劇場公開日 2020年1月17日

mellow : インタビュー

2020年1月16日更新

田中圭&岡崎紗絵が目の当たりにした、今泉力哉監督の世界観とは?

今、日本映画界でもっとも勢いがある若手監督のひとり、今泉力哉。昨年の公開作「愛がなんだ」「アイネクライネナハトムジーク」という2作品が、それぞれ旬の俳優の起用、その彼らが新しい一面を見せた意欲作として高い評価を受け、ノリにのっている。そんな今泉監督の最新作が、1月17日公開の「mellow」だ。今作でも、実力派の田中圭を主演、岡崎紗絵をヒロインにして、恋愛群像劇を紡ぎ上げている。(取材・文/よしひろまさみち、写真/間庭裕基

田中が演じたのは、特に深い関係の相手はいない独身で、恋人は花というほどに花を愛する生花店「mellow」の店主・夏目。岡崎が扮したのは、彼が行きつけにしている近所のラーメン店を営む若い店主・木帆。この2人を中心に、彼らをとりまく高校生や夏目の顧客などの淡く美しい人間関係と恋愛模様を描いたのが本作だ。田中は「今泉監督のことは、この作品のお話をいただいてから知りまして」と明かす。

「今、すごく力のあるストーリーを作り出す監督ということは、噂では聞いていましたが、このお話をいただくまで、監督の作品を見たことはありませんでした。食事をご一緒する際に初めてお会いしましたが、会う前の勝手な想像とは違って、とても穏やかで話好きな方でびっくりしました(笑)。そのときに監督の作品の力強さと、今作の物語の面白さを伝えました。オリジナル脚本の日本映画が少ない中、監督の作り出す物語は印象強く、この作品に関して言えば、タイトル通り“メロウ”です。ごくごく自然な日常生活を切り取った話に、これだけの力があるのは昔の日本映画のようで、作品に参加できたことをとても嬉しく思っています」

共演の岡崎は「この作品もそうですけど、今泉監督の日常の切り取り方がとても新鮮でしたね」と振り返る。

「私は『愛がなんだ』がすごく好きで。あの作品もそうなんですが、本作もいわゆる“悪意を持った人”がひとりも出てこないんですよね。そこが本当に素晴らしいと思います。この作品でも、人々の日常を淡々と描いていて、これといって大きな事件が起こるわけでもないのに、どこかに自分の経験をだぶらせる瞬間があるという物語。しかもなにげないカットでも、完成品を見ると切り取り方がとても新鮮なんですよね。自分の俳優としての成長を助けてもらった、と思える作品になっていると思います」

この2人の共演は初めて。お互いの印象を尋ねると、笑いながら初対面のときのことを語ってくれた。「とにかく細い! と思いました。やはりモデルをしている方だけに、媒体で拝見するよりもすごくスレンダー。だけど、存在感はすごくあるので、初対面のときのことは強烈に覚えています」(田中)

「今まで田中さんはテレビや映画の中でしか見たことがなかったんですが、お会いしてみたらそのままでびっくり(笑)。特に、テレビのバラエティ番組で拝見していた、やさしくておもしろい雰囲気がそのままだったので、ああ、あれは素の状態だったんですね、と思ってしまいました(笑)」(岡崎)

花にしか目がない夏目だが、彼をとりまく女性たちは、ひそかに彼のことを慕っている、という設定。いわば夏目の鈍感力が、この物語をこじらせる。

「こじれています。でも、あの鈍感さは、夏目がそれだけピュアなことの裏返しで、その純粋さや優しさというのが、このキャラクターに惚れこんだ理由です。何をするにしても、夏目は優しいんです。いや、優しすぎるくらいです。だからといって、ハッキリしないモヤモヤした男でもないんですよ。僕自身とは全然違いますが……。でも、子どもに優しいというところは共通していますね(笑)」(田中)

「木帆としては、せっかく思いを寄せているのをアピールしているのに、全然気づいていないっていうもどかしさがありますよね。でも、彼女もそんな夏目に惹かれているんでしょう。これが、自己主張が強めの男性だったとしたら、木帆は好きにならなかったでしょうし」(岡崎)

本作で印象的なのは、田中が延々と切り花の世話をしているシーンの数々。いや、こんな店主がいる生花店だったら、“そりゃ近所で人気の店になるでしょう”、と思わせるたたずまいなのだ。田中は「花を扱うのはじつは初めて」と明かしてくれた。

「ずっと先生に教わっていましたが、生花がすごくデリケートであることを知りました。そのうえ、それを扱うのは、かなりの重労働。あんなに大変だとは思っていませんでした。それに、夏目がお客さんの好みを聞いて花束を作るシーンは、僕には無理でした。センスがないので(笑)。先生にどの花をどの位置に、どの順番でそろえていくかまで教わって作っていたんです。岡崎さんもラーメンをあんな本格的に作ったことがないでしょうけど(笑)」(田中)

「そうなんですよ。私も田中さん同様に、先生について教わっていたんですが、驚かされることの連続でした。特に麺の湯切り! あんなに重いとは思わなかったですし、うまくお湯が切れないんですよね(笑)」

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