フェアウェルのレビュー・感想・評価
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『スパイ大作戦:おばあちゃんに余命を宣告するな』の巻
おばあちゃん子の私には涙腺崩壊になることを覚悟して観に行ったが、流れた涙は笑い涙だった。家族みんなで祖母の病名を隠すその言動と作戦の緻密さを見ているうちに、これはファミリー版『スパイ大作戦』なのだと気づき、ほくそ笑んでしまった。
末期ガンであることを祖母に伝えるか否かで揺れる家族の思いをカルチャーギャップとユーモアを交えて描いた作品であるが、病を知っている家族が勝手にしんみりしたり、落ち込もうとも、病人であるはずの本人が何も知らず元気であるというのが本作のミソ。高齢であっても元気に気丈に家族を束ねるその姿は、正に「病は気から」と言わざるを得ない。
とは言え、アメリカ育ちの主人公が一番祖母に病名を伝えるべきだと言う主張をするが故に家族も観客もハラハラする。しかし、これはやっぱり『スパイ大作戦』だ。家族が集まる機会と称して計画した結婚式をいかにうまく行うか?という表の計画を企て、その裏で診断に関する“別の作戦”を進行させる。「病気のことは絶対におばあちゃんに言うな」と薄暗い部屋で父と叔父から口止めされるシーンはスパイ映画っぽいし、一仕事を終えて病院から出てくる家族のスタイリッシュな行進シーンには、思わず『レザボア・ドッグス』かよ!とツッコミを入れたくなってしまう。
ラストには衝撃の結末が待っているが、それがすこぶるハッピーな気持ちにさせてくれるのも見事。国際化、グローバル化、文化や生活の多様化などが進み、家族の在り方も千差万別だ。映画でも疑似家族を描く作品が増えているが、これは血の繋がった家族が織りなす家族の絆を描いた作品であり、そして何よりも文句なしに痛快な作品だ。
中国人の庶民らしい考え方が出ていて
なんなの?
おばあさんが肺がんで余命3ヶ月らしく、中国では本人に言わないらしい。アメリカや日本に住んでる2人の息子夫婦や孫、親族が集まる口実に孫息子の結婚式を行った話。
主演の孫娘・・・もっと適役いなかったのかなぁ?
猫背で、美人でも可愛くもなく、おまけに鼻にピアス。
最初から興味がわかなかった。
日本人の新妻役は良かったが、中国人と結婚するつもりなら少しは中国語しゃべれよ、って思った。
中国の結婚式って地味なグレーのTシャツで参加してもいいの?
お父さんのスピーチで自分の母親(婆さん)に感謝するのは悪くないが、息子夫婦の事をメインに話さないと・・・変。
墓参りでも婆さんが仕切るんだ!
などなど、中国の日常が見れたのは良かった。
ただ、あのラストは何?題に騙された。
これコメディなの?
よくわからんし自分には合わなかった。
自画自賛
結局のところ…中国国万歳な映画なのかと思う。
お国柄というか、異文化には異文化故の常識があり、それは他文化からは疑問視されるのは当然でもあるのだが…なかなかに中国って国は理解に苦しむ。
大筋は「癌の告知の是非」みたいな事ではあるのだが…コレを主軸に展開される脚本が巧妙というか複雑というか。主人公はアメリカに移住した中国人なのだ。
彼女は他国の常識を有する存在で、それにより中国の常識に疑問を問いかける存在でもある。
どちらかと言うと僕らは彼女の視点に近い。なもので全編に渡り中国の常識を異質な存在として捉えてしまう。家族の在り方とか、体裁の繕い方とか、魂の捉え方とか、死後の世界とか。
「プロの泣き屋」とかバカげた職業まで存在し、その理由が泣いてる人が多い方が故人の人望が高いからなのだとか。見栄以外の何物でもないよな…。
先祖の霊を供養するのは理解できるのだけど、あんなに願い事をするのは厚かましいのではなかろうか?
どおやら大陸では死後の世界への明確なビジョンがあって、存在自体への疑念があまりないようだ。
劇中では東洋文化なんてくくってはいるが、いやいや待ってくれ。あんたんとこだけだよと注釈を入れたい。
一路一帯政策とか絡めた表現とは思いたくはないが、それぐらいやってのけそうな図々しさが全編に渡り溢れでてたりするから困りもんだ。
そもそも嘘だった結婚式を実際挙げちゃうのはいかがなもんなんだろか?
