ソウルフル・ワールドのレビュー・感想・評価
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きらめきが生きる目的じゃない
私たちの人生や生活には映画のような出来事やドラマはあまり起こらない。子どもの頃からの夢を叶える人だって一握りだ。私のようなその他大勢は、「タラレバ」を夢見ながら毎日を積み重ねてゆく。つまんない人生?退屈な毎日?
いいや、そんなことない。寒さが少し緩むと季節の移り変わりを感じる。雨の日の翌日の晴天には思わず空を見上げる。
見知らぬ人と電車で席の譲り合いをしたときに思わず微笑み合い、見知らぬ幼児と目が合えば手を振る。言葉に出来ない瞬間ほど美しい瞬間はない。
一瞬一瞬が美しく、貴い。
ただ、私たちは時々その美しさをわすれてしまうのだ。
怖い領域にもガシガシと踏み込んでいく果敢さ
特に前知識を入れてなかったので、ピクサーがジャズをモチーフにした映画を作ったのだと思いこんでいた。実際、主人公はジャズマン(に憧れる音楽教師)だし、劇中にはジャズを演奏する印象的なシーンがいくつかある。
しかし、お決まりの夢をつかみたい男の苦闘と奮闘、という物語は、「人間が持つ執着心」というテーマに置き換えられ、そして映画はさらに大きくてテーマへと際限なく広がっていく。要するに「人間とはなにか?魂とはなにか?」という哲学的な大命題に手を出しているのだ。
しかも、魂が作られていく過程が、非常にファンタジックでありながらも、ロジカルに描かれていることに驚く。この映画は「誰もが違っていて素晴らしい」なんてキレイごとは言わない。例えば人間なんていくつかのパターンにたやすく分類できてしまうし、本人の意思で属性や性格を変えるのにも限界がある。そんな皮肉めいた人間分析を、こんなに楽しいビジュアルで描いてしまったことに驚く。
もちろんピクサーの映画が、人間なんてつまらない存在だ、なんて結論に行き着くわけではないのだが、だからといって安易な人生讃歌でもない。とてもポジティブな映画だけれど、普通なら向き合いたくないようなことにもきちんと目を逸していない、勇猛果敢な作り手の姿勢に拍手を送りたい。
中年世代の魂を癒すヒーリングムービー
人には生まれながらに与えられた使命がある。人生に於いて目的を達成することは素晴らしい。人生とは目的探しの旅だ。。。。。そんな風に描き尽くされてきた人生に関する考察(または意味付け)を一旦リセットし、そもそも、目的を達成できなくても、目的そのものを持ちえなくても、平凡な日常に感謝し、身を委ねることこそが、生きるという行為なのだ。と、ピクサーの最新アニメは我々に問いかける。長いハリウッド映画の歴史でこのような提案は実写でも珍しいと思う。ある日突然、マンホールから落っこった先にある、この世に生まれる以前のソウル(魂)の世界へ飛んでしまったしがないジャズピアニストの体験談は、瞬間瞬間が示唆に富み、同時に大胆な空間転換で楽しませる。死にたくないともがく主人公と、彼がソウルの世界で出会う、逆に生まれたいとも思ってない22番との冒険が、やがて、互いの中に欠けていたものを発見することになるバディムービーの形式を借りて。ビジュアル的には、深い色彩に溢れる現世ニューヨークの風景と、徹底して無機質かつミニマムを追求したソウル界の対比が明確だ。これは、いい歳をしていまだ人生に目的を見出そうとする、若い世代にとってはけっこう傍迷惑な、迷える中年世代の魂を癒すヒーリングムービーだと、筆者は解釈した。正義、友情、女性の自立、死生観、感情の視覚化と来て、ディズニー&ピクサーは遂にこんな領域に侵入したのである。で、次は何?
私的にピクサー映画ナンバーワン作品
テーマが!!深い!!!
