ドロステのはてで僕らのレビュー・感想・評価
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着想も物語も面白いけど、撮影の仕方にまず驚いてしまう一作
2分間のタイムループに巻き込まれた人々を描いた『リバー、流れないでよ』(2023)の前身的な作品です。
二つのモニターを介して、2分先の自分たちと接触できるようになる、このシンプルな設定を、カフェとマンションという限定的な舞台を使って、非常にスリリングな物語に仕上げています。予算は比べ物にならなくても、アイデアと面白さは決してクリストファー・ノーランに負けてないよ!と強く言いたくなります。
約70分間の物語を全編ワンショット撮影風に描いていて、ところどころ話術で笑わせてくれるものの、映像的には緊張感がすごい。途中でものすごーくわざとらしくフォーカスをずらしたり、黒味を入れるところも、「あくまで「ワンショット撮影”風”」ですからね!」と言ってるようで洒落っ気が効いています。ここは『1917』(2020)のロジャー・ディーキンスの撮影術にも負けてないし、『ボイリング・ポイント』(2021)よりもワンショット表現に必然性があるよ!と言いたいところ(少々大げさ)。電源コードの異様な長さも一種のギャグ表現として笑えます。
ものすごく面白い映画なんだけど、公開が新型コロナウイルスの感染拡大期と完全に重なってしまい、当時なかなか話題になりにくかった点は残念。しかしその経験を踏まえて3年後に、同じ「時間操作もの」としてより物語を練りこんだ、『リバー、流れないでよ』を作り上げたんだから、まさに「時間を味方につけた」作り手たちなんだなぁ、と改めて感心させられます。
ワンショット風の撮影もすごいけど、2分先、または2分過去のモニター映像をどうやって撮影したのか、その緻密な計算と撮影の手間を考えると、頭がくらくらするほど。そうした撮影の様子はエンドクレジットで一部観ることができるので、最後まで必見です。
この作品で初めて、合わせ鏡をしたときに奥にずらっと同じものが見える現象を「ドロステ効果」と呼ぶことを学びました!
ヨーロッパ企画の超一級品、時間の魔法に酔いしれる
パリの街並みに鮮やかな世界を描くような洋画より、日本の何処かの片隅で小さくて大きな事件が起きる、こんな映画がやっぱり好き。京都と時間、上田誠氏の真骨頂と爽やかなスパイス。それが何とも快い。
5月に観た作品のレビューも溜める程に忙しくなった、社会人2ヶ月目。少し風邪を拗らせながら、本日初めて1つ結果を出せた。そんな日にはステーキとビール、そして映画。自分を褒めよう。そんな高ぶった感情に細やかなハッピーをくれた。こんな夜は2分後でも知らなくていいけどね。
なんといっても、タイムパラレルとそれを作り出す緻密な世界観。それをヨーロッパ企画の面々で繰り広げてくれるのもまた良い。本多力さんを始めとしたテレビ露出の多い方から、舞台を畑とするキャストが普遍的でありながら可笑しい世界観を巧みに引き出している。それを裏付けるメイキングをエンドロールと共に流してくれるのも良い。
2分後の未来が知れること。それが良くも悪くも作用する。てんやわんやしつつ、冷静に乗り切ろうとする主人公の誠実さが機能。キャラクターのテンションもどこか舞台を感じさせ、作品のテンションを引き上げる。そして何より、どう転ぶか分からないからこそ見えてくるメッセージのしなやかさ、これがグッとくる。
個人的に、朝倉あきさんをお招きしたことで、藤子・F・不二雄氏の作品に通ずるザ・ヒロインの振る舞いを作品に纏わせることが出来たと感じる。ドラえもんのしずかちゃんであり、巻き込まれただけのヒロインでもある。でもそれが良く映るのだから、作品の造詣がまた髄まで行き渡っていることを感じさせる。
ずーっと観ようと温めていたが、サクッと観れてグッと引き込まれる。それでいて軽やかにメッセージを突き刺してくる。本当に面白い作品とは、実は、単純だけど深いモノなのかもしれない。
タイムループ作品の最高峰!
