もち

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もち

解説

多くのCMやミュージックビデオを手がけた小松真弓監督が、800年前の景観とほぼ近い姿で奇跡的に守られてきた岩手県一関市特有の食文化である「もち」をテーマに、伝統と生きる人びとの現在を描く。一関市の住民の人びとが出演し、言葉や伝統、感情をありのままの形で残すという手法で、ドラマでありながら限りなくドキュメンタリーに近い作品として製作された。岩手県一関市骨寺に暮らす14歳のユナ。おばあちゃんの葬式で、臼と杵でつく昔ながらの方法で餅をつきたいと言い張るおじいちゃん。家族は手間をかけなくても餅つき機でも同じようにおいしい餅が作れると説得するが、おじいちゃんは頑なに昔ながらの方法で餅をつくという。そんなおじいちゃんの心の機微を敏感に感じたユナは、おじいちゃんにそっと寄り添う。

2019年製作/60分/G/日本
配給:フィルムランド
劇場公開日:2020年7月4日

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映画レビュー

3.5ストーリーはフィクションであるがそこに映る気持ちはノンフィクション

2020年10月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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sasaki

3.5「なぜ?」は、あるけど素敵な映画

2020年9月7日
iPhoneアプリから投稿

「雪」「餅つき」「少女」という、この透明感あふれる写真が気になっていて、タイミングが合えば観にいこうと思っていました。 僕が映画館での映画鑑賞を好きな理由は、”映像”や”音”の「エンタメ的刺激」を享受できるからだけではなく、自宅で観ようとしたら最後まで辿り着かない映画であっても、映画館の椅子に拘束されることでエンドロールまで観ることができる”強制性”があるからもあります。 どんな映画にも乗り越えなければならない、没入できないや、中だるみなどあることが多いけど、最後まで観ることができて本当に良かったということは多いですよね。 さて「もち」はどうたったか? 映画館でなければ最後までは辿り着かなかった系映画です。そして最後まで辿り着いたおかげで「ザワザワ」しました! 否定的な意味ではなくで観終わったあと「???」だったのです。 60分という短尺ドキュメンタリーっぽく製作されているのに、岩手県の自然奥深い場所で生活する地元の方々による、「演技」が唐突に始まるのです。 田舎の日常を自然に撮影しているだけなのだと気を許していると、何かへんな演技が始まるのですが、それも悪い印象がないのがとても不思議です。ストーリーはあるようで無いというか、無いようであるというか、全く言語化するのが難しい。 日頃たくさんの映画を観ているので、変化球には慣れているつもりですが、一言で言い表すのが難しいタイプの映画でした。悪い映画では無いですよ。 鑑賞後、監督「小松真弓」さんのインタビュー記事を拝見し、本作の製作意図やエピソードなど拝見し、かなりまじめに攻めている映画なのだと感じました。このインタビュー記事を拝見してから鑑賞していたら、また少し違った印象になったかもしれません。 上映館は少ないですが、少し癒されたいと思う方は「割引デー」などに広い心で鑑賞してください。

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まさ

4.0命の伝承

2020年9月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

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森のエテコウ

3.5文化も想いもこうして伝わっていく

2020年8月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

子供の頃に学校行事で「何でこんなことをやるんだ?」と思ったことはないだろうか?だが、故郷を離れてみるとそれがその土地独自の風習であることに驚かされることがしばしばある。本作の舞台は岩手県の一関市にある小さな集落。そこに残る“餅文化"を通じて交わる人間模様をその地に住む14歳の女の子・ユナの目線でドキュメンタリー調に綴っていく。 祖母の葬儀のシーンから始まる本作には2つの死の意味が込められている。一つは家族の死、もうひとつは文化の死だ。市町村合併、少子高齢化、そして過疎化などで消えてしまった文化も多いだろう。文化が消えるということは、その土地の死を意味することと等しい。家族の死も同様だ。誰かに恋をし、家庭を築き、家族を残さなければ次世代へ自分の想いは残らない。文化も家族もどちらも人がいてこそ伝わっていくことを優しく観客に教えてくれるのである。 子や孫に幸せに育ち、穏やかな家庭を築いてもらいたいというのは普遍的な価値観であり、地域の文化や想いを残したいというのはその地で終を迎える者の願いであろう。だが、過疎化や少子高齢化が進む地域ではそれさえも難しい。それでも本作に登場する大人たちは決してその気持ちを押し付けがましくは伝えない。故郷の文化やそこに生きた人たちの想いはやがて忘れられていくかもしれないと思いつつも、日常を通じて、その土地に生まれ育った子供たちへ自分たちの文化を伝えていく。祖父との会話、閉校を迎える学校での先生の姿は印象深い。 その想いが子供たちに正しく伝わるのかは分からないし、餅文化の学習のシーンで足が痺れてしまい学習どころでない生徒がいるのも微笑ましい。だが、物語の後半でユナは餅をあることのために使う。それは彼女の人生において一大イベントであると同時に彼女が餅文化を自然に継承したのだと感じさせてくれる。彼女もその土地で大人になり、やがて家庭を築くのだろうか?少しだけ大人になったユナが自転車を漕ぎだすラストシーンにはどこか前向きな力強さが感じられる。文化も想いもこうして伝わっていくのだ。

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Ao-aO