私は、子ども向け映画によくみられる、子どもに向けた優しいメッセージがある作品が好きなんだけど、この作品は「大人に向けた優しいメッセージ」だなと思った!
自分の心に響いたというよりも、
「この映画で誰かの命を救うことができるのでは」「この映画を、人生に疲れている人にみてほしい」と思った。
と、同時に、優しい人たちが「誰かを救いたい」とつくったであろうこの作品を、心から愛おしいと思った。
アニメーションが本当に素敵で、ピクサーの映像作品で1番「ピクサーすげぇ…」と感動した作品だと思う。
特に、主人公がソウルの世界へ落ちていくシーン…何度見ても新鮮だと思う。ソウルの世界の住民のデザインもめちゃくちゃ好き。
「何者かにならなければ」「なにか一つ、自分はこれだというものを見つけなければ」と、周りと比べて生き急いでいる人へ。
「自分にはこれしかない」と一つに熱中するうちに、苦しくなっている人へ。
「自分はこれだ」というものを失って、人生の意味を見失った人へ。
多くの人に届いてほしい。
芸術的なイマジネーション表現
ピクサーは他のアニメーション映画とは一線を画すレベルに到達してることはよく分かった。
最初はニューヨーカーがよろしくやってる話で「これアニメーションでやる意味ある?」と思ってた。
しかし途中から来ました。アニメでしかやれないイマジネーションの怒涛の表現が。
まるで芸術作品を見てるよう。展開も読めないし、力量がすごいの分かる。
シュガーラッシュのバディ感もあり、頭の中の感情を描く様子はインサイドヘッドみも感じられる。
とても面白くよく出来た映画だと思います。
ただ、「2分の1の魔法」が素晴らし過ぎたので、それと比べてこの評価。
自分はアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞したこちらより、2分の1の魔法の方が素晴らしいと思った。
生きてるだけで丸儲け
素晴らしき哉、人生
非常勤講師で生計を立てていたジョー・ガードナーは
ある日ずっと夢見ていたジャズの演奏ができることになったが
途中の道でマンホールに落ちて魂の世界へ行ってしまう。
死んだものは虚無へ、これから生きるものは生前の世界へ。
地球へ向かう前のソウルたちの中でも生まれることを拒否した
22番ソウルと奮闘する物語。
おもちゃに命を吹き込んだピクサーが遂に魂にも命を与え
命を題材にしたテーマを描いた。
「海を泳いでいる最中には海の広さはわからない。」
「バガボンド」の中でもこういったセリフがありました。
人は何者でなくてはいけないなんてない。
今、ある生活の環境や連れ添う人を大切に。
道徳の授業で見てほしくなるような映画。
劇場で見てたらエンドクレジット前に拍手したくなるような映画でした。
これから職業を決めて生活を自分で責任を持つ大人が見てこそ
響くような映画になっています。
インサイドヘッドを見た時も思いましたがピクサーは
心理学だったり難解なテーマをわかりやすく、ほぐして
ファンタジーに落とし込むのが素晴らしいと思いました。
幸せとは?世界の美しさを感じて。
22番&猫
是非、日本語字幕版で観たい
ジャズピアニストを夢見ながらも中々世に出られない男が、ふとした事故で冥界に迷い込み何とか現世に戻ってステージに立とうとするお話です。高い評価を受けながらも日本では NETFLIX 配信のみだった作品が漸く劇場上映になりました。
日本アニメではお約束となっている少年少女の物語ではなく、ジャズピアニストの中年男性が主人公というだけでまず嬉しいではないですか。そして、思い切った意匠を展開してアニメでしか描けない世界をアニメで描き、一方、アニメファンだけでなく広く思いを伝えようとする深い意図がしっかり感じられました。
声優としての川栄李奈さんがとても良かったのですが、やはり日本語字幕版ででも是非観たいな。
今の自分の心に刺さる映画だったなぁ…
とんでもないSF超大作じゃないか!!!!!