起きてる出来事に対して中身がみみっちいのが良さ
スマートフォンによる全編ワンカット作品で、そこが見所の一つといえるだろうが、ここ数年はカメラの小型化(スマートフォンでもクオリティの高い映像が撮れるようになった)によりさほど珍しいものでもなくなってしまった。
ただ、ワンカットだからこそ浮かび上がる笑いというのはあったかなと思う。なので、ワンカット自体が無駄だったとは思わない。
さて内容についてだ。突然訪れる2分のズレ。ここからドタバタしたコメディに突入していくのだが、自分がもしその状況に置かれたらそんなお気楽な感じにはならんだろうなと、まずツッコミたくなる。
しかし、そこが本作のキモなのだろう。普通はありえない状況からありえない反応をすることで生まれるドタバタ感とノリの軽さ。それが面白いのだ。
つまり、コイツらアホなのか?と感じてしまうことがすでに笑えるんだな。
ちょっと期待したほどの内容ではなかったけれど、この手のユルいコメディはそれはそれで価値がある。
野暮なツッコミは御法度よ!!
SF系コメディを得意とする劇団のヨーロッパ企画が、舞台を銀幕に変換したインディペンデント映画の第一弾です。
舞台の映画化作品としては、「サマータイムマシーンブルース」や、「曲がれスプーン!」などのメジャー作品もありますが、やはり劇団自身が制作した作品の方が、ダイレクトに持ち味を堪能出来ると思います。
ただ、「TVに挿さっている同軸ケーブルはどこまで延びるんや!」とか、「絶対あのまま893が黙ってないやろ!」とかのツッコミ所はありましたが、それはそれとして飲み込みさえすれば、最後はパズルのピースがピタッとハマる様な解決感を愉しめました。
元々が舞台ということもあり、その辺りは特有のお約束事で成立しているので、野暮なツッコミは頭から抜いて、純粋に楽しめば良いと思います。
長回しの多用による舞台感覚や空間認識も功を奏している良作だと思います。
もっと押して〜
「リバー流れないで」が良かったのでヨーロッパ企画の映画前作を見に製作もしている下北沢トリウッドへ。時間に纏わる話であるとは聞いていたので、始まったときはなるほどと感心。序盤の人が増えていく点や妙に明るいメンバーたちの構図はリバーと似ているかな。
ラストの対決に向けちょっとちょっと道具が手渡されて増えていきそれらが実際に使用されるあたりなど全体には面白くなってるとは思うけど、時間差について途中から曖昧になってしまった。時間ものであるからこそまだまだ脚本練れた気がする。
朝倉アキは可愛くて良し。
知りたくない
同じくヨーロッパ企画の「リバー、流れないでよ」が絶賛公開中であるため、本作も併せて鑑賞。ものすごいアイデアの数々が短い間に沢山詰め込まれていて、リバー以上に衝撃。有り得ないのに何故だかリアリティのある人間描写。わちゃわちゃだけど、しっかりとした着地点。しっかりと映画として成立させている、ヨーロッパ企画の底力に圧倒されました。
ヨーロッパ企画の面々が織り成す、ドタバタコメディ。もう、これだけで「リバー、流れないでよ」を見ているものにとってはホッと安心する。逆もあったんだろうね。他人の家に勝手に乗り込むとか、コード付きのテレビを無理やり引っ張ってくるとか、結構やってること凄いんだけど、それを納得させちゃう個性豊かな演者たち。馬鹿馬鹿しいのに面白いんだよね〜。
未来を予言させるアイテムのケチャップだったり、鏡のように連なるテレビの映像だとか、わざわざ買うのがそれ!?と盛りなしで1分に1回笑わせてくれる。こんな楽しい映画が見れるなんて!やっぱり時間を超越する映画は面白いな〜。今後ともドンドン良作タイムリープを作って欲しい、ヨーロッパ企画でした。
個人的には本作の方が好み。
短くて面白いって、最高だよね。未来警察の描写はもっと色々欲しかったけど、かなり満足でした。ワンシチュエーションでよくここまで出来るよね。Good!
