劇場公開日 2020年10月2日

フェアウェル : 特集

2020年9月23日更新

「ムーンライト」「レディ・バード」のA24が贈る感動の実話 監督の実体験を描いた≪実際の嘘から生まれた心揺さぶる真実の物語≫ 大粒の涙を笑いで優しく包んだ、“今年一番の感動作”――!!

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【フェアウェル(Farewell)】とは、お別れの挨拶。

「ムーンライト」「レディ・バード」などを手掛けるスタジオ「A24」の新作で、中国で生まれアメリカで育った気鋭の新人監督ルル・ワンが自身の実体験を映画化した「フェアウェル」が、10月2日に公開される。

一家の中心的存在である祖母ナイナイが、末期ガンを患っていることが発覚。祖国・中国を離れて暮らしていた孫娘ビリー(主人公)をはじめ、親戚一同が帰郷する。余命を本人に宣告するか否か、それぞれがナイナイにとっての“幸せ”を考えるなかでぶつかり、励まし合いながら過ごす日々を描いたハートウォーミングドラマだ。

誰もが避けては通れない“家族の死”に正面から向き合い、それぞれの立場での心情を繊細に、ユーモアを交えて紡ぐ。共感、そして感涙必死の物語が完成した。


【予告映像】優しい嘘から生まれた、感動の実話

末期がんのナイナイの余命は3カ月 真実を知らせない事が本人の幸せ? 散り散りになった親族が集まる口実は、でっちあげの“結婚式”だった

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ニューヨークに暮らす30歳のビリーは、ある日突然、中国で暮らす祖母ナイナイの余命が、あと3カ月であることを知らされる。

親族一同は大急ぎで帰郷することに。しかし、余命のことをナイナイに悟られてはならない。中国では、「助からない病は本人に告げない」という伝統があるからだ。そこで一同は、「ビリーのいとこの結婚式を挙げる」という“嘘”をつき、式の準備を急ピッチで進めていく。

一方でビリーは、ナイナイとは頻繁に会えないものの、よく電話で近況を話す仲良しだが、感情を隠すのが苦手なことから帰郷を止められてしまう。それでも――大好きなナイナイに会いたい一心で、ビリーは中国へ向かう。


■ニューヨーク育ちのビリーに生まれる葛藤 “知らせない”のは本当にナイナイが望むことなの?

“個人”を尊重する文化で育ったビリーは、ナイナイが残り少ない人生を後悔なく過ごせるよう、病状を本人に打ち明けるべきだと主張するが、死を“家族のもの”と考える親戚たちに反対されてしまう。

ビリーは葛藤しながらも、笑顔を絶やさず過ごすことに。しかし、わずかな余命を“嘘の結婚式”の準備に費やすナイナイの姿や、言い争いを始めてしまう親族たちの態度に戸惑いを覚え……。

そんななか、あることがきっかけで真実がナイナイにバレそうになってしまう。そのとき、ビリーがとった行動とは――。

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■最後に実家に帰ったのはいつだっけ? 家族は決して“いつでも会える人”じゃない

本作で描かれるビリーの葛藤は、多くの人が直面するものだろう。

ビリーは劇中で、親戚たちから「中国に戻ってきたら?」「アメリカのどこがいいの?」「いつ結婚するの?」と質問攻めにされ、居心地の悪さに顔をしかめる。都市部で働く地方出身者なら、一度は経験したことのある状況ではないだろうか。

それでも、人々は帰郷する。なぜ、帰郷するのだろうか。本作で描かれる“もうひとつの側面”は、「家族に会えることは、当たり前ではない」ということだ。鑑賞後、あなたはきっと、大切な人に会いたくなる。

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ポン・ジュノ監督大絶賛の新生ルル・ワン 注目&高評価の理由は―― 女性だからでもアジア人だからでもなく、ただ作品が素晴らしいから

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■「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督が称賛

「パラサイト 半地下の家族」で、第92回アカデミー賞作品賞を含む4冠を達成したポン・ジュノ監督。そんな彼が、自身にとっても大舞台であった同賞授賞式直後の取材で話したのは、「フェアウェル」が第35回インディペンデント・スピリット賞作品賞に輝いたことへの賛辞だった。