コロナで劇場公開見送りからの復活シリーズ。
なのにあまり盛り上がらず。
なのでもうディズニーのホームグラウンド
舞浜 イクスピアリしかやってないんですよ。
親父が一人でディズニーの聖地へ(^_^;)
JAZZピアニストに起きた奇妙な……
いやいやいや待て待てぇーい!!
とんでもないSF超大作じゃないか!!
あのSFでしか出せない孤独という恐怖は
「A.I.」「ゼロ・グラビティ」に匹敵!!
「え?これピクサー?」
キャラに騙されちゃダメ!
これ、どなたか実写化しませんかぁー!!??
これ、ポスターで損してます!!
ちゃんとマーケティングしましたかぁ!!??
“生きる”をテーマに
笑って泣けて感動して哲学で
素晴らしい時間でした。
あ、あとJAZZもガチでいいけど
JAZZ以外の
ヒーリングエレクトロニカな
サントラのスコアにも注目…いや注耳ですよ!
高評価口コミに期待し過ぎた
人生に迷える大人向けの作品
観るのを待ちわび過ぎたためか期待値が上がり過ぎたためなのか、全然刺さらないと言う残念な結果に。
なんだろな。
個人的にはDisney/Pixarって、子供が理解できるまで本質的かつ根源的な事を落とし込んで、それを一緒に観る大人にもキヅキを与えてくれる、というパターンに魅力を感じているのだけど、この作品はそもそもが人生に疲れたまたは迷える大人に向けて作られているためかその辺りが自分の好みとは合致しなかったのかな。
Disney/Pixarでさえ無ければ受け入れられるのに、Disney/Pixar作品として観たから違和感になってしまったという事例。
※ジェリーとテリーの作画にはどんな意味が?そしてどうしてみんなジェリー達なの??
➡️誰か分かったら教えてください。
きらめきとは何か
今回の作品では、生きる意味が序盤において大きなテーマの一つとなっていた。
主人公のジョー・ガードナーは生きる意味をジャズに求めるも、その夢を叶えることができない中年男性。そんなジョーに突然のビッグチャンスが訪れる。しかし、ジョーは夢を叶える目前で不慮の事故により魂の世界に迷い込んでしまった。
そこで出会ったのが22番。彼女は人として生きるために必要なきらめきを見つけることができずにいた。
この世界におけるきらめきと自分の夢中になれるもの、つまりは才能。ジョーと22番はきらめきを見つけ、ジョーが元の肉体に戻る為の旅をする。
しかし作品の後半、きらめきとは才能ではないことがわかる。
きらめきとは才能ではなく自分は生きていいと思える気持ちだったのだ。22番は今まで自分が生きていいと思えなかった。そのためにきらめきを得ることができずにいたのだ。
人生で成功を積み重ねてきたメンターは人生を業績と同一視していたが、何者でもないジョーによって22番は人生の目的は何かを成し遂げることではなく、生きることそのものが人生の目的であることに気づく。
我々は何かを成し遂げるために生きているのではない、生きるために生きているのだ。
好き!
コロナ禍で4年も上映延期されていたのですね。あの世の描き方とか様々なキャラクターのデザインとかも趣向が凝らしてあって、とてもユニークな作品だと思いました。主人公がピアニストということもありますが、挿入曲(ジャズ)がどれもカッコよくて、洗練された映像ともマッチしていて楽しめました(ちょっと「BLUE GIANT」(23)のようなテイスト)。猫を使ったひねりが効いていて、物語に奥行きをもたらしてくれたように感じました。吹替えの声(浜野謙太、川栄李奈)もとてもよかったですね。普遍的な物語という意味ではよくある話ですが、なかなか巧く創作されていて、すっかり魅了されてしまいました。短編「夢追いウサギ」にもほっこりできて、久しぶりに幸せな時間を過ごせたような気がします。「上映してくれてありがとう!」って思いました。
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