まぁ、仕方ないか。日本の映画に未来は無いのだから。
タイムパラドックスだけど、あり得ない設定を安慰な脚本で映画にしてしまう。
反則でしょ。それぞれの時間は二分間のインターバルが必要だと思うが。
2分30秒掛かっている。何で出会わないのか?どうでも良いが。そもそも、発想が良く分からない。また、発想が貧困だ。
下北沢映画祭って言うから、どこの街と思ったら、206系統のバスが登場した。新二条って、京都の世界一混むバス路線じゃないか?
2分後の未来がめちゃくなのに、まだ映画は30分もある。あと15回同じセリフを聞く事になるんだ。あ~。
あと八分『スター・トレック』に怒られる。ノストラダムスって誰が知っている。『未来が嫌い』って『ジジイババア』じゃないんだんだから。
短くまとまってていいですね。
「カメラを止めるな!」に並ぶ傑作!
【”これは生配信ではありません。2分後の僕らです!”時間で遊ぶとロクな事はありません・・。良く考えたなあ、この設定。練られた脚本の勝利作であり、映画製作者の方々の熱意が伝わって来る作品でもある。】
ー 『サマータイムマシン・ブルース』の上田誠さんが脚本担当なのが、良く分かる作品。それにしても作品構成、良く考えたなあ。-
■2階の部屋と1階のカフェが2分の時差でつながっていることを知るカフェのオーナー、カトウ。
“タイムテレビ”の存在を知ったカフェの常連客たちは、先の未来を知ろうと躍起になって行くが、結果的に、暴力団にチンピラを含め、さまざまな人々を巻き込んで事態はややこしくなっていく。
そして、時間を弄んだとして、未来からタイムパトロールの人達がやってきて・・。
◆感想
・ほぼ同じ場所で、全編長回しで撮影されているため、最初は頭の中が混乱する。
・が、冷静になって観ていると、良く寝られた脚本である事が分かって来る。
・2分違いのカフェの人達を映し出す”タイムテレビ”の発想も面白い。
<「ドロステ」の意味を理解した上で鑑賞すると、今作は、より面白くなるかな。120分だとキツイ感じだが、70分だとサクッと見れて良いね。
”未来を知って、過去の自分達に有利な情報を得ようとしては駄目だよね!気持ちは分かるけれど。”とも思った作品であり、低予算だけれど、頑張って映画を作る製作者の方々の熱意が伝わって来た作品でもある。>
かしこすぎ系タイムトラベル
2分後の未来が映るというだけのテレビ。
一見ショボそうに感じるが、それが重なったり移動したりすることによって、テネット並みに難しい時系列が生まれる。
そういうことか!となったときの気持ちよさが半端じゃない。
舞台っぽい
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アパート内のワンシチュエーション、有名俳優なし、小道具はモニタ2台...
アパート内のワンシチュエーション、有名俳優なし、小道具はモニタ2台のみのほぼワンカット70分中編インディーズ作品は、意外な掘り出し物だった。2分差で未来が見えてしまうというワンアイデアから、次は何が起こるのかプチワクさせる緻密でコンパクトな脚本が秀逸。それほど突飛な展開にはならないが、冒頭の隣のお姉さんや途中で使われる小道具などの伏線も、ベタだがしっかり回収されている。舞台風の低予算作品で気になるのは劇団にありがちな大げさなセリフ回しだけど、演出で抑えたのかそれほど芝居がからず許容範囲。原作は京都の劇団「ヨーロッパ企画」の舞台で、映画化はクラファン。同じ劇団発の過去作品「サマータイムマシン・ブルース」(2005年)は暗くてつまらなかったけど、こちらは軽くておススメ。タイトルの「ドロステ効果」って用語は知らなかったけど、合わせ鏡で見られる再帰的な画像の呼び名らしい。オランダのドロステココアのパッケージ絵が由来とのこと。何気ない日常のひとコマから、あれよあれよとややこしくなり、楽しく見続けて最後は期待通りにさりげなくほっこりできる良作。
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