劇場公開日 2020年6月5日

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「アパート内のワンシチュエーション、有名俳優なし、小道具はモニタ2台...」ドロステのはてで僕ら かんりにんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5アパート内のワンシチュエーション、有名俳優なし、小道具はモニタ2台...

2022年7月23日
PCから投稿

アパート内のワンシチュエーション、有名俳優なし、小道具はモニタ2台のみのほぼワンカット70分中編インディーズ作品は、意外な掘り出し物だった。2分差で未来が見えてしまうというワンアイデアから、次は何が起こるのかプチワクさせる緻密でコンパクトな脚本が秀逸。それほど突飛な展開にはならないが、冒頭の隣のお姉さんや途中で使われる小道具などの伏線も、ベタだがしっかり回収されている。舞台風の低予算作品で気になるのは劇団にありがちな大げさなセリフ回しだけど、演出で抑えたのかそれほど芝居がからず許容範囲。原作は京都の劇団「ヨーロッパ企画」の舞台で、映画化はクラファン。同じ劇団発の過去作品「サマータイムマシン・ブルース」(2005年)は暗くてつまらなかったけど、こちらは軽くておススメ。タイトルの「ドロステ効果」って用語は知らなかったけど、合わせ鏡で見られる再帰的な画像の呼び名らしい。オランダのドロステココアのパッケージ絵が由来とのこと。何気ない日常のひとコマから、あれよあれよとややこしくなり、楽しく見続けて最後は期待通りにさりげなくほっこりできる良作。

かんりにん