街の上でのレビュー・感想・評価
全169件中、1~20件目を表示
下北沢らしい舞台やガジェットが楽しい男女の群像劇
古着屋、古本屋、お洒落カフェ、自主映画撮影……若者のサブカルの街・下北沢らしい舞台やガジェットをふんだんに使いながら、1人の青年と4人の女性たちの群像劇が描かれます。恋愛要素もありますが、あっさり目な印象で、ふだん見落としがちなちょっとした心の変化や何気ない会話が丁寧にすくいとられています。長回しが多くて演劇っぽい雰囲気があり、終盤の17分ワンカットのシーンがとても心に残りました。
人生のいたたまれない時間を肯定してくれる群像劇
いたたまれなさ、みたいなものが素晴らしく映像に置き換わっている映画だと思う。生きてることはいたたまれない。もちろん楽しいことや喜びもあるけれど、それも含めていたたまれないものである、という感覚を信じている者として、そうですよね、生きてるってこういうことですよねというエピソードや感情や感傷が詰まっている。
確かどこかで今泉監督が『街の上で』と『サッドティー』の相似について語っていらしたと思うのだが、『サッドティー』の喜劇に振り切れるクライマックスともシンクロしながら、同時に叙情的で、ベタベタしてないのにロマンチックな仕上がりになっている。
あとまあ女性のキャラクターたちの魅力的なこと。ひとりひとりが主人公で一本の映画ができてもいいくらいなのに、惜しげもなく群像劇の中に放り込まれており、『あみこ』の春原愛良がチラリと出てくるくだりも含め脇にいたるまで捨てキャラなし。映画の贅沢とは、製作費だけのことではないのだなあと、当たり前のことを改めて考えさせられた。
“下北沢の精”のような4人のヒロイン
本作の評論を当サイトに寄稿したので、ここでは補完的な論点を中心に書いてみたい。「登場人物の職場や属性に音楽、文学、映画、ファッションといった要素を振り分け、彼らの日常を追うことでサブカルの街・下北沢の魅力をさりげなく多面的に紹介する仕掛け」と書いたが、古川琴音が演じる古書店員、萩原みのり扮する自主映画監督、中田青渚による衣装係は、サブカル的属性が分かりやすく託された精霊のような存在として機能しているとも言えそうだ。穂志もえかが演じる雪だけは何をしている人か明示されないが、分類できない混沌とした魅力、純粋な愛として、やはり“下北沢の精”と解釈できよう。
サブカルの精霊たちに愛される(または好意を寄せられるか、少なくとも関心を寄せられる)青は、Tシャツにコットンパンツという自然体の格好が似合う、まさに下北沢を体現する存在だ。よそ行き感のジャケットが浮いてしまうのも、若者の街なら当然か。人が出会いや別れを通じて少しずつ成長するように、街もその景観を変えながら成熟してゆく。
英題は「Over the Town」となっている。地に足がつく"on"ではなく、浮遊する感じの"over"がこの映画にぴったりだ。街を回遊する青と、どこか生き方を模索しているような女性4人。
下北沢映画祭からの依頼がきっかけで、シモキタを舞台に製作された本作。典型的なご当地映画とは趣を異にするが、絶妙な手法で街の魅力を伝えている。
馬鹿の度合いが面白くて好き
今っぽさがあり、
つくらない自然な感じが独特で
印象に残る。
アコギで弾き語りをする2名
(前半女性、後半男性)、
なかなか上手くて
エモーショナルである。
若葉竜也さん他
出演者達の魅力が引き出されている。
友情出演の成田凌さんの
オーラが凄い。
ロケ地もオシャレで
脚本も良い。
大画面を必要としない
動きの少ない映画なのに
飽きず、
何でもないような場面でも
いちいちカメラワークが
秀逸で見応えがある。
下北らしさが満載
タイミングを外して観ることができなかったが、やっと鑑賞。駅周辺の再開発が進んでいるものの、「下北っぽい」雰囲気はそのままだ。
登場するキャラクターが多くて纏まりのない話だな、と思っていたら、ラストに向けて徐々に固まったストーリーに。クスッとしてしまう場面もあり、観てよかった。成田凌がいい感じで出ていたなあ。古着屋のカウンターにいる若葉竜也、すっかり下北人になっていた。
報われない想い
顔の可愛い女は人生イージーモードだし
プライドが高くて強気な女は
傷ついても何度だって立ち上がって常に強者だし
別になんとも思ってないんでみたいな顔した女は
何食わぬ顔で女友達ってポジション獲得して
全部分かった上で無邪気装ってマウント取ってくるし
叶わない相手ばかりを求める女は
いつだってひとりよがりで虚しく孤独にメンヘラ
実際に古着屋の仕事だけで下北に住める
THE INFJみたいなあの見た目の27歳
恋愛経験がたった1人なんてあるわけ…
ああいうタイプは恐ろしいほどモテる
自分をよく見せようとして虚勢張ったり
女に叩かれて応戦したり
くっそみたいな性格してたとしても
ああいうタイプは間違いなくモテる、沼