そんな事が許される国民性なのかしら。
確かに家族の絆は強い。
そう描かれてもいる。
ただ、かなり排他的にも見える。
その家族達も、冷徹に没後の話をしてもいる。結婚式の真っ最中に。とんだ茶番劇もいいとこなのだけど、アレはなんなんだろ?結局のトコ夫婦になったのだろうか?
物語の最後は、アメリカに戻る彼女達で終わる。
余命幾ばくもない母を残し、自分達の生活に戻っていく罪悪感というかやるせなさというか…。
アメリカでは違法とされる癌患者への非告知。
それが横行する中国への否定的な目線で終わる。
のだが…
その癌のステージ4である母は6年経った今でもご存命なのだ。本人の元気な映像が映し出される。
ここに来て、全肯定の様相を見せる大どんでん返し…ポカーン…開いた口が塞がらない。
なんつうマウントの仕方をしやがるんだ。
「病は気から」って言葉には、そこはかとなく説得力を感じもするが…物凄い勢いで足元を掬われた感じだ。
中国側からすれば、してやったりな感じなんだろうか?結局持論が肯定されたような終幕。
最後の最後まで自己主張の激しい作品だった。
お父さん。それは結婚式のスピーチちゃいますよ。
ロバート・レッドフォードが設立したSundance Instituteの支援で製作されたアメリカ映画。もともと、インディーズ映画の支援が目的のSundance Instituteらしく、配給はA-24。オークワフィナは2020年のゴールデン・グローブ、ミュージカル・コメディ部門の主演女優賞を受賞。すげーなぁ。遡ると、オリヴィア・コールマン、シアーシャ・ローナン、エマ・ストーンが獲った賞ですもんね。
ユーモラスに描かれる、近代化の渦の中に生きる中国人一家の物語。的なヤツ。
役者さんも、描写も、脚本も、撮影も好き。良い映画だなぁ、とは思うけど、今一つ気分が盛り上がらず刺さりも浅く。何でだろ、って考えてたら。最後の「はっ!」で思った。「B級邦画で見慣れてるわ、このオチもタッチも」
以上です。
チャーミングなナイナイ
国際結婚にフォーカスすると喜劇
告知問題
いやぁ,かなりに期待を裏切られたなぁ〜(・・?)
A24!!!
個人のすれ違いから世界の軋轢へ
中国に母を残し、アメリカと日本で各々暮らす兄弟家族。母が癌で余命僅かと知り、兄の息子の結婚式にかこつけて、母には事実を秘密にしたまま、中国での親族一同大集合を目論む。が、弟の娘のビリーは、アメリカ的価値観のもと、告知をせず祖母に嘘を吐く事に納得できない。各自の考え方の違い、愛情と罪悪感に、中米日の文化差違も相まって、親族達はぎこちなく擦れあう。
告知、結婚、死生観などを通して、異文化での意識の差やすれ違いを描いた作品だが、ひいては、もっと根源的な、個人による考え方や感情の差違についての話でもあるように思う。
祖母のナイナイは、日本人嫁の控えめな様子に、まるで感情がないみたいと嫌悪感を表し、ビリーの母は、祖母への愚痴をビリーに咎められ、中国は葬式にプロの泣き屋を雇う国、大袈裟に泣いて見せなければ情が無いと言われる、と悪態を吐く。別れの日、何度も抱擁を交わし別れがたく、車の中でも遠ざかる背後の祖母からいつまでも目を逸らせないビリーは、ふと見上げた振り返りもしない隣席の母の目に、涙が滲んでいるのに気づく。
そんな風に、表現の仕方も、善しとする物事も違っても、奥底に流れる情には通じるものがある。けれど、表面に現れないそれを見誤って、誤解している事が多くあるのかも知れないなぁ、と、考えさせられるのである。
このご時世、時にユーモアも交えつつ、中国という国について、俯瞰と共感の両目線で表現している事に、大きな意義を感じる。中国系アメリカ人である監督ご自身の経験が反映されているのだろうが、折角なら日本の視点ももう少し盛り込んで、三国三つ巴色を強めにしたら、もっと深みを増したのでは、と思うのは、日本人故の贔屓目だろうか。
主人公のビリーは、大好きな祖母の死だけでなく、仕事が決まらない社会的立場、中国とアメリカ両国で揺れ動く人種的立場など、いくつもの不安を抱えている。移民の不安定さや差別の問題を示唆しているのかも知れないが、主題がぼやけ、キレが失われてしまっているように思われる。人々のすれ違いと根底にある愛情にのみ、グッと焦点を絞っても良かったのでは。