ポン監督は「映画自体に焦点を当てれば、線を引いたり、分断したりする必要はなくなると思っています。ルルも僕も映画を作る。ただそれだけで、結局は同じなのです」と語り、ワン監督が評価された理由は、数少ない女性映画監督だからでも、アジア人監督だからでもなく、純粋に作品の素晴らしさゆえであることを訴えた。

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■映画通にはおなじみの気鋭のスタジオ、A24が傾けた情熱

本作をめぐり、サンダンス映画祭でNetflix、Amazonスタジオ、FOXサーチライトなど世界中の企業が熾烈な争奪戦を繰り広げた。しかし、最終的に権利を獲得したのは、「ムーンライト」「ミッドサマー」など次々と話題作を発表するスタジオA24だった。

特にNetflixは巨額のオファーをしたというが、ワン監督の心を打ったのはA24の情熱とコミットメントだったようだ。

ワン監督は、インディペンデント・スピリット賞の受賞スピーチで、「A24は、実際に観客のもとに出向いて映画について話せる場を用意してくれること、そしてアメリカ人、アメリカの家族、アメリカ人主演女優の違った一面を表現するために、この映画をアメリカ映画としてマーケティングすることを約束し、実行してくれました」と、作品を人種や性別でカテゴライズしなかったことに謝辞を述べている。

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■海外メディア&批評家がこぞって大絶賛!

本作は辛口で知られる映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で98%フレッシュ(2020年3月30日現在)を獲得。そしてゴールデングローブ賞主演女優賞(ミュージカル/コメディ部門)に輝いたオークワフィナの演技を、海外メディア、批評家が大絶賛している。

――今年の傑作映画のひとつ(Deadline)――生きること、愛、死して家族の存在に対する祝祭感で満たされる。「人々の心の深い部分に寄り添う」作品だ(RogerEbert.com)――どの文化でも理解できる、家族の姿を描いた素晴らしい作品。見ると元気が湧く(Rolling Stone)――傑出した演技力(CNN)――映画の持つ力を再認識させる作品だ(CinemaBlend)
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【編集部レビュー】あふれる涙を止められない 胸が苦しいのに心はあたたかい、誰もが必見の傑作

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6年前のある日の深夜、ふとラジオからこんな言葉が聞こえてきた。「あなたはあと何回、家族に会えますか?」。仕事の手を止めて、ひたすら泣いたのを覚えている。

進学のために親元を離れ、就職のために東京で暮らすことを決めた。若い志と希望だけで邁進できた時期を少し過ぎた当時の私には、刺さり過ぎるフレーズだった。そして本作を見たとき、同じように涙があふれた。

生まれも育ちも日本の私が、どうしてこんなにビリーに共感するのか不思議だったが、2つのことに気が付いた。1つは、親族が集まった中国で、ビリーが「孫」「娘」「遠くに住む姪」「ひとりの女性」としての顔を無意識に使い分けていたこと。

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寡黙すぎる父、平気でナイナイの愚痴を言う母、クセの強いおばたち、そして労わるべき存在となった祖母。家族が集まれば、面倒な揉めごとも起こる。私もビリーと同じように、いつの間にか庇護者だった家族たちとの関係が変化し、“大人としての関係”を築いていると感じていたからだ。

そしてもう1つは、そんなビリーとナイナイの関係が、ナイナイの“死”を目前に巻き戻ったように見えたことだ。ビリーだけではなく、父はただの息子のように、母はその恋人のように……。そしてビリーは小さな子どものように泣いた。その姿に、「その時は、私もきっとこうなる」と思わされた。

私の祖母は、今年で85歳になる。本作を見終わったとき、「あと何回おばあちゃんに会えるだろう」と考えて、胸が苦しく、そしてなぜか心があたたかくなった。この物語は、自分のなかに想像以上の家族愛を見つけられる、ルル・ワン監督からの贈り物なのだと思う。ぜひたくさんの人に受け取ってほしい。(映画.com編集部)

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