観ていたときはテンポもゆっくりだし
大きな起伏もないし
唯一面白いところは朝の場面くらいで
あとは淡々と、ゆったりと、
毎日街のどこかで起こっていそうな普通や当たり前が
描かれていく
観ている間は少し退屈さまであったのに、
振り返ってみると
男も女もサブカルの中で生きてる
平凡とは少し違う人たちの感じが
ある種のファンタジーのなかで、
本質的には一般社会とも通じた
現実的なドラマになっているのがリアルで
鮮明な日常に酸欠してくるような作品だった
なんか、分かるし、最後まで面白かった(*^^*)
若い頃を通過した者としては、こういう一見生産性のない時間が、人生に必要なんだなーと分かります。
ただ、私の頃は、大学時代でモラトリアムは終わり、卒業後は大人への階段をダッシュで駆け上がるものだったので、青くんの年齢を知った時は驚きました。
平均寿命が延び、多様な生き方が容認されるようになった今は、本人が望めば、いつまでもブラブラできるし、大人なれない、なる必要性を感じない、なりたくない人も増えてきているのかもしれませんね。
ただ、青くんや女の子たちの親御さんの気持ちを想像すると、ちょっぴり切なくなりました。
男女の距離感や、恋人の基準なども、大変興味深かったです。
青くんと女の子たちの各々の場面は、彼らがホントに実在していて、その一部をのぞき見させてもらっているような感覚を覚えました。
若さを失って初めて、そのきらめきに気づくことができるのですね。
今の私が、20代に戻れたら、どうするのかなと考えるのも、楽しかったです♪
時間をあけて、また映画館で観たくなる気がしました。
下北沢らしさ?
主人公がかわす会話の多くが不自然で熟れてないし、唐突で噛み合っていない。出来事も偶然が多い上、警官がプライベート話をする等、現実にはあり得ない描写も。
それでも主人公に肩入れしたくなるのは、引っ込み思案の男主人公に、次々と女性が寄ってくる設定だからだろう。
下北沢らしさを出すならライブや演劇を素材にすればよかったんじゃ。
今見ても良い作品
今年263本目(合計1,355本目/今月(2024年7月度)26本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
(前の作品 「エス」→この作品「街の上で」→次の作品「」)
監督の方の特集上映で復刻扱いで上映されていたので見に行ってきました。
他の方も書かれている通り、この監督さんの当時の、あるいは今の作品も自然な会話が多く、あらかじめ決められていたセリフを読み上げる「だけ」ではなく現場での自然な雰囲気でそのまま撮ったという作品が多いです。初期のころのこの作品はそれが顕著で、流れが自然であることは評価できますが、逆に言えば「そこはちょっとわかりにくい」等の部分も修正されていないので(東京大阪あたりが舞台か、方言なまりで聞き取りづらいことはない)、そこが好き嫌い分かれるかなというところです。
この自然な流れで人々の交流を描いている部分に共感が持てたといったところです。
そういった事情なのでストーリー上わかりにくい点はありますが、過去作品なのでここでは多くの方の感想があり参考にできることと、VODで課金すれば見ることができるなど、確かめる方法はいくつも存在します。
この方のファンであれば過去作品でも見て損はないかなといったところです。むしろ、2019年と古い作品であるからこそ、当時の出演者の方でも抜擢されて今のメジャーな作品にも登場している方もおられ、その当時を見ることができるという点ではよかったです。
採点上特に気になる点まで見当たらないのでフルスコアにしています。
可愛らしくて良い映画。
下北好きには堪らない、私も恥ずかしいから大きな声では言えないけれど下北沢が体現するあの文化にはとても惹かれてしまいます。
主役の青くん、情けなくも可愛らしく言動に面映ゆさは感じるけれど感情移入して観賞出来ました。
個々のシチュエーションも楽しく、特に青くんと学生映画のスタッフの女の子の自宅での会話劇とその落ちはニコニコして観る事が出来ました。
でも、青くんとその元カノのユキさん、映画スタッフの女の子とその元カレ、さらに行きつけのBARのマスター総勢5名による道端での会話劇はあえて演出しているとは思いますが、単にイライラするだけだったし。その後のユキさんと警察官との会話後のユキさんの気付きに関しては、無理やり感が強くて何だかスッキリせず。まあこんな感じのノイズは盛り沢山ではありましたが、全体的には観て良かったと思える映画ではありました。
Z世代
映画だなぁ。と思った。
魚が切り身で泳いでいる。と思う人がいる時代の
若者の想像力と思い込みが絶妙な瞬間を生み出すさまを
ドキュメントしたような映画だった。
個人的にツボったのは、姪に恋するポリスメンが味ってて
高評価へと繋がった◎
女優、萩原の最終記念作?