最後のオチも、個人的には不要。
ともあれ、一定以上の年になってくると、身近に感じざるを得ない【お別れの予感】。それに向き合う時、自身だけでなく、当事者本人や周囲の人々に思いを馳せる必要に駆られる。正解はなく、おそらく後に振り返って、感傷と後悔の軌跡が残るばかりだ。
誰もが共感できる身近な出来事を、世界の問題に大きく投影してみせた、ほんのり心温まる作品。
まあまあだった
おばあちゃんが死ぬと思うと切ないのは共感するのだけど、話が一本調子でひねりがなくてけっこう退屈。このところ一般人の自伝的な話が多くて飽きてきた。就職に悩む主人公が30歳と聞いた時はびっくりした。
とてつもない距離を埋める家族愛があった
タイトルなし
予告で受けた印象とは、だいぶ雰囲気が異なる作品だった
もっと重い感じを交えながら、コミカルに進む作品かと思ったけれど、そうでもなく
比較的、軽い感じで進んだように感じた
(実話ベースということで、最後のワンシーンに思わずよい意味で笑ってしまった)
この作品は、もう会えない家族や、今離れて暮らす家族を持つ人なら、
胸に響いてくるものがきっとあると思う
そして、最後かもしれないと思いながら、会う気持ちも
本当は、いつだって、誰とだって、次は約束されてなどいないけれど、
ずっとそんな風に思い続けてなど生きていけない
それが、余命宣告と離れた距離によって、目の前に突きつけられ続ける
家族それぞれが、それと向き合う時間
別れのつらさが、ラスト近くの祖母の様子で突き刺さってきた
私もかつて、祖父母宅から帰るとき、似たような風景があった
今、思い出してみると、あの頃は当たり前の、でも子供ながらに、これが永遠ではないことを知っていたから、どこかに切なさや苦しさが紛れ込んでいた、あの瞬間
それを思い出して、胸が詰まった
それにしても、ビリーが祖父のことを語った後の夜のシーン、あれは…
大国になりつつある中国の自信と揺らぎ
大切な家族と永別することの寂しさ、思いやり、優しさ。大切に思うからガンの告知をせず、孫の結婚式を装って一族が集まる。わかりやすい物語。
別の視点で書く。
お祖母さんの言動は自信に満ちている。その姿は大国になりつつある中国を思わせる。
一方で、ホテルの従業員は主人公のビリーがアメリカから来たと知ると、中国とアメリカ、どちらがいいかを聞く。自信があればそういう問いはしない。アメリカ人は自国を中国と比較しないだろう。豊かになった中国の自信と、自信の揺らぎのようなものを感じた。
結婚披露宴の会場はあか抜けず、昭和の日本の結婚式場のようだ。まだまだあか抜けないながら、しかし着実に豊かになっている中国の生活感も見えた。
ガン告知すべきか?ではなく、祖母ナイナイを堪能する映画
祖母が末期ガンのため、孫の結婚式を口実に中国に親族が集まる。アメリカから久々に中国に戻ってきたビリーは、祖母にガンの告知をしないことに不満を覚える…。
ガン告知についての考え方は文化の問題ということがよくわかる。家族感や死生観の問題だ。告知した方がいいというビリーと、知らせない方がいいという親族。どちらも祖母のことを思ってのこと。ただ、本人に知らせないためにそこまでするか!ってところが少し笑えた。
でもやっぱりこの映画で印象に残るのは、祖母を通した中国の文化だ。太極拳らしき踊りや結婚式場での揉め事、日本人嫁のアイコに対するホンネ、墓参り、結婚までの交際期間のくだり。結構強烈だった。
個人的には亡くなった母を連想させるシーンがいくつかあって苦笑い。文句や小言を言いながらも、周りに人が集まって来てたよななんて思い出に浸ることができた。
そして衝撃のラスト!そうなんかい!
ハマる人とハマらない人がハッキリわかれそうなこの映画。中途半端な評価になってしまった。隣で観ていた女性が思いっきりすすり泣いてて、あー人によってはここまで泣けるんだ、なんてことを考えてしまった。
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