シャドウプレイ 完全版

劇場公開日:

シャドウプレイ 完全版

解説

「スプリング・フィーバー」「天安門、恋人たち」のロウ・イエ監督が、天安門事件が起こった1989年を起点に、社会主義市場経済が押し進められ激変する中国の30年間と、香港・台湾との離れがたい関係を、ある家族の姿を通して描いたクライムサスペンス。

2013年、広州の再開発地区で立ち退き賠償をめぐって住民の暴動が起こり、開発責任者のタンが屋上から転落死する。事故か他殺か、捜査に乗り出した若手刑事のヤンは、捜査線上に浮かぶ不動産開発会社の社長ジャンの過去をたどる。その過程で、ジャンのビジネスパートナーだった台湾人アユンの失踪事件が見えてくる。転落死と失踪、2つの事件の根本は、ジャンと死亡したタン、タンの妻のリンが出会った1989年にあった。

刑事ヤンに中国の人気俳優ジン・ボーラン、野心家の不動産会社社長ジャンにロウ・イエ組常連のチン・ハオ、夫のタンを失ったリン役に「SHOCK WAVE ショック・ウェイブ 爆弾処理班」のソン・ジア。中国当局の検閲によりカットせざるを得なかったシーンを加えた129分の完全版には、香港の人気俳優エディソン・チャンの出演シーンも含まれる。日本では2019年・第20回東京フィルメックスのオープニングでカットされたバージョンが上映され、2022年に「完全版」で劇場公開。

2018年製作/129分/G/中国
原題または英題:風中有朶雨做的云 The Shadow Play
配給:アップリンク
劇場公開日:2023年1月20日

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(C)DREAM FACTORY, Travis Wei

映画レビュー

4.0歴史的出来事が分からなくても楽しめた

2024年8月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

エンドロールを観ると分かると思うが、歴史的な出来事を写した実際の写真を模したシーンが多く登場する作品だ。
歴史的といっても、もちろん中国の話である。つまり、分からない。
日本の感覚だと、ジュリアナで踊る人の写真とか、鉄球を付けたクレーンが写った浅間山荘事件の写真とか、そういったものだ。

エンドロールの前からなんとなく、歴史的な出来事をなぞっているんだろうなとは推測できるものの、わからんものは仕方ない。
そういった意味で、中国通でもない日本人が本当に楽しむためには少々ハードルの高い作品だった。

しかし、事件を追う刑事を主人公としたサスペンスで、複雑に見えるように仕組まれたミスリードもしっかりした、娯楽性の高い作品だったのではないかと思う。
もちろんミスリードというのは、見て、理解して、引っかからないと意味をなさない。なので、なんにも考えずに観るタイプの人には面白くないかもしれない。

あと気になった、というか、珍しいと感じたところがある。
中国映画なのに性的なシーンが多かったことだ。これは非常に珍しい。
まあもちろん何も見えないわけだが。

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つとみ

4.5中国の混沌と時代の迷宮に放り込まれる、待った甲斐があったスリリングな作品

2024年3月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

新生活に引越しもあり、2ヶ月近くも映画館から遠ざかっていた…。ようやく観れるとなったこの日、観たのは3年前から焦がれていてた作品。待った甲斐が有りましたよホント。凄い面白かった。

映画として感じる純粋な面白さはもちろん、中国の反映に差し込む光では到底分からない影をライト片手に絞っていく感覚がなんともそそる。愛であり、あるいは地獄であり、それを形容するには到底言葉が足りない。ただ、これもまた中国の一部がベースであり、事実の一片と受け取って良いはずだ。

この作品が突出しているのは、時代や背景が動く時、大きな音が鳴るような感覚がする所だ。7人の人生にはそれぞれモデルとなる事件が存在しており、その点を結ぶ関係はオリジナルとしている。勢いを感じさせる時代には華を、分断の中進む序盤の事件には不穏を、愛には不可侵な時を、それぞれ描いてゆく。ただ、それもまた時代が生んだ翻弄に近いのかもしれない。時を刻むようにニュースが入っているのが印象的だった。

主演はジンポーランさん。カッコよく、野蛮な感じも様になっている。正しさが強大な権力の元で何も出来ない感覚が、また別の正義感を生み出している。そして何より、マースーチュンの可愛さたるや。ショートヘアに心を躍らせたかと思えば、油断出来ない存在感も。総じて良い。

中国では検閲が何度もかかったという本作。映画の中に希望と自由を真正面から描きつつ、フィクションとしての肉付けが本当に素晴らしい。久々の映画、包まれる余韻。そうだ、それだと感じさせてくれた。

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たいよーさん。

5.0モヤモヤするイケメン刑事その1

2023年7月30日
iPhoneアプリから投稿

街とはいえ村として取り残された場所

人と人、人と街、人と都市、人と人、、

あとからみた小さき麦の花という映画の村も腹が立つくらい今の中国の、改革開放以降の時代に取り残された場所の物語だが、ここは目と鼻の先に欲望渦巻く都会があるのだ。ロウイエ監督作品独特の、都市、街の写し方もあるのかもだが、それにしても広州の洗村というロケ地がなんとも秀逸。
なんとなく自分はなにか、どんな存在かということが、変化や発展のスピードの中で特に中国のような特殊な政治経済、世界観のなかで訳がわからなく失いながらなにかを貪欲に得ようとしている様が全体を通底。
パンフレットによると、美男美女の登場人物のなかで一人不細工で強欲で行けてない役人を演じたチャンソンウェンは、配役決まったあと、役人を演じるのは難しいという監督や自身の懸念から役所に一カ月お仕事体験を自らアレンジしてやってきたという。監督のみならず一人一人の努力と熱情を感じる。どの役者さんも、撮影もロケ地も光の加減や音、傾き、着るもの、タバコ、小道具、細かいところまで全て完璧にこの歪んでしまった世界を描いている。ヤン刑事のお父さんの姿がこの街とかさなる。
ヤン刑事が、もちろんイケメンなのだが、なんとももやもやする行動で、これがほんとに途中からすごい気になるのだ。それがまた時代や変化を感じさせるのだが半端ないモヤモヤ感で、ヒーローとか正義とか遠のいていく感じが良い。
結局人と人はどんな場合にも、辛くても死にたくても死にたくなくても計算でも真摯でも繋がりたくなり、簡単ではない繋がりもあり、場合によってはそこに堕ちていくのだ。、
台湾のかた、香港のかた、ぞれぞれに関わり方が違い、中華圏の大団円にもっていくロウイエの企みと実力。
メーキングフィルムも凄く面白い。
しばらく時間をおいてまた見たい作品。

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3.0≪見飽きました≫ Once upon a time in CHINA (国技) + ノワール

2023年5月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

中国が資本主義化していく時代を描く、「ワンスアポンアタイムもの」をノワールの建付けで撮ってみました!
的な。日本でも、昭和の高度成長期のが終わった後、小説・映画界って、こんな作品が多発してたような気がして。40年くらい前になるんでしょうか?

官民癒着、贈賄の場面等々が描かれています。習近平体制のもと、こういうのも検閲ではねられてしまう時代になるんかねぇ、って思いながら眺めてました。

正直、中国の「ワンスアポンアタイムもの」は見飽きました。なんで、こっちに流れるんでしょうか?人々にウケるから?まぁ、日本も昔、そうだったし。しかも、むちゃくちゃ壮大な話、日本人、大好きだったし。それに比べりゃ、まだマシ?とにかく、感想文を書こうにも、なんも言葉が出てこないくらいに、面白くなかったw

ノワールとしても。ワンスものとしても。

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bloodtrail