人気がある作品と知っていたがスルーしてた作品
内容は全く知らなかったがついに鑑賞。
緩やかに話が進むが、ハマるポイントが幾つかあって、思わず声に出してテレビに突っ込みを叫ぶシーンがあってドハマり。
鑑賞後に下北沢での撮影理由や秘話を調べて更に楽しくなった。
1年後か2年後にまた観よう。
最後の30分間は秀逸なコメディー。
全部良かったです
この映画だとずっと受けの芝居しか許されていない若葉竜也さん、それなのにめちゃくちゃ上手くて、すごいです!!!!!!!!!ほんとに荒川くんは今日も下北沢で暮らしてると思わせてくれるほどでした。突拍子もないことの起こらない作品で結構長いのに、ずっと面白かったです。出てくる人全員、魅力的だった。すぐもう一回見ようと思うほどです。
一瞬の成田さんのカッコ悪く恋するイケメン俳優っぽさも、最高にスパイシーでした。
あとは、女優陣。素晴らしすぎて泣いちゃいます…イハちゃんとわたしも友達になりたい。
生きてるし、そこに感情があるし、ここは下北沢。な、ずっと夕方から夜にかけての空みたいな何も決められない空気感、と、真っ昼間に陽に顔を晒しながら恋をする若者の空気を久しぶりに拝みました。
ほんとに最高でした。今泉監督の作品これまであまり観てきてないので、ちゃんと追おうと思います。
今泉力哉節
今泉力哉節炸裂の作品。
映画館で何回も観て、何回も笑った。
今泉監督は、監督としての能力もあるけど、何より脚本家としての能力は抜群だと思う。
独特のセリフ回しと、即興性ある長回しで、コメディー演劇の要素が強い。
今泉力哉テイストというか、作品を観て、ああこれは今泉力哉だな、と分かる数少ない演出家。
とにかく笑える作品。
これは素晴らしい
普通の精神状態なら恋愛映画なんて見ないが
Netflixだし、今泉力哉で評判も良いし
何となく見てみたら、とてつもなく良かった。
全員、良い。
古本屋の人(古川琴音)が特に良いが
古川琴音は、メタモルフォーゼもすごく良かった。
それに加えて、カフェで魚喃キリコを開いてる人の声が頭に残ったが
誰だかは分からなかった。
めちゃくちゃ知りたい。
ただ、何か下北沢の空気感が良いとかの評価を観たが
この映画の良さは非リアリティだと思う。
こんな奴は一人もリアルに存在しない。
もし存在するなら、自分自身が恵まれてなさ過ぎて
もう映画を観る事が出来ない。
映画は、非リアリティで全然良くて、リアルだとするなら
そのすべての登場人物より劣っている自分が映画を観れなくなってしまう。
それは、とても困る事なので
こんなリアルが存在しないように、こんな幸せな事柄は
宇宙の外側で行われているから許せる。
そんな風に映画を楽しんでいきたいので
普段は、SFかゾンビかアクションしか見ないんだと
再確認することができた。
この映画も、舞台は下北沢で撮影されてはいるが
月よりも3倍くらい離れた光の屈折の多い場所である事を願うばかりです。
次は、「愛がなんだ」的なのを見るつもりなので
どうか、異次元もしくはマルチバースの話であってください。
街にちりばめられたイベントたち
イースターエッグが至る所に散りばめられたような、MOTHER2みたいな作品だった。というか現実の「街」も自分のスタンス次第でそうなる可能性を持っているんだろう。実際自分にも青くんほどとは言わないまでも似たような時期もあったなあと懐かしくなった。
全体の空気感は観終わった後街に出て知らない人とランダムにエンカウントしてみたくなる様な素敵な感じだったんだけど、場面場面は終始クスクス笑えるしょーもなさ満載で、それまでのフリを一気に回収するクライマックス(?)の畳み掛けっぷりにはめちゃくちゃ笑った。
あそこは何度も見たい。
変なところでものの見方がスーパーフラットな青くんみたいなキャラクターが持つ主人公性はとても現代的だなと思った。その他の登場人物たちも、色んな「人間味」を持ったとても魅力的なキャラクター達で、現実の自分の身の回りの人達にも興味がわいて掘り下げたくなる様な気持ちにさせてくれる。
あるあるとプチ・ハプニングが終始いい塩梅。
会話のテンポと間が芝居とは思えないほどにリアルで自然体。そして、つい吹き出してしまうコミカルさ。元カノとマスター、友達になったばかりの女性と元彼氏との遭遇が、「ありえないんですけどー」ばりに、サイコーにウケる。
この世界観って、海外ではどこまで通じるんだろうか。少なくてもアジアではウケてほしい、かも。
全169件中、1~20件目を表示