で使えない人間の行き先はアングラしかない。
一昔前ならそれなりにアングラ社会にもアングラなりの不文律があり、濁りのなかでそれなりの秩序があった。
だが今はグローバリズムで作られた“当たり前、スタンダード”が「えっそれが世界の常識なの?」と驚かれながら受け入れられる社会となり、濁りにも弾かれてくる人間が増え、支えるのにちからも金も要るようになり反社会的勢力にもグローバルスタンダードの波と暴対法。
弾き出されたつま弾き者の受け入れ先であった総称ヤクザと呼ばれる居場所を掃除しまくった結果、世の中には別種の害悪が多数出現し平和も失われつつある。ヤクザを褒めるつもりはないが、散々つま弾きにされる三上が電話した元ヤクザ(白竜)と話していると“やっと話が出来る”ホッとした表情を見せる。
誰かに従って生きても、やせ我慢とストレスの嵐。
逆らっても疎外され生きづらい生活を強いられる。
歴史上、色々な為政者が居たが今の時代が本当に「すばらしい世界」と思っている人は少ないのではないか?
三上のラストは切ない。
生まれついた環境や能力で愚かにしか生きられない人間は罪なのか? 愚...
泣く男
What a wonderful world ですよね
生きづらい世の中、不寛容で排他的な社会。
でも、ここに登場する人物たちは全員、他者を思いやる、適度に。
たとえば、生活保護窓口の井口。三上が書類を指し示しながら「不満がある場合は、知事に申し出ることができる」云々と迫ると、「まだ、上司にも報告していないのに、そんなことされたら、僕の立場はどうなるんですか」とやり返す。本当に困っている三上を救うより、自分を優先させる井口だけれど、三上に関わり続けやがて介護助手の仕事を紹介する。
三上に関わる人物は、全員が適度なのだ。適度に、他者を無視し、時には逃げ出し、でも、適度に他者を支える。そうした中、イノセントで過度な三上も、適度を学んで社会に適応していく。
やさしそうな振りをしながら、実際には、制度や空気で拒絶するクソみたいな日本。でもその中に、すばらしき世界は、確かにあるのだ。西川監督は、そこに光を見出そうとしている、ように思える。
繊細な表現にやどる説得力、西川監督の力量に感服、です。
社会の生きづらさと少しの温かさを描いた
タイトルなし(ネタバレ)
実話をもとにしている割には点数低め
人生やり直しこれからというときに死んでしまうという話だが、うーん、話としては想像できてしまった。
弱ってる人は観ないでほしい。
弱ってない人は観てこの矛盾を考えてほしい。ほんとに胸に詰まる作品です。社会に馴染んで勝ち誇って生きてる人は本当に真っ当な人だろうか?
私たちが平和に暮らしてる日常のすぐそばで、街中に野良犬がいないのは捕まえて殺処分してるから。という現実がある。このご都合主義の気持ち悪い世界の中で、それでも助けられて生きてて、助けてくれる人がいることに気づけるのは良い作品。
役者陣全員とても素晴らしかった。そしてこの監督さんの作品の中ではとてもまとまりがあって良かったと思います。さすが実話ですね。ブレてないし尻きれてなくて不快感がなかったです。
ただ、映画はスクリーンで観るのであってテレビドラマではないのだから、もう少し音楽であったりに工夫が欲しかった。社会の仕組みに物申せるのは素晴らしいですが、芸術文化エンターテイメントとしての映画という点を考えると星3つ半かな。
今年の最高傑作ではないでしょうか
前評判が高かったこの映画を先日、ようやくAmazon Prime Videoで観て以降、毎日、映画の各場面の映像が頭から離れません。主演の役所広司さんをはじめとして見事な演技をみせる俳優陣もさることながら、この映画に込められた深いメッセージに心を揺さぶられる思いです。愛情に飢えたまま若いころから暴力に頼って生き、その結果、長い刑務所暮らしを経て出所してきた主人公にとって、この世の中は最初とても生きづらい。巷に垣間見る悪や不条理に対してキレてしまい、刑務所のほうが生きやすかったとも思ってしまう。しかし、次第に彼の周りには彼の人生を理解し、罪を再び起こさないよう励まし続け、再生を助ける人々が増えていく。この世界はたとえ不条理な出来事や孤独が襲っても決して絶望する必要はない、生きていれば生きていてよかったと思えることも必ずある、普段他人と思える人が実はつながっていて、互いに支えあいながら生きている、この世界はすばらしい世界で人生捨てたもんじゃない、ということが映画に込められたメッセージではないかと思いました。今後、長い間、日本人の記憶に残る名作ではないかと個人的には思います。
誰かの大切な人
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