劇場公開日 2020年10月9日

  • 予告編を見る

「新たな黙示録」異端の鳥 багтазарさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0新たな黙示録

2020年12月15日
スマートフォンから投稿

タルベーラのような映像美といえば、通じる人には通じるだろう。
3時間近くの映画だが、全編、素晴らしい。エンターテイメント性も保たれており、スリリングである。
次はどんな目にあうのか?と、ワクワクする。
間違いなく今年度No. 1。
映像美、脚本。すごすぎる。
役者もすごい。美男美女を集めなくては映画ではないと思っている間抜けなアメリカや日本のmovie industries にこういう撮り方を教えてあげたい。

映画を「エンターテイメント」として理解している人には辛い映画だと思う。そういう人は見ない方がよい。
「面白く」はないから。
映画を芸術、映像美学として理解する人には最高の映画だと思う。

人権的にはひどい映画だが、ついこの前まで、この世界はそんなものだったのだから。驚くまでもない。平気で人は、人を殺していたのだから。ほんのつい最近の話である。
残酷。残酷?
人間は今の時代も残酷だ。暴力に対する考え方は多少変わったとはいえ。今でも暴力に加担する人間などうようよいる。
ユダヤ人に対する虐殺はなかっただの、従軍慰安婦はデマだのと言っているような人には向かない映画。
その意味では極めて知的で、訴えかけるものが多い。これだけセリフが少ないのに。
日本映画は、テレビの延長にあって、セリフが多すぎる。セリフがないと意味がわからないという、文脈や映像の意味が分からない人向けに。
この映画こそ、映画らしく、リアリティがある。

